注意・猫達の名前は原作準拠です、10032号とインデックスの・・・
ドンドンと攻撃が教会を揺らし、中の二人が顔を見合わせる、きっちりと修道服を着込んだ少女と対して慣れないのか修道服着崩した少女だ。
前者、顔を顰めながらもオルソラが後者に、同じく顰め面の番外個体に話し始めた。
「……『法の書』と呼ばれる、ある種特別な書が存在します……」
ゆっくりと辛そうに、彼女は自分が狙われる理由を明かす。
自信が所属する『ローマ正教』への疑いと共に。
「それは複雑な暗号が仕掛けられ……私は専門の魔じゅ、ゲフンゲフン専門知識を持っておりますが」
「は、はあ、そうなの……(まあ魔術のこと知ってるのは言わなくていいか……)」
「私は法の書を解読する為に日本を訪れました、教会の啓蒙活動はどちらかというとついでですね。
……書はこの地に潜伏する『小規模の宗教組織』の手に有り、私は接触し譲渡を頼むつもりでした……尤も今は『上』の良からぬ企みを感じますが」
本来彼女の目的は現在『法の書』を所有する天草教会との交渉だった。
元々暗号解読を得意とする彼女は書の解読に期待されていて、それに応えるべく自ら書の所有者を尋ねたのだ。
だが、今となっては『弱小組織が書を所有するという情報』自体が疑わしくなってくる、恣意的な何かを感じた。
「あるいは……抗争の発端としたかったのかもしれません(……ならば私だけが狙われるのは案外悪いことじゃなかったかも)」
予定が変わったとしたら、オルソラが日本での活動中『書』の僅かに現存する写本等を調べた事だろう。
番外個体という当初存在しない助手が居て、おかげで多少その手が空いた、その時間を使って一部だけでも彼女は書を解読することにした。
その結果、部分的にだが暗号は読み解かれ、定期報告でそれを上に知らせた直後に『これ』だ。
「私の動きが予定より早く、上は焦って……まあ、現地組織への罠を断念し、せめてと私の口封じに出たのでしょう」
「……そもそも書とやらの解読、何の問題が?」
「解読されれば『我等の教えが終わる』……そう、伝わっております」
オルソラは自分がやらずとも何時か暴かれる時が来ると、ならばと対策の為に暗号解読を急いだ。
だが上層部はそもそも読もうとしなければいい、読んだ者の口を封じればいいと短絡的な行動に出た。
つまりはローマ正教は同胞である彼女の命を奪うことで無かったことにする気なのだ。
それを聞いた番外個体は外を見て、苛立たしげに舌打ちした。
「ちっ、臭いものには蓋ってことか……反吐が出るね」
乱暴極まりないローマ正教のやり方に、彼女は反感を抱きまたオルソラへの同情を強めた。
もう絶対離すかとばかりに、グッと隣りのオルソラを、そのの手を握る。
「……番外個体様、危ないです、本格的に巻き込まれますよ」
「はっ、悪いが……『命知らず』で『甘ちゃん』で『命を何より愛する』なお姉様達が居てねえ、そんな人達の妹としちゃ見過ごせない」
覚悟した表情でこっちを心配するオルソラに対し、番外個体は寧ろ『こんな状況でもそういう言葉を口にするから』尚更離す気はなかった。
御坂美琴やシスターズの妹に相応しく有りたい、そう考えた彼女はオルソラの手を強く握った。
「悪いが私と逃げてもらうよ、オルソラ……他人に優しくしろって、隣人愛だったかをアンタ達の神様も推奨してるだろ?」
「……自殺行為です、それはいけないことと主は言っていますが」
「ならば問題無い、自殺行為と私は思っていないし……それと自殺が駄目なら諦めることも駄目でしょ」
「うっ、むむう、ここで自首するのは確かにそうか……手厳しい人ですね、番外個体さん」
自分の言った言葉の繰り返し、言葉尻を捉えられての反撃にオルソラは悔しそうに口を噤み、それに対し番外個体は悪戯ぽくだけど優しく笑った。
「くく、持ち味ってことで……」
そう言って彼女は視線を外に向ける、続く攻撃が教会を揺らすが補強した装甲はまだ耐えている。
後何か『切欠』で仕切り直すなり出来るのだがと、彼女は伺うようにチラと外を見た。
(……まあ、諦めずに頑張りましょ、お姉様達もそうするだろうし)
狂信と敬心・二
「……後十分程で到着ね、お祭り楽しそう」
「ああ本当ですね……しかも予定より人が増えてる、こりゃ騒がしくなるかな、良いことだけど」
チラと備え付けの時計を見た運転手、研究者の芳川がそろそろ到着だと口にし、助手席の上条が相槌を打った。
逆紅一点で、後ろの女性陣に混じるのはどうかと前に出た彼はパラパラと目的地のチラシを開く。
『薄明座』という文字が一瞬地図に見えた。
「祭りは夜から、店は出てるだろうけど……それまで娯楽施設なり時間潰せる所なりで、適当に回るかな」
「ええ、そうしましょう……車は駐車場に止めて、そこから各自自由行動か」
「……『大きなホール』が近くに有るし、合流場所はそこで」
そう決めた二人は車内ミラーで、後方の女性陣を見やる。
ガヤガヤと賑やしいそれに、二人はフッと苦笑気味に笑った。
「ふう、良く見とかないとな……」
「先輩役、又はお兄さん役は大変ねえ」
既にノリの良い連中に、上条は大変そうだと嘆息し、芳川は他人事のように呑気に言った。
例えば車の端っこ、酔い難い壁際で白髪の少女と金髪の少女が話している。
「ほう、神子殿は良い剣をお持ちだ、『七星剣』……丙市椒林剣だったか、カノ名刀ではないので?」
「ああ、あれは『人として』の墓に残した……体は無し、佩刀も無しでは一族が弔うに難儀すると思ってな」
「……ふむ、一度拝見したかったのだが」
妖夢が七星剣のみを持つ神子(拵えは目立たぬよう、飾り無しの仕込み杖だが)を見て残念そうにし、困った様子で神子は頬を掻いてから慰めるように言う。
「スマヌな……代わりと言ってはなんだが、布都が何本か業物を持っていたから話しておこうか」
「ほう、物部といえば刀剣の神に仕えたとか……期待できそうですね」
「……あちらに戻ったら来るといい、私も幻想郷の先輩と話したいしな」
そんな物騒な話題、刀剣の話題で二人は盛り上がっていた。
それに引いたのか、他の面子は敢えて見ないようにしていて、唯一人興味を持ってそうな犬耳の少女も今日は別の相手に付いている。
(わふ、楽しそうだけど……まあ、今は御坂さんと氷華さんの方かな)
友人を優先した椛は御坂達を見た、リボンやら小物やらを弄る二人にふふと笑う。
「椛さんに似合いそうなのは……」
「綺麗な白髪ですし、赤辺りかな?」
「……お手柔らかにお願いしますね」
折角の祭だからオシャレしようと、椛を飾り立てる二人に彼女は半分諦めた様子で好きにさせることにした。
基本山の仕事を真面目にこなす武骨者だが、女性として華美な装飾品を身につけることに恥ずかしがりながらも楽しみにも思う。
殆ど玩具扱いで、でも楽しそうに笑って、白の浴衣と赤の簪を見せる友人に椛は降参ポーズを取った。
「……あたいもリボン変えてみようかなあ」
「寒色系から変える、チルノ?良いんじゃない?……私も霊夢辺りに言ってみようかな」
「ああ、ルーミアは何時も封印付きだもんねえ……」
そんなオシャレに熱を上げる三人に苦笑し、少し離れてチラシを見るチルノがふとリボンを触って、それにルーミアが少し羨ましそうにした。
封印だから余り変えられないルーミアは不満そうで(なので氷華に気を使ってこっちに居た)チルノはああと宥めるように頭を撫でる。
「……あっちみたいに浴衣にする?」
「洋服の方が好きなんだよね、和服は気を使うもん……」
「確かにね、あたいも動き難くないのがいいかな」
結局現状維持に終わって二人が嘆息していると、一緒にチラシを見ていた少女達がコラと集中しろと催促した。
「ちょっとお……お土産選びをしっかりやってよ、二人共」
「ええ、インデックスの言うとおりです……シスターズ、学園都市残留組だけで数十人、さあ選んだ選んだ」
『……はあい』
片や食欲で、片や姉妹への情で、熱心に予定を立てるインデックスとミサカに促された二人は慌てて作業に戻る。
そんな風に賑やかに、『まだ』彼等は平和だった。
「……そろそろ付くわよ、子供連中?」
「まあ準備しておけよ、後迷わないようにな……」
そうして到着し、前の二人が少女達に声をかけた、そして一瞬窓に大きなホールがチラと過ぎた。
(……休日くらいは何も無いといいんだが)
そう思う上条だが、現実は甘くなかった、ここに無くとも火種は近くに有ったのだ。
「はああ、私は諜報なのになあ……」
ズドンズドンとシスター達、アニェーゼ部隊が目標に仕掛ける。
その度に揺れて、だが中々崩れない教会に『鉄槌を担ぐシスター』は嘆息した。
「……ありゃ魔術じゃないな、能力……御坂と同じか、少しやり難いなあ」
鉄の要塞は諜報任務の際に偶然あった少女を彷彿とし、シスターはやり難そうにしていた。
超能力者の癖に普通の子供らしい少女、それにシスターは失った家族を思い出してしまう。
それと同類らしき相手に、彼女は攻撃を躊躇った。
(全力で風を叩き込めば壊れるだろうが……出来れば無傷で無力化してえな)
防御を破ることはそう難しくはない、だが怪我させずにとなると一気に困難となる。
加えて、本来諜報であることが『風以外』の仕様を躊躇わせた。
ジャラ
舌のピアス、十字架に繋がったそれを見て彼女ははあと溜め息を吐く。
(無力化するならこれで済むんだが……立場が許さない、『四人』のうち一人が来てると知らせることになるし)
無傷で相手を倒す方法はある、がそれは目立ちすぎる。
今後の諜報に支障を来すので出来れば使いたくなかった。
「ご報告、ヴェン「名は呼ぶな」……失礼、では……司教さまと!」
そんな時上空から名を呼ぶ声が飛び、咄嗟にシスターは被せるように止める。
少し考えて、役職を口にしながら部隊の中では年長者のシスターが仲間、幼い容姿の上司を連れて降りてくる。
飛行に使った自転する巨大車輪(幻想郷では有利とは限らないので温存した)から降りたシスター達が報告した。
「……装甲を強化した教会ですがムラがあるようです」
「それを集中的に狙えば……」
「破れると、ふむ……アニェーゼ、私と一緒に来な」
「はっ!」
アンジェレネのサポートで状況を把握したアニェーゼが進言し、『司教』は少し考えた後頷き鉄槌を振り被る。
隣で並んで追って、アニェーゼも身長程ある装飾された杖を手に、教会の方に歩いて行く。
「一点突破だ、良いね?」
「はい、司教さま!」
本命の陽動に仲間に攻撃させながら、二人は脆弱と思しき部分に狙いをつける。
そしていざと、それぞれの得物を振り被った。
「人払いはやってあるが……余り長時間やると面倒だ、さっさと終わらすよ!」
「了解です……合わせます、何時でもどうぞ!」
嫌な仕事はさっさと手仕舞いに、そう考えた彼女達は攻撃態勢に移った。
だがその瞬間『見過ごせなかった』者達が動いた。
『救われぬ者の為に……』
ビュオッ
が、その瞬間どこからか投槍が飛んで、『司教』は咄嗟に隣のアニェーゼを蹴飛ばす。
ドガッ
「危ねえ」
「うひゃっ!?」
ズザアとアニェーゼが顔から地面に滑り、反動で司教が横に呼ぶ。
一瞬遅れて槍が二人の居た場所に刺さった。
「……攻撃だと、誰だ!?」
「何、唯の……天草式十字凄教よな……シスター・オルソラを渡して貰う」
様々な刀剣類を持った者達を率いて、自らも『炎を思わせる波状両手剣』を振り翳した男が言った。
ブカブカの安っぽいシャツを着崩し、何かの拘りか扇風機の羽を数個首から下げた奇抜な格好の青年だ。
その後彼は協会の方に叫ぶ。
「……シスター・オルソラ、私達は貴女を救いに来た、一緒に来てほしい!」
「ちっ、信じるな、オルソラ……所詮異教徒、騙さないという保証がどこにあるかしらね!?」
数で不利でありながらオルソラの味方となると宣言した男に、慌てて『司教』が割り込むように言う。
ギロと二人は睨み合い、すると教会の扉が迷うようにゆっくり開いた。
「……切欠かもしれないわね、オルソラ……どっちを信じる?」
「ええと……」
中から出てきたシスター、外の者達の目的であるオルソラは悩んだ様子で双方を見た。
「ごめんなさい、その……全員怪しくて……」
オルソラは外の面々をを見て、戸惑ったような顔になった。
まず『無数のピアス』を身につけた司祭を、次に『修道服なのにミニスカ』であるアニェーゼを、最後に『兎に角奇抜な格好』の乱入者を順番に見た。
「無数のピアスをジャラジャラと、シスターにしては少し俗だと思うのですが」
「む、否定できん、いや勝負服みたいなものなんだが……」
「隊長格の方は服の丈が短すぎます、下着見えてるし……シスターは貞淑であるべきかと」
「通常サイズだと余るんです!チビで悪かったですね!?」
「……最後に乱入者の方、その……服をしっかり着ましょう、まるで不良です、信じろというのは少し難しいというか」
「天草式の都合だが、確かに勘違いさせ易いよなあ……」
三人に順番に言った後オルソラは番外個体の裏に隠れた。
そして、残念そうに首を振ってから済まなそうに言った。
ギイイ
バタン
「ああ駄目、誰もが怪しすぎて……ごめんなさい!」
「……ってことだ、一般人の格好で出直しな!」
直後番外個体の操作で扉は再び締まって、その後中から番外個体の声が響いた。
「……もう少し外で遊んでて、いっそ相打ちに終わってもいいけど!?」
『……うわ、地味に酷い!?』
(本人にとっては遺憾だろうが)某第四位の影響であるエゴ全開の言葉に、外は混乱の中大乱戦と成ったのだった。
ガシャンと少女の手が止まる、何かを感じた赤髪の司書が『何らかの作業』を止めた。
「……はっ、末っ子ちゃんのピンチの予感!?」
「むきゅ、まあた妙なことを……」
連れの言葉にパチュリーが嘆息し、そんな呆れの視線を無視して赤髪の司書、小悪魔が立ち上がる。
彼女は作業、留守中の猫二匹の世話を(上司であることお構いなしに)パチュリーに押し付けると外へ行こうとした。
「パチュリー様、とシュレちゃんスーちゃんをお願いします……私は彼女の元へ!」
「……落ち着け、色情魔」
ゴス
とりあえずパチュリーは司書の後頭部に分厚い魔導書を叩きつけた。
「ぐああああっ!?」
「落ち着きなさい、本当にあの子達のこととなると、ああいや……こいつの、特にシスターズ関連の勘は無視できないか?」
ゴロゴロ転がる部下に嘆息し、その後パチュリーは僅かに考えこむ。
足元の部下に猫二匹を乗っけると、パチュリーはいやまさかと思いながらも電話を手に取る。
そして、『もやし(何時かシメル)』という登録名に掛けた。
(ううむ、十中八九無駄だろうけど……注意しとこうかしら、そんで迎えの長女に伝言して貰ってと……)
・・・というわけで、こんな感じでまだ緩くも物語が動いていきます。
次回はローマ正教vs天草式に・・・小悪魔(実は今回これだけ)の超絶的勘(シスターズ限定)で姉達が乱入する予定。
返信・・・九尾様・末っ子は周りが緩い分かなり真面目に動く予定、因みに神子様は妖夢とかのストッパーかも(突っ込みは少ないから目立つのは確定だけど)