SS投稿掲示板




No.42107の一覧
[0] (TVアニメシャーロット)Charlotte SS 乙坂有宇の記憶力がずば抜けていたら[ 幸せな二次創作](2021/08/31 05:41)
[1]  プロローグ 異常な記憶力、異質な力 [訂正版][ 幸せな二次創作。](2018/02/01 19:43)
[2]  第一回 僕が正義だ。[ 幸せな二次創作。](2016/08/27 13:55)
[3]  第二回 幸せになるための努力[ 幸せな二次創作。](2016/08/16 06:46)
[4]  第三回 断裁予告[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 00:24)
[5]  第四回 この世は金だ![ 幸せな二次創作。](2016/11/13 01:24)
[6]  第五回 情報と憶測[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 01:30)
[7]  第六回 その為ならプライドだって捨てられる[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 01:28)
[8]  第七回 星ノ海学園[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 01:50)
[9]  第八回 神になることもできる[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 01:59)
[10]  セカンドプロローグ なにがなんだか分からない.....。[ 幸せな二次創作。](2016/11/13 02:02)
[11]  第一回 誰かの声[ 幸せな二次創作。](2016/08/16 05:37)
[12]  第二回 違う過去の世界[ 幸せな二次創作。](2016/08/16 05:58)
[13]  第三回 さようなら、白柳さん。[ 幸せな二次創作。](2016/08/16 06:25)
[16]  第四回 万有引力の法則[ 幸せな二次創作。](2017/02/01 08:08)
[17]  第五回 他人の不幸と自分の幸せ[ 幸せな二次創作。](2018/11/20 05:16)
[18]  第六回 Re[ 幸せな二次創作。](2018/11/20 05:39)
[19]  第七回 くそ、ぶん殴ってやりたい。[ 幸せな二次創作](2018/11/20 05:49)
[20]  第八回 怒りのアッパーあァァアアァアァァ![ 幸せな二次創作。](2016/08/20 13:13)
[21]  第九回 よし、悪は燃そう!。[ 幸せな二次創作。](2016/09/24 08:05)
[22]  第十回 プロデューサー私はてめぇを殺したい。[ 幸せな二次創作。](2016/08/20 13:40)
[23]  第十一回 あ、赤い....[ 幸せな二次創作。](2016/08/20 13:42)
[24]  第十二回 知らぬ能力 [訂正版][ 幸せな二次創作。](2016/09/17 08:15)
[25]  サードプロローグ テロリストの少女[幸せな二次創作](2016/10/20 00:37)
[26]  第一回 助け船だと思った? 残念! それ泥舟ですー![ 幸せな二次創作。](2016/10/20 01:02)
[27]  第二回 視線 [訂正][幸せな二次創作。](2016/10/20 01:14)
[28]  第三回 とある任務という名の襲来 [ 幸せな二次創作。](2016/10/23 02:49)
[30]  番外編 迷子のテロリストの少女と黒髪のターゲット[ 幸せな二次創作。](2016/09/02 13:56)
[31]  第四回 テスト勉強と一時の恥[ 幸せな二次創作。](2016/10/23 03:09)
[32]  第五回 クソッ! 舐めていた! 僕は学園創設者のことを完全に侮っていた。[ 幸せな二次創作。](2016/11/01 09:17)
[33]  第六回 詰んでいた現状 [訂正版][ 幸せな二次創作。](2016/10/23 04:04)
[34]  第七回 コードカンニング 反逆の乙坂 [ 幸せな二次創作。](2016/10/30 02:47)
[35]  第八回 期末テスト[ 幸せな二次創作。](2016/10/24 02:50)
[36]  第九回 成り行きに任せる[ 幸せな二次創作。](2016/10/24 03:13)
[37]  第十回 誰かに認めてもらいたくて[ 幸せな二次創作。](2016/10/29 11:18)
[38]  番外編 佐藤美保の監視報告[ 幸せな二次創作。](2016/11/04 03:32)
[39]  乙坂隼翼(学園創設者様)の困惑[ 幸せな二次創作。](2016/11/04 02:56)
[41]  第十一回 惨めになってたまるかぁ !!![ 幸せな二次創作。](2016/11/22 03:23)
[42]  第十二回 プロ入り間違いなしの高校球児だと[ 幸せな二次創作。](2016/11/17 12:25)
[43]  第十三回 誰にでも投げられるナックルの魔法[ 幸せな二次創作。](2016/11/17 12:42)
[44]  第十四回 試合開始[ 幸せな二次創作。](2016/11/24 15:45)
[45]  第十五回 刹那的スイング[ 幸せな二次創作。](2016/11/28 15:30)
[46]  第十六回 2[ 幸せな二次創作。](2021/12/29 04:40)
[47] 第十七回 今どんな気分だ?[幸せな二次創作](2021/09/28 02:38)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[42107]  第十二回 知らぬ能力 [訂正版]
Name:  幸せな二次創作。◆0adc3949 ID:159db371 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/09/17 08:15
 たった一人、僕は、広い広い、砂漠をひたすら歩いていた。太陽が砂漠全体を熱している筈なのに僕には暑いという感覚はもうない。感覚を消すという能力を奪って持っているからだ。水も必要ない。睡眠も何もかも生きるために必要だったものは今持っている能力でなんとかなるから。資金は株で集め最早大きな会社の三つや四つを立ち上げることもできるほどに持っている。

 だけど、早くしないと金は兎も角、今、持っている全ての能力が消える。まだ目的の過去を改変することができるような能力者の居場所を掴めていない。

 地図を見れば今歩いている少し先に能力者の団体がいる。あいつらが今日の僕の標的の一つだ。能力を奪えばどんな能力か分かる。今回の標的の中に視認するだけで相手の能力が分かる能力者がいるらしい。この情報は信憑性が高い。

 いや、そうでなくては困る。僕は過去を変えないといけない。僕の大切なたった一人の家族を生き返らせる為に。

 「歩未、必ずお前を生きかえすから待っててな.....」

 死んだ妹を生き返らせる、その為に僕は今日もまた、能力者から能力を奪っている。








 嫌な凄く気分が悪くなる夢を見ていた気がする。きっと昨日、ナイフを持った男と敵対したり、またまた、ナイフを持っていたボディーガードに乗り移り、太ももにナイフを突き立てて、その痛みで泣きそうになってしまったからだろう。思い出したら涙が出てきた。

 「....ふぁ」

 ただの欠伸のせいだった。

 何時も通りの朝、携帯が表示する時刻は四時を少し過ぎたところだった。眠っていた部屋の窓から見える外はまだ暗く太陽は出ていないが一時間もすればあっという間に空は蒼くなって、太陽が顔を出すだろう。

 台所に行き、ミネラルウォーターを冷蔵庫の中から取り出すとコップを食器棚から出し、テーブルの上におき、その中にキンキンに冷えた水を注いでそれを仰いだ。

 冷た透明な液体が目覚めてからからだった喉を潤すのを感じる。その冷たさに寝起きで少しぼんやりとしていた思考も少しずつまわり始めた。

 「よし、行くか」


 テーブルの上に置いたミネラルウォーターを冷蔵庫に片付け、使用したコップを洗い、布巾でコップを拭くと食器棚へと戻した。使ったら片付けるは基本中の基本である。


 その後、動きやすい格好に着替えると僕は今日も走り込みに併設のマンションを出た。トレーニングは計画性を持ってやりたい所だが、この体に僕は今だに違和感があるのだ。それはこの世界の僕が運動部に中学時代に入っていなかったことにせいなのだろう。筋力や体のキレがないため、前にやれていた動きもできなくなっている。昨日、ナイフを持った男とボクシングスタイルでやり合った時はアドレナリンのおかげで現役時代にはひどく劣るものだったが何とか動けた。だが、それではだめだ。僕がいた世界の自分の体のように頑丈でなければもしもの時、歩未を守ることができない。だから今は計画性を持って少しずつ筋肉をつけるのではなく、多少オーバーワークでいいから筋力を確りとつけてボクシングをやっていた現役に匹敵するくらいは動けるようになっておかなければならない。それに体を動かせばこの身体の感覚も掴めて一石二鳥だしな。そんなことを考えながら僕は地面を蹴り走り出した。




 十キロを走り終えその後、直ぐに帰宅しシャワーで汗を流す。そして制服に着替えて、歩未が起きる間での三十分間のリビングで勉強する。これはもう僕の日課みたいなものだった。それに時間は限られているのだ上手くつかわなければ。

 暫く勉強していると歩未が目を覚ました。

 「有宇お兄ちゃんおはよう」

 「おはよう歩未、良く眠れたか?」

 「はい、なのですぅ。でも寝た時間が遅かったからか少し眠いかも....」

 歩未は布団からでると、その場に座り、うーんと両腕を上へ向けて伸ばしたり、寝癖で少し跳ねた髪を手櫛で整えていた。そんな歩未の愛らしい姿を見ていると今日が始まったんだぁって思えてきて何だか楽しい気分になる。早起きは三文の徳というが歩未の寝起きの顔はそれ以上の価値があると思えてならない。誰かがシスコンといった気がしたが空耳ということで......。

 何時ものようにと言ってもこの世界にきてからは三日目になる朝食の用意を手伝って僕と歩未は一緒に朝食をとる。メニューは昨日の特製カレーだ。この世界の歩未の料理は僕のいたこの世界とは別の世界の歩未の味と変わらない。ピザソースはあらゆるの世界の歩未のおともなのだ。

 食事の途中で歩未に今日も遅くなることを伝えないと昨日のようなことになってしまうということに気付いた。だから家を出るときに歩未に今日も遅くなることを伝えておく。昨日のように遅くまで待たせるのは申し訳ないからだ。

 「歩未、実は今日も帰りが遅くなるかもしれないんだ、生徒会で......」

 「え、今日も!」

 「ごめん。だから今日の夕食は僕を待っていなくていいから、先に食べててくれ」

 「わかったのですぅ.......もしも帰りが早くなるときは教えてね」

 歩未は寂しそうにそう言うと朝食を先程とよりも少し遅いペースで食べ始めた。朝食の時に出す内容じゃなかったかもしれない。しまったな.....。

 「ああ、その時は連絡する。昨日よりは早く帰ってくると思うからさ、元気だせ」

 僕は歩未の頭をポンポンと軽く叩く。こうすると僕の知る歩未は嬉しそうにするのだが、この世界の歩未は不思議そうな顔をしていたが元気そうな表情になって頷いた。





            1



 午前の授業が終わり、放課後になる。今日の授業は、正直に言うと寝てた。それはそれはぐっすりと。昨日は凄く気を張っていたしそれに命を落とすかもしれないような場面にも遭遇し、こういうのはおかしな話だけど馴染んでいない自分の身体を必死に動かしたから、身体が疲れているのかもしれない。

 自分の席の椅子の背もたれにもたれかかり、今朝歩未のやっていたように腕を伸ばしたりしていると友利が僕の席に何時もの無愛の表情できた。昨日、連れて行ってくれるといった友利の兄のところへ行くから僕を呼びにきたのだろう。


 「では、行きましょう」

 「ああ」

 友利に返事を返したのは僕だけで後ろの席にいる高城は何も言わない。高城は行かないのだろうか。

 「高城、あんたは行かないのか?」

 「私は遠慮しておきます。お二人で行ってきてください。それに、私はゆさりんが月曜に転校してくるのその日の為のシミュレーションをしなくてはならないので! 」
 
 「結局それか! お前どんだけアイドル好きなんだよ引くな! 」

 だらしのない顔で夢想している高城に友利の鮮やかな引くなが炸裂する。他人の趣味に別にどうこういうつもりはないが、その何を考えているか分かる顔はやめた方がいい。

 教科書類をまとめて鞄に入れると昨日の女子が話しかけてきた。

 「あ、あの乙坂君!」

 「えっと、佐藤さん?」

 「今日暇? よかったら食堂で一緒にご飯とか....」

 友利と高城がこっちを見ている。どうするのかと聞いているのだろう。

 「ごめん実は用事があるんだ。また今度にしてくれないかな」

 「なら、明日とかは何かある?」

 僕はスマホを弄りスケジュールを出す。特に何もないがやはり生徒会に入っている以上いつ呼び出しを受けるか分からない。だが、ある程度社交的である面をアピールするためにここ誘いに乗っかるのが定石だ。だが、内容次第だな。

 「明日は日曜だし何も今のところ予定はないけど.....」

 「なら明日私の部屋にこない?。実は乙坂君を紹介してほしいって女の子がいて、隣のクラスの子なんだけど.....」

 そういう誘いか......。良い印象を植え付けるのには持ってこいの機会かもしれないけど、歩未との時間も減るし断るか。ただでさい寂しい思いをさせてしまったんだその埋め合わせくらいはしないと。

 「見ず知らずの女の子の相手か。ごめん、一寸、無理かな.....」

 「そっか、引き留めてごめんね」

 「いや、佐藤さんが謝ることないよ。こうして転校生の僕に気安く話しかけてくれるだけでもありがたいし.....。じゃ僕はこれで」

 僕はそう言うと鞄を持って下に降りた。友利も一緒についてくる。その時、佐藤さん友利のこと睨んでいたけど友利、あんた、どんだけ女子に嫌われてるんだ。生徒会長という奴はイメージ的には人気者だが、この学校の生徒会は思った以上に周りから嫌われている。だが、あからさまに嫌がらせを仕掛けてこないのはこいつが危険を承知で能力者確保に向かっていることをこの学校にいる生徒はどこかで理解しているからなのかもしれない。それでも強引なやり口や手段を選ばないことに不満を持っている者は多いようだ。


 「モテモテですね。顔は良くてもただのカンニング魔なのに」

  あと、性格にも不満をもっている事に気づいた今日この頃だ。

 「茶化すな、そしてカンニング魔って言うな、カンニングも立派な努力だ」

 「努力する方向性が違うと思いますけど......そんなんじゃ身に付きませんよ社会人になってからどうするつもりですか?」

 友利の言うことは正論だ。思わず頬をひきつらせたが直ぐに止め、堂々とした振る舞いを見せてやる。

 「確かにそれは正論だ。 だが、僕はこのスタイルを変えるない! 屁理屈と絡め手ありとあらゆる不正で社会を生きてやる! 」

 「いや、そこは正攻法でちゃんと努力してくださいよ....」


 流石にこの言葉にはぐうの音もでなかった。




 学校から出て駅につくまでの会話や出来事は割愛する。特に特筆す点は無かったのだ。あったことといえば迷子の僕達と同じくらいの年齢の外国人と遭遇して道を聞かれたくらいだ。相手は日本語を話せない普通の外人だったのでそれには友利が対応した。何かやたらと僕を見ていた気がするが多分気のせいだろう。

 駅について友利が発した言葉は昼食の有無の確認だった。

 「お昼はまだですよね?」

 「まあ」

 「ではあのお店で駅弁を買いましょう」

 友利が指先で示す店は確か有名な駅弁店だ。糸をぴっぱると温かくなる弁当だったか?。有名なだけあって列ができていた。僕は並ぶのは好きじゃなし売店でサンドイッチをかうことにする。ふと先程まで近くにいた友利がいなくなっていた。誘拐でもされたかと焦って周りを探す。だが誘拐なんて物騒な可能性の危惧は杞憂で終わった。

 友利は駅弁店の列に並んでいたのだ。思わず呆れまじりのため息が出た。僕はそれを確認すると近くの売店へと足を運んだ。




 「これこれ! 糸を引っ張ると温まる牛タン弁当スッゴくないですか!」

 僕が売店でサンドイッチを買って数分後、友利は、駅弁を両手で持ち、ハイテンションで駅弁を僕に見せてくる。よっぽどて手に入ったのが嬉しいのだろう何時もの無表情が一変していた。しかし、弁当が凄いかときかれても別にすごいと思わない。知ってるし。

 「はいはい。ちょー凄い。それよりも、早くしないと電車が来るぞ」

 「うわ、適当だなぁ......それじゃ行きますか」



 弁当を買ったあと友利と僕はすぐに電車に乗り込んだ。



 「はむっ、はむっ」

 「.......」


 僕の隣にいる同じ学校の制服を着ている女子は誰なのだろうか。いや、分かっている皆まで言う必要はない。僕の隣に座り、周りの事など全く考えず平然と駅弁を美味しそうに食べている友利奈緒は相変わらず自分主義だった。

 電車のなかは人が密集していて、そのほとんどの人達が僕と友利に迷惑そうな視線を送ってくる。

 マナー違反を平然とやってのけている友利がその視線を向けられるのはわかるが隣に座っているだけで僕まで巻き沿いをくらうのはあまりに良い気はない。

 しかしまさかこんな間接的な嫌がらせがあったとは......。友利とは未来永劫仲良くするなんてことはないな。断言します。

 電車を降りるまで、僕は世の中の言いたいことを言わない大人達の迷惑なんだけどという視線を向けられ続けた。自分で注意すれば相手は止めるかもしれないのに注意もせず目線で誰かが言えよと押し付けあっている見るにたえないことをやり続けている社会人を見て、自分はあんな大人にはなりたくないなと切に願った。関わりたくないはわかるけど、中途半端な行為をしないでもらいたい。無視すればいい話なのだ。マジで無関心でいてください。

 電車から降りて暫く歩くとバス停があった。そこにおいてあったベンチに座りバスを待つ。先程まで駅弁当を食べていた他人の目なんて気にしないゆるふわの長い銀髪をサイドテールにしている少女はまだ食べたりない様子だった。

 僕はそれを無視してサンドイッチを食べようとするがあの不快になる視線を受け続けたせいか食欲が全くわかない。サンドイッチは後で食べるか.......。

 「あれ、そのサンドイッチ食べないんですか」

 「.....」

 僕がサンドイッチを食べないと見た友利がサンドイッチを要求してきた。別に食べなくとも問題なかったのでどうぞと無言でサンドイッチのはいった袋を友利に渡す。次のバスの中で友利はサンドイッチを食べる。食べる。食べる。はい!なくなったー!。

 「そんなに食べたら太るぞ絶対。いや、もう.....」

 「む、太りませんよ」


 友利は心外だと不服そうな顔で睨んでくる。意外なことに表情に幾つかバリエーションがあるらしい。

 それにしても女というやつはどうして体重の話になると見栄をはるのだろう。でも、もう少し友利をこのネタで弄るにもありかもしれない。

 「どうだろうな? あんたと同じようなことを言っていた近所のお爺さんは今ではすっかり、右手にコーラを常日的に持ち歩いているお腹がでているアメリカ人と何ら変わらなくなってしまった。きっとあんたも......友利、浅はかな」

 僕は無念そうな表情をして友利から顔を背けた。


 「いや、女子高生をじじーの体験談で判断するしないでください。性別も年齢も大きい違います。私は女でまだ十代ですよ」

 「ああ、分かってる。冗談だ。そこまで本気にするなよ、今のあんたの歳なら太ったとしても一キロ前後だろ」

 「り、リアルすぎて否定できない......」



 今までのは全て余興だ。人においそれと話せるような話でないことが分かっていたから冗談をいれたりと僕らしからぬ言動をとってきた。それで休憩を挟んで数分後、友利は自分の兄の事を語り始める。


 「今から話すのは私の過去の話です。 別に隠すようなことではないのでお話します。知っておいてもらわないと兄のところについたとき、驚かせてしまうかもしれないので」

 「.....」

 「まず、兄が特殊能力者になりました。私が受験で国立の付属中学に受かった時にことです。その時兄はレコード会社と契約して寸前でした。でも、兄はレコード会社とは契約できず、私も進学出来なかった」

 そのあとの話をすこし要約する。ある日二人を一人で育ててきた母親が話があると二人を呼び出し、同じ系列の寮制の学校転入させると勝手に決めた、そのことを自分の子供にそれを教えた。だが、当然デビュー寸前の友利の兄はそれを受け入れいれようとしなかったが母親が必死に頼んだことで折れ、その学校に通うこととなった。おそらくその学校が科学者の施設だ。やはり過去に立てた憶測は当たっていた。

 「そこは見かけは学校で直ぐに友達はできた。ただ、毎日授業が終わると、検査のようなものを受けさせられた。一緒の学校のはずなのに兄とは会えないままでいた。私が兄を探そうとすると決まって友達が止めた.......。そしてその頃兄は、ずっと奴等に実験台にされていた。兄の能力は空気を自由に振動させられると言うもので、ライブでその能力を使ってギターの音色を様々なものに変えていたことから奴等に見つかった。その能力を利用すれば通信のジャミング、また電波ジャックも可能と科学者は考えた」

 「あんたはその兄といつ会えたんだ.......」

 「私が兄と会えたのは一年後です。もう私の事を妹と判断することもできなくなってました」

 廃人、植物人間、記憶喪失。今の話から考えれば、今頭に過った可能性の中に現在がある。しかし、死んではないだろう。僕がこの世界とは少し、違う世界で調べた時には病院に入院しているし、今の、この道のりは僕その時に調べた友利の兄が入院している病院への道だ。

 死んではいない、生きてはいる。それが人間と呼ばれるのかわからないが.....。

 メジャーデビュー寸前だった、国立の中学に受かった子供達を科学者に売った母親。人間が誰かを売る時は大抵、金が関わっている。きっと大金が手に入ったことだろう。

 そのお金を手にした時、子供を売った母親は何を感じたのだろうか。罪悪感、負い目?、もし、そうならば、そいつはずるいと思った。

 どんなに罪悪感を覚えようと、負い目を感じようと、科学者に自分の子供を売ったことにはかわりない。

 悪いことだとわかるけど仕方なかった、私は最低だとか、ごめんなさいとか思えれば、まだ、自分はまとも、逆に哀れむべき存在、だから赦されるなんて考えているなら、僕はこう思う、犠牲になった奴に失礼だと。

 自分の為に、売ったんだろ!  それで金を獲たんだろ!  自分の為に犠牲にしたんだろ!  自分の為に誰かを不幸にしたんだろ!  だから、どんな言葉を並べ立てようが、どんなに謝罪しようが、負い目を感じようが、所業はクズの行いだ!。でも世間で自分がそう思いたくないから、思われたくないから、綺麗でいたいから、罪悪感とか負い目を感じて赦されようとする。仕方なかったと言い訳して自分は哀れまれる存在だと........ふざけてる! 犠牲にされたものからすればたまったもんじゃないはずだ! 赦されようなんてずるい、犠牲にされたことを正当化されたら犠牲されたものは恨むこともできないじゃないか、ただ不幸になるだけの存在になってしまう。

 だから、勝手に赦されてはいけないし、赦しをこうのもやってはいけない。相手に恨まれるべき存在でなければならないのだ。自分が幸せになるために誰かを犠牲にしたそれの何が悪い!。お前らは自分が幸せになるための犠牲になったんだよごくろうさん!。と悪役にならないといけない。一見開き直っているように見えるかもしれないけど、.....行いはまさにその通りなんだし、誰かを不幸にして幸せを得た以上クズだろ。僕もそうしてきた人間だ。そして、今でもその考えを否定しきれない。自分の幸せ為に、他人を犠牲にしている。

 自分のやったことは哀れむべきだとか、仕方なかったと言うやつらはただ綺麗でいたいだけの偽善で偽善の偽善、まともを気取った、異常者、偽善者的なクズだ。クズのプライドもくそもない。

 その母親はどうだったのだろうか。まぁどっちを取ってもクズとたちのわるいクズだ。でも僕は口にしない。だって友利の母親に関わったことはないし、所詮は他人事だ。口を挟む権利も、ましてはクズである僕が見ず知らずの相手をクズと口にするのは失礼すぎる。でも思うのは別に誰も傷つけないしいい!。(←これが本物のクズ)

 友利の話はもう少しの間続いた。


 「私を兄から遠ざけようとしていた友達も科学者達が作ったかりそめの友達.....。私も毎日検査を受けさせられていたのは兄妹だと二人とも特殊能力者になる可能性が高いからただそれだけの事だった。私はもう、誰も信じないと心に決め、その学校から逃げ出した......」

 「その後、どうなったんだ」

 「唯一信頼できる人と出会い今に到っています」

 信頼できる人、そいつが星ノ海学園創設者なのだろう。または、そいつと同等の存在。

 友利に能力者の保護を手伝うことを許した人物か。いったい、どんな奴だ?。馬鹿という風に僕は思っているが一代で科学者から守るための施設を作ったのだから切れ者なのは確かだろう。訊いたら案外あっさり教えてくれるかもしれない。

 「なぁその人って.....」

 「あ、次降ります」

 残念なことにその人物なるものについては聞き出せないかった。次のバス停でおり、少しすると上に続く長い階段があった。この先に友利の兄が入院する病院があるのだろう。立ち止まって階段の先を見上げていると友利がそれに気付き声をかけてきた。


 「行きますよ」

 「ああ」


 階段を登り終えると、あったのは大きな病院だった。その中の受付で友利は面会手続きを終えた。しかし、受付の言葉が聞こえたが敷地内ならいいが外に連れ出すことは不可な状態。生半可な気持ちでその兄のことを聞いたのは間違いだったかもしれない。


 友利にその兄がいるという病室まで案内されるがままについてきた。そしてある一室の前で止まる。

 「ここなのか....?」

 「はい、ここが私の兄のいる病室です」

 そして友利はゆっくりと目の前の扉を開けた。

 ヒラリと羽が舞う。雪を欺くように真っ白で、綺麗な羽が一室をチラリチラリと舞っている。いや散っているのだ。その羽は全て病室のベットの中から飛び出していた。ベットの中の羽毛をむしりとっているのはこの病室の中に僕達がくる前から中にいた一人の人間が行っていることで、今もなお、狂った声で、狂うように何度も何度もベットを破いている。事情を知らぬ第三者が見ればただの異常者。知っているものが見てもそれは変わらない。なるほど、この人壊れているんだ。そうとしか僕には思えない。

 「また、鎮静剤が切れてる」

 壊れた人間を見ても一切の感情を抱かぬ眼で、それを眺める、その血を分けている妹は、手慣れた手つきでナースコールをカチッと押した。もう、すぐ看護師が鎮静剤を持ってやってくるだろう。

 「この人はいったい何をしているんだ」

 僕はこの光景を見れば誰もが思うであろうことを口にした。

 「作曲です」

 「作曲......?」

 作曲って、楽器も何も持っていない、ただ叫びながら布団を破いているだけだ。

 「兄は、これでギターを弾いているつもりなんです」

 「ッ」

 布団を破くのが演奏.......ならメロディは


 「唸って聞こえるのはメロディ、主旋律なんです....」



 母親に科学者へと売られ、唯一の家族である兄は壊れてしまっていた。多分唯一の家族のはずだ。なんで友利は.......。

 -ごく当たり前のような顔をしている。なんで壊れていない。壊れても狂ってもおかしくないような思いをしている筈なのに......。


 「友利.......」

 「なんですか」


 あれ、何で僕、友利に声をかけたんだ?。友利に同情しているのか?。そもそも、ここへ来る話題をふったのも僕だし、自分でこの状況を作って、勝手に同情しているだけなんじゃ。

 同情とか、哀れみとか、そんなのは安全圏にいるもの達の何の重みもないただの偽善......。一度はこの壊れている人を殺そうとしたことがあるのに同情なんて、偽善以外のなんなのだ。そんなこと思う権利はない。

 やっぱり、何も言わないが正解な気がする。


 友利から視線外すと、布団を破き、唸ることで演奏を続ける友利の兄と一瞬目があった。


  澄んだ蒼い妹と同じ色の、しかし海の底の様に深く濁った瞳と目だった。

 「ッ!!!!!!!!」

 その刹那だ。頭の中に何が入ってくる。次々と次々と丸でドロドロに溶けた熱を孕んだ鉄が直接頭に入ってくる。激痛だ。狂いそうな程の痛み。


 「.......」

 友利の兄、友利一希はいつの間にかベットを破くのを止め、僕と目を合わせていた。ここからだ。こいつの目から僕に忌々しいといえるぶっ壊れるの前提の記憶の一部が、流れているんだ。

 脳をいじくり回される。早く目をそらさないと.......目を逸らす........逸らせない。あれ、動かない、体が動かない。目も何もかも! 動かない! 。

 次の一瞬、出来ていた思考は消滅する。それほどの激痛と狂気、に襲われたのだ。ただし今度は頭ではなく。魂、心とか言う心臓部分に近い場所の何かがごんごんと削られる。まるで僕の意識をスライサーにかけられる感覚だ。不味いこのままだと僕の中で何か死ぬ。バキバキと何かが折れていく音が聞こえる。

 バキバキッバッキバキバキバッキバキバキバキバキ、パキッ........

 何かが完全に折れる音をたてる寸前、僕を襲っていた痛みは無くなった。まるで最初から無かった様に。あれが錯覚だったように......。



 「どうしたんですか! 」

 友利こ心配そうな声が聞こえる。いつの間にか僕は膝を付いていたようだ、身体中は脂汗で一杯で、制服が汗で透けている。立とうとするが手足に力が入らない。だが、先程の全く動かないわけではない。心臓を右手で胸板の上からつかむ。

 どく、ドク、ドクっ、ドクッ。

 心臓は脈をうっている。生きている。

 「あ、ああ、だ、だ大丈夫。す、少し立ち眩みがしただけだ」

 「立ち眩みってすごい汗じゃなですか!。それに身体も震えて.....」

 何か寒くて、身体は震えて、声も震えているけど、大丈夫痛みは無いし問題ない。伏せていた顔を上げ友利の兄の方を見ると物静かにこちらを見ていた。いや、友利の方を見ているんだ。そこに先程までの狂気はないように見える。友利もその事に気づき驚いた表情をしていた。


 「....お..」

 声がした。だけど、僕の声ではない、友利奈緒声でもない。別の人間の声だ。この病室には僕と友利以外には一人しかいない。

 「な......お」

 「え.....私のこと.....分かる、の?」

 「な、お」

 「せ、先生友利一希さんが! 」


 鎮静剤を持ってきた看護師が今の一連のやり取りを見ていて、医師を呼びにいった。一体何が起きたのだろうか?。何かが起きたそれだけは確かだ。それにしても寒い.......。




 そのあと、直ぐ、担当医の医師が駆け込んできて、家族の関係者でない僕は病室の外で待っていろと命じられた。ふらふらしかがら出ていくと、大丈夫かと心配されたが、ただの貧血といい病室を出た。そして、病室のそばにある、ソファーにもたれかかるように、座った。まだ寒い.........本当に。

 暫くして、医師が病室から出ていった。そして、友利も病室から出てきて少し話があると僕を病院の外へ連れ出した。その頃には先程までの寒さと震えの症状はなくなっていてたので問題ない。外に出ると夕焼け空が広がっていた。

 「なぁ、あんたの兄さんに何が起きたんだ」

 取り敢えず一番気になっていることを聞いてみた。

 「バスの中で話しましたよね。兄は私が妹であるとすら分からなくなっていたって」

 「でも、それは前の話だったんだろ。今さっきあんたを見て名前を呼んでたじゃないか」

 「そんな状態じゃ無かったんです。私のことを判別できるような状態じゃ無かった」

 友利はどことなく苦しそうな顔をしている。酷い状態だったらしい。病室の中に入った時のあの発狂の方が何時の状態で鎮静剤を一定時間毎に投与しないと、ずっとその状態なのだとか、当然友利の姿を見ても妹であるとすら認識できなかったそうだ。

 「医師の話では何らかの要因によって元の普通の状態に近い所にまで戻ったといっていました。私の事もちゃんと分かってくれて.......あなたが何かしたんですよね」

 何かをしたという自覚はない。だが心辺りならある。あの友利の兄と目があった時に、大量に流れ込んできた狂気と絶望と激痛の記憶。あれ以外にはない。ただ、僕はあんな意味不明で自分が痛みを伴う能力を奪った記憶も、持っている記憶もない。それに心の病人を治す能力もだ。何処まで遡って探しても見当たらない。

 「.......わからない。あの時、あんたの兄さんから何かが流れ込んできて、激痛に襲われて。それ以外は何も......」

 「分かりました。あなたにも分からないなら解明のしようがありませんね。でも、もしあなたが兄を救ってくれたなら........ありがとうございます」

 自覚のない事に感謝されて、よくわからない複雑な気分だ。友利の兄の壊れた心と言うものを僕が直したんだとしたら、それは能力以外にあり得ない。コントロール不可の発動条件が分からない精神干渉の能力といったところだろうが、僕は本当にこの能力に心当たりが無かった。今まで乗り移った他人の中にこの能力を持っていた奴がいたのだろうか。もしそうだとして僕は自覚なく、他にどんな能力を持っているのだろうか。僕には分からない......。


 帰りは一人で帰った。その頃には完全に震えも寒さも消えていた。友利は兄の検査結果と付き添いのようだ。今日は病院に泊まるらしい。たった一人の家族に久しぶりに自分を気づけてもらえたのだ。当たり前だろう。行きと同じ道をたどり、星ノ海学園前のバス停でバスを降り、家路につく。スマホの時刻を見れば昨日より三時間ほど帰りが早い。歩未に帰宅予定時間を逆算して連絡をしておいたがちゃんと夕食を食べているだろうか?。あまり遅い時間に食べると不健康だから心配だ。




 「有宇お兄ちゃんお帰りなさい! 」

 「ただいま歩未、ちゃんと晩ご飯は食べたか?」

 「いえ、有宇お兄ちゃんが昨日より早く帰ってくると知ったので待っていたのですぅ!」

 「......歩未早く食べよう、健康を第一にだな.....」

 こうして今日も僕の帰りを待っていた歩未と一緒に食事をとった。友利の今日の話の中に出てきた兄弟だと両方特殊能力者になる可能性が高いと言う話を思い出す、歩未も能力が目覚める事があるのだろうか。

 チクリと頭の芯に痛みが走った、それは今日のあの絶望と激痛と狂気を受けた為の一時的な後遺症みたいなものだろう。歩未が能力者になる訳がないのだ。

 「有宇お兄ちゃんどうしたの?」

 「別に」


 そうあり得る訳がない。僕は根拠のないことを勝手に確信していた。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025473117828369