ヴィータ達がフェイト、はやてと合流したその時、突然ロングアーチとの交信が途切れた。
まるで、4ヶ月前の事件の再現のように、通信手段が麻痺したのだった。
そんな混乱の最中、件の男は悠然と現れた。
禍々しい漆黒の鎧で、一切の隙間なく全身を覆い隠すように包まれたその男は、歴戦の勇士と言われる彼女達を前にしてもなお、最強。
レリック譲渡の交渉が決裂するや、比肩するものなど皆無だろう卓越した剣技を持ち、新人達、負傷しているヴィータを瞬く間に沈黙させる
次いで、フェイト、はやてが空から攻撃を仕掛けるが、彼女たちの魔法は全くと言っていいほど通じなかった。
『対魔力A』
彼の世界の“魔法”“幻想種”クラスの攻撃でなければ一切魔術を通さない絶対的な防御壁
ベルカ式の近接戦闘ならともかく、はやてとフェイトにとっての相性は最悪である。
殆どの攻撃手段が失われた彼女達。それでも決着がすぐつかなかったのは、不慣れな鉱物を利用した魔法を使用して応戦したことと、相手が空中への攻撃手段を持たなかったから。
だが、それも覆る。
陸戦魔導士としても信じがたいほどの剣舞をみせたこの男は、この時になって初めてデバイスを使用し己も空を翔けたのだった。
誰が信じよう?
つまり、この男は、なんのデバイスも使わずにギンガ達を圧倒し、彼女たちの攻撃を防いできたのだ。
空という舞台を手に入れたのは、彼の持つ固有スキル。男の世界では宝具とすら呼ばれている逸脱した力によるもの。
『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』
およそ武器となり得る万物に触れることで、自分の支配下に変えてしまうこの能力は、デバイスも例外ではあらず、これにより魔術とは全く違うこの世界の魔法まで使用を可能としてしまう。
完全に人知を逸脱した実力に、この世にあっていいはずのない馬鹿げた能力を加えた男を前にして、もはや勝機という言葉はただの1カケラも存在しなかった。
機動力に欠けるはやてがまず真っ先に地に伏し、フェイトも成す総べなく倒れる。
入れ替わるように、ようやく別部隊から駆けつけた、高町なのはも同様だった。
奮闘するも、しだいに劣勢に追いやられ、遂には地べたに追いやられる。
地面に叩きつけられ、ついに片膝がついたなのはを、漆黒の鎧を身につけた騎士は、それを待つように見据えていた。
男は既に、もはや必要ないとデバイスを解いている。
誰の目から見ても、もう勝敗は明らかだった。
だが、泣きたくなるほどの劣勢の中、転機は訪れる。
颯爽と現れたのは紅い騎士。
それは先の事件の犯人を連想させる紅いバリアジャケットに双剣を携え、漆黒の鎧の騎士に相対する。
こうして、渦中の2人による戦闘の幕が開いたのだった。
【第05話 運命の悪戯・2/4 ~交差~】
交錯する短剣と双剣。初撃から甲高い音を鳴り響かせ始まった戦闘は、開始の余韻に浸る暇が無いほど一瞬で次の音を鳴り響かせる。
三、四,五、と続けて繰り出される剣戟は、既に瞬きする暇がないほどのスピードに達していた。
遠巻きから見ているのにそれなのだ。もはや当事者達においては、本当に視覚できているのかを疑いたくなる。
1撃のスピードは、実はそれほどでも無い。それだけなら、なのはの同僚のフェイトやシグナムの方が速いし、ずっと重いだろう。
しかし、攻撃と攻撃の繋ぎのスピードは信じられないほど速い。
シグナム達魔導士をバズーカに例えるなら、こちらはさながらガトリングガンだ。
斬撃音と共に無数の火花を飛び散らし、息をも尽かせぬ連撃を応酬し合う。
魔導士が魔法を利用して強引にこんな動きをしようものなら、まず、間違いなく関節が外れ筋肉が引きちぎられ、中身の方がスクラップになるだろう。
だが、目の前の2人はそれをなんでもないかのように悠然とこなす。
つまり、信じ難いことに、この両者は、己が身体を、最高ランクの魔法の領域まで昇華させた存在であり
両者の戦闘は、質量兵器の時代すらさらに遡った原初の、それも最強と呼ばれた人々の戦いの再現であった。
互いが僅か数メートルしかないその距離を、音速に迫る領域の攻撃が変幻自在に行き交う光景は、もはや狂気としか言いようがない。
「すごい………」
なのはの口から、思わず言葉が漏れる。
敵であるはずの相手にも関わらず、思わずその光景に魅入っていた。
例えどれだけ文化が発展しても、人は自然という原点を愛するように、この原始の戦いは人の心に響くものがあるのだろう。
流麗のごとき剣閃で、並の者なら触れるだけで消し飛びそうな力とスピードを持って放たれるその短剣を、日輪のごとき刃が弾き返す。
舞を見ているように錯覚すらさせるその剣舞。耳を打つ剣音は、さながらよく出来た音楽のよう
リズムを刻み、いつまでも続くように思われたその舞は、ここにきてそのリズムが切り替わる。
先に、動いたのは漆黒の騎士
突如として描いていた剣の軌道を変化させ、端から見ていても理解できないほどの業を持って、ソレを起こしたのだった。
突然、紅い男が相手に放った双剣が動かなくなる
「何っ!!!!?」
驚愕する紅い男。
それはそうだろう。
まさか、あの一瞬たりとも気を抜いたら死が待っている状態で、並の者ならば触れただけで消し飛ぶだろう懐に迫り来る双剣を、弾くどころか掴み取ってしまったのだ。
「………くっーーーー!!」
紅い男が驚愕と共にその手を引きはがそうとするも、黒い騎士はそれを上回る業と剛を持って、あまつさえ、武器を奪い取ってしまう。
それも一振りでは無い。
白と黒の双剣、その両方を一瞬の間に奪い取ってしまったのだ。
黒い騎士は、短剣を捨て去り、新たに奪った双剣を携え、獲物を失い徒手となった紅い男の前に立つ。
神技という言葉すら陳腐に見られるその芸当を持ってして、もはや、勝利を確信した黒い騎士。
「お前の負けだ………」
相手に対する慈悲なのか、剣を突きつけ、勝敗を突きつけようとした。だが、
「甘い!!!!!!」
「!!!?」
今度、驚愕が走るのは黒騎士の方。
それはそうだろう。奪い取られ、徒手になったはずの男には、なぜか一瞬のうちに再び同一の剣が握られていたのだから。
「はぁあああああ!!!!!
黒い騎士が気を抜いた一瞬の隙をついて、渾身の力で剣を振るう紅い男の攻撃。
だが、その完全に隙をついたと思われたその攻撃も、黒い男の卓越した剣技により、ガキンッという音と共に難なく受け止められてしまう。
「これは珍妙な……」
多少困惑する黒騎士だが、その対応は落ち着いたものだ。その悠然とした様子からは、まさに百戦錬磨という言葉がピタリとはまる。
そして再会する剣劇。
その激しさは、明らかに先ほどを上回る。
黒騎士は初めて握ったであろう双剣を、持ち手である赤い騎士以上に使いこなし、
紅い騎士は、双剣を持ち実力を増した相手の攻撃で剣を弾き飛ばされながらも、次の瞬間には再びその手に持ち、また一つ前進する。
だが、ここにきて、さらに黒騎士の攻撃は激しさを増して行く。
重さが、速さが、回転が、刻々と上げられ、始め互角以上の戦いをしていたはずの紅い男は、ここにきて前進するどころが一合受けるごとに剣が弾き飛ばされ、新しい剣を取り出そうにも果てしなく開いていく実力差により後退し続けるしか無くなっていた。
「ぐっ」
遂には受け切れなくなり、全身が切り刻まれ、バリアジャケットのいたるところが破けて血が滲む。
遂には、相手の渾身の一撃により、紅い男は双剣ごと体がボールのように弾き飛ばされてしまった。
黒い騎士の追撃は無い。
戦いが始まってから初めての小休止が訪れた。
両者は、いったん呼吸を置く。
紅い男も致命傷までは無いようだがもはや差は歴然。いっぱいいっぱいな上に、何カ所も怪我を負っている紅い男に対し、黒い鎧の方の男はこれだけの差を見せてなお、上限を見せているわけでは無いのが見て取れる。
「ちっ」
忌々しげに舌を打つ紅い男。
同時に、ここにきて、なのはもようやく理解した。
この戦いは、どこかであったような展開だと思いきや、先ほどの自分の時と全く同じだということを。
ようするにこの黒い騎士の男。
何が目的かは分からないが、始めは明らかに手加減しておいて、徐々にレベルを吊り上げていったのだ。なのはに対しても、この男に対しても。
まるで、なのはと紅い騎士の実力を試すように。
「魔導士にしてはいい腕だ。奇怪なまじゅ、いや、魔法か。魔法を使うにせよ、久々に良い剣舞を堪能できた。例を言おう」
悠然と立つ黒騎士は、賞賛の言葉を告げる。
それは、よく言えば褒め言葉だが、明らかに見下した言い方だった。いや、違うか。この男は心から赤い騎士を絶賛している。だが、それは教師が教え子を褒めるに等しい関係。それだけの実力者差があるということをこの漆黒の騎士は語っていた。
一方の紅い男は、舌打ちしながらも、己が不利を全く感じさせない様子でいい放つ。
「フン、貴様のような奴がこの世界にいたとはな……。だが、たかがひとつ攻撃を当てたぐらいで勝ったつもりか?」
にやりと言い放つその一言に、興味深げに答える黒い騎士。
「ほう?まだ何かあるのか?」
すると紅い騎士は双剣を投げ捨てる。
そして、男は「投影開始」とボソッとつぶやき、まるで右手に全神経を集中したような様子をしたと思ったら、今度は先ほどの双剣とは違った一振りの長剣を取り出した。
今までとは明らかに違う一振りの剣。
なのはは知らないが、それは、この男の世界における最高クラスの武器の一つ。
『カラドボルグ』
男が普段愛用している螺旋状に変形させた矢としての道具ではなく、それは元の純粋な剣の形を模していた。
双剣とは比較にならないほどの威圧感を醸しだし、桁違いの魔力が込められているのが傍目にも見て取れる。
「ほう……不思議な能力だな。違う武器も出すか……………この双剣もそうだが、普通のデバイスとは随分違うように見える……。だが、それは私に対しては愚行かもしれんぞ?」
「愚行かどうかは、試してみてからいうのだな」
「なるほど道理だ。では、いこう」
黒と紅色が残像を残し、お互いの方に疾走する。
交錯する、双剣と一対の剣。
交わる3本の剣は、戦闘直後と真逆。アスファルトを砕かんと踏み込みながら双剣を振るう黒騎士にたいし、紅い騎士は剣の優位を前面に押し出し、双剣を砕かんと剛で勝負に挑む。
黒騎士の目にも止まらぬ高速の一打がここに来て、目に映ることさえ許さない神速の一撃へと昇華する。
獲物を振るう腕の動き、その足捌きさえもが、紅い男の鷹の目を持ってさえ、既に不可視の領域に加速しつつあった。
見えないならば、その攻撃を限定させるまでと、わざと隙を作り出しそこに誘い込むも、黒騎士の神速と化したその一撃は、重さも果てしなく上昇しており、まともに受けきることすらできはしない。
自信過剰の言葉とは裏腹に、数秒で圧倒的劣勢まで立たされる紅い騎士。
そして
「ふっ」
またしても、まるで理解できない手さばきで今度はカラドボルクまで奪い取ってしまう。
奪い取られた剣による攻撃を、虚空から取り出した双剣で何とか防ぐが、紅い騎士はその威力に押され再びピンポン玉のように吹き飛ばされてしまう。
「くっ」
反動を殺しきれず、ダンッ、と音をたてて地面に転がりこむ紅い騎士。
だが、そこで黒騎士は、先ほどと同様、追撃はせず、今度は手に取った剣を見据え、感慨ぶかそうに呟いた。
「これは……………いい剣だ。本当にデバイスなのか?この感触、むしろ私達の宝具にすら近く感じられる。いや、宝具と言われれば何の疑問も持たないほどだ……こんなものがこの世界にもあったのか………」
手にした武器が気に入ったのか。抑揚のない低い声が、僅かながら弾んだような感じもみせた。
反対に、紅い男は、絶対的な戦力差を見せつけられ、そして己が持つ最高とも言えるだろう武器を奪い取られて、もはや絶望…………のはずだった。
「それがそんなに気に入ったか?」
「…………?」
仮面越しで分からないが、にやっと笑った顔をしたかのような声で言った、その余裕のある相手の言葉に怪訝に思う。
「なら地獄への土産だ。持って行け」
刹那
「壊れた幻想」
あらゆる音が消しさられた。
なのははなんとか地面にはいつくばり、その衝撃に耐える。
聴覚が麻痺したのか、何も聞こえない。
なのはに理解できるのは体を震わせる大気の振動と、肌を焦がすような熱さ。
烈風で弾き飛ばされた様々な破片は四方に飛び散り、次々と襲いかかってくる。
突如として生まれた爆風は、黒い男を中心に、辺り一帯を火の海に包みこんでいる。
爆心地であったろう地面がクレーター状に窪んで、破壊と言うよりも、これは辺りを浸食しているイメージすらあった。
一瞬何が起こったのかが分からなかった。何故、爆発が起きたのか、冷静になって考えてみる。
(…………剣が……爆発した………の?多分、そうだよね。
突然現れる武器ってだけじゃなく、時限爆弾付きだなんて……最悪の時限爆弾だよ。持ってる武器が爆発したんじゃどんな強い人でも防げるわけがない。知ってたらともかく、知らなかったらあれ以上の武器は無いかもしれない………)
冷や汗が伝う。もし、4ヶ月前のあの夜。なのはが勝っていたりしたら、我が身だったかもしれないのだ。投降すると言って、差し出された武器が、あんな規模の爆発などでもしたら、待っているのは死。よくても、もう空を飛ぶことなんてできなかっただろう。
(あれ?)
その炎々と燃える劫火の中、黒い何かが蠢いて見えた。
(うそ………まさか)
煙が晴れて、次第にハッキリしてくる視界。見えたのは、未だ直立している男の姿だった。
その屈強な鎧は剥がれ落ち、全身を業火で覆われ皮膚がただれ、致命的だろうダメージを食らいながらも、それでも二つの足で立っていた。
(うそ……でも、流石にダメージはうけてるよね…………え?)
そちらの方に目を囚われていたが、気がつくと、紅い男は先ほど取り出した剣のように、今度は黄色い槍を手に持っており、相手の方へ疾走していた。
驚くべきことに紅い騎士は、相手が動けることを想定していたように追撃に向かっていたのだ。
爆発のダメージで動くことのできない男に向かい、その槍で思いっきり突き刺さす。
「くっう!!!!!」
とっさに横に飛び込む黒い騎士。
あれほどのダメージを貰いながらも、重要器官を狙ってきたその槍を辛うじて避けたが、左肩の部位を抉られる。
しかし、今度こそ手詰まり。
本当に、最後にしようと紅い騎士は渾身の一撃を突きだそうとする。
「待って!!!!!!」
なのはは叫んだ。
槍が迫るのは、その砕かれた鎧でさらけ出された心臓部。即ちそれは死を意味する。
もう決着はついてるはず。例え黒い男がどんな人物であろうとも、殺人を許すことはできない。
だが、その心配は杞憂に終わった。ゆらっ、と体が薄らいで見えると思ったら、突如、キーン、という微かな音と共に、忽然と大けがを負った黒騎士は消えてしまったのだ。
槍は、ぶん、とその軌道が虚空を描く。
「!???」
避けた?いや、違う。槍がまさにぶつかろうとしたその瞬間、まるで虚空に消えるかのごとく消えたのだ。
(空間転位なの?でも、魔法陣を描いていなかった……あの紅い男もだけど、魔法陣を利用しないで使えるスキルが存在してる?)
紅い騎士も困惑し、周りを見渡すが黒騎士はすでに消えていた。
・・・・
しばらくしても何の音沙汰も現れない。
恐らく、空間転位なのだろう。分からないが、この紅い騎士も魔法陣無しで剣を生成していた。もしかしたら、空間転位も似た術式で可能になるのかもしれない。
なのはは立ち上がり、自分の体の状態を確認する。
(うん、なんとか大丈夫)
魔力消費も激しく、体も軋むが、まだ動けない程ではない。
(残されたのは、多分、例の殺人犯。……このタイミングで現れた理由は分からないけど………やっぱり黒い男の人に奪われたレリックが目的なのかな?それとも別人で助けてくれただけとか?………でも………あまりにも似すぎている。その雰囲気まで。
……まず、確かめなきゃ)
相性が良かったにせよ、あの黒い男を倒しているのだ。
とてもじゃないが、今の状態で戦いたくない相手だが、もし本当にあの殺人犯なら、絶対に逃がしたらいけない相手。
負傷しているのは、お互い様だし、今回は前回と違って昼だ。
この前のように、矢が全く見えないなんてことはないはず。
それに、さっきのような戦いを知らなかったとはいえ、少なからず対策はこの4ヶ月でしてきたのだ。
離れて戦えば、勝算はある。
最悪、応援が来るまでの時間稼ぎが出来ればいい。
「つぅ」
軋む体を無理矢理起こし、1人残された紅い騎士の所まで飛翔する。例と男の方もなのはの方を振り向いていた。
対面する両者。先に言葉を発したのはなのはの方だった。
「あなたと会うのは二回目ですね」
カマをかける。まず確かめなくちゃいけない。この男が、何者なのか。
本当に、あの時の、あの凄惨な事件を引き起こした人なのか
「あの時の魔導師か……」
(やっぱり、間違いじゃなかった!!!)
「こちらは機動六課、高町なのは三佐です。あなたには連続殺人犯の容疑がかけられています。抵抗せずに捕まれば弁護の機会が与えられます」
「やれやれ、せっかく助けてやったというのにさっそくそれかね?」
(うっ)
ちょっと痛い所をつかれたと思いながらも平静を装って淡々と返す。
この人はあの事件の犯人………本当は、なのはを助けたわけではないはずだ。
あの黒い男に奪われてたレリックが目的で、たまたまタイミング良く現れたというのが妥当だろう。
ここで、やりくるめられるわけにはいかない。
本当なら………曲がりなりとも助けてくれた人に、あまり強引なことはしたくないが、この男は既に、推定される管理局員の被害者が100人に迫る、あの事件の重要参考人。
(ここは心を悪魔にしてでも、捕まえなくちゃいけない。ヴェロッサさんがいれば真実がわかるはず。もし、なにかの間違いだったら、後で死ぬほどあやまろう)
「それとあなたの容疑とは関係ありません。私にはあなたを捕まえる義務があります………それともあなたは、この前の大量殺人犯とは別人なんですか?」
「金を貰って働いているんだろう?自分で調べたらどうかね?」
「…………今から調べて、あの事件の容疑者を逃がすわけにはいきません。もしあなたが投降しなければ実力行使で捕まえさせてもらいます。犯人でないのならば、仮面を取って何もせず付いてきてください」
「どっちにしろ無断で危険魔法使用で捕まってしまうんじゃないのか?」
なんだかんだに、皮肉を言ってくる男。
「…………それについては、考慮してもらえるように配慮します。あなたがあの殺人犯でなければ。それで、あなたは殺人犯なんですか!?」
「まあ否定はせんよ」
肯定の言葉。
(間違えじゃ無かった………この人が、あの事件を!!!あの人達を!!!!)
それと同時に、あの凄惨な光景、未来を奪われた人たち、残された家族の涙、それらを思い出し怒りがふつふつとわき起こってくる
この4ヶ月、血眼になって探してきた犯人が、今、ここにいる。
「………なんであんなことを!!!」
なのはの怒りを意に介した様子もなく、男は皮肉を言う。
「………さてな、捕まえて聞き出してみたらどうかね?」
分かっていたことだが、相手はまともに話す気はないようだ。
「そうですか……もう、話は必要ありませんね」
「もとから必要なかったと思うが」
レイジングハートを構え相手に突き付ける。
対峙する両者
世界の主役である両者の第2ラウンドの鐘が鳴り響いた。
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本篇の方はランスロット無双。テーマは“どうしようもない存在“。
なのはよりも純粋に強い存在を出したかったんです。
対魔力Aがある時点で、すでに反則です。
後から出てきますが、彼は、キャスター(元は桜がキャスターに命じた)になのはと士郎で遊びなさいと命令を受けてたので、この2人に対しては、最初は手加減してました。
後、冒頭の戦闘部分はナレーションになってしまいすいませんでした。あまりおもしろそうな内容でもなさそうですし、更新スピードを上げるために(こんだけ遅いのに……って思われるかもしれませんが)今回も03話に引き続きこうしました。
今後も、省略する部分が多々出てくるかとも思いますがご了承ください。