『紅白』に『白と黒』、二人の少女が空を飛び、弾幕を交わし合う。
ドガガガガッ
「落ちなさい、魔理沙!」
「つれないなあ、断る……リベンジだぜ、霊夢!」
「悪いけど……今は異変、なら負けないわ!」
少女二人、どちらも人間、だが生半可な妖怪よりも質が悪い存在だ。
博霊の巫女である霊夢と、普通の魔法使いこと霧雨魔理沙は激しく弾幕を撃ち続ける。
ぶっ放し、躱して、時に白兵戦で、好敵手を落とそうとする。
「喰らえっ、ブレイジングスター!」
「甘い、陰陽玉将!」
魔力を纏って魔理沙が突進し、霊夢も掌に収束させた気弾で弾く。
が、それは囮、魔理沙は横へ回りこんでミニ八卦炉を突きつける。
一方霊夢も素早く向うに反応し、数枚の札を翳した。
「やるな、そんじゃあこれはどうだ……マスタースパーク!」
「来なさい……二重結界、からの……博麗弾幕結界!」
星の如き砲撃が放たれ、その前に二重の光の壁が立ち塞がる。
魔法使いの砲撃が壁をガリガリ削って、が二枚目の破壊寸前巫女は更に巨大な壁を展開する。
一枚二枚で足りないなら三枚目を、霊夢は二つのスペルカードを連続して放つ。
ドガアア
バギンッ
『ちいっ!?』
数秒程競り合って、収束した魔力も霊力の壁も同時に消え去った。
霊夢も魔理沙も舌打ちし、同時に後方に跳んで間合いを取り直す。
「あら残念……サングレイザーだっけ、使わないの?」
「ふん、それは読まれてるからな……今回は地道に行くぜ!」
「……カウンター成らず、流石に学習してるか」
慎重な魔理沙に霊夢は残念そうにして、だがそこでニヤと笑った。
「でも……さっきの落とせなかったのは不味かったわね」
「……何だって?」
ズボッ
ガシ
その足元から『女の腕』が伸びた。
「え?」
足を掴んだのは妖怪の腕、肘辺りにチェックの柄が少しだけ見えた。
それを魔理沙は知っていた、チェックを愛用する凶悪妖怪の名を叫ぶ。
「幽香……の分身!?」
「そ、タイマンと思い込んだのは……間違いだったわね?」
チラと向うを見ると、いつの間にか幽香『一人』が老狸を庇う白蓮やぬえ、咲夜と射ち合っている。
撃ち合いで引きつけて、その間に分身をこちらに送り込んだのだ。
妨害成功にニッと笑い、霊夢が魔理沙の懐へ飛び込んだ。
「さあ終わりよ、はあっ!」
「くっ、ま、まだだ……」
まず霊夢が放ったのは掌打、魔理沙は咄嗟に体を捻りそれを躱す。
が、すぐさま次が来た、霊夢が目の前で地を蹴った。
「じゃ次……蹴り砕く!」
「うお、か、回避いっ!?」
ガギィンッ
意表をついたサマーソルト、反射的に魔理沙が翳した箒がぎりぎり防ぐ。
だが、霊夢は着地と同時に、針を引き抜き逆手に構えた。
「……ならば、点穴を!」
「暗器!?」
スッ
ドズッ
針はトレードマークの黒帽子『だけ』を貫き、霊夢は『足元の白黒の影』(咄嗟にしゃがんだ)魔理沙に舌打ちする。
「あ、危ね……」
「ちっ、やるわね……というと思った?最後は『これ』よ!」
「げっ、まだ何か!?」
ニイと霊夢が笑って袖を引く、そこにはある一件で手に入れた『梓弓』が輝いていた。
「……衝打の弦!」
ドゴスッ
「ぐはああっ!?」
「ようし、二連勝よ!」
流石にこれは予想できず、魔理沙は直にぶつけられた霊力で蛙のような形で地に沈んだ。
が、その体勢のまま魔理沙が顔を上げる。
彼女は霊夢に対向するように、ニッと笑った。
「ああ、確かに負けだぜ……私個人に関してはな!」
「何?」
魔理沙が思わせぶりに後ろを、幽香と白蓮達を見て、釣られて霊夢もそちらを見る。
そこは丁度決着のようで、『無数の短剣を突き立てたまま』幽香が咲夜の頭を鷲掴みにしたところだった。
ギリギリと軽く(妖怪基準だが)アイアンクローで締め上げつつ彼女が言った。
「あだだっ!?」
「残念、時間を止められる貴女に追いつけるものは限られる、つまり個人戦重視……
向うの妖獣は他者を惑わすのが専門だし……自分で言うのも何だけど、戦闘特化のこっちには分が悪いわ」
その後幽香は残りの面子を見る、ぬえと白蓮が動けないマミゾウを庇っている。
だが、次の瞬間幽香が、いや霊夢までもが驚愕する。
「あだっ、で、でも……もういいですよ、封獣様!」
「そっ、なら……種よ、散りな!」
バラッ
『なっ、しまっ……』
「……そっちが言ったんだろ、私は他者を惑わすのが専門ってさ」
白蓮とマミゾウ、いやそう見せていたものが崩れ、正体不明の種となって散った。
あちらが分身で魔理沙の妨害を企んだように、彼女達も予想外の手を取ったのだ。
「そうか、四対三じゃなかったということ……実質私と魔理沙、幽香と咲夜、それと……」
「残りを逃がす為に術に専念してた妖獣か……」
二人は悔しそうに、そしてどこか感心した様子で顔を見合わせた。
「霊夢、ここは私で十分よ……相手は多分里、貴女も!」
「……わかった、任せたわ」
「へっへえ、間に合うかな!?」
「うっさい、間に合わせるのよ!」
倒れたままでからかう魔理沙に、霊夢は小突く仕草の後急いで飛んでいった。
第四話 希望を求めて・八
シャアアッ
水の蛇と雲の巨人が睨み合う、蛇は一吠えし体を揺らした
「逸っちゃ駄目だよ、君……私が攻撃する、そっちは雲のオジさんを牽制ね」
頭に乗っていた涙子は蛇に声を掛け、暴走しないよう制御しつつ手挟んだクナイを投擲する。
それは水の壁に払われるが、向うからの弾幕も風が逸しあるいは受けていた。
また涙子と蛇以外でも、クルクルと毛玉が周りを回っている、攻撃はしていないが怠けてるわけではなくそれなりの理由がある。
「ひゅい、迷彩対策か」
「そっ、迂闊に近づけばドカン……気をつけなよ、にとちゃん?」
「むう、流石に対策取られるか……」
ふっと笑って、涙子は周囲のブービートラップでにとりを牽制した。
顔を顰める彼女と一輪、そんな二人と涙子は睨み合った。
「さて状況は硬直……どうします、お二人さん?」
「……ううむ、自分から動いたら負けって感じだが」
「……とはいえ、こうしてても客受けしないだろうし」
そんな風に言い合い、隙を探りあい、その最中ふと涙子は頭上に差した影に気づく。
ひょいと一歩横にずれて、影に声を掛けた。
「……調子はどう、こころさん!?」
「いい感じに、楽しんでるよ!」
ピョコンと答えながら、こころが着地して隣に、蛇の頭の上に立った。
「……綺麗な弾幕だね、一つ一つの所作が洗練されてる」
「ありがとっ」
警戒しながら二人は言葉を交わし、そこで涙子は奇妙なことに気づく。
こころの弾幕で、面を媒介にする際『一つだけ』使われてない物が有った。
だが、不良品というわけではなく少しずつ力を高めていた、まるで『里の応援の声』を吸い込み力に変えるように。
何故か『その面』はこころ『そのもの』のように感じられた。
(活性化してる?人々の熱狂を浴びたから?……そうか、希望を求めるのはそれが理由か)
涙子は今までの相手の言動を思い返し得心する、それにこころが首を傾げ涙子は誤魔化した。
「……どうかした?」
「ううん、楽しんでるようだね、なら良かった、それと……」
「それと?」
「幻想郷の住人は弾幕ごっこが強い人が好きなの……頑張って勝ってきな」
「うん、勝ってくる!」
涙子の言葉に頷いて、こころは元気よくババッと扇を広げた。
その様子に微笑して、涙子は高く手を掲げた。
「一発ドカンと行くよ、それを合図に……勝ってきなさい」
『来るか!?』
その動きに警戒する一同、それに涙子はニッと笑いつつ大声を上げる。
にとり達ではなく、ギャラリーへ、そこに混じる男共へ叫んだ。
「おいっ、よくも好き勝手に煽って……戦えとは言わないけど手伝うくらいしな、色呆けども!」
「……良いだろう、『道具』くらいは貸してやる」
その瞬間『羽扇』が風に乗って飛んで、涙子の手の中に吸い込まれるように治まる。
それを、『同じ修験者上がりの妖かし』の得物を振り被り、彼女は気迫の叫びと共に振り下ろす。
「感謝するよ、元先輩方……荒れ狂え、風よ!」
ビュオオオッ
普段より少しだけ強く、少しだけ精密に、操り起こした風が限定的な嵐を巻き起こす。
風の中心にある僅かな隙間の涙子達を除き、にとり達も、少し離れた位置のこいしも構わず襲い掛かる。
ビュオオッ
『くっ!?』
「……で次だよ、邪魔者を退かして!」
風でフラつき怯んだ瞬間、涙子が素早く追撃に出る。
足元を蹴りつけ、それを合図に水蛇がにとり達へ牙を向く。
一輪が慌てて法輪を翳した。
「う、うあっ……と、止めて、雲山!」
ガオオオォン
風に翻弄されながらも何とか指示が下り、それに従い巨人が拳を振り上げる。
風で体が幾らか崩れ、それでも巨人は鉄拳を叩き落とした。
「やっちゃえ、雲山!」
ズドンッ
特大サイズの拳が蛇を頭を叩き潰す、が次の瞬間飛び散った水が相手の腕に纏わりついた。
粉々に散った蛇の体、それを構成していた水が直ぐに小型の蛇に変わり歯を立てたのだ。
「ちいっ!?」
「そらっ、仕返ししてやりな、蛇達!」
これには流石に動揺し、一輪は巨人の体から蛇を剥がそうとする。
だが、それは涙子にとって千載一遇の隙だった。
「……私から目が離れた、今かな?」
ヒュンッ
風を足場に彼女は跳んで、雲山の眼前に現れ羽扇を突きつける。
「……雲は風で散る、弱点を突かせてもらうよ!」
「し、しまっ……」
ビュオオッ
至近距離風が放たれ、巨人は散り散りになる、慌てて一輪が再集結させようとするが涙子がそこへ仕掛ける。
「雲山!?」
「させない、はあっ!」
「くっ……」
ガギィンッ
突き出されたクナイを一輪は咄嗟に法輪で弾く、だがこれでは指示は不可能だ。
「ちいっ、今フォローを……」
「甘いぞ、にとちゃん!」
ジャララッ
「くっ、鎖が……」
慌てた様子でにとりが向かうが、涙子が見もせず放った鎖に阻まれた。
手を打ち据え発明品を落とし、次に足に伸びて絡みつく。
「ひゅいっ、は、離せ!?」
「駄目っ!、で、ここで……『ドカンと行く』って言ったよね!?」
更に涙子はそこで合図、視線を周囲の毛玉へ、すると彼等は同時に『白梅の花』を高く翳す。
それはバチと鳴って青白い雷光を迸らせる。
そして、涙子がトンと上に跳ぶのと同時に、一斉に弾けた。
バアアッ
バチバチバチィ
『ぎゃいんっ!?』
「怪奇、今の世に蘇る鬼の影……こんだけやれば十分でしょ!?」
そして、電撃で悶える二人を尻目に、涙子は悠々と風に乗る。
『さて、こころちゃん?』
「なあに、恩人さん……」
ばら撒かれた花吹雪に一瞬で紛れ、微かな影となって子鬼が叫ぶ。
『大分場が煮詰まってきたか……私は一旦ここを離れるけど、こころちゃんは存分に楽しんでって!』
「おうっ、言われるまでもないぞ!」
それだけ言い残して涙子はさっさと消えて、その最後の言葉にこころは元気よく頷く。
ピョンと小動物か何かのように、彼女は薙刀と扇を手に跳躍する。
「終わりだよ……私の勝ちでね」
「むむう、まだだぞ!」
こころが跳んで、風に煽られつつもこいしもそれに向かっていく。
二人は弾幕を展開しながら一気に空を駆ける。
そして、同時に弾幕を放った。
「やああっ!」
「うりゃ!」
ドゴンッ
すれ違うと同時に爆炎が弾け、一瞬後に二人はそれを突き破って現れる。
そして、背中を向け合った状態で一瞬ピタと止まった。
『……ど、どっちだ!?』
人里中が期待の中ざわめいて、その後片方がゆっくりと傾く。
「……悔しいなあ、新顔に負けるとは」
「びぎなーずらっく、だったか……外にはそういう言葉があるらしいぞ、我がライバルよ」
「ふんだっ、じゃ次は勝つからね、この踊り馬鹿」
ふらりとこいしが揺れて落ちて、可愛らしい罵倒を背にこころが薙刀を降ろす。
彼女はバッと扇を広げて掲げると、地上にアピールした。
「私の勝ちだぞ、皆の衆!」
ワアアアアッ
「……ああ、良いな」
喝采が空へと放たれ、こころは満足そうにうむと頷いた。
その懐で、一枚の仮面が更に輝きを増していた。
『……やはりか、あれが彼女の本体、そして完全に近づいているか』
当然それを、花吹雪の向うに影と消えた女はしっかりと見ていた。
「くっ、あちらは終わったか、だが……」
こころとこいしの決着を遠くに見て、神子が少し焦る。
だが、早く向こうに行こうにも『二柱の神(但し邪神寄り)』がそうさせてくれない。
「うりゃあ、ミシャグジさまだあっ!」
「嫉妬よ、嫉妬あるのみ……グリーンアイドモンスター!」
やけに濃い黒と緑、どう考えても体にいいとは思えない弾幕が壁と成る。
「うわあ、汚染済み霊力が盛大にばら撒かれてるんだが……」
「……祟と嫉妬の相乗効果か、受けたくないなあ」
それから逃げながら、神子と早苗は顔を青くしていた。
喰らえば霊障確定、そんなのが滅茶苦茶に飛んできて、時々掠るから始末に悪い。
「……しまったなあ、布都が居れば盾にしたんだが」
「地味に容赦無いですね、太子さま」
「いや、あいつの図太さなら少々の毒は効かんだろ……ええい、何故こういう時に居ないんだ!?」
因みに、そんなことを言われてる布都はさっさと向こうに行っていたりする。
恐ろしい程にマイペースに笑って、こころに話しかけていた。
「おうい!」
「あ、さっきの……」
「お主は秦殿の縁者だよな、ならば……一応お主は我等の身内になるのだが」
「おお、そういやそうか……あのね、実は狸のお姉さんにお寺に誘われてるの」
「……ふむ、先に声を掛けていたか、さてどうするか」
既に顔見知りで、何か勝手に話が進んでいく。
「あ、そうだ……こころとやら、あちらの四人に手でも振ってやれ、お主を巡って争っておる」
「おおっ?良くわからんが……がんばれー」
布都の思いついたような言葉に、こころは特に考えずその通りにする。
ひらひらと軽く神子達に手を振るう。
それだけなら可愛らしい物だったが、約一名には致命的な結果と成ってしまった。
ゴバッ
「ぐは、妬ましい、目が焼かれる……嫉妬道に生きてきた私にはあの子は眩し過ぎる!?」
「ちょ、何してんの、パルパル!?」
行き成り喀血して、パルスィが墜落した。
「ああ精神が逝ったか、妖怪だもんなあ……」
「ええと、今です!」
「お、おう!」
この隙(?)に神子達は前進し、半分と成った弾幕に宝剣と玉串を構えた。
息を合わせ、同時に霊力を開放する。
「詔承けては必ず……鎮め!」
「開海……モーゼの奇跡!」
ザシュッ
「うおわっ!?」
連続して放たれた霊気の刃が祟りの弾幕を切り裂いて、一気にそこに道を開く。
慌てて、諏訪子が新たな祟りでそれを埋めようとするがそれよりも向うが早い。
早苗が風を吹かし、それを背に神子が駆ける。
「太子様、行って!」
「任せよ、はああっ!」
加速した彼女は一瞬で懐に飛び込み、その刃の切っ先で諏訪子の目前で軽く弧を描かせる。
チチッ
「うひゃっ!?」
何かが掠める音がして、諏訪子の目付き帽子が跳ね上がった。
こわごわと諏訪子が首を竦め、がそこへ引き戻した宝剣が添えられる。
「……降参を進めます、でないと次は貴女自身がああなる」
「む、むう、流石に二対一は無理か」
彼女は悔しそうに唸って、ペタンと元気なく座り込んで両手を掲げる。
「ふん、年上に花を持たせてもいいだろうに……わかった、降参降参、一応時間は稼いだしもう良いや」
「なら年長者らしくするべきでしょうに……」
「そもそも、その容姿ではねえ」
はあと早苗達は呆れ嘆息し、その後やっと道の空いたこころの方を見た。
すると向うも手を振る。
布都に説明を受けたか、こころは神子にペコと頭を下げた。
「面霊気、いや……」
「ええと初めまして、関白様……秦こころ、秦河勝の娘、のようなものかな?」
「神子でいい、こころ……一つ聞きたいがこの異変と君の関係は?」
友人の娘(太子の霊力も影響有るので義理の娘かも知れないが)初めて挨拶を交わし、その後神子はずっと気になっていたことについて問いかける。
それに対し、神子は一瞬悩んでから答えた。
「ある意味関係ある、でも元凶というかは……」
「ふむ、妙に曖昧だが?」
こころは時折考えながら答え始めた。
「幻想郷には今『希望』が足りていない、最近『異変』が続いて心が荒んでしまった……
だから、遅かれ早かれ何かしらの異変が起きたと思う……でも、それがこういう形になったのは私のせいかも」
「……制御できていない?」
「ああ、そうなるかな……付喪神、面霊気に成ったばかりの私が『熱』を刺激してしまった、それで何時もお祭りみたいに成ってしまったの」
つまり異変が起きる下地は既に有って、それ自体はこころと無関係だが、『そこから』は彼女の影響ということになる。
そして、意思が芽生えた彼女はその責任を取り、また本能的にも今の状態を放っておけなかったのだ。
「私が勝てば『希望』が集まる、またそれで私の『面』も活性化するはず。
……そこで一舞いすれば失われし希望、荒んだ心は何とか成るんだけど」
「……ふむ、話はわかったが異変を長引かせる訳にも……」
集めた希望で面霊気の彼女の力が増し、その状態で舞えば人心が明るくなる、それで更にこころの力が増す、そういう風に延々と循環するとこころが言う。
だが、それでもこの無秩序さを、正確には悪化した場合を懸念し神子は困ったように唸った。
「……すまんが私個人では何とも言えん、人里……それと博麗殿や賢者に話を持って行って」
「た、大変です、皆臨戦態勢をっ!!」
『うわっ!?』
が、そこへ焦った様子で白蓮とそれに背負われたマミゾウが現れた。
「あっ、狸のおばあちゃん」
「よう、少し大変なことに成ってな……」
「貴女がこころさんですね、お会いできて嬉しいですが少し問題が……ふむ?太子様と、何故似たような感じが彼女から?」
「……似てるね、一応私の身内だからな、そっちと仲良さそうだが……それより大変とは?」
「み、巫女が……博麗の巫女が!」
神子が答えつつ問い返し(後向うと親しいこころにちょっと複雑そうにし)それでハッとした表情で白蓮が叫んだ。
溢れんばかりにやる気の彼女が来れば大変なことになると、白蓮はこころ達に警告する。
「い、今はまだ遠く、幸い向うは然程速くない、今の内に準備を……」
が、そこへ黒髪の少女二人が現れた。
「……あ、ごめん、もう着いてる」
「ごめんなさいね、その……風ですっ飛んで迎えに行っちゃいました」
『えっ?』
ギギと固まった一同に霊夢、そして涙子が苦笑しながら言った。
「いやあ、一気に面子が集まったものね……異変も大詰めかしら」
「……何かすみませんね、でも散々巻き込まれて……あのペースじゃ体が保たないんでこちらに着かせて貰います」
二人はギラギラとした異様な目を向けて、その後邪悪に笑った。
「手伝ってあげる、但し……」
「大分ハードですがね!」
その言葉と同時に、霊夢は転移で、涙子は風で、一瞬で二人の姿が掻き消えた。
ヒュンッ
『うぐっ!?』
「神子様、住職さん!?」
神子と白蓮が呻き声を挙げる、霊夢達は二人の目の前に現れて鳩尾を強打したのだ。
そうやって彼女達を遠ざけ、素早くこころを抱えて舞台へ。
そして、彼女を降ろし、二人は『態とらしいまでの悪役ムーブ』で言い放った。
『さあ……希望を寄越せ!』
「強盗!?」
無表情ながらぎょっとする彼女に霊夢達は周りに聞こえないよう小声で言う。
「……いや、悪者になった方が形的に綺麗でしょ、それにあっちの二人を倒したことで私達に希望が集中したし」
「こころちゃんは……唯戦って、私達から希望を奪い取ればいいの、それで粗方希望が集まるでしょ」
つまりは諸々すっ飛ばして異変を収束させる気なのだ。
それに気づいたか、そこそこ霊夢と付き合いの長い早苗、それと悪知恵の効く布都が大仰に(周りに聞かせるつもり)で叫んだ。
「嗚呼なんてこと、希望を求める純真な少女の願いは……絶対的権力に踏み潰されてしまうの!?」
「ああ、そして何と悲しいことじゃ……しかも向うには嘗ての仲間、こんな悲劇が有って良いのか!?」
チラチラッ
態とらしく視線をやって、その後二人は声を合わせる。
『世界はなんて残酷か……希望はどこなんだ!?』
「……ねえ、逃げ道潰すの止めて、あれ言えってか」
布都達のせいで人里中は驚いたり固まったり、その後悲劇の少女と成ったこころに熱い視線が集中する。
具体的には同情とそれ以上の期待、熱いそれにこころが一瞬硬直する。
「わ、私……ぐうう、嵌められた気がするが」
だが、止まったのは一瞬で、人の心を受けたこころは本能のままに薙刀と扇を構えた。
「私が……私が希望だ、全力で掛かって来い!」
ワアアアアッ
彼女の宣言に、人里が燃え上がった。
「良し、後は適当なタイミングで倒れて終り……振り回された仕返しに小突くけど」
「ふふふっ、良くも修行を邪魔したね……少しくらい泣いて貰っても罰は当たらないでしょ」
「……あ、すいません、全力は嘘です、手加減お願い……」
尚ちっちゃく敵役二名が言って、それに怯えたがご愛嬌だろう。
心綺楼のこころルート思い出し中・・・よし、一応原作再現ですね、うん多分きっと。
・・・そういう訳で、敵に回った霊夢と佐天vsこころとなります。
その連戦を次回から・・・多分二~三話くらい書いて、完結かな。
尚霊夢達と戦う理由はないように思えますが・・・最後のが大体本音(一部別のまで)こころに返ってしまいました。
以下コメント返信
ジャンボーク様
ええ、カオスでこその幻想郷でしょう・・・なので最後もカオスに。
九尾様
穏便と言いますが問題はその場合早期解決が難しい・・・という訳で、霊夢はそれを望む連中を黙らせ強行手段にでました。
でも異返時の巫女は大体こんなんだし、後佐天さんもこころのプロデュース役からやってることは離れていないという・・・
タッグは相性や背景設定で色々組んでますが、最後は・・・ある意味このSSの学園都市に関わり深い組で。