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[0] 【遊戯王ARC-V】ランサーズがバンドを組んだようです【ギャグマンガ日和】[十宮恵士郎](2015/04/24 00:34)
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[41159] 【遊戯王ARC-V】ランサーズがバンドを組んだようです【ギャグマンガ日和】
Name: 十宮恵士郎◆5dc270d9 ID:81ed5e87
Date: 2015/04/24 00:34
どうも。以前、遊戯王ZEXALとギャグマンガ日和のパロディを投稿した
十宮恵士郎です。
ギャグマンガ日和「ロック伝説」を、ARC-Vのキャラクターでパロるストーリーが
新たに浮かんだので、改めて投稿させていただきたいと思います。
(少々キャラ崩壊が起きているのはご容赦ください)

バンドを組むにしても、なぜこのメンツで組んでしまったのか……。
盛大なミスキャストをお楽しみください。
あと、十宮はJAM Projectが大好きです。








 今日も、会場は満員だった。
 誰もが、心を躍らせながら光り輝くステージを眺めていた。
 ――ランサーズ。
 それが、ステージに立つバンドの名前。
 今まで異なるバンドにいた者同士の共演により生まれた、奇跡的人気バンド。
 ビジュアル、音楽、パフォーマンスが一体となったこのバンドは
人々を熱狂の渦に巻きこんでいた。
 ……だが。

(…………あれ?)

 ある時1人の観客が覚えた、違和感。
それは次々に他の観客にも、伝染していった。
 そしてそれは、何よりも一体感を重んじるライブには致命的な
観客の集中力の欠如をもたらすことになっていく。
 ……そのことには、当然、バンドメンバーたちも気づいていた。

(……もしかしてオレたち、もう……)

 彼らがそうして感じた“終わり”への焦りが、
その後の一連の事件を引き起こすことになった……。








「ロック伝説 ~遊戯王ARC-V × ギャグマンガ日和~」








 ライブの翌日、午後3時。
 ――人気バンド“ランサーズ”の面々は、重苦しい表情で部屋に集まっていた。
 理由は、メンバーの誰もが理解していた。
 ライブが、完全に盛り下がってしまっていたのだ。
 だが――自分は、決して努力を怠ったわけではないはずなのだ。
 自分には、決して非はないはず。

 ならば、なぜ?

 そんな皆の気持ちを代弁するかのように、
ヴォーカルの黒咲が、口火を切って話しはじめた。

「昨日のライブは最高に盛り上がったが……
 ところどころは極端に盛り下がり、
 最終的にはお通夜のようになってしまった。
 ……どうして俺たちのライブはいつもこうなんだ!」

 黒咲は、憤っていた。
 そのまっすぐな怒りに、誰か共感してはくれないだろうか。
 そんな意図が、その表情からは感じられた。
 ……だが、
 彼に向き直ったギターのセレナが発したのは、
共感には程遠い残酷な一言だった。 

「お前のヴォーカルが盛り下げているのではないか、黒咲」

 黒咲は一瞬唖然とし、
しかしすぐに喰ってかかる。

「……俺の所為だというのか! 何を根拠に!!」
「そうだな……例えば、
 『限界バトル』のサビのところがあるだろう」

 そう言われて、メンバーは全員、セレナの言う箇所を思い浮かべた。
 確かあの時、黒咲は――


「タイルリミットまで! 諦めないで! そうさ 怖さ知らずさ!!
 限界BAトル かっとBAして!! 燃え尽きりゃ最高じゃない!!」


「……『タイムリミット』が『タイ“ルリ”ミット』になっているのはこの際いいだろう。
 しかし『BA』というのは一体何だ」
「いや、俺は……普通に歌っているつもりなのだが」

 黒咲の顔に、ごまかすような表情は一切見受けられない。
どうやら本当に、無心でそう歌ってしまっているらしい。

「その変な発音をいい加減やめてもらおうか」
「変な発音だと! 俺の発音のどこが変だ!!」
「普通に変な発音だろ、黒咲」
「ああ……少しイラッとくるな」

 セレナの暴言に残り2人――榊遊矢と赤馬零児までが頷く。
 そんな2人にたじろぐ黒咲。
 セレナはそれに追い討ちをかけるように言う。

「それだけならともかく、その後に歌った
 『BELIEVE IN NEXUS』の時など――」


「その伸BAして!! まBAゆい明日を掴み取れ!!
 無限の空 はBAたけ!! ビリィィブ・イン・ネクサァァァス!!!」


「お前、もうBAに取り憑かれてるじゃないか」
「何だそのBAというのは」
「それはこっちの台詞だ!」
「せっかくノってきたお客さんも、それが出ると一様に小首をかしげるんだよ」

 遊矢が話に割りこんでくる。
 黒咲をジト目で眺めつつ、さらに批判を追加する。

「だいたいお前の書く歌詞はいちいちハードなんだよ。
 限界とか、鋼の強さとか、レジスタンスとかそんなんばっかじゃないか」
「く……しかし、そういうものを求めているファンも……」
「この前なんか『鋼のレジスタンス』とかいって、とうとう合体させちゃうし」
「合体とは何だ! それのどこが問題だ!!」

 口論を始める遊矢と黒咲。
 零児は遠巻きに見ていたが、一つ溜息をついて、二人を引き離した。

「……ともかく。お前の問題点は理解できただろう、黒咲。
 次のライブでこんな歌い方をすれば、もうヴォーカルを変えるぞ」
「な……何だと! ふざけるな!!
 俺以外の誰に、ランサーズのヴォーカルがつとまるというんだ!!」

 その口調には若干だが余裕があった。
 ヴォーカルとしての自信。これまでの実績。
 そう簡単には自分の地位は脅かされないだろうという確信。
 だが……。

「オレの友達で、いい声してて、ヴォーカルとか上手そうな奴がいるんだけど」
「……もう目星がついている、だと……!?」

 遊矢の提案で、黒咲の顔が青ざめる。
 零児はしばらくそんな黒咲の表情を眺めていたが、その後にこう付け足した。

「ビジュアルが良くて声も張る――
 その程度のヴォーカルの代わりぐらいはいるのだからな」
「くっ……ふざけるな!! ライブが盛り下がるのは俺のせいではない!!」

 3人から責め立てられて、ついに堪忍袋の緒が切れたらしい。
黒咲が立ち上がり、セレナを指さす。

「お前のギターも足を引っ張っているぞ、セレナ!」
「……フン。何を馬鹿な。私のギターのどこに問題がある?」
「お前は一曲目からいきなり歯でギターを弾いただろう!!
 ああいうことをされては調子が狂う!!」
「な……あ、あれは……」
「歌い出しを間違えなかったからよかったものの、
 毎度毎度あんな調子では周りも迷惑するぞ」
「……そういえばセレナ、バラードの曲に限って頭めちゃめちゃ振ったりして
 何かタイミング悪いよなぁ」
「……ああ。ライブ後の打ち上げでギターを叩き壊す。
 ギターソロのところでトイレに立つ。考えてみるといろいろあるものだ」
「ち……違う! 私はタイミング悪くなどない!!」

 あたふたしながら訂正するセレナだが、説得力には欠けていた。
 零児がゆっくりとかぶりを振りながら彼女に言う。

「ともかくだ。今度のライブでもタイミングが悪かったら……
 君にはギターを降りてもらう」
「何だと!? いい加減にしろ、零児!
 私のギターあってのランサーズだろう、代わりなどあるものか!」

 黒咲同様、自信満々のセレナだったが…… 

「実はオレの別の友達が、すごいギター上手かったりするんだけど」
「……遊矢!?」

またも遊矢の提案により、水を差されることになるのだった。
 今度こそ言葉に詰まるセレナに、零児が言う。

「君は色々な属性を持っていて、男性ファンには人気だが
 ギターに関しては彼の方が上だろうな」
「くっ……何としても私に責任を押しつけたいようだがそうはいかない!
 貴様にも責任はあるぞ、赤馬零児!!」

 セレナは逆に、零児を責める様子を見せはじめた。
 もちろん常に冷静な零児のこと、まったく表情を崩さない。

「私のドラミングには、何の問題もないと思うが?」
「そうだろうな。だが問題はお前の演奏技術ではない。
 お前の両親と弟が、ライブとなると最前列で座って見ているのが気になるのだ!!」
「……気にしなければ良いことだと思うが……」
「まったくピクリとも乗らないのだ、お前の家族は!」
「乗る乗らないは客の自由だと思うが」
「気になるのだ! 毎回毎回一番いい席にあいつらが座っているのが!!
 特にお前の弟の視線が気になってしょうがない!!
 もっと陽気でノリのいい奴を呼んで来い!!」
「君が気付いていないのかもしれないがな」

 零児は眼鏡を持ち上げながら反論する。

「弟はよく見ると少し笑っているぞ」
「兄弟愛アピールはいい! 私はノリのいい奴を呼べと言っているんだ!!
 それにこの前のライヴはノるノらない以前に……
 プロフェッサーが両腕を骨折していたのが気になってしょうがなかったのだ!!
 一体何があったんだ、プロフェッサーに」

 セレナの問いに、零児はしばらく考えこんでいたが、
意を決したか、また話し始めた。

「実はこの前新しいレオコーポレーションのビルが建ったのだが、
 父が1階まるまる自分で使いたいと言い出してな……。
 母と私で反対したところ、怒って海に飛び込んでしまったのだ」
「お前の父は漁師か何かか!!?」
「まあプロフェッサーの怪我はともかく……零児のところの動かない家族には、
 正直オレも引いてたなぁ」
「最前列が常に盛り下がっているのは、実際キツいものがある」
「……皆、家ではなかなかひょうきんなのだがな……」

 零児が反論するものの、いまひとつ信憑性がない。
 セレナが、とうとう意を決して切り出した。

「とにかく。次のライブに家族を呼んだら……零児、お前はクビだ」
「社長であるこの私をクビにするだと……!
 だいたい、私の高速ドラミングあってのランサーズではないのか。
 いくら何でも私の代わりなど……」
「以前私のお目付け役をしていた者だが、かなりドラムの心得があってな。
 勲章モノだと本人は言っていたぞ」
「バ……バカな!!」
「フ……赤馬零児。少しはクビにされる者の気持ちがわかったか?
 どこを叩いても鐘のような音がするだけのお前の代わりぐらい、いるのだぞ」

 ここぞとばかりに煽り立てる黒咲。相当ストレスが溜まっていたのだろうか。
 零児は少しばかり悔しそうな表情を浮かべていたが、
すぐに無表情に戻り、眼鏡の位置を直した。

「いや、これ以上は言うまい……君たちの意見も一理あると認めよう。
 だが一番盛り下がる原因は……榊遊矢、君ではないのか」
「何だと…………決闘るってのか」
「落ち着け遊矢! 逆鱗はやめろ!!」

 一体何がそこまで効いたのか、遊矢の髪は逆立ち、
逆鱗モードと呼ばれる激昂の表情になっていた。
 間に入ったセレナに宥められることで、少し落ち着いた遊矢だったが
零児はそんな彼の様子を意に介さず、話を続ける。

「デュエルするというなら構いはしないが……ともかく君の問題の話だ。
 君はいつも、盛り上げるためと言ってライブ中にクラッカーを鳴らすな?」
「盛り上げるって言ったら、クラッカーだろ?」
「クラッカー……家で鳴らすというのなら、盛り上がりもするだろう。
 だが広大なライブ会場で鳴らしたところで、寂しいだけではないか」
「さ……寂しいだと!? 決闘るってのか!!」

 また少し逆鱗化しそうになる遊矢。
 しかし黒咲が、それを気にせず割りこんだ。

「考えてみると、遊矢の持ってくるクラッカーは2つに1つは湿気っていて不発だな」
「湿気ってるだって!?」
「ああ。しかも昨日のライブはそれどころではなかった。
 『3発いっぺんに鳴らします!!』などと大見得をきっておいて……
 結局3発とも湿気っていて不発だったではないか」
「く……だが零児、一体どこに行けば湿気っていないクラッカーが買えるんだ!?」
「普通にその辺で買えるだろう……」
「オレは、普通にその辺で買っているんだ! なのに……」
「では、遊矢が長時間懐に入れていて湿気る、ということになるな」
「俺の所為で湿気るだって……?」
「確かに……トマトとクラッカーを一緒に置いておいて、湿気らないわけがないだろうな」

 遊矢の髪型を凝視しながら、冷静な顔で零児が言う。
 黒咲がそれに一つ頷いて、言った。

「正直、次のライブでクラッカーを鳴らしたら、ベースを変えたいとすら思っている」
「ああ、それでいいだろう」
「うむ」
「オレのベースが……必要ないっていうのか……。
 待てよ……この流れ……
 まさかもう……誰かに目星ついてるんじゃ」
「私の親類の者だが、神業的なベース技術の持ち主でね」
「や……やっぱりついてたーー!?」
「柊柚子にも私にも、シンクロ使いのユーゴにも多少主人公属性がある。
 主人公である君にも代わりはいるということだ」
「チ……チクショーー!! オレは絶対やめないぞ!!」
「私とてやめるつもりはない!!」
「俺もやめんぞ!!」
「……私もだ!!」


 一触即発の雰囲気になる中、何とかお互いを牽制しつつ、自分を宥め、
メンバーたちは解散して帰っていった。
 1ヶ月後に迫る、次のライブ。
 そこで自分が生き残るための術を考えながら――








――そして、1ヶ月後。


「じゃあ自己紹介させてもらうね」

 同じ部屋に集まった4人のうち、一番年少の少年が口火を切った。
 さっきから口に入れていたアメを舐め終え、棒を懐にしまい、
男女問わず魅了しそうなとびっきりの笑顔で話しはじめる。

「この前のライブで、黒咲がBA! と発言したから、このバンドのヴォーカル引き受けることになった
 紫雲院素良。よろしくね」

 その明るくかわいげのある自己紹介に、残りの3人がぱらぱらと拍手を送る。
 素良は一礼すると、隣に座る青年に一瞥を送った。
 ウェーブヘアーの青年は、1つウィンクすると、
3人全員の方を向いて話し出した。

「ハーイ、僕はデニス。この前のライブで一番盛り上がってる時に限って
 セレナのギターの弦が全部切れたって理由で、このバンドのギター担当になりました。
 どうぞよろしく」

 素良の時同様に拍手が起こる。
 そして、デニスの隣に座る大柄で筋肉質の男の番になった。

「……バレットだ。この前のライブに、赤馬零児の家族が来たという理由で
 なぜか俺が抜擢された。ドラムだ。よろしく頼む」

 素良たちが拍手を送る。
 そして視線が、最後に残った人物の方へ向く。
 バレットに劣らない長身、大柄。
 そして坊主頭が一際注意を引くその人物は、その容姿に似合わず
なかなか凛々しい声をしていた。

「赤馬零王。この前のライブで、榊遊矢がクラッカーを鳴らしたらしく、
 それが理由で私がベースになった。仲良くやっていこうじゃないか」

 その圧倒的なオーラに、図らずも少し萎縮してしまう残りの3人。
 どうやら、この集団のリーダーはこの男になるのではないか。
 そんな空気が漂っていた。
 しかし、素良は黙りこむ気はないようだった。
 少し口をとがらせて言う。

「でも、もうこれ“ランサーズ”じゃないよね。
 メンバーが全員交代しちゃったんだし」
「ああ。私も薄々そう思っていた」
「変えようか、名前」

 デニスの提案に、残りの3人が頷く。
 どうやら、彼らがメンバーになってする初仕事は、
グループ名を変えることになるらしい。

「そういえば……俺たちは皆、融合次元の人間ではないか?」

 しばらく考えこんだ後、バレットが口を開いた。
 素良たちはなるほど、という表情で顔を見合わせ、
ああでもないこうでもないと考え込む。

「融合次元……」
「ユウゴウ……」
「ユーゴ……」
「ユー……」




「「「「ユーズ!!?」」」」




 ――そして、さらに1年が過ぎる。
 融's(ユーズ)はそれなりに売れ、ヒット曲
「覇王行進曲 ~ヘルガッチャ~」はオリコン10位を記録した。

 ランサーズは、どこへ行ったのだろうか。
 スタンダードのロックシーンで儚く輝いた彼らの行方を知る者はいない。
……実家で暮らしているので、家族は知っている。




―了―



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