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No.41025の一覧
[0] とある幻想の弾幕遊戯Ⅱ(とある魔術の禁書目録×東方シリーズ)[ベリーイージー](2017/07/15 20:30)
[1] 第一話 学園都市悲喜こもごも・一[ベリーイージー](2015/04/29 22:53)
[2] 第一話 学園都市悲喜こもごも・二及び二の裏[ベリーイージー](2015/04/29 22:55)
[3] 第一話 学園都市悲喜こもごも・三[ベリーイージー](2015/03/28 14:27)
[4] 第一話 学園都市悲喜こもごも・四[ベリーイージー](2015/03/28 14:28)
[5] 第一話 学園都市悲喜こもごも・五[ベリーイージー](2015/03/30 16:03)
[6] 第一話 学園都市悲喜こもごも・六(終)&六の裏[ベリーイージー](2015/04/11 20:13)
[7] 第二話 幻想の命・一[ベリーイージー](2015/04/17 22:21)
[8] 第二話 幻想の命・二[ベリーイージー](2015/04/17 22:22)
[9] 第二話 幻想の命・三[ベリーイージー](2015/05/09 19:47)
[10] 第二話 幻想の命・四[ベリーイージー](2015/05/11 20:10)
[11] 第二話 幻想の命・五[ベリーイージー](2015/05/11 20:11)
[12] 第二話 幻想の命・六[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[13] 第二話 幻想の命・七[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[14] 第二話 幻想の命・八[ベリーイージー](2015/05/30 20:34)
[15] 第二話 幻想の命・九[ベリーイージー](2015/06/01 00:59)
[16] 第二話 幻想の命・十[ベリーイージー](2015/07/11 19:32)
[17] 第二話 幻想の命・十一[ベリーイージー](2015/06/06 19:52)
[18] 第二話 幻想の命・十二[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[19] 第二話 幻想の命・十三[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[20] 幻想の命・エピローグ&第三話序章[ベリーイージー](2015/07/11 19:33)
[21] 第三話 無自覚な迷子達・一[ベリーイージー](2015/07/16 00:54)
[22] 第三話 無自覚な迷子達・二[ベリーイージー](2015/07/27 19:51)
[23] 第三話 無自覚な迷子達・三[ベリーイージー](2015/09/05 14:25)
[24] 第三話 無自覚な迷子達・四[ベリーイージー](2015/09/05 14:26)
[25] 第三話 無自覚な迷子達・五[ベリーイージー](2015/08/10 21:11)
[26] 第三話 無自覚な迷子達・六[ベリーイージー](2015/09/05 20:51)
[27] 第三話 無自覚な迷子達・七[ベリーイージー](2015/09/05 20:50)
[28] 第三話 無自覚な迷子達・八[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[29] 無自覚な迷子達・九(終)[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[30] 3話エピローグ&3.5話『再会』[ベリーイージー](2015/10/02 20:56)
[31] 第四話 希望を求めて・一[ベリーイージー](2015/10/16 00:09)
[32] 第四話 希望を求めて・二[ベリーイージー](2015/10/22 00:04)
[33] 希望を求めて・三[ベリーイージー](2015/11/08 18:43)
[34] 希望を求めて・四[ベリーイージー](2015/11/08 18:48)
[35] 第四話 希望を求めて・五[ベリーイージー](2016/12/23 19:09)
[36] 第四話 希望を求めて・六[ベリーイージー](2015/11/19 00:15)
[37] 第四話 希望を求めて・七[ベリーイージー](2015/11/28 20:29)
[38] 第四話 希望を求めて・八[ベリーイージー](2015/11/29 01:29)
[39] 幕間&希望を求めて・九[ベリーイージー](2015/12/05 13:59)
[40] 希望を求めて・十(終)[ベリーイージー](2015/12/05 14:00)
[41] 第五話 狂信と敬心・零 [ベリーイージー](2016/11/06 23:47)
[42] 第五話 狂信と敬心・一[ベリーイージー](2016/10/29 16:04)
[43] 第五話 狂信と敬心・二[ベリーイージー](2016/02/05 20:59)
[44] 第五話 狂信と敬心・三[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[45] 狂信と敬心・四[ベリーイージー](2016/02/25 21:37)
[46] 狂信と敬心・五[ベリーイージー](2016/02/25 21:57)
[47] 第五話 狂信と敬心・六[ベリーイージー](2016/03/11 18:54)
[48] 第五話 狂信と敬心・七[ベリーイージー](2016/03/11 18:55)
[49] 第五話 狂信と敬心・八[ベリーイージー](2016/03/14 21:08)
[50] 第五話 狂信と敬心・九[ベリーイージー](2016/03/26 18:52)
[51] 第五話 狂信と敬心・十[ベリーイージー](2016/04/04 20:43)
[52] 第五話 狂信と敬心・十一[ベリーイージー](2016/04/24 16:45)
[53] 狂信と敬心・十二(完結編・上)[ベリーイージー](2016/04/24 16:46)
[54] 狂信と敬心・十三(完結編・下)[ベリーイージー](2016/10/29 16:07)
[55] 閑話 不和と不安と一[ベリーイージー](2016/06/04 18:20)
[56] 不和と不安と・二[ベリーイージー](2016/06/10 17:24)
[57] 不和と不安と・三[ベリーイージー](2016/06/19 19:08)
[58] 不和と不安と・四[ベリーイージー](2016/07/17 15:54)
[59] 不和と不安と・五[ベリーイージー](2016/07/17 15:55)
[60] 不和と不安と・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:10)
[61] 不和と不安と・六の下[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[62] 閑話乃二・ご無体な無頼たち[ベリーイージー](2016/08/31 17:04)
[63] ご無体な無頼たち・二[ベリーイージー](2016/09/10 17:41)
[64] ご無体な無頼たち・三[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[65] ご無体な無頼たち・四[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[66] ご無体な無頼たち・五[ベリーイージー](2016/11/17 17:07)
[67] ご無体な無頼たち・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:07)
[68] ご無体な無頼たち・七(完)[ベリーイージー](2016/12/30 00:01)
[69] 第六話 祭りの夜に星は散る・一[ベリーイージー](2017/09/10 11:30)
[70] 第六話 祭りの夜に星は散る・二[ベリーイージー](2017/01/22 16:02)
[71] 祭りの夜に星は散る・三[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[72] 祭りの夜に星は散る・四[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[73] 祭りの夜に星は散る・五[ベリーイージー](2017/03/06 00:06)
[74] 祭りの夜に星は散る・六[ベリーイージー](2017/03/06 00:07)
[75] 祭りの夜に星は散る・七[ベリーイージー](2017/03/15 17:29)
[76] 祭りの夜に星が散る・八[ベリーイージー](2017/03/15 17:30)
[77] 祭りの夜の星が散る・九[ベリーイージー](2017/04/23 20:35)
[78] 祭りの夜に星が散る・十[ベリーイージー](2017/05/13 11:32)
[79] 祭りの夜の星が散る・十一[ベリーイージー](2017/05/31 18:35)
[80] 祭りの夜に星が散る・十二[ベリーイージー](2017/06/25 21:49)
[81] 祭りの夜に星が散る・十三[ベリーイージー](2017/08/24 23:54)
[82] 祭りの夜に星が散る・十四[ベリーイージー](2017/07/30 23:29)
[83] 祭りの夜に星が散る・十五[ベリーイージー](2017/07/30 23:30)
[84] 祭りの夜に星が散る・十六[ベリーイージー](2017/09/01 19:22)
[85] 祭りの夜に星が散る・十七[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[86] 祭りの夜に星が散る・十八[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[87] 祭りの夜に星が散る・十九[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[88] 祭りの夜に星が散る・二十[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[89] 祭りの夜に星が散る・二十一[ベリーイージー](2017/12/03 21:31)
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[41025] 祭りの夜に星が散る・十四
Name: ベリーイージー◆16a93b51 ID:f172d5c7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2017/07/30 23:29
ボワッ

『うりゃあ!』
「きゃああっ!?」

地下道で弾幕が弾け、広がる爆炎にオカルトが絶句する。

ズドンッ

「ちょっ、待っ!?」
『あははっ、逃げろ逃げろ!』

必死に逃げ惑うメリー、が攻撃の手は止まらない。
こいしとフランは競うように前に出て、逃げ場を抑えるように弾幕を展開するのだ。

「スパーエゴ!」
「クランベリートラップ!」

ドゴオオッ

「ぐあああっ!?」

クルクルと空中に跳ね上がり、それからベチャと地面に落ちた、こいし等は勝ち誇り後方のアルファだけが同情した。

「ふふっ、そろそろ止めね」
「どれで決めようかな?」
「……哀れな」

そんな様々な視線の先でメリーが震え、恐る恐るこいし達を見上げる。
すると既に二人は攻撃準備、油断なく構えていた。

「う、うう、このままじゃ……」
『さあて決着ね』

二人はそこで互いに顔を見合わせ、その後離れで見ていたアルファを肩越しに見る。

「……甲冑のお兄さん」
「うん?」
「コイン投げて……どっちがあいつを倒すか、早撃ち勝負って奴だね」
「ま、シメで味方で喧嘩するのもねえ……何か合図を」
「……イイだろう」

少し考えた後彼は頷いて懐を探り、硬貨を一枚マニュピレーターで器用に取り出し放った。
そしてピンと真上に弾かれて、そして落下。
チャリンという場に不似合いな軽やかな音と同時に、二人が飛び出す。
こいしは腕を横薙ぎにし、フランは黒い錫杖を突き出した。

「……やあっ!」
「うりゃあ!
「ひっ!?」

ガギィンッ

何かがぶつかる音がし、直後メリーが後方に吹き飛ぶ、そしてこいしとフランが互いの顔を見た。

「……ふ、ふふ、あは!」
「ちぇ、微妙に遅かったか」

片方が笑い片方が悔しそうにする、そして敗者が一歩引く。
微笑むのはこいし、『閉じられた心眼に繋がる紐状の器官』を鞭のようにし振り抜いた体勢でニッと笑った。

「……リーチ差だね、じゃ貰うよ」
「むう、どうぞ……」

残念そうにするフランに送り出され、苦笑しつつこいしが前に出る。

「じゃ行くよ、幽霊さん」
「くっ、貴女の後ろに……」
「……ふっ、遅い」

慌てた様子でメリーが敵の背後に飛ぼうとし、が次の瞬間彼女の顔が凍りつく。
ユラと一度その姿が揺れて、それからこいしの姿が透き通るようになっていく。

「ふふ、既にその無意識の淵に……そして!」

彼女は完全に消えて、直後『背後』で衝撃。

ズドンッ

「ぐあっ!?」
「……私はこいし、今貴女の後ろにいるの、てね!」
「……ちょっ、それずっこい!?」

オカルトのお株を奪うような奇襲が完遂され、メリーは薄れ行く意識の中で叫んだ。
何故なら倒れつつ苦心し肩越しに見れば笑顔、腹立つ程明るく笑うこいしの姿が。

「こ、この、性悪う!」
「いえーい、大勝利ーっ」

そう可愛くも小憎たらしく勝ち誇ると無意識少女は元気よくガッツポーズしてみせた。

ズズンッ

「……っと、向うじゃ大暴れか、喜んでる場合じゃないね」
「脱出しよう、霊夢達と合流するよ!」
「ああ、崩れる前に」

折しも決着を見計らったように地下道が揺れ、こいし達は引き攣った顔を見合わせる。
こいしとフランドールが凪ぐように大弾で落下物を払い、その間に倒れたオカルトを背負ったアルファが内蔵センサーを起動する。
コクと彼が指した方に三人は頷いて走り出す。

「……向うだ、あちらも来ている」
『霊夢ー、魔理沙ー、こっちこっちー!』

ダダッと走る三人にあちらからも影二つ向かってきて、ブンブン手を振り合い一同合流。
そして降り立った霊夢が宙空に大穴こじ開ける。

「……うりゃ、亜空穴!」
「よし、脱出するぜ!」
『おうっ!』

一同さっさとそこにピョンと飛び込んで、地下の戦いは『勝ち逃げ』で終わった。



「……ちぇ、悔しいな」

揺れる地下、遠ざかる気配に水兵服の少女、マッドの助手でもある女が愚痴る。
『主から預かった十字架』で落ちてくる天井の破片を払い、彼女は微妙な表情で消え行く気配の方を見送った。
『力の温存』も含め、読まれた上でそれを出させない形で引いたことが悔しいのだ。

「流石にやってくれるぜ、巫女に魔女め……次は何とかリベンジしたいな」

圧されたことを認めつつも次への思いをめげずに口にし、そこで僅かに笑みを浮かべる。

「でも……まだだ、まだだぜ、なあ……『最後のオカルト』?」

チラと見るのは隣で倒れ伏す花子、だが視線の向きは彼女だがどこかズレテいるように見える。
花子に語りかけてるようで、だけど違う何かにちゆりは言う。

「七つのオカルト、謂わば七怪談……だが、『その先』『最後の一つ』、残ってるってのがお約束だよなあ?」

ニヤリと怪異を恐れぬ人が笑う、意趣返しの次に思いを馳せて。



祭りの夜に星が散る・十四



「さあ全力で行くぜ……根性だ、根性あるのみっ!」
『い、いい加減にしろ、この根性バカ!?』

本日最後となる棒倒し、だが始まった瞬間から阿鼻叫喚だった。
リレー(観客参加)が名勝負の弊害、ただ普通にやるのでは見劣りするだろうという運営側(一方通行が口出ししたり)の悪乗りがこれだ。
超能力者の妨害という血迷ったとしか表現できない新レギュレーション、更にそれにおまけ(新型ペットロボット名義の涙子謹製毛玉)付きで。

「おりゃあ、まずは挨拶代わり……根性っ!」

ズドンッ

競技開始早々に『超能力者第七位』削板軍覇が拳を一気に振り抜いた。
するとドンという音と共に衝撃波、(公式の記録上)念動力というには剣呑過ぎる攻撃が放たれる。
一秒後着弾、そして爆炎が広がって避け損ねた参加者の群れを薙ぎ倒していく。

ドガアアッ

『うわああ!?』
「ようし、次っ!」
「に、逃げろ!」

慌てて無事な参加者は散開、がその動きを軍覇は読んでいた。
素早く拳を構え直し、更に周囲に集まる『毛玉』をチラと見やる。

「へ、逃がさないぜ……まずはパンチ連打あ!」

ズドンッ

「……からの毛玉、投擲&爆破あっ!」
『うわああっ!?』

ドゴオォッ

彼はまずはジャブの形で衝撃波をばら撒き、更に学生等が怯んだ所で両腕で毛玉をムンズと掴む。
そのまま同年代を大幅に上回る身体能力で振り被ると、ゴウッとオーバースローでぶん投げる。
ぎょっとし足を止めた数人を纏めて薙ぎ倒し、それでやっと毛玉が止まったと思えば着弾の衝撃でそこから更に爆ぜて犠牲者を増やすのだ。
バタバタと一度吹き飛んだ後学生等が落下し積み重なり、それをやった軍覇が勝ち誇り笑った。

「ははは、どうした、根性足りてないぞ!」
『少しは自重しろおっ、それでいいのか、超能力者!?』

思わず一同が叫ぶ、あれが学園都市最高峰(能力のレベル的に優等生なのだ)と認めたくなかった。
が、そんな突込みを意に介さず、彼は再度毛玉を肩に担ぐ。

「さて、大分空いたし……仕事の時間だ!」
「しまっ、こっちを無視して……」

ここで彼が狙ったのは学生ではなく競技場各所に設置された『柱』、棒倒しの得点となるそれだ。
ニヤリと笑って彼は毛玉を思い切り振り被る。

「うりゃああ!」

グオッ

『おおと、妨害者ここで行ったー!』
『当然あれが倒れればそのチームは得点無し、まァ気ィ付けるンだな』
『しかも、大型競技な上に一部の日程省略、相対的に点の面で大打撃ね』
(……そういう勝敗に直結するのに第七位出す辺りタチ悪いなあ)

呑気なアナウンスを余所に二度目の毛玉投擲、風を切って飛ぶそれが開始直後で守りの薄い柱とそれに着く何人かの所に突っ込んだ。

ズドンッ

『うわああああ!?』
「ようし、命中!」
「ーー校失格、退去してください」

着弾の威力とその後の自爆、それで柱と護衛を纏めて吹き飛ばした軍覇がぐっとガッツポーズ。
がそれで満足する彼ではなく、すぐさま次の柱に狙いを移す。
適当に辺りを見回し、それから適当に目についた方を向いた。

「さあて、次は……あそこだ」
『げっ、こっち見た!?』

次に彼が目を付けたのは『とある目立つ能力者のいない無名校』。
そこが前半戦でそれなりに点を稼いだのを思いだし、少し考えた後軍覇は妨害者の役割を果たすことにした。
まず利き腕を引き更に逆の腕で毛玉を掴む、拳打から衝撃波で柱までの道を開いて毛玉で追撃するのだ。

「頑張ってるとこ悪いが……柱貰ったぜ!」
『……ひいっ!?』

グオと彼は拳を振り被り、しかしその瞬間『黒髪の少年』が『右腕』を突き出した状態で前に立ち塞がった。

「……そこまでだ、超能力者!?」
「何っ!?」

パキィンッ

硬質なものが割れるような音と共に学生、上条の拳が軍覇の衝撃波を消滅させる。
驚いた軍覇は一瞬目を見開き、それと同時に闘志に燃えた様子で追撃用の毛玉を振り被った。
が、上条『たち』はそれも読んでいた。

「やるなっ、なら……行っとけ、毛玉!」
「……それもさせないよ、あたいの番っ!」

ビュオオッ

上条に続くように水色髪の少女、チルノが飛び出し瞬時に展開した弾幕で毛玉を迎撃する。
激しい冷気が吹き荒れて、空気中の水分を元に分厚い氷の壁を固め作り上げていく。

「行くよっ、パーフェクトオ……フリーズッ!」

ガギィン

「何と!?」
「ナイス、チルノちゃん!」

彼女の氷壁がぶん投げられた毛玉を、そして着弾による自爆の威力をその強度で見事弾く。
広がる噴煙にもビクともせず、ずんと威圧たっぷりに立つ氷壁に軍覇が呆然とした表情で見上げる。

「あの子も氷使い、しかも山の姉ちゃん以上の……やるなあっ、燃えてきた!」

涙子を思い出しつつも彼は更に燃え上がり、再度衝撃波を叩きこむべく拳を握り締める。

パキィンッ

その瞬間氷を『内から』破ってチルノが飛び出す。

「おっと、今度はこっちからっ……かみじょー、柱の防御は任せた!」
「わかった、そっちも気を付けて!」

砕き散らした氷で相手の目を逸らし、そのまま一気に相手の懐へ飛び込む。
それから彼女は巨大な氷塊を肩に担いでフルスイング、咄嗟に軍覇も対処しようとするも避けれず両腕を掲げ防御するのが精いっぱいだった。

「っと、しまっ……」

ダンッ

「行くよ、氷の槌……グレートクラッシャー!」
「うあっっ!?」

ドガアアッ

強烈な一閃が放たれ、交差させた両腕に激しい衝撃、受け切れず彼は後方に吹き飛ぶ。
ゴロゴロと勢いよく超能力者が転がって、周囲で見ていた学生巻き込んでからやっと止まる。

『うわああ!?』
「……ありゃ、ごめんね?」

悲鳴を上げる犠牲者に苦笑し、だけどチルノは油断せず氷塊を構える。
彼女は警戒の表情でそれを軍覇の方に突きつけ、すると彼は倒れる学生を乱暴に退かし立ち上がる。
先ほどの衝撃に痺れる腕を擦りながら彼は周囲に『警告』する。

「アタタッ……周りの、巻き込んで悪いな、いやそれにしてもチッコイのにやるぜ」
「見た通りタフなやつ……」
「……おい、退いた方がいいぞ、痛い目見たくないなら」

感心したように笑うと、彼は構え全身から閃光と衝撃を放ち始める。

『うわっ!?』
「そら、退いた退いた……反撃、行くぜ……っ!?」

慌てて逃げる周りの連中に言いながら彼は立ち上がって。
それから拳を振り被り『かけ』、そこへはっとした顔で『上』を見上げる、バサリという鳥が羽ばたくような音の後何かが光った。

「……邪魔するわよ、超能力者!」
「何?」

パシャリッ

シャッター音の瞬間超能力者は振るう拳に違和感、帯びていた力が消え失せ『何も発せず』空振りする。
思わず目を見開き、それから一瞬遅れて再度光を帯びた拳に眉根を寄せる。

「……能力を妨害した?」
「そういうこと」

バサリ

タンとはたてが黒い翼を広げてチルノの隣に危なげなく降り立った。

「天狗!?」
「ふふ、弾幕の消去なら任せて……黒子さんの方に来られても厄介なので手伝うよ、氷精さん?」
「おう、頼むな、真面目な方の天狗!」
「……へえ、二対一、だけどなあ」

ニヤリと笑ってチルノとはたてが構え、がそんな二人に軍覇は何を思ったか構えていた腕を解く。
彼は逆にニヤリと笑い返すと空に手を広げ掲げる。
すると『無数の影』が地に刺す。

「だけど……俺一人じゃないぜ!」

ズウンッ

降下したのは『追加分』の毛玉、特に大きな一体を軍覇は引っ掴み担ぐと視線巡らし毛玉に合図を出す。
次の瞬間彼等はバラバラと慌ただしく陣形を作った。
そしてグワと目を見開いた異形の群れはバチバチ全身から放電、殺気立った様子で軍覇とチルノ達二人を円状に包囲網を形成する。

「……さあ電流爆破デスマッチだ!後こいつ等ランダムに自爆するけどその辺俺にもよくわからん!!」
『こいつ、馬鹿だあっ!?』

自分も無差別に危ないのに大笑い、そんな彼にチルノ達はドン引きした様子で叫んだのだった。



中継の映像はまるで地獄、シンとした寒々とした空気が広がった。

「ええと、放送事故?」
『……ノーコメントで』

教会でそれを目にした者達は備え付けのテレビに、そこから流れる映像に呆れるしかなかった。
そして又巻き込まれなくて良かったとも心底思った。

『こりゃあ酷い……』

画面の先では抵抗する少女等が必死な形相で競技場を、薙ぎ倒される参加者の間を走り回る。
その様子に今更悪いと思ったか軍覇がやや罰悪そうにし、がそれでも妨害の役目を果たす気か両腕を振り回し、また毛玉の群れが突進と自爆を仕掛ける。
そんな画面の向こうの地獄の如き有様に、教会の各所から惨劇の立役者の一人、つまり涙子にじと目が送られる。

「……うーむ、軽い気持ちで毛玉送ったけど悪いことした気になってきた」
「……涙子、後で刺されても知らんぞ?」
「だって一方通行さんが軽い波乱が欲しいって……」

教会のテレビを覗き込む涙子が今更ながら後悔の気持ちを抱く。
悪ノリした超能力者の誘いに同じくノったせいでこの有様、予想以上の結果に流石に悪いと思ってしまう。
そんな彼女は教会の者達の視線、特に裏のない善人であるオルソラの責める視線からそうと目を逸らす。

「さ、流石にやり過ぎなのでは?」
「……だねえ、いやリレー見てて不参加なのが悔しくなって……第七位が参加してるのを忘れてた」
「……でも妨害は兎も角、自爆機能は要りませんでしたよね?」
「そもそもあれの暴走は予想できたことだろうに」

ぽりと引き攣り顔で頬を掻きつつ涙子が答え、はあとオルソラや他の真面目な者達は呆れたように溜息を着いた。
(自業自得だが)先までの競技場と違い何とも冷めた空気になっていた。

「まあ、祭りならばこういうことも有ろう、上条やチルノ等も目立ったしな」
「……布都、活躍した彼等を贔屓してるだけだろう」

そこにフォローするように布都が微妙な空気に割り込んだ、結局皿への欲に負けたオカルトを拘束していた彼女はニヤリと楽しそうに笑い口を挟んだ。
どこか底の見えない(年長者らしくもある)笑みを浮かべ、微妙に話題をずらしつつ言葉を重ねる。

「『大覇星祭』、年に一度の大祭……馬鹿と言われようと踊らなければ損、実際第七位の暴走とそれに対する奮闘は記憶に残る、学生なら悪くはあるまい?」
「……ふむ、確かに度が過ぎるのを除けばまあ青春の思い出と言えるかもしれませんが」
「そうそう、祭りなら楽しんでこそ勝ちというもの、命短し楽しめ学生よ……一月もすれば思い返しこれも笑えるさ」

言い含めるようにする彼女に、涙子を責めていたオルソラ等は僅かに勢いを弱め、すかさずそのまま結論につなげていく。
が、そこで僅かに悪戯っぽく笑い、彼女は一息つく涙子に含みのある視線を送る。

「まあ、尤も……喉元過ぎるまでの何日何週かは別か、涙子への『弄り』の種になるかものう?」
「ぐっ、仕方ないけど嫌だなあ」

フォローから一転のからかいの言葉に、涙子がぐっと小さく呻いたのだった。

「ま、然様に悪いことばかりでなし、それ故責めるのはここまでにしよう……あれだけ暴れたのだから学生等は疲れてる筈、歓待の準備をしては?」
「……はあ、仕方ありませんね」
「運が良かった、だが反省しな、涙子」
「は、はは、次から気を付けます……」

納得してくれたかオルソラ達はやっと手を止め、解放後壁に倒れた涙子を放って競技後戻る学生達を迎える準備に移る。
未だ競技は続き阿鼻叫喚で、きっと疲れてるだろうと試合をチラ見しつつオルソラ初め常識人が手早く準備をしていく。
そしてそんな微笑ましい様子に軽く笑い、それから布都や屠自古はグタリとする涙子の肩を軽く叩く。

「何というか災難じゃったな」
「自業自得だが……悪ノリが過ぎたな」
「……ふうう、面目丸潰れだよ、猫被りが下手になったかなあ」

少なくとも暫く色々言われるだろうと涙子は肩を落とし、布都達はノーコメントと肩を竦める。

「ま、悪戯という意味では失敗だが……おかげで、学生等がああもはしゃぎ回っていたではないか」
「そうそう、何年か先の思い出の礎と思えば……」
「……それでも横から笑う側でいたかったなあ」
『……はあ、贅沢者め』

微妙にふくれっ面で言う涙子に二人は困った奴だと言いたげに笑う。

「ふっ、それにしても……」

暫し布都達は笑い、それから涙子にどこか呆れたような視線を送った。
布都は未だ項垂れてる涙子に面白がるように言う。

「……若いなあ、そなたは」
「……実際に若いし、心が若ければ永遠の美少女だし……」
『いや、それはどうだろう、『天狗と同年代』』

痛い突込みに目を逸らした涙子が無茶苦茶言い、この発言に布都と屠自古は顔を見合わせ苦笑し合う。

「……けど実際の話し、人外に転化して結構経つのだろ?そろそろ落着いてもいいだろうに……」
「うむ、自分の歳を考えろということだ流石に」
「さ、さあて、私もお迎えの準備してこようっと」
「あ、逃げた……」

分が悪いと見たか彼女は誤魔化すように背を向け逃げていった。

カランカラン

「……戻ったわよー」
「……はあ、疲れたぜ」
「あ、巫女に魔法使い……お疲れ様でーす、何か必要なことは!?」

そこへ競技場の面々より一足早く霊夢等が帰り、逃げる口実に丁度いいと涙子が満面の笑みで迎える。
霊夢は快活に笑う彼女に一瞬面喰らうも引き摺っていた『戦利品』を押し付ける。

「そうね、お茶と……とりあえずオカルト二人、口裂け女とメリー生け捕ったわ、運ぶの手伝って?」
「はあい、わかりましたー、鎖巻いて奥置いてきますねー」
「……妙に素直ね、どうしたの?」
「何か怪しいぜ、今度はどんな悪戯だ?」
「そんなことないですよー、普通普通」

勢いに圧されるままな霊夢たちからオカルトを引き取って涙子は向うへ。
くくっと思わず布都と屠自古は同時に苦笑の表情を浮かべる。

「あんなに慌てて誤魔化して、わかり易いことだ……あれが若く見えるのはその辺か?」
「……あれでは到底大妖怪とは言えんな、お調子者というか隙が多過ぎる」
「……親しみ易いとも言えるがな」

足早に離れる背を見送り、二人は呆れたように笑うのだった。



ギリッ

「……向こうは戦勝気分でしょうね」

ブリュンヒルドは報告を受けて不満げに歯噛みする。

「状況は良くないわ、どうしようかしら」
「申し訳ございません……」

苛立つように顔を伏せる主に、背後で傅く『何もない片袖を垂らす少女』、部下にして主治医であるミューズが悔しそうに俯く。
その背後では他の部下、ミューズ以外の五大勢力が同じく顔を伏せている、『人形のように無表情な魔術師』も混じっている(一瞬女神が『仇』かのように睨んだ)
皆表情は暗い、今日を有利な形に終えた学園都市側に対し戦女神の軍勢は不利と言っていい。
それに初日の撤退からブリュンヒルドは今回動けず、ミューズの方もオカルトの乱入に救われた形だ。

「はああ、悔しいです……吸血鬼と相性良くないのかな」
「……まあ、よく逃げたとは言っておくわ、ミューズ」
「……何かそういうのだけ上手くなってる気がします」

俯いて暗い顔の少女にブリュンヒルドが慰めるように声を掛け、ミューズはそれに困ったような表情で首を振るう。
自慢にはならないと自嘲気味に笑い、だけどそれから少し真剣な表情で主の前に立つ。

「ブリュンヒルド様、こうなれば……決断の時かと」
「……そうね、そうなるのかしら」

切っ掛けであるだと二人は言った、それもいい意味だけではない意味で。
保身や戦力の温存、そういった安全マージンを捨てて思い切る状況であると。

「学園都市への侵攻、眷属の皆は浮ついていたけど……ここまで来ればそうは言ってられないでしょう」
「……背水の陣というべきか、尤も私も義姉への敗北でやっと気づきましたが」

そう言うと二人はコクと頷き合い、それからブリュンヒルドが重々しく口を開く。

「斥候各員の活動を停止、拠点でしっかり休ませ……明日から本格的な侵攻を開始、アレイスターの収集物の奪取を!」
「はっ、直ぐに通達します、我が女神よ!」

頷いたミューズが踵を返し、するとそれに一瞬迷ってからブリュンヒルドが声を掛ける。
先の指示とは逆にどこかオズオズといった感じで彼女は部下に問いかける。

「……ミューズ?」
「はい、何でしょうか」
「もう、いいのね?……貴女が会ったという奇妙な暗部のこと、次は戦場で敵同士なのよ?」
「いえ、何の問題も……ええ、何の問題もありません」

迷いながらブリュンヒルドが問いかけ、がそれに対しミューズが苦笑しながら答える。

「そう、問題はない、私も色々話して覚悟し向うは相変わらず頭が『暗部(アイテム)』だし……まあ仕事上の衝突と姉妹喧嘩が両立する関係ということで」
「……よくわからないわ、貴方達」

困惑したように相手は黙り込み、それにミューズはただ軽く肩を竦めた。
本人も諦めたというかちょっと理解し切れてないのだ。

「……女神よ、では私はこれで」
「え、ええ、明日は頼むわね」

どこかズレた二人は話し終え(主の方は深く考えるのをやめただけだが)、がそこで指導者である二人はあることを見落としていた。
先の指示で撤退する五大勢力の眷属、だがそこに混じる『変装し紛れた東洋人』二人が居た。

「……ふふっ、探るのは人も物も問わず得意です、だって『マスコミ』だから」
「大人数に溶け込む等容易いこと……『土着宗教』、舐めてもらっては困ります」

眷属から奪った服を来た『黒髪』に『高下駄』の少女と、同じく変装し『短槍』と『鋼糸』を懐に隠したショートヘアーの娘。
烏天狗と天草式の槍使いが静かに敵地の奥に消えていった。





・・・二日目最終競技(後第七位の暴走)途中まで、及び前回までの戦闘その後の合流その他で今回はここでお終い。
この後競技後半とッ霊夢側の総括やって各面子振り返り、三日目に移るって予定です。

以下コメント返信
らいみー様
そもそも第七位が今まで大人しかったのが奇跡なのかも・・・一方通行はただの悪ノリですが、霊夢というブレーキ役いなきゃこうなります。

ken様
だって超能力者って三六除いて実力はあるけどそれ以上のネタキャラですもの公式見るに、なので出落ちにならざるを得ないというか・・・

アカマ様
・・・ま、まあ大丈夫でしょう理事の権限あるし、後今回のことがなくとも騒がしい学園都市ならある程度被害が折り込み済みなはず。
まあそういっても仕事は当然増えるし表に出せない理由の倒壊事故なので頭抱えるでしょうが。


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