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No.41025の一覧
[0] とある幻想の弾幕遊戯Ⅱ(とある魔術の禁書目録×東方シリーズ)[ベリーイージー](2017/07/15 20:30)
[1] 第一話 学園都市悲喜こもごも・一[ベリーイージー](2015/04/29 22:53)
[2] 第一話 学園都市悲喜こもごも・二及び二の裏[ベリーイージー](2015/04/29 22:55)
[3] 第一話 学園都市悲喜こもごも・三[ベリーイージー](2015/03/28 14:27)
[4] 第一話 学園都市悲喜こもごも・四[ベリーイージー](2015/03/28 14:28)
[5] 第一話 学園都市悲喜こもごも・五[ベリーイージー](2015/03/30 16:03)
[6] 第一話 学園都市悲喜こもごも・六(終)&六の裏[ベリーイージー](2015/04/11 20:13)
[7] 第二話 幻想の命・一[ベリーイージー](2015/04/17 22:21)
[8] 第二話 幻想の命・二[ベリーイージー](2015/04/17 22:22)
[9] 第二話 幻想の命・三[ベリーイージー](2015/05/09 19:47)
[10] 第二話 幻想の命・四[ベリーイージー](2015/05/11 20:10)
[11] 第二話 幻想の命・五[ベリーイージー](2015/05/11 20:11)
[12] 第二話 幻想の命・六[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[13] 第二話 幻想の命・七[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[14] 第二話 幻想の命・八[ベリーイージー](2015/05/30 20:34)
[15] 第二話 幻想の命・九[ベリーイージー](2015/06/01 00:59)
[16] 第二話 幻想の命・十[ベリーイージー](2015/07/11 19:32)
[17] 第二話 幻想の命・十一[ベリーイージー](2015/06/06 19:52)
[18] 第二話 幻想の命・十二[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[19] 第二話 幻想の命・十三[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[20] 幻想の命・エピローグ&第三話序章[ベリーイージー](2015/07/11 19:33)
[21] 第三話 無自覚な迷子達・一[ベリーイージー](2015/07/16 00:54)
[22] 第三話 無自覚な迷子達・二[ベリーイージー](2015/07/27 19:51)
[23] 第三話 無自覚な迷子達・三[ベリーイージー](2015/09/05 14:25)
[24] 第三話 無自覚な迷子達・四[ベリーイージー](2015/09/05 14:26)
[25] 第三話 無自覚な迷子達・五[ベリーイージー](2015/08/10 21:11)
[26] 第三話 無自覚な迷子達・六[ベリーイージー](2015/09/05 20:51)
[27] 第三話 無自覚な迷子達・七[ベリーイージー](2015/09/05 20:50)
[28] 第三話 無自覚な迷子達・八[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[29] 無自覚な迷子達・九(終)[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[30] 3話エピローグ&3.5話『再会』[ベリーイージー](2015/10/02 20:56)
[31] 第四話 希望を求めて・一[ベリーイージー](2015/10/16 00:09)
[32] 第四話 希望を求めて・二[ベリーイージー](2015/10/22 00:04)
[33] 希望を求めて・三[ベリーイージー](2015/11/08 18:43)
[34] 希望を求めて・四[ベリーイージー](2015/11/08 18:48)
[35] 第四話 希望を求めて・五[ベリーイージー](2016/12/23 19:09)
[36] 第四話 希望を求めて・六[ベリーイージー](2015/11/19 00:15)
[37] 第四話 希望を求めて・七[ベリーイージー](2015/11/28 20:29)
[38] 第四話 希望を求めて・八[ベリーイージー](2015/11/29 01:29)
[39] 幕間&希望を求めて・九[ベリーイージー](2015/12/05 13:59)
[40] 希望を求めて・十(終)[ベリーイージー](2015/12/05 14:00)
[41] 第五話 狂信と敬心・零 [ベリーイージー](2016/11/06 23:47)
[42] 第五話 狂信と敬心・一[ベリーイージー](2016/10/29 16:04)
[43] 第五話 狂信と敬心・二[ベリーイージー](2016/02/05 20:59)
[44] 第五話 狂信と敬心・三[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[45] 狂信と敬心・四[ベリーイージー](2016/02/25 21:37)
[46] 狂信と敬心・五[ベリーイージー](2016/02/25 21:57)
[47] 第五話 狂信と敬心・六[ベリーイージー](2016/03/11 18:54)
[48] 第五話 狂信と敬心・七[ベリーイージー](2016/03/11 18:55)
[49] 第五話 狂信と敬心・八[ベリーイージー](2016/03/14 21:08)
[50] 第五話 狂信と敬心・九[ベリーイージー](2016/03/26 18:52)
[51] 第五話 狂信と敬心・十[ベリーイージー](2016/04/04 20:43)
[52] 第五話 狂信と敬心・十一[ベリーイージー](2016/04/24 16:45)
[53] 狂信と敬心・十二(完結編・上)[ベリーイージー](2016/04/24 16:46)
[54] 狂信と敬心・十三(完結編・下)[ベリーイージー](2016/10/29 16:07)
[55] 閑話 不和と不安と一[ベリーイージー](2016/06/04 18:20)
[56] 不和と不安と・二[ベリーイージー](2016/06/10 17:24)
[57] 不和と不安と・三[ベリーイージー](2016/06/19 19:08)
[58] 不和と不安と・四[ベリーイージー](2016/07/17 15:54)
[59] 不和と不安と・五[ベリーイージー](2016/07/17 15:55)
[60] 不和と不安と・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:10)
[61] 不和と不安と・六の下[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[62] 閑話乃二・ご無体な無頼たち[ベリーイージー](2016/08/31 17:04)
[63] ご無体な無頼たち・二[ベリーイージー](2016/09/10 17:41)
[64] ご無体な無頼たち・三[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[65] ご無体な無頼たち・四[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[66] ご無体な無頼たち・五[ベリーイージー](2016/11/17 17:07)
[67] ご無体な無頼たち・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:07)
[68] ご無体な無頼たち・七(完)[ベリーイージー](2016/12/30 00:01)
[69] 第六話 祭りの夜に星は散る・一[ベリーイージー](2017/09/10 11:30)
[70] 第六話 祭りの夜に星は散る・二[ベリーイージー](2017/01/22 16:02)
[71] 祭りの夜に星は散る・三[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[72] 祭りの夜に星は散る・四[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[73] 祭りの夜に星は散る・五[ベリーイージー](2017/03/06 00:06)
[74] 祭りの夜に星は散る・六[ベリーイージー](2017/03/06 00:07)
[75] 祭りの夜に星は散る・七[ベリーイージー](2017/03/15 17:29)
[76] 祭りの夜に星が散る・八[ベリーイージー](2017/03/15 17:30)
[77] 祭りの夜の星が散る・九[ベリーイージー](2017/04/23 20:35)
[78] 祭りの夜に星が散る・十[ベリーイージー](2017/05/13 11:32)
[79] 祭りの夜の星が散る・十一[ベリーイージー](2017/05/31 18:35)
[80] 祭りの夜に星が散る・十二[ベリーイージー](2017/06/25 21:49)
[81] 祭りの夜に星が散る・十三[ベリーイージー](2017/08/24 23:54)
[82] 祭りの夜に星が散る・十四[ベリーイージー](2017/07/30 23:29)
[83] 祭りの夜に星が散る・十五[ベリーイージー](2017/07/30 23:30)
[84] 祭りの夜に星が散る・十六[ベリーイージー](2017/09/01 19:22)
[85] 祭りの夜に星が散る・十七[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[86] 祭りの夜に星が散る・十八[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[87] 祭りの夜に星が散る・十九[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[88] 祭りの夜に星が散る・二十[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[89] 祭りの夜に星が散る・二十一[ベリーイージー](2017/12/03 21:31)
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[41025] ご無体な無頼たち・五
Name: ベリーイージー◆16a93b51 ID:0d504e23 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/11/17 17:07
「らーらーらー……」
「……暗部ってなんだっけか」

ニコニコ笑いながらジャージ服の少女が箒を手に隠れ家を掃除していた。
ジャージ服、滝壺は『妹』を思い楽しそうに微笑む。

「ふふ、仮眠室綺麗にして、飾りもつけて……私のベッドも移して、ギン子ちゃんの反応が楽しみだね!」
『……未だによくわからんな、こいつ』

呆れたように掃除を手伝う強面の少年と室内でもパワードスーツの男、浜面とシルバークロースが溜息をつく。

「……だが、どう考えても敵だろ、絹旗の上げた情報からして」
「だから、かなあ……『泳がせた』方が安全で『美味しい』し」

ニコニコ顔から一転、滝壺は鋭くその目を細める。

「それに……」
「それに?」

加えて、彼女は底知れない雰囲気を湛えながら答える。
超能力者の腹心、それに相応しい冷たく暗い目で。

「敵だというなら……個人での目溢しも流石にねえ」
「……というと?」
「……本気で悪巧みするなら『祭り』に合わせる、だって学園都市の手が埋まるから。
でも始まる前に来たってことは……その前、本気の悪巧みの為の準備なんだと思う」
「まあ、そうだろうなあ」
「なら……多分情報目当て、自分の敵の排除もあわよくば位は有るだろうけど」

すると彼女はそこで一旦言葉を切って、その後ニコと笑って言い放った。

「でも、それって不公平だから……こっちで隣で『洗い浚い調べる』の、公平に!」
「……何だかんだ暗部だよお前」
「これがアイテム、敵にしたくないな」

はああと二人は目の前の少女に(ドン引きしつつ)嘆息したのだった。



『……うわ、もう始まってる』

そしてそれを、巫女と錬金術師、更にはその頭上での真紅の主従の戦いを困った様子で観察する二人組が居た。

「……あれ、見張れって」
「流れ弾、怖いんだけど……滝壺って子も無茶言うわ」
『はああ』

赤いドレスの少女とラフな上着にサラシの女が引き攣り顔で唸る。
心理定規とテレポーターの結標、それぞれの事情でアイテムに従う女達は『天然』な上司の無茶振りに頭を抱える。

「……確か、相手がピンチの方がイニシアティブを取り易いだったか」
「交渉の時期を図ってるのはわかるけど……無茶ぶりよねえ、それを断れない自身の身の上が悲しい」
「言わないで、結標さん……もう少し近づきましょう、しくじったら後が怖いわ」
「……そうね、流れ弾来たらその時か、負傷手当くらい有ればいいけど」
『……はああ』

二人は深く嘆息し、恐る恐る戦場に向かった。



無体な無頼たち・五



空中で『二つの影』が交差する。

『覚悟、お嬢様あッ(この天然娘)!』

ガギィンッ

銀の刃と鉤爪がぶつかり合う。
沈み行く夕日を背に、咲夜とレミリアが激しく剣戟を交わす。
それぞれの得物が弾かれ合い、ただ虚しく火花が散る。
攻撃の不発に、双方悔しげな表情で舌打ちしつつ飛び退った。

「……くっ、そう簡単には行かないか」
「互いに知り尽くしているか、厄介ね……ならっ」

互いに仕切り直し、そこから先に動いたのはレミリアだった。

「強引に行くわよ!」

ジャララッ

彼女は無造作に置かれた『鎖』、ミューズへのせめてもの義理で引っ張っていった後放置されていたそれを一気に『引く』。
人外の力で引き絞られた赤い鎖が咲夜目掛けて収束していった。

「ちいいっ、動きを封じる気ですか……なら」

カチンッ

ギチギチと唸りながら迫るそれに、咲夜は顔を顰めながら素早く霊力を練り上げる。
グッと拳を掲げ、その中に存在する『銀時計』に力を込めた。
その水のように澄んだ青い瞳が一瞬で真紅に染まる。

ヒュンッ

「……流石に回避は貴女が上ね、咲夜」

直後咲夜の姿が掻き消え、それを感心したように見た後レミリアはハッとした顔で頭上を見上げる。
素早く体を捻り、その両翼を真上で交差させた。

「……っと、そんな呑気に言ってられないか」

バサア
チチチッ

レミリアの両翼が重なり合い、それに僅かに遅れて銀のナイフが頭上から落ちる。
何本もの刃が黒い翼、滑らかな皮膜に逸らされ勢いを減じつつ明後日の方向に流れていった。

「……酷いじゃないか、少し血が出てしまったわよ、咲夜」
「ええいっ、奇襲を防いどいて嫌味ですか、お嬢様!?」

僅かに傷ついた翼を撫でながらの言葉に、頭上に陣取る咲夜が悔しそうにその端正な顔を歪めた。

「な、ならば……今度は出し惜しみ無しです!」

カチッ

少しだけ悔しそうに唸り、それから彼女は再度懐中時計の機能を解き放つ。
先ほどと同じようにその姿が掻き消え、瞬時にレミリアの眼前へと再出現する。
ギラと既に構えられた白銀のナイフが輝いた。

「はああっ!」
「ふっ、そんなのがっ!」

ガギィンッ

最短距離の刺突、がレミリアは掌中で素早く練り上げた魔力で弾く。
が、直後その表情から笑みが消えた、キランと無数の輝きが周囲で瞬く。

「『銀』……不味っ、配置済み!?」
「……もう遅いですわ、全方位からっ!」

咲夜とレミリアを中心にして、数十の刃が円陣を組んで包囲していた。
自身を囮にしてそれを配置した咲夜が指示を待つ刃に叫んだ。

「……行けっ!」
「ちいいっ、後手か……」

ドガガガッ

命令の直後三度その姿が掻き消え、ただ一人残ったレミリアに一斉に刃が襲いかかる。
慌ててレミリアは後方に飛び退り、が刃の群れも追うように軌道を変えて追った。

ドガガガッ

「くっ、爪が欠けそう、このままじゃ切りが……」

レミリアは鉤爪を周囲滅茶苦茶振るって弾いて、そうしながら必死に刃の軌道から逃れようと急角度でジグザグに飛ぶ。
が、それを見計らったように、軌道変更後直後のその眼前に刃が『現れた』。

「っ、待ち伏……」

咄嗟のそれに攻撃を切り払っていた鉤爪は震えず、彼女は反射的に体を捻る。
素早く反転し、その小さな足を反射的に振り抜いた。

ガギィンッ

「ちっ、どこかのサボり魔じゃあるまいし……」
「……あらあら、端たないですわよ、お嬢様?」
「……っ、囮かっ!?」

ヒュッと前兆もなしに、咲夜が刃を手にレミリアの背後へ現れる。
彼女は責めの言葉とともに白銀の刃を振り被る。
そして、攻撃直後の主の背に刺突を放とうとした。

(隙あり……)
「……と思ったか、トリックスターデビル!」
「はっ?」

ポカンと呆然とする声、直後ドゴオッと重い音が響く
吸血鬼の小さな体が急加速、『攻撃の反動』で跳んで後頭部を相手の胸元に叩きつけたのだ。
衝撃であおの呼吸が一瞬止まる、くの字で上品でない呻き声が漏れた。

「ご、ふっ……」
「そっちこそ隙ありね、咲夜!」
「ですが、負けた訳では!」
「……っと、まだ粘るか」

勝ち誇る主を悔しげに見上げ、だが咲夜はめげずに抵抗を選ぶ。
不自然な体勢のまま懐中時計を握ると、一瞬でレミリアを囲むように刃の群れを配置した。

「ま、まだまだあっ……」
「ふん、甘いわ……先程の巧みさは無い、そんなヘロヘロではなあ、スティグマナイザー!」

が、レミリアも瞬時に合わせた、ダメージで精細を欠いた咲夜を嘲笑うように悠々と完成させたのだ。
無数の輝く十字架を手挟むようにし、レミリアは周囲へ同時に投げ放った。

ドゴオッ

そして双方の弾幕が激突、派手な音を立てて相殺に終わる。

「はい、残念でした、と……あら?」

しかし、そこでレミリアが首を傾げる、一瞬煙が視界を遮ったと思うと咲夜の姿が消えていた。

「まだです……最後までお堪能あれ、お嬢様!」
「ふっ、それでこそ、ね……」

そこへ頭上からの呼びかけ、どこか楽しげな表情でレミリアもそちらを見る。
再出現した咲夜が有り丈の刃を構え、それを見たレミリアも受けて立つとばかりに再び十字架の弾幕を展開する。

「行けっ、エターナルミーク!」
「受けて立つ、スティグマナイザー!」

ドガガガガ
ドゴオッ

上下から降り注ぎ、そして打ち上げるように放たれた弾幕が相殺し合う。
が、その瞬間レミリアの注意が僅かに逸れる、余波と爆炎に気を取られたその瞬間を着くように『影』が一気に降下した。
周囲の火で赤く照る刃を手に、咲夜が頭上から斬りかかった。

「連続で行きます……インクライブ・レッドソウル!」
「不味、スティグマ、いや間に合わっ……」

ガギィンッ

勢い良く刃が振り抜かれ、半端な弾幕を引き裂くとそのまま吸血鬼の体を浅く凪いだ。

「痛っ、やる……」

ポタタと、肩口から少なくない血が零れ落ちる。
彼女は傷に手をやりながら相手を睨み、咲夜もその前の打撃で乱れた息を整えつつ睨み返す。

「やはりやるわね、咲夜……互いに一発ずつ有効打ってところね」
「ええ、ですが……お互い知り尽くしてる、少しやり難いですか」

二人は相手の隙を伺い合い、がその後何か気付いて『下』を見た。

『……あら?』

ゴウゴウとそこで派手に燃える炎、その中でギラギラと何かが瞬いて、その度弾ける魔力が否応なく二人の気を引いた。

「……ほう?」
(切札、出したのね……)



東西の術師、立場も正確も正反対の少女達は同時に動いた。

「1841年製フリントロック、雷管式、十六丁……フルファイア!」
「へえ、ならば弾幕追加、二重結界……夢想封印・瞬!」

ドゴオオッ

錬成した無数の鉛球と光弾が激突し、相殺の後派手に爆炎を上げた。
が、霊夢の弾幕は二段構えのもの、後続が煙を突き破りミューズを押し潰そうとする。

「……ちっ、魔力は使いたくないのだけど」

小さく舌打ちしつつ女神が手を開く、その中の懐中時計型礼装が輝き彼女を消失させた。

「ちっ、どっかで見た技……ああ、親戚なんだっけか」
「そういうことっ……次弾装填、喰らえ!」

頭上に現れたミューズが装飾銃を、転移時一つだけ持ったものを掲げ、更に残りの十五丁を滞空させ包囲させた。
そして上から、そして周囲から霊夢に鉛球を叩き込ませる。
が、霊夢も素早く霊力を練ると一本の『針』と八枚の『札』を引き抜いた。

「……なら、こっちも手数で!」

彼女は体を捻りつつ真上に針を、更にそこから周囲に札を投擲する。

「当たるか……封魔針、からの御札八枚乱れ打ち!」

ドガガガガッ

真上からの弾丸を針で弾き、十五の内八つを札で相殺する。
そして残り七つを一睨み、彼女は体を小刻みに揺らした。

チチチッ

「……甘いわね、錬金術士」
「何っ……」

女神が絶句する、赤の衣装やスカート、精々裾を掠める程度の最小限の動きで弾丸が捌かれたのだ。

「ちいっ、今のを読み切るか……」
「ふっ、グレイズ……で、反撃!」

トンと軽く笑って霊夢が跳んだ、加速しながら上へ向かって飛翔しつつ体を捻る。
ギュオと勢いよく彼女の右足が振り抜かれる。
霊力を帯びた爪先が大きく弧を描いた。

「やばっ、銃でこの間合いは……」
「だからよっ……天覇、封神脚!」

ドゴオッ

下がるより一瞬早く破砕音、咄嗟にミューズが掲げた装飾銃を芸術的に整ったサマーソルトが砕いた。
が、その犠牲で無傷で済んだミューズ、が霊夢は追撃の二撃目を叩きこもうと再度回転する。

「まだ、もういっちょ!」
「くうっ、礼装を……」

ヒュッ

「……ちいいっ、外した!?」

慌てて時計型礼装を引き抜き、直後ミューズが消えた刹那ブウンと追撃のサマーがそこを通り過ぎる。

「……っと、回避されたなら後は?」
「当然反撃よ、紅白の!」

ヒュッとミューズが背後に再転移し、破壊され握り手だけの銃を放って十字型の剣を抜刀した。

「はあっ!」
「……そんなの、気弾で!」

ガギィンッ

一気に踏み込んで刺突し、が素早く構え直した霊夢が掌中に集めた霊力を爆ぜさせた。
衝撃が双方を襲い、気弾は壊れながらも十字の剣をミューズの手から奪い取った。

「くっ、上手いだけじゃく霊力量も……」
「そ、自信ありってこと……次はこっち!」

にやりと笑いつつ霊夢が気弾と逆の手を、そこに仕込んだ『梓弓』を引き絞った。

ズドンッ

「衝打の弦、てね?」
「くっ、だが……まだ、こんなところでっ!」

慌てて飛び退るも回避しきれず、『余波』に体勢を崩したミューズが焦った表情で『何もない空間』に手を翳す。
ビキビキと音を立てて『周りの金属』を取り込んで古めいたデザインの銃を再度形作る。

「(科学の街なら素材は幾らでも……)そう、空気中にも……武装再形成、更に追加よ!」

構えた彼女の上下左右、同じように空中の塵等から錬成した銃が浮かび上がり、そして霊夢を微妙にずらしカバーしながら照準した。

ジャキンッ

「……十字砲火、照準良し!」
「ええい、ならこっつも……夢想封印・散!」

同時の銃撃、咄嗟に霊夢も誘導性を削って広範囲向けの弾幕を展開する。
ミューズは数方向から一点へと、逆に霊夢はそれを迎えるように広域へ、二人は殆ど同時に攻撃を叩き込んだ。

『行けえっ!』

ドゴオオッ

二人の丁度中間でそれぞれの弾幕が爆ぜ、先程より大きな爆炎が立ち昇っる。

「相殺、か……結構やるじゃない、錬金術士」
「……厄介だな、十六夜以外にも敵が居るか」

二人は爆炎の向こうを敵を睨み、火の残りが流れる中を同時に突っ切っていく、銃から持ち替えたミューズの剣を霊夢の気弾が迎え撃つ。

「敵というなら退いてもらうしかない」
「ふんっ、同感ねえ、それなら……」
『落ちろ……はああっ!』

ガギィンッ

同時に打ち込み、互いに弾かれ合う、そしてそこからすぐさま同じように相手を追う。
真っ直ぐ突っ込んで、それから離れて、二人はそれを繰り返しながら空を駆ける。

「……頭を押さえれば!」
「それをやれるかしら!?」

ガギィンッ
ガギィンッ

二人は剣戟を躱しながら隙を窺う。
数度打ち合い、そして直後片方が動きを変えた、反転したミューズが突如後方へ。

「……1841年製フリントロック、一丁!」
「お、おっと……」

チチッ

武器を振るっていたのと逆の手で銃を構え、そして銃撃が放たれる。
反射的に体を反らし半身で躱すが一瞬霊夢の体勢が崩れる。

「隙という程じゃない……錬金、拡大化、次弾装填!」

ビキビキと音を立てながら銃が変形する、周囲の塵などを取り込んで一気に膨れ上がった。
更にそこに『素材の大部分』を割くと弾丸の形に『焼成』する。

「うおっ、それは……」
「……熱された鉄に硫黄、喰らいなさい!」

そして振り被り、『霊夢ではなくその前の空間』目掛けて引鉄を絞る。

「狙いが違う!?」
「ふん、あんたでなく……『面』を撃つ!」

ドゴオッ

眼前で回避方向毎飲み込むように熱が広がり、霊夢は慌てて結界で防ぐ。
ジリジリと熱が伝わる霊夢が眉を顰め、がその直後『背後の気配』に更に動揺する。

「……レミリア、咲夜!?」
『あ、しまっ……』

飛びながら誘導し、結果切札を見ようと近付き過ぎた二人まで一箇所に集まった、ミューズはニヤリと笑って二発目の弾丸を装填し照準した。

「ふっ、次弾装填……行けえっ!」
『不味っ……』

ドゴオッ

ニッと薄笑いの顔でミューズは爆炎を見詰め、油断なく再装填しながら様子を伺う。

「倒せずとも手負いくらいには……いや、これは」

が、そこで僅かに顔を顰めた。
二つの影が反対の一から同時に炎を破り飛び出したのだ。
一人は銀の髪を火で照らし、もう一人は黒一色の翼でその身を包んでいた。

『あ、危なかった(ですわ)』

咲夜とレミリア、二人は『小規模の弾幕を放った体勢』で呟いたのだった。

「いやあ、ギリギリでしたねえ、お嬢様」
「ええ、咄嗟だけどよくやったわ、咲夜」
「相殺の衝撃か、無駄に仲良いわね、コンチクショウ!?
……だが、あいつは……え?」

出来れば倒したかった二人の無事に落胆し、がせめて一人はと着弾箇所の周囲を見回す。
が、その時『艷やかな黒髪』が視界を過ぎる。
それはかなり近く、触れる程の位置で真横で。

「……少し焦ったわ、咲夜の親戚だけに油断できないわね」

にっこり笑って巫女が言う、指先で眩い程に弾幕を維持して。

「な、何っ……」
「三人纏めて、なんて……むし良すぎ、『点』狙いなら兎も角威力が足りない!
だからこうして止められる、夢想封印・円!」

凝縮した霊力で炎の何割かを受け止めたまま、ミューズの目の前に飛び込んだ霊夢は輝く腕を突き出す。
そこに霊力を注ぎこんで『炎の塊ごと』開放する。

「このまま一気に……爆ぜさせる、夢想封印・瞬!」

ゴウと掴んだ炎毎唸りを上げる弾幕に慌てて装飾銃を向け、がそこでミューズが凍りつく。

「次弾装て、いや魔力が足りな……」
「……遅いわ、喰らいなさい!」

ドゴオッ

礼装による時間停止と錬金、二つで消耗した彼女の反応が遅れ、そこに霊夢の弾幕が派手に炸裂する。

ズドンッッ

「……あら?」

そして、利き腕を振り抜いたまま霊夢が怪訝そうに首を傾げた。
困惑したように手を数度握る、手応えがまるで無かった、行き成り向うが消えたように。

「ふむ、これは……『何のつもり』!?」

霊夢は首を捻り、それから誰何の声を上げた。
『どこか』、『誰か』に、魅せつけるように気弾をその手に浮かべる、すると反応があった。
すると慌てたような気配の後まるで『空間から湧く』かのように『何か』が現れた。

パシッ

それは携帯端末、特に暗部で使われるような多機能のもの、それを受け取った霊夢は表示された『幾つかのメッセージ』に興味を持ったように目を細める。

「ふん、この状況で首を突っ込むか……『電子女』の仲間だけのことは有るか」

それはどこか呆れたように言いながら、霊夢は気弾を納める。
それは介入者を許し、それどころか受け入れたということ、加えて頭上の咲夜達に関しても。

「お嬢様、落ちてください!」
「はっ、来なさい、この天然がっ!」

ドガガガガッ

「あらま、しっかり……敵意の『向き』を弄られてるか、怖いもの知らずねえ」

何者かの意志による戦闘の中断(但し咲夜らは放置)、そういう流れを作った誰かに霊夢は半ば感心しつつ苦笑した。



ズルズル

『……帰ったわよー、滝壺さん』

疲れた様子で女性二人、目を回した銀髪の少女を連れて帰ってきた。

「あ、お帰り、心理定規に結標……休んでいいよ」
『りょーかーい、言われずとも……』

迎えた暗部リーダー、滝壺の労いに流れ弾の中ミューズを助けた二人、心理定規と結標が力なく頷く。
死地から帰ったかのように余裕無く歩み去る二人を見送り、それから滝壺は満身創痍で困惑した様子のミューズに話しかける。

「大丈夫かな、ギン子ちゃん」
「え、ええと……どうして、私を助けて?」

戸惑いながらの問いかけに、彼女は一瞬悩んでから畏まった顔で答えた。

「私は暗部だから、それが外の人でも……ただ『普通』にここで過ごすというなら助けるよ」

普通で居るなら治安維持の一環で守る、どこか意味深に、一見親切な言葉を送る。
が、その真意を問う前に、滝壺は抱えたミューズを同僚に任せ部屋の外を示す。

「もう休んで、ギン子ちゃん……浜面、彼女手当と、それと仮眠室に運んで」
「は、はあ……」
「了解、リーダー代理」

マイペースにヒラヒラと、彼女は何か聞かれる前に送り出したのだった。



そして、二人が完全に見えなくなって、それから滝壺は聞こえ味がしに呟いた。

「……普通で居るなら助ける、つまりは……そうでないなら『弄る』し、『後ろ刺し(バックスタブ)』も有り得るってこと」
「酷い人ねえ、貴女……流石、『電子女』の右腕」

クスクスと、黒髪と赤い衣装を揺らして女が笑う。
ポンと外から窓から顔付き出して、『携帯で呼び出された』霊夢が呆れたような視線を向けた。

「ありがとね、こっちの指示に従ってくれて……」
「まあ、レミリア達が興奮してて切り上げたかったし……いや、そっちがそうさせたんだけど」
「あ、あはは、ごめん……まあ、絹旗達で監視させるからそれで勘弁」
「……なら良いか、勝手にやらせときましょ」

面倒そうに肩を竦めると、その後霊夢は真剣な表情で滝壺を見やる、彼女は鋭く目を細め探りを入れる。

「……で、何であそこで中断させたの、暗部さん?」

そう問うた霊夢に、滝壺は悪戯っぽく笑って答える。

「うーん、似たようなこと言ったけど……本気で悪巧みするなら『祭り』に合わせる、学園都市中の暗部の手が埋まるし」
「まあ、そうでしょうね、時期が少し悪いもの」
「うん、始まる前に来たってことはきっと悪巧みの、本気の悪巧みの準備だと思う。
そして状況的に多分情報目当て……でも不公平じゃない?だからこっちからも調べるの、これで公平!」
「……その為に一旦受け入れたか、『いい性格』してるねえ」

霊夢は恐ろしいやら呆れるやらで複雑な色を浮かべて嘆息する。
敵対をわかっていての一時的な協力、ある意味決別を確信したそれは最初から敵になるよりある意味悪質だった。

「……で、状況が動けば改めて敵対……酷い梯子外しね」
「……ま、まあ、反省してもらいたいし、それにきっと……」

忌憚ない意見に困ったように詰まり、それから滝壺は綺麗な笑みで付け加えた。
花咲くような、それでいて底冷えのする内容を。

「きっと、あんなリアクションのいい子……泣き顔も可愛いと思うの!」
「まあ、良いんじゃない、別に……」

はあと付いてけないという風に、霊夢が肩を竦めた。




・・・以上マイペース同士の会話でした、霊夢も滝壺さんも自分に被害なきゃ笑ってるだろうなあ。
というか多分この後霊夢が(酒強請りつつ)愚痴ると思う、そして滝壺さんそれを受け流して・・・哀れミューズ、そんなの同じ屋敷でやってるとは正に知らぬが仏か。
因みに滝壺さん、暗部の仕事は真面目にやるつもり、但し抵触しない範囲で巫山戯るが。

以下コメント返信
a~様
ええそうです、庇いきれないんで見捨てました・・・メイド長、そういう情はお嬢様及び紅魔館限定ですので(原作でも異変解決時とか地味に好戦的だし・・・)


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