何度も救った
何度も殺した
誰にも理解されず
ただ走り続けた
一つの理想を胸に
だが
彼の物語は“彼”に届く事なく
あまりに呆気なく
幕を閉じた
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息が乱れる、あいつらを撒けたのだろうか?
後ろを振り返れば、どこにも人影は見えない、念のため魔術で確認しても結果は同じだ。漸く息を整える事が出来た。
「畜生、漸くうまくいくと思ってたのに…。」
隠蔽も上手く行ってた筈だ、一般人を使ってバレる事がない様に封印指定されている彼奴も使った。実験は成功し、いざ自分に死徒化の魔術を掛けようとした時。それは起こった。
測ったかの様なタイミングで誰かの魔術が工房を攻撃してきたのだ。運良く死徒化の魔術に必要な物は揃ってる、実験体は置いてきてしまったが、まぁ些細な事だ。
さっさと死徒化をしてしまおうとした時、声が響いた。
「ここに居ましたか、よくここまで逃げた物ですね。」
そこに居たのは件の執行者だった。理解が追いついた時には彼女は目の前まで距離を詰めていた。
そのまま名も無き魔術師の意識は永久に立たれた。
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薄暗い地下の一角に、ぼんやりとナニカが浮かび上がる。
その中には、常人が見るには些か刺激の強いものが入っていた。
そこへ二人の女性が現れた、二人はナニカの場所で止まる。
彼女らは、一言二言言葉をナニカに投げかけると、突如、部屋全体が光に包まれた。
麻帆良学園都市
侵入者を捕まえるのは容易だった。
と言うのも、意識も無く、倒れ伏していたからだ。
どうするか迷った彼らは、一先ず、侵入者を一時的に保護し目が覚めるのを待つ事にした
「ここは………」
“気がつくと”、オレは病院にいた
おかしい、オレは確かに封印指定をくらい、「 」へ至るための道具となった筈だった。
それに、少なくとも、身体が縮んでいる事が、感覚で分かった。
見れば、自身の体は、女性となっており、所々プラチナレッドの混ざった、銀髪であるらしい。
目覚めたばかりの頭には情報が多すぎる、何故女性の身体になっているのか、ここは果たして何処なのか、判断が付かないでいる…だが、この事は、今考えても解決しないだろう、調査がてら、この体にもさっさと慣れるとしよう
院内を回りながら、いくつか情報でも掴もうかと考えながら、彼女は部屋を後にした。
その後、もぬけの殻となった室内に、数名が駆けつけたと言う。