2019/04/17
01:37
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cv33はスピードを落とさずに走り続ける。
大きな切株を過ぎ、デコボコした舗装されていない山道を。
戦車にとって花道なのかもしれないが、乗っている側にしてみればたまったものではない。

「くっそぉ、ケツが割れちまいそうっすね」

「後でパスタ作ってやるから我慢しろ」

アンチョビがなだめつつ、己の天啓とも呼べる閃きを二人に伝える。

「それ、上手くいくんすか?」

「橋によるが、分からん。
そこは出たとこ勝負だ。
アンツィオはそういうの得意だからな」

覚悟を決めた表情を作ったアンチョビは正面を見る。

「得意なんですか……?」

「そうだったんすね!」

二人の仲間の驚いた声を聴きながら、この作戦を遂行させようと心に誓う。
タンケッテは弱くないと思いながら。

眼前には分かれ道。

一方は山道が続き、もう一方は開けた場所に出る。
ただ開けた場所ではなく、その先は谷になっていて橋を渡って反対側に行けるようになっている。
地図には橋について注意文が書かれていた。
仮設中という文字が。

「右だ。
右に進むぞ」

迷うことなく目指すは橋へと続く道。

マチルダも同じ道へと突き進む。

「よし、付いて来ているぞ。
雲形定規作戦開始だ」

足場が不安定な揺れる橋へと誘い込み戦車を谷底へと落とす作戦。
それを始めるCV33は、まずは開けた場所へと出ると橋へ進むか迷う仕草を見せる。

橋は比較的新しいがワイヤーによって吊られた簡易的な物でひどく頼りない。
足場は木材が敷き詰められてはいるが大きめの戦車が1輌やっとこ通れる程度である。

やがてマチルダも追いついてくるのを確認すると、すかさず橋を渡るために疾走しながら反対側へと向かう。

当然ながら相手も追ってくるはずだった。

しかしマチルダは橋に乗ることはなく、ギリギリまで進むと狙いを定めた。

「こっちみてるぞぉ!」

アンチョビが警告を発した瞬間、砲弾が勢い良くCV33を撃ち抜かんとかすめていく。
追うことをせずに正確に砲撃する方法を選んだマチルダに後ろから撃たれたcv33は、一刻も早く橋を渡りきらなくては逃げようがない。

だから橋さえ渡り切れば動きやすくなる。
距離を取れば、相手も追わざるを得ないだろう。

しかしそんなcv33側の考えは打ち砕かれる。

正面の一本道から1輌の戦車が姿を現したからだ。
聖グロリアーナ女学園のチャーチルが。

「ドゥーチェ、挟まれました!」

操縦手が橋を渡り終えた広場周辺を回りつつ逃げ道を探す。
他に道は無いが、無理矢理木々の間を抜けることは可能かもしれない。

「待て」

無線を終えたアンチョビがそれを制止させた。

「奴が橋を渡ろうとしているぞ」

「あの野郎、挟み撃ちできると思って近付き始めているっすよ」

奴とは、野郎(?)とはマチルダのことだ。
車輌を振り、ちらりと確認すると確かに橋の上を3分の1まで渡ろうかという場所にのろりと進む戦車がいた。

「ドゥーチェ……先ほどの無線は?」

嫌な予感がした。
ハッタリを含めて色々な作戦を駆使して敵に挑む、ノリと勢いとパスタのドゥーチェのちょっとだけ邪魔な髪から覗かせる横顔。
その表情は強張っている。

「帰ったら、たらふくパスタを食べるぞ!」

嫌な予感から確信へと変わった。
しかしそれでも、被弾してやられようなどとは思わない。
己の心の中にある、アンツィオ高の操縦手としてのノリと勢いがそれを許さないから。

ターンやドリフトを駆使してチャーチルの砲撃をかわす。

「今だ!
マチルダを狙えええ」

速度を上げて橋へと突き進み、残弾などお構いなしに連射し続ける。

それに対して聖グロ側は砲撃を躊躇し、さらにマチルダは後退を始めた。

「同士討ちを危惧した上に、ダージリンが気付いたな……。
冷泉!」

アンチョビが無線に向かって叫ぶ。

返事とばかりに砲弾が山道へと引き下がるチャーチル付近に着弾し、爆音と共に土が舞い上がる。

「駄目だ駄目だ!
そっちじゃ駄目だ!」

狙う場所へと誤差修正を指示する。

やがて砲弾がそこへ降った。
簡易的に掛けられた橋に。
その上部構造へと。

「これが本当の雲形定規作戦だ」

着弾した箇所はマチルダ側の根元付近。
そこが破断し大きくたわむ。

反対側はマチルダの重さで大きく沈み込み、丁度中間に来ていたcv33は山なりにうねった足場を駆け上がる。

そして飛んだ。

落ち行くマチルダの頭上を飛び越えて、空中で前転した後に見事着地した。

かつて新入生が勝つために落とした橋は、予算不足という名の汚職により貧弱な物しか作れずに放置され続けていた。
そんな橋の状態を知っているのは、他ならぬ麗子達Ⅳ号戦車の生徒達だけだった。

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更新遅れました。

タイトル変更しました。
ガールズ＆パンツァー ～最期の日～（ガルパン二次創作）
から
ガールズ＆パンツァー 　～ノ＾最期の日～－－－（ガルパン二次創作小説）


次回更新日
04/19(金)予定