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No.41025の一覧
[0] とある幻想の弾幕遊戯Ⅱ(とある魔術の禁書目録×東方シリーズ)[ベリーイージー](2017/07/15 20:30)
[1] 第一話 学園都市悲喜こもごも・一[ベリーイージー](2015/04/29 22:53)
[2] 第一話 学園都市悲喜こもごも・二及び二の裏[ベリーイージー](2015/04/29 22:55)
[3] 第一話 学園都市悲喜こもごも・三[ベリーイージー](2015/03/28 14:27)
[4] 第一話 学園都市悲喜こもごも・四[ベリーイージー](2015/03/28 14:28)
[5] 第一話 学園都市悲喜こもごも・五[ベリーイージー](2015/03/30 16:03)
[6] 第一話 学園都市悲喜こもごも・六(終)&六の裏[ベリーイージー](2015/04/11 20:13)
[7] 第二話 幻想の命・一[ベリーイージー](2015/04/17 22:21)
[8] 第二話 幻想の命・二[ベリーイージー](2015/04/17 22:22)
[9] 第二話 幻想の命・三[ベリーイージー](2015/05/09 19:47)
[10] 第二話 幻想の命・四[ベリーイージー](2015/05/11 20:10)
[11] 第二話 幻想の命・五[ベリーイージー](2015/05/11 20:11)
[12] 第二話 幻想の命・六[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[13] 第二話 幻想の命・七[ベリーイージー](2015/05/30 20:33)
[14] 第二話 幻想の命・八[ベリーイージー](2015/05/30 20:34)
[15] 第二話 幻想の命・九[ベリーイージー](2015/06/01 00:59)
[16] 第二話 幻想の命・十[ベリーイージー](2015/07/11 19:32)
[17] 第二話 幻想の命・十一[ベリーイージー](2015/06/06 19:52)
[18] 第二話 幻想の命・十二[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[19] 第二話 幻想の命・十三[ベリーイージー](2015/06/20 16:56)
[20] 幻想の命・エピローグ&第三話序章[ベリーイージー](2015/07/11 19:33)
[21] 第三話 無自覚な迷子達・一[ベリーイージー](2015/07/16 00:54)
[22] 第三話 無自覚な迷子達・二[ベリーイージー](2015/07/27 19:51)
[23] 第三話 無自覚な迷子達・三[ベリーイージー](2015/09/05 14:25)
[24] 第三話 無自覚な迷子達・四[ベリーイージー](2015/09/05 14:26)
[25] 第三話 無自覚な迷子達・五[ベリーイージー](2015/08/10 21:11)
[26] 第三話 無自覚な迷子達・六[ベリーイージー](2015/09/05 20:51)
[27] 第三話 無自覚な迷子達・七[ベリーイージー](2015/09/05 20:50)
[28] 第三話 無自覚な迷子達・八[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[29] 無自覚な迷子達・九(終)[ベリーイージー](2015/10/02 20:55)
[30] 3話エピローグ&3.5話『再会』[ベリーイージー](2015/10/02 20:56)
[31] 第四話 希望を求めて・一[ベリーイージー](2015/10/16 00:09)
[32] 第四話 希望を求めて・二[ベリーイージー](2015/10/22 00:04)
[33] 希望を求めて・三[ベリーイージー](2015/11/08 18:43)
[34] 希望を求めて・四[ベリーイージー](2015/11/08 18:48)
[35] 第四話 希望を求めて・五[ベリーイージー](2016/12/23 19:09)
[36] 第四話 希望を求めて・六[ベリーイージー](2015/11/19 00:15)
[37] 第四話 希望を求めて・七[ベリーイージー](2015/11/28 20:29)
[38] 第四話 希望を求めて・八[ベリーイージー](2015/11/29 01:29)
[39] 幕間&希望を求めて・九[ベリーイージー](2015/12/05 13:59)
[40] 希望を求めて・十(終)[ベリーイージー](2015/12/05 14:00)
[41] 第五話 狂信と敬心・零 [ベリーイージー](2016/11/06 23:47)
[42] 第五話 狂信と敬心・一[ベリーイージー](2016/10/29 16:04)
[43] 第五話 狂信と敬心・二[ベリーイージー](2016/02/05 20:59)
[44] 第五話 狂信と敬心・三[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[45] 狂信と敬心・四[ベリーイージー](2016/02/25 21:37)
[46] 狂信と敬心・五[ベリーイージー](2016/02/25 21:57)
[47] 第五話 狂信と敬心・六[ベリーイージー](2016/03/11 18:54)
[48] 第五話 狂信と敬心・七[ベリーイージー](2016/03/11 18:55)
[49] 第五話 狂信と敬心・八[ベリーイージー](2016/03/14 21:08)
[50] 第五話 狂信と敬心・九[ベリーイージー](2016/03/26 18:52)
[51] 第五話 狂信と敬心・十[ベリーイージー](2016/04/04 20:43)
[52] 第五話 狂信と敬心・十一[ベリーイージー](2016/04/24 16:45)
[53] 狂信と敬心・十二(完結編・上)[ベリーイージー](2016/04/24 16:46)
[54] 狂信と敬心・十三(完結編・下)[ベリーイージー](2016/10/29 16:07)
[55] 閑話 不和と不安と一[ベリーイージー](2016/06/04 18:20)
[56] 不和と不安と・二[ベリーイージー](2016/06/10 17:24)
[57] 不和と不安と・三[ベリーイージー](2016/06/19 19:08)
[58] 不和と不安と・四[ベリーイージー](2016/07/17 15:54)
[59] 不和と不安と・五[ベリーイージー](2016/07/17 15:55)
[60] 不和と不安と・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:10)
[61] 不和と不安と・六の下[ベリーイージー](2016/10/29 16:06)
[62] 閑話乃二・ご無体な無頼たち[ベリーイージー](2016/08/31 17:04)
[63] ご無体な無頼たち・二[ベリーイージー](2016/09/10 17:41)
[64] ご無体な無頼たち・三[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[65] ご無体な無頼たち・四[ベリーイージー](2016/11/17 17:06)
[66] ご無体な無頼たち・五[ベリーイージー](2016/11/17 17:07)
[67] ご無体な無頼たち・六[ベリーイージー](2016/12/23 19:07)
[68] ご無体な無頼たち・七(完)[ベリーイージー](2016/12/30 00:01)
[69] 第六話 祭りの夜に星は散る・一[ベリーイージー](2017/09/10 11:30)
[70] 第六話 祭りの夜に星は散る・二[ベリーイージー](2017/01/22 16:02)
[71] 祭りの夜に星は散る・三[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[72] 祭りの夜に星は散る・四[ベリーイージー](2017/03/06 00:05)
[73] 祭りの夜に星は散る・五[ベリーイージー](2017/03/06 00:06)
[74] 祭りの夜に星は散る・六[ベリーイージー](2017/03/06 00:07)
[75] 祭りの夜に星は散る・七[ベリーイージー](2017/03/15 17:29)
[76] 祭りの夜に星が散る・八[ベリーイージー](2017/03/15 17:30)
[77] 祭りの夜の星が散る・九[ベリーイージー](2017/04/23 20:35)
[78] 祭りの夜に星が散る・十[ベリーイージー](2017/05/13 11:32)
[79] 祭りの夜の星が散る・十一[ベリーイージー](2017/05/31 18:35)
[80] 祭りの夜に星が散る・十二[ベリーイージー](2017/06/25 21:49)
[81] 祭りの夜に星が散る・十三[ベリーイージー](2017/08/24 23:54)
[82] 祭りの夜に星が散る・十四[ベリーイージー](2017/07/30 23:29)
[83] 祭りの夜に星が散る・十五[ベリーイージー](2017/07/30 23:30)
[84] 祭りの夜に星が散る・十六[ベリーイージー](2017/09/01 19:22)
[85] 祭りの夜に星が散る・十七[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[86] 祭りの夜に星が散る・十八[ベリーイージー](2017/09/28 21:49)
[87] 祭りの夜に星が散る・十九[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[88] 祭りの夜に星が散る・二十[ベリーイージー](2017/12/03 21:35)
[89] 祭りの夜に星が散る・二十一[ベリーイージー](2017/12/03 21:31)
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[41025] 第三話 無自覚な迷子達・七
Name: ベリーイージー◆16a93b51 ID:ce9d8c12 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/09/05 20:50
注意・・・前回投稿シーンを修正、後半直後からそのまま繋がります



ドサッ

「やれやれ……やっと一段落か」

騎士が倒れる、白狼天狗の牙に捻じ伏せられるそれを見て一同は溜息を付いた。

(騎士の動きは鈍くなるはず、今のうちに対応を……とりあえず霊夢に連絡かしら)

パチュリーは体制を整える機会と考え、どうするか考える。
まず連絡とぬえや文の操る烏にそれを伝えようとした。

「その辺は私達で……あっちは忙しそうだし」

チラと彼女は燥ぐ少女達に嘆息した。

『ええと、シロ……でなくて椛さん?』
「……何でしょう、御坂さんに風切さん?」

美琴と氷華がおずおずと、山伏姿の白い少女に話しかける。
少女、椛は久々の体を動かし具合を確かめつつ先を促した。

「ううーん、何から聞くべきか……」
「ええと、そう……何故あんな可愛い姿に?」
「節姫……佐天のせい」
『ああ……』

変貌の理由を聞けばその答えに二人は納得、彼女のせいかと苦笑したのだった。
何だかんだいって涙子のマイペースさ、トラブルメーカーな部分を知っているので受け止められた。
そうなると次に罪悪感が湧いてきた。

「ええと……何かごめんなさい、そうとは知らずにペット扱いしちゃって」
「そりゃあ嫌がりますよね、素振りで気付くべきでした……」
「いえ気にしないで、悪いのは解呪を忘れた『あの女』……貴女達は私を世話しただけなのだから、ほぼ無力化された身としては助かったし」

済まなそうに頭を下げた二人に椛は手を振って、慌てて挙げさせると気にしないように言った。
だが、それでも向こうは戸惑っていて、椛はどうしようか困惑してした。

「……えい、ってミサカはミサカは横槍入れてみるよ!」

そんな微妙な状況だったので姉思いの少女が動いた。

ムギュッ

行き成り打ち止めが後ろから近づき、椛の山伏装束から伸びる尻尾を軽く引っ掴んだのだ。
そして、態とらしいくらい子供っぽく言った。

「わう!?や、止め……」
「お姉様お姉様、こんな可愛い友達とどこで会ったの!?」
「えっと宴会で……ああそんな風に握っちゃ駄目だって!」
「そ、そうですよ、ほら椛さん悶えてるから!?」

慌てて美琴と氷華が注意し、その間に打ち止めの手から抜けた椛が二人の後ろに隠れた。
が、そこで忙しなく耳をパタパタさせる彼女の姿に美琴達が凍りつく。

『か、可愛い……』

ニヤリと打ち止めが、ぎこちない姉達の為に道化役を請け負った妹が笑った。

「……これは独り言だけど……尻尾の感触、凄く良かったよ!」
「へ、へえ……」
「そ、そうなんだ……」

ジリッ

「わふっ、何故寄るんです!?」

ビクと椛が身を竦めた、その姿は余りに儚くまた可愛らしく映った。
『あ駄目』と美琴は思った。
『可愛い』と氷華は思った。
『……最早耐えられない愛でよう』と二人は決意した。

「ちょ、何です、何か不埒な気配が!?」
『……ごめん椛さん、モフモフさせて!』
「わ、わふっ!?」

バッと美琴と氷華が椛に飛びかかった、そして只管体を撫で始めた。
ワシャワシャと頭や首筋、尻尾を撫でまくられて、椛は顔を真赤にする。
だが、その目はどこか蕩けているようにも見える。
何だかんだ楽しんでいる、犬科の性には抵抗できないらしい。

「うんうん、友達同士はこうでなきゃね!」
「ま犬科だし……別にいいんじゃない?恥ずかしくは思っても嫌がってはいないでしょ」

パチュリーは苦笑し、姉達の狂態に笑う打ち止めに適当に答えるのだった。
些かスキンシップにしては過剰だが、白狼天狗のモフモフ具合からして仕方なくも思える。

「……後で触らせてもらおうかしら、ウチには尾のない悪魔の犬……それにチュパカブラとかのUMAとかしか居ないし」
『それはそれで割りとおかしいな、あの館……』

彼女の呟きに、それもどうかと(黒い方の)垣根が首を傾げた。

「うるさいわよ、放っとけ……さあ今のうちに体勢を立て直すわよ。
……アンタには、それに他の奴らも……色々と飛び回ってもらうわよ、戦力を集めないとね」
「……まあ良いだろう、魂魄の奴を拾いに行くか」
『あやや、そうなると私は……まあ烏で援軍呼びつつ合流しますか』
「私はこのまま残るよ、科学側の正体不明も気になるし……」

そうと決まれば彼女達の動きは早かった。
垣根と文の烏が飛び立ち、ぬえがパチュリーと共に護衛に残った。

「おっとそうだ、一応尋問でも……」

そこでパチュリーが思い立ち、瀕死の『騎士』、消えかかる彼をジロと見た。

『ぐっ……』
「無視して悪かったわね、さあ話し合いよ」

だが、そこで耳にしたのは予想だにしない言葉だった。
騎士が必死の、絶望的とも言える形相で言い放った。

『……堕天……リエルと並ぶ魔神エリ……転生体、何時か禍根に……』
「待って、今何て……」
『何故何年も、『奴』が沈黙を保ったと……我等と削り合っていたから、それが無くなれば……奴が動き出す!』

その言葉と同時に彼は目を見開く、その絶望の視線の先は一同の後方。
パチュリーが慌てて振り抜いたそこにはエリスと喚ばれた少年、だがどうにも様子がおかしい。
その頬にはボウっと『星形の痣』が淡く輝いていた。

「ああそうだった、私は……」
「(この魔力、魔界の……)皆、離れて!」
「……私は『エリス』だ」

ズドンッ

『ぐがあ!?』

まず閃光、騎士を貫くと同時にバラバラに分解してその身に取り込む。
そして、更に『エリス』は騎士から奪った力で周囲に魔力弾を放った。

「知られたからには……口封じ、しないと……」
「不味い、そいつ……人と悪魔が混じってる、暴走してるわ!」

パチュリーの警告と殆ど同時に四方への弾幕、耳を劈く程の轟音がゴング代わりかのように響いた。



第三話 無自覚な迷子達・七



(……ここは嫌だ、あそこに戻るんだ)

『彼女』はかつて悪魔、それも魔王魔神と呼称される魔界に存在する数柱の実力者の一人だった。
『万魔殿(パンデモニウム)の支配者』や『魔眼の堕天使』と何度も争い、魔界の派遣を覇を競ってきた。
だが人界から迷い込んできた『紅白衣装の少女』に敗北した。
それでケチが付いて勢力は衰退、同じ理由で追い詰められた堕天使と共に魔界から逃げ去るしか無かった。

(そうだ、サリエル……ああわかる、この世界にも彼女が居ると)

長年の宿敵、また穏健派の『万魔殿の支配者』相手に轡を並べたことも有る堕天使のことを思った。

「ならば、私がすることは一つ……備えねば……」

だから彼女は人の中に紛れた、密かに力を蓄えることにしたのだ。
堕天使サリエルは貶められたことへの復讐や復権を諦めていない、それが動き出した時に抵抗できるようにする為に。

「……騎士達には手古摺らされた、だが今ならば……やれる」

エリスを狙う騎士との戦い、その中で素性がバレて更にしつこく狙われて、その上互いが死して尚その戦いは続いた。
騎士がエリスを襲いその力を削ぐ、エリスが人と魔の混じった不完全な状態で必死に抵抗し追い払う、ずっとその繰り返しだった。
それが続く限り彼女あ消耗し続け復活には至らない(まあそもそも人の『エリス』の人格を不安定にさせたのが騎士なのだが)
だが、その永遠と思えた輪が崩れた、彼女にも騎士にも予想外の要素によって。

「さあ……復活の時、遅れを取り戻させてもらう……」

ギロリと彼女は睥睨する、椛や美琴達を、仲間の敗北に気づき集まってくる騎士を睨みつけたのだった。



「……これは少し洒落にならないわね」

弾幕を最も頑強な土と金の混合、宝石の壁で凌ぎながらパチュリーが愚痴った。
そこかしこで悲鳴や断末魔、ここに気づいて集まってきた騎士達が倒されその残滓、霊力がエリスに取り込まれるのが見えた。
そこへ咄嗟に駆けてきた二人組が『砂鉄で組んだ鎖』で壁を補強しつつ問いかけてきた。

「いや全くね、大変なことに成ったわ」
「どうしよっか、ノーレッジさん?」
「……私に言われても困るって、超電磁砲さんに打ち止め」

近くに逃げ込んできた美琴と打ち止めに問いかけにパチュリーは沈黙する。
正直騎士を何とかすればいいと考えていたのでかなり参っていた、エリスの方に問題が有るなど予想外だ。

「でも戸惑ってばかりは居られない、騎士が全滅すればこっちか……目眩ましを掛けるわよ!」
「了解、壁を崩すわ!」
「オッケー、やろう、お姉様!」

パチュリーの言葉に姉妹達が頷く、三人は息を合わせて壁を自ら崩した。
それは崩れながら更に拡散し、散弾と成ってエリスに襲いかかる。

『……行けっ!』

ズドンッ

その光景にエリスは慌てて攻撃の手を止め、一旦引くのと平行して魔力を練り始める。

「そ、そんな物……食らってたまるか!」

ガッ
ズドン

エリスは魔力を広範囲にばら撒き相殺した。
だが、宝石の破片の中を『黒』が飛んだ。

ヒュバッ

「くっ……」

風を切って飛んだ『漆黒の三叉槍』をエリスは慌てて躱した。
それを投げたぬえが笑った、彼女はエリスを、槍の回避で体勢が崩れた彼女を指差して言った。

「ひひっ、惜しい……だがまあ今だ、そら仕掛けな、科学の正体不明!」
「言われずとも……やあっ!」
「私も行きます、ガルル!」

ぬえが言うのと同時に二人、氷華と椛が走り出す。
慌ててエリスは指先で幾何学的文様を描いた。
すると周囲に影が集まった。

「ちっ、でも……こっちは魔力弾だけじゃない、私にもエリスの記憶がある……傀儡よ、行け!」

それは騎士達、弾幕に手足を、あるいは胴体を抉られた騎士が魔力の糸によって操作される。
だが、それに対してニッと椛が笑った。

「甘い、騎士……死者ならば私だけで十分!」

椛は、命に関係深い山の天狗の娘は両手を開き、鉤爪の形で思い切り振るった。

「はああっ!」

ヒュバッ
ヒュバッ
ドザ

左右で一度ずつ、それで騎士が二人両断される。
そして、そこへ氷華が翼を一打ちして飛び込み、大きく拳を振りかぶった。

「風切さん、今!」
「はい……ええいっ!」

ズドンッ

轟音が響き、腕を交差させて防いだエリスが数メートルばかし後方に飛んだ。

「ぐっ、腕が痺れ……ぐっ、まだ来る!?」

彼女h顔を顰めて下がった時頭上に影、翼を広げた氷華は追い討ちしようとしていた。

「……もう一撃です!」
「……舐めるな、行け、騎士達よ!」

彼女は咄嗟に魔力の糸を振るい、頭上から仕掛けようとした氷華を追い払う。

ガガガガッ

「きゃっ!?」

すると慌てた様子で白い影が飛び込んだ。

「……そいつ等は私がやる、下がって!」
「ごめん、椛さん任せた!」

椛は鉤爪を振るって騎士を打ち倒す、その間に氷華が下がる。
それを見送って椛も引き、後方と一時合流する。

「……賢者殿、すまない、仕留め損ねたよ」
「まあ十分、相手の手もわかった……さて、どう仕掛けようかしら、やっぱり手数で削って……」
「あ、待って、電磁波が!」

一同は合流すると弾幕ごっこ経験者を軸に対応を決める。
椛が爪を開き、パチュリーが魔導書を開いた時だ、美琴と打ち止めがある方向を見て叫んだ。
そして、『白』と『赤』の弾幕が飛んだ。

「あれが敵かな?……行っけえ、アイシクルフォール!」
「ふむ、騎士ではないようだが……まあ構わん、六壬神火!」

ヒュゴッ
ドゴオオォ

「ぐあっ、新手だと!?」

氷の散弾に炎の矢、二つを横合いから受けてエリスが吹き飛んだ。
数度跳ね飛んだ彼女はギリと歯噛みしながら騎士を操ろうとする。
だが、彼等は動かない、いや糸自体の動きが止まった。

「騎士よ、フォローを……何!?」
「『スペルインターセプト』、私の知る魔術ならば……止められない道理はないよ。
……悪魔憑き、いや深く混じってる?……ああ生まれつきか、つまり騎士が余計なものを起こしたってとこかな」

はあと彼女は嘆息した、そして騎士に再度怒りを抱く。

「あの人達は悪魔の気配を追っていた……でも混じってるなら人の人格も有る筈で、そして人として生きていたならそっちが主人格のはず。
悪魔の側の押え、『蓋』と成っていたのを騎士が不安定にさせてしまった?」
「……というより死んだ時点で人側の自我が弱ったんじゃない?」
「ノーレッジさん?ああそうか魂魄、魂は半分に別れる……肉体の死で人側の人格が半分失われたのか」
「アレ、シッテルヨ……『お祖母様』ノライバル、ダネ」

すると白いシスター服の少女、インデックスの腕に抱かれた人形もまたエリスを睨んだ。
ギロと睨むガラス球の瞳、だがその輝きは異様に禍々しくエリスの目に映った。
彼女はどこか似たようなものを知っている気がした。

「……ナラ『娘』ノ『娘』トシテ、ナントカシナキャ!」
「くっ、この気配、この魔力……あの女の縁者か!」

類似する相手を思い出したエリスは顔を引き攣らせた、慌てて弾幕をぶち撒け土煙を舞い上げて煙幕にする。

「……仕切り直す、覚えていろ」

折角絡めとった騎士を捨て、ダッと彼女は背を向け走りだした。

「オッ、ニゲタ?」
「……臆病なのかな、いや……君のお祖母様が怖いのかな」
「……ソウカモ、オコルト……スゴイコワイッンダッテ」

その思い切りの言い逃げっぷりにインデックス達は呆れ、その後慌てて美琴達へ走り寄る。

「ミサカお姉さんのお姉さん、無事!?」
「え、ええ、おかげでね……はあ、助かったけど……とんでもないことに成ったわね」
「うん、そうだね、お姉様……あ、そっちも助かったよ、チルノさんにええとお寺の人!」
「気にすんな、困ったときはお互い様だろ!」
「うむ、お互いさま……皆の衆、今のうちに休んでおけ、差はあれど戦いの消耗が有るはずだからな」

後から来たチルノやインデックスが警戒し、その間に美琴達が体を休める。
こうして一同は何とか一息付くのだった。



そして、一人逃げ去ったエリスは執念深く計画を立てる。

「……まだだ、この街の各地に散った騎士の霊を取り込む……そうすれば幾らでも挽回できる!」

まだ霊達は残っている、それに関係ない霊もいるだろう。
彼女自身霊体なので取り込めばそれはそのまま力と成る。あるいは操って壁にしてもいい。
エリスはまだやれると自分に言い聞かせた。

『……はっ』

それを空から『赤白』と『青』が見下ろし嘲笑った。
赤白の方が抱えていた褐色の少女、生霊の少女を(青い方の連れの)『オッドアイの少女』に一旦預けた。
人の方のエリスに関係が深い、鍵と成り得る少女だけに慎重に扱いたい。
だから、この場はエリスに会いたがる彼女を説き伏せ、まずは自分達に任せるように言った。

『……行きましょう』

そして二人の少女、『赤白』と『青』の少女が降下する。
スタンっと軽やかに、二人の巫女がエリスの前に降り立った。

「え……」
『やあ』

ニコリと巫女、霊夢と早苗が笑って、反応できていないエリスの懐に一気に飛び込んだ。

「さて嫌な予感はこれか……大人しくさせるわよ、早苗」
「はい、丁度時間が空いていた所……やりましょう、霊夢さん!」
「ええ、合わせて……陰陽玉将!」
「九字刺し、やああっ!」
「ぐはああっ?!」

ダブル巫女の奇襲でエリスが吹き飛んだ。
それにニヤリと笑い霊夢達は調子に乗って次の弾幕を展開、それを見た空中の小傘は一瞬黙祷した。

「な、なな、何だ!?」
「ようし、いい感じ……このまま押してくわよ、早苗!」
「ひゃっはー、了解ですっ、霊夢さん!」
(ひええ、あの悪魔には同情するよ……)




ダブル巫女登場(暇そうな早苗を霊夢が呼んだ)・・・少しぶつ切りですがここで一旦切ります、他にキリの良いとこがないので。

以下コメント返信
エビフリャー様
いや美琴は先生の関係でオカルトに理解有るので・・・驚かないと思います、なので省略(でも他の能力者で書くはず、誰で何時とは明言できないが・・・)

九尾様
まあ一部程度騎士も間違ってないって思ってくだされば・・・まあそもそもエリス少年の死因である騎士が悪いんですがね。
因みに生前は正気(魂魄揃いエリスの自我が勝ってた)でも死んだことで魂魄の傍らが抜けて、そのせいで前世がでてるって形です。
だから禍根が騎士なのも大正解、自業自得で起こした問題を何とかしてるだけ・・・

うっちー様
ただ小動物っぽいだけで組ませましたが作者的にもお気に入り、多分今後も偶に一緒に居ると思います。
確かに風切さんが逞しくなりましたね、マイペースなルーミアと仲良くなったのが聞いてるのかな?
・・・あ資料にしたのが偶々その九字だったのですが・・・そうか古いものでしたか、うーん突っ込まれて焦る姿が浮かぶ・・・かわいいのでこのままで。

重度けもなー様
椛良いですよね、中ボスでは一番好きかも・・・まあ天狗で狼なら肉弾戦かなと、エグくても相手が相手だからってことで。


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