11話
ノブオ「エレメンタル...だと!?」
聞いたこともない、ましてや4種類同時に扱える能力を目の前にしてノブオは絶望を感じた。
コブシ「でも...PP(パンチングパンチ)は効いている...勝機はきっと..」
謎の男「もう当たんねーよォ!今からその勝機とやらを一つずつ潰す!!」
謎の男はカオリを指差した。
ノブオ「まずい...カオリは炎の球に対する技がない...!!」
謎の男「まずはてめーだ騒音女ァ!!お前さえ落とせば後はイージーだ!!!ブヒャヒャ!!!」
謎の男は念には念を入れ炎の球と雷の球を生成した。そして全速力でカオリに向かって放った。
カオリ「だめっ...避けられ...」
ボカーン!!
二つの球は着弾し、大きな音を立てて爆発した。
謎の男「ブヒャ...まずは1人...!!」
???「いや、もう1人だ」
煙の中から現れたのは刀を持った男だった。そしてその後ろにはカオリの無事な姿がある。
謎の男「なっ...他のやつの気配なんて感じなかったぞ...」
???「当たり前だ、それが俺の能力だからな」
カオリが驚きながら口を開く。
カオリ「..シン..お兄ちゃん..?」
シン「ああ、久しぶりだな」
コブシ「あれは...シン..??」
シン「無事みたいだなコブシ!とにかく話は後だ!一旦逃げるぞ!!」
そう言ってシンは煙玉を叩きつけた。
煙玉が周囲に広がりきる数秒、何者かがコブシとノブオを引っ張り助けた。
ユミ「ッハァ...おらこっちは拾った!!!」
謎の男「神速!?ヤツめまだ動けたのか!?」
シン「よそ見をしてる場合か?」
シンはそう言い煙の中に姿を隠した。
謎の男「見失った...!?音もしないとはどういう..やつの能力か..!?」
謎の男は静まり返った煙の中で一つの予想を立てた。
謎の男「だったら攻撃してくる時を狙えばいい...音を消すだけの能力だったら確実に近接戦に持ち込むはずだ...」
右手に炎をまとい臨戦態勢に入った。しかし
ビューン!!
ズバっ!
謎の男「なっ...」
謎の男の体を細い斬撃のようなものが切り裂いた。しかし細いせいか致命傷には至らず。
そして車が発進する音。
ノブオたちは無事逃げられたのだ。
謎の男「...ヒャ..覚えてやがれよ...」
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車内にて。
ノブオ「すまない、助かった...正直万策尽きていたからな...俺はノブオ、よろしく頼む」
シン「いや、お前らが時間を稼いでくれていたお陰でユミと作戦を立てられた。こちらこそ助かった。」
シン「自己紹介しておこう。俺の名前はシン。カオリの兄だ。能力はカオリと反対で音を消す能力だ。声だけではなく足音なども消すことができる。そして半径10mくらいであれば好きな音だけ選んで消すことができる。」
コブシ「カオリよりいい能力だったよなぁ」
カオリ「むーっ!!っていうかなんでお兄ちゃん連絡返してくれなかったのよー!仲間に誘ったじゃない!」
シン「すまない。。仲間になる前にこれを探していてな。」
シンは刀を出した。
シン「顔が知られる前に取っておきたくてな。この刀は"ムラマサ" 妖刀だ。」
ユミ「聞いたことあるねェ」
シン「有名だからな。博物館にあったものを譲ってもらったんだ。展示してから手入れをする職員が軒並みみんな死んでしまってな。あまりにも危険ということでレプリカと交換してきたのさ」
ノブオ「..さっきの斬撃はもしかして」
シン「ああ、この刀の能力だ。」
カオリ「そんなことあるの?」
シン「いや、それが全くの謎なんだ。」
コブシ「たしかに古代のものなら特殊遺伝子もないし、そもそもそれモノだしなぁ」
シン「ああ、全くわからん。こいつは俺の寿命を喰らい力を発揮する刀だ。だからあまり使わないようにしようとは思っている。」
カオリ「危ないじゃない!!もう!!使わないでね!!それ!!」
シン「ああ、なるべくな。...って事で合流が遅れたが、俺も仲間に加わってもいいか?」
ノブオ「もちろんだ、よろしく頼むぜシン!」
謎の男に負けたノブオ一行だが新たな仲間と出会うことができた。