ーー青年side あのクソ神の爆弾発言の後、俺は看護師さんに思いっきり叱られた……めっさ怖かったよ、皆さん。そしてクソ神とコウモリモドキ……良い笑顔で『ドンマイ♪』といわれ、何か殺意が沸いた……馬に蹴られて死ねば良いのに。しばらくプンスカしていると、コウモリモドキの名前を知らない事に気付く。いくら何でも、名前を知らないのは不味いよな? 「ていうわけでコウモリモドキ、お前の名前は何だ?」 「何がというわけで、だ?……全くお前は。 一度しか言わないからしっかりと聞くが良い」そう言うとコウモリは俺の頭に乗り、咳をした後自己紹介を始める。 「えぇ〜おほんっ……私があの誇り高きキバット族の、キバットバットII世だ……ふふふ」 『………』ドヤと言わんばかりの顔に、その場は静まる……そんなドヤ顔されても、ムカつくだけなんだが? 「え〜と……その説明じゃ全く理解出来ないし、結局はコウモリじゃないからコウモリモドキで良いや」 「うぉい!?私の話を聞け、このバカ!?」 俺が手をヒラヒラと横に振ると、コウモリモドキが突っ込んだ。 このコウモリ、ツッコミ出来るんだ……新喜劇行けるよ、俺が保証するわ。 クソ神はそんなやり取りを見て、愉快そうに笑う。 「まぁそう言われても分からんよ、普通」お前は分かるのかよ……あ、神だったな。 「仕方ない。特別にお前の頭の中に、知識としてぶちこんでやろうか」 手をワキワキさせながらクソ神が近づいてくる……って、そんなことして大丈夫なのか? 「あぁ大丈夫、大丈夫!脳の神経が焼き切れるだけだから。死にはしないさ……多分な♪」 「誰かマトモな奴を呼んでくれ!?」というわけでコントの後に教えてもらった。 簡単に言うとこんな感じ。ーーーNOW LOADINGーーー キバット族は魔族の一種であり、魔皇力と呼ばれるものをコントロールする事に長けているようだ。 キバの鎧という戦闘鎧を管理しているため、ファンガイア(最強の魔族)とは同盟関係らしい。 って、話がちょっとそれたな。 話を元に戻すとこのキバットバットII世(コウモリモドキ)は、そのファンガイアの鎧の中でも、強力なキバの鎧を二つも持っているらしい。その名も『黄金のキバ』と『闇のキバ』……確かに強そうだよな。ちなみに、俺はそのキバの鎧を二つとも使えるらしい……へっ? 「いや、何で俺が使えんの? キバの鎧なんていう名前だから、人間には使えないんじゃ?」 という俺の正直な疑問に、コウモリモドキは答える。 「ちょっと勘違いしているな? 確かに普通の人間がキバの鎧を使えば、最悪の場合死ぬ」そんなもん使いたく無いわぁ……。 「しかし、生憎とお前は普通の人間じゃあない」と言って、コウモリモドキは悲しいオーラを漂わせる。 えっ、俺って何か特殊な人間なのか? もしかして記憶を失う前はそれでドンパチやってたとか? 「結局どういう事だ……じゃあ、なんだってんだよ」 「お前は馬鹿だから、あれを使える」と憎たらしい笑顔で言ってきた。 え? 何で笑顔なのか分かるのかって? それはあれ、大人の都合だ……って! 「ふ・ざ・け・ん・な!! 全っ然理由になってねぇだろうが!? 何だよ馬鹿だから使えるって!? あれか、俺は痛い人って事かこのコウモリモドキ!! ぶち殺すぞゴラァァァァァァァ!!!」アイアンクローをプレゼントしてやりました。ーーーNOW LOADINGーーー ーー三人称side 青年がアイアンクローをキバットにめり込ませ、ホクホクしていると、神が青年に問いかける。 「それで、何か思い出したかクソガキ?」 「ああ、二つ思い出したわ」 青年は病室を見回し、そして何かが入っているケースを指差す。 「コウモリモドキ、そのケースとってくんね」 「よかろう」キバットがケースまで飛んで、器用に足を使いケースを運ぶ。 しかし、ケースはキバットの数倍はある……だがキバットは軽々と羽を動かして青年へと移動させる。一体、このコウモリにはどれだけ力があるんだろうか? 青年は思わずそう思ったが、もう気にしないことにした。このままではラチが明かないし。 「……さてと」 青年がケースをゆっくりと開ける。ケースの中にはヴァイオリンが入っていた。 しかし、只のヴァイオリンじゃない……その滑らかなフォルムに、どんなモノよりも輝いてるいるような光沢。そして何より……このヴァイオリンには願いが込められている。 「ブラッディ・ローズ。 確かコウモリモドキの力を生身で使った男が作った、最高傑作のヴァイオリンだったな……そしてヴァイオリンの弾き方」 青年はそう言うとヴァイオリンを構え、ゆったりと弾き出す。ーー演奏♪ 仮面ライダーキバOST 音也ヴァイオリンから魂が震えるような音が鳴り響く。それは何処か繊細で、脆くて……まるで今の青年のようだった。 青年が曲を弾き終わり、その場が静かになる。 「……他に思い出した事は何だ!!」 「まぁ、そう焦るなキバット」 神はキバットはおちつかせようとするが、中々キバットは落ち着かない。 見兼ねた青年がストップをかけ、説明する。 「まぁ、待てっての。 あとひとつ思い出した事は名前だな……」 青年は思わずといった感じで笑みを漏らす。 「俺の名前は中都藤馬(なかつとうま)だ。 改めてよろしくな!!」そう青年、中都藤馬は自己紹介した。ーーto be continued