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No.4089の一覧
[0] 裏目裏目に狼狽皇子様(コードギアス)[基森](2009/12/02 18:04)
[1] つぎの話[基森](2008/09/08 22:10)
[2] も一つつぎの話[基森](2008/09/08 22:11)
[3] 一杯飲む間に一話を目安に作成中~な話[基森](2008/09/08 22:11)
[4] もうタイトルはこれでいくことにした話の続き[基森](2008/09/08 22:12)
[5] 公式を見て涙目で書き直した話[基森](2008/09/08 22:13)
[6] 登場人物のほとんどが故人だったと今頃気付いた話[基森](2008/09/13 23:51)
[7] いまさら続けてみた話[基森](2008/12/12 11:57)
[8] こっそりと続く話[基森](2009/12/02 18:04)
[9] 展開が微塵も進まない話[基森](2009/12/13 08:55)
[10] いろんな意味で急展開な話[基森](2010/05/26 20:22)
[11] 原作通りな話[基森](2013/04/28 10:27)
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[4089] 裏目裏目に狼狽皇子様(コードギアス)
Name: 基森◆3591bdf7 ID:674f23f4 次を表示する
Date: 2009/12/02 18:04


ルルーシュに殺された。




いや、うん、あの子の言い分はわかる。
実際あのマリアンヌ様を殺された直後に盲目となってしまった妹と共にエリア11に向かって父上に捨てられたのだ。自暴自棄になってしまうのは当然だろう。

いわば、ブリタニアから見捨てられた皇子だ。
それは、初めから身分のなかったものが恨む以上にブリタニアを恨んでいただろう。


だから、母国ブリタニアを憎む気持ちは十分理解できるし、父上やその息子である私を殺そう、とまで思いつめていると言うこともわからないではない。

正直言ってあのマリアンヌ様が殺された、と聞いたときは自分だってショックだったのだ。実子の彼なら言うまでもないだろう……いや、まさか戦渦に巻き込まれたはずの彼が生きているとは思っていなかったし、テロリストになっているなんてさらに想定の範囲外だったが。



まあ、とにかくそんなわけで彼がブリタニアを憎んでいると言うことは重々理解できるし、それが間違いだ、ということも自分には出来はしない。


だが……何も私を殺すことはないじゃないか、とも思うのだ。

誓って言うが、私はマリアンヌ様の事件とは無関係だ。むしろ、それを聞いて悲しんだ側だった。
庶民出だとか、そういったことなど関係ない。
あの方は美しく、そして強かった。私の求める美の実現だった。

その遺伝子を確実に受け継いでいることを幼きころより十分に証明していたルルーシュのことは、本当に可愛く思っていた。
勿論、あの純真なナナリーのことも大好きだったさ。そもそも私はシュナイゼル兄上のような打算と計算の類は得意ではないのだ。
マリアンヌ様を殺すような策を練ることも、ルルーシュたちを僻地に飛ばすようなことも考えもしなかった。


二人を今ではエリア11になっている日本にやるなどという父上の横暴を聞いて、側近達にルルーシュたちを引き取りたい、などという今思えば子供っぽいこと極まりないことをいって側近どもを困らせた覚えすらあるのだ。



八年もたってエリア11の赴任にも慣れたころになるとそういった彼らに対する純粋な気持ちも随分薄れたが、それでもなくなったわけではない。彼らを偲んで庭を造るぐらいのことはやってのけたし、間接的とはいえルルーシュたちを殺したイレブンどもに甘い顔を見せるつもりはない。。


芸術こそが私の生きがいだが、その範囲で出来る限りの事はしたつもりだった。
と言うか、疑うならまずシュナイゼル兄上だろうと思う……
コーネリア姉上となんだかんだ事件後にごちゃごちゃしていたし、どう考えてもあの事件はシュナイゼル兄上がこのままではルルーシュが皇位継承において障害があるとして排除したか、オデュッセウス兄上陣営の貴族の誰かが平民出の皇妃と言う存在が気に入らないから排除したとしか思えない。

ちなみに私は、多分シュナイゼル兄上がやったんだろうと思っている……あの人は、やるときはやる人だ。数万を殺す爆弾を投下することも、実の妹を人質にすることも、それが必要と思うならば全く持って躊躇無しに行うことが出来る人だ。

……何故だか知らないが、そのうち父である皇帝陛下に反旗を翻したり、皇宮に巨大爆弾を落としたりするイメージが容易に浮かび上がる。





まあ、とにかく私は本気でマリアンヌ様の事件とは無関係だった。
側近が勝手に企んだ可能性は完全には否定しきれないが、時期的なものを考えるとその可能性は限りなく低いといっていいだろう。





だが、私は殺された。
ごくごくあっさりと、何の価値すら認められずに。


弱肉強食を国是にするブリタニアの皇族なのだから、鏡台に殺されるなぞと言う一般家庭なら有り得ないこともまあそれなりの覚悟をしているつもりだったが、正直言って母の血統が良く、また「あの」シュナイゼル兄上と争ってまで皇位を継承するつもりなんてさらさらなかった私は、まさかこんなことに巻き込まれるなんて、と言う気持ちのほうが強いまま死んでいった。
恐怖に塗れたままで。


冷静になってみれば、そういった態度もまたルルーシュの怒りを買ったのではないか、と思う。
彼は母の身分が低かったばっかりに、あれほど優れた能力の片鱗を幼きころから見せ付けていたにもかかわらず、さげすまれ続けていたのだから、母の身分の高く、大貴族であるその父母たちが今だ健在であったが故に私はそういった覚悟が足りなかった麺は確かにあるだろう。

血筋に乗っかって楽してきたことに対するちょっとした反省でも見せれば、もうちょっと余裕を持っていれば殺すことまではしないでくれたかもしれない。
彼は幼いころより芸術に対する高い感性を持ちながらも、それを楽しむような余裕の類を持っていなかったのだから、もうちょっと私が落ち着いて話を聞いてあげるべきだったのかもしれない。
なんといってもあの子はまだ子供なのだから。



とはいえ、まあ幼いころからその行為に利用価値、すなわち私を殺すことにあの子が意味を見出していたのであれば、躊躇なく殺す性格だったような気はするし、はっきりいって殺す気になったルルーシュを私を止めることが出来ないのは、幼少のころチェスで二十連敗を喫したときに十分理解している。

と、言うわけで私はルルーシュに殺されたことにたいして、「それはないだろう」と言うような気持ちはあっても、「そんなまさか」と言うような驚きの気持ちや「おのれっ!」というような強い憎しみの気持ちはない。
むしろ、どうやったのかは知らないが第三皇子という帝国でも上位にいる私を裸一貫で殺したことに対して、賞賛にも似た気持ちを持っている。


だから、ルルーシュが私を殺したことに対する恨みはない。これも皇室に生まれたものの宿命だ。
愚痴は言うまい。

このクロヴィス・ラ・ブリタニアの名に誓ってそう言おう。









だが………いくらなんでも、これはないだろう、と私は自分の頭部に鎮座する巻き巻き巻き巻きロールとでも言うべきであろうわが父のものであったはずの髪型を見るたびに思うのだ。



そう、気がつけば私は何故か神聖ブリタニア帝国第98代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアになっていた。
このくどい顔と深い声とがっしりした体格もそう証明している。

今までの私の美しい顔が、父上の顔に変わっているのだ……不遜なのは判っているが、正直死んだ方がましだった。




正直言って、最初は信じられなかった。

ルルーシュに殺されたはずの私が何故か生きていることにまず驚き、何だ夢か、と言うことですべてを片付けようとして見覚えのない部屋の鏡台の前に立ったときに私の美しい顔が、父上の威厳たっぷりでありながらもくどい顔に取って代わられたことにさらに驚いた。

さらに言うならあわてて出て行った先でごくごく普通に神聖ブリタニア皇帝として扱われたことにも驚いたし、なんか気合を入れると眼に変な模様が浮かんだことにも驚いた。



が、三日たっても治らないどころか、周囲のものからいぶかしがられすぎたので、最後に頬をつねっても眼が覚める様子がないことで、呆然となりながらもようやく認めることにした。



どうやら私は父上―――第98代神聖ブリタニア皇帝 シャルル・ジ・ブリタニアになっているらしい。




そういえば、CCという女はなにやら不思議な力を他人に与えることが出来たと聞く。
ルルーシュもその女と同じような人間に会い、ひょっとすると私をブリタニア皇帝に変える、という力でも授かったのではないだろうか、ということを自分が父上になっている、と言うことを認めてから十日ほどたってからようやく思いついた私は、正直言って殺されたとき以上にルルーシュを恨んだ。
髪のこしがなくなっているのでセットがなかなか決まらない、巻き舌口調が難しい、体の節々が時々痛む、股間の立ちが悪い、その他もろもろ。

考えても見るがいい。
ルルーシュに殺されるまで皇族として人生を謳歌していた二十代だった私が、突如皇帝とはいえ老人といっても差し支えのない体にぶち込まれているのだ。
人生の一番楽しい時期をなくした挙句に、一番苦しい時期だけを味合わされる。
……死んだ方が、ましだったかもしれない。



原因はなんとなくわかる。
私が実験体としていたCCとやらには触ってみても、私には大した変化が起きなかったが、他人に相手の精神を移し変えるとまではいかないまでも、相手の体感時間をとめるとか、相手の意思に反してその体を操るとか、はたまたほんの数秒とはいえ未来予知が出来るとか、そういった常識から考えて有り得ないような能力をもつ者がひそかに存在する、ということは高順位の王位継承者なら知っていることだ。

ひょっとすると私が研究で手に入れようとしていた力をルルーシュが何処か別ルートで手に入れたのかもしれないが、それにしてもこう思うのを私は止められなかった。





すなわち、いくらなんでも実の兄に対してこれはあんまりじゃないか、ルルーシュ、と。



皇帝である父上自らが弱きものは罪であるとして、兄弟姉妹間での殺し合いさえまあ有り得ることであり、確かにあのまま死ぬもあれだったが、だからと言ってこれはないだろう!

なんか以前研究対象にしていたCCとかいう女の額に浮かんでいた模様が瞳に浮かぶようになっているし、さらにその女と同じような模様を額に浮かべたVVとかいうのが親しげに語りかけてくるし(皇帝である自分にタメ口を聞いてくるので思わず敬語で返してしまったが、彼の態度を見るとどうやら正解らしい。一体父上とどんな関係だったのだろうか?)、そもそも寿命でもうすぐぽっくり逝きそうな体になっているし、毎朝髪のセットに二時間も掛かるし…………あのまま死んでいた方がましだった、とは断言できないが、結構惨い状況だ。



私はそもそも芸術に身をささげたかったのだ。
一応第三皇子ということでエリアを一つ任されていた身だが、それはあくまででお飾り。皇族の仕事とは、下々のものをきちんと働かせるためのお飾りであるべきだ。

統治だとか、会議だとかそういった難しいことなどできるはずがない。今まですべて武勲に対してはさほどでもないがそういったことに対しては極めて優秀な我が騎士にすべて任せてきた。


それがいきなり、やれEU諸国の軍事的脅威に対する対策やら、やれ中華連邦の天子に対する恫喝込みの講和文章の作成やら、無理に決まっているだろう。
にもかかわらず、できないとほうり投げることはなんだか周囲の目からは出来ないし(ナイトオブシックスなど露骨に不審げな目を向けてきた)、あのVVとかいう奴は段々剣呑な視線を向けてくるようになってくるし、はっきりいってせっかく生き返ったのに生きた心地がしなかった。



そこまで私はルルーシュに恨まれていたのだろうか? 
子供のころはそれなりに仲良くやっていたつもりだったのだが。




そんな折に皇帝である私の元に届くエリア11での反乱と、首謀者であるであろう謎の怪人物、「ゼロ」の報告。
そのものは華奢な体格を紫の衣装とマントで覆い、仮面を被っていた。父上であれば誰であろうとかまわずに押しつぶすことを命じたであろうが、私にはその正体が瞬時にわかった…………十中八九、ルルーシュだろう。

その時感じた恐怖は、臣下に悟られなかったのを褒めて欲しいぐらいだ。



いかん、このままではまたもや殺される、と私が思っても無理はないだろう。

どういうわけか異常に恨みを買っているらしい私をルルーシュが再び殺そうとするのは明らかだ。兄であるはずの私を何の感情も見せずに殺して見せたルルーシュの笑い顔は今も目に焼きついている。はっきり言って、私はルルーシュが恐ろしい。

かといって、私にはシュナイゼル兄上のような謀略の才はないし、コーネリア姉上のような武の才もない。彼らに助けてもらおうかとも思ったが、どちらかと言うと、オデュッセウス兄上の方に親しくさせていただいていた私にとって、兄上とは違う派閥に属する二人はルルーシュとは別の意味、宮廷内での権力紛争と言う意味で恐ろしい相手だ。


CCのような特殊能力者の研究を使って一発逆転を狙いはしても、基本的には母の血統頼りに皇位継承レースを半ば放棄して生き残ることを考えている我々のような皇族にとっては、わが国ブリタニアの国是「弱肉強食」を体現するかのごとく虎視眈々と帝位を狙うあの派閥は脅威以外の何者でもない。

少しでも弱みなどを見せればすぐに食い尽くされてしまうだろう、身内でありながらもっとも恐ろしい敵だ。はっきり言ってユフィだけだ、あの派閥で安心できるのは。


かといって、オデュッセウス兄上に頼るのも不安がある。私が言うのはあれだが、どう考えても兄上がシュナイゼル兄上やルルーシュに勝てる気がしない。
対等の条件で争えば、王位継承第一位はシュナイゼル兄上が奪い取るであろう、と言うのはおそらくブリタニア貴族の誰もが認めるところであろうし。


そういった状況下で皇帝になってしまっている私は、頼れるものは己のみ、と言う状態でこの超大国ブリタニアを運営し、臣下の不審の目をかわし、さらに正体が知られた場合送られてくるであろうシュナイゼル兄上らからの刺客と憎悪に燃えたルルーシュの刃を防がねばならないわけだ、はっはっは。
ああ、あのVVとか言うのも危険かもしれないなあ。


…………無理だ。
この時点でもう私が自力で生き残る道はない。


とりあえず、すぐにでもエリア11にいるであろうバトレーを召喚するように臣下に命じて、私はベッドについた。
いつのまにやら誰かが気を聞かせてベッドルームに呼んだらしい義理の母上をどうやって追い返そうか考えながら。


父上、まだ現役だったんですね……まあ、母上でなかっただけましであったと思うべきか。

これで実の母上が自分に向かってしなだれかかったりすれば、今度こそ私は正気を保っていられなかったであろう。いや、今でも発狂できるならばしてみたいものだ、ふふふふふ。





………………頼む、我が騎士バトレーよ。
頼れるのはお前だけだ。一刻も早くそばに来て、どうか私を助けてくれ。

今の私には、ベッドにて薄着で横たわる稀代の美妃よりも、お前の頼りがいのある背中が恋しい。



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