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No.407の一覧
[0] Summoner and Knight[コダイ](2006/03/12 09:19)
[1] サモンナイト-2[コダイ](2006/03/06 16:28)
[2] サモンナイト-3[コダイ](2006/03/09 14:40)
[3] サモンナイト-4[コダイ](2006/03/12 09:43)
[4] サモンナイト-5[コダイ](2006/03/14 01:19)
[5] サモンナイト-6[コダイ](2006/05/14 02:15)
[6] サモンナイト-7[コダイ](2006/08/16 01:51)
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[407] Summoner and Knight
Name: コダイ 次を表示する
Date: 2006/03/12 09:19
聖王国、その辺境の村々。

騎士団の加護もここまでは届かず、はぐれによって襲われる日々…

それでも多くの村は自警団をつくり、安らかな日々を守っていた。

その中の一村、アクアヴィット…

ここ数年、はぐれの数が増え、この村は崩壊の危機にさらされていた。

周辺を深い森に囲まれたアクアヴィットははぐれが生活するには格好の場所だった。

そうしてはぐれは増えていき、気がつけば手に負えぬ数と化していた。

そして若い者、富んでいる者から村を離れていき…残されたのは宛てもない老人ばかり。

そんな村の酒場に、唯一村に残った男の若者がいた。

この酒場のマスターにして、村の自警団団長だった。

団長といっても彼を含め団員は二人しかいない。

いや…もはや彼一人だ。

もう一人の団員は本日、この村から逃げ出したのだ。

きっかけは昨日の朝、はぐれの群れの襲撃だった。

いつもの通り迎撃に出た二人はいつもと違う亀のようなはぐれが目に付いたのだ。

不運だったのはそれが強固な外殻を持つ亀型の召喚獣だったことだ。

素人といえ、長く戦ってきた彼らはいつもと同じように剣を振り下ろした。

しかしそのはぐれの外殻に当たるとあっさりと剣は折れてしまった。

まさか剣が折れるなどと考えてもいなかった二人はその場から逃げ出したのである。

結果、はぐれたちにより畑はあらされ、村は多大な損失を被った。

そして村の人々は自警団にその苛立ちをぶつけたのだ。

無論、皆わかっていた。これは不幸な災害なのだと。

誰の悪くはなく、まして自警団のせいなどではない。

それでも何かにぶつけなければ気が済まなかった。

二人ともその場は黙ってその八つ当たりを受け止めていた。

しかしその夜、相棒がこの村に心底嫌気が差したということを話した。

彼はそれをただの愚痴だと受け止め、特に気にはしなかった。

そして本日、朝起きて彼が相棒の家を訪ねたところもぬけの殻だったのである。

「もうちょっとまじめに聞いてやればよかったなぁ」

とはいえ今更そんなことを言っても始まらない

問題はあのはぐれである。

「もうあの剣で武器は最後だった…鍬とかであの外殻を破壊できるわけがない」

まして今回からは一人、隙をつくのも難しい。

「手詰まりだよな…」

そのとき村中に警鐘の音が響いた。それがはぐれの出現を表す合図である。

音の数とタイミングではぐれの場所を示しているのだ。

「1,2…1,2…村の正面からか。なめやがって」

少し悩んで彼は伐採用の赤錆びた手斧を片手に村の入り口まで向かった。

しかし酒場から出た瞬間、彼は愕然とする

「マジかよ…」

すでにはぐれは村の中に入り込んでいたのだ。それも一匹や二匹ではない。

昨日の亀、それが十五匹。もっとも彼は数える気すら起きなかったが…

「…!そうだ、警鐘を鳴らした奴…」

警鐘を鳴らしていたのなら逃げ遅れたかもしれない。

彼は踵を返し、警鐘台の方へ走り出す。

行く手を阻むようにはぐれが襲うが、幸いなことに動きはそれほど素早くない。

彼にも十分避けることの出来るレベルだった。

それほど広い村ではない。すぐに警鐘台にたどり着いた。

そこには一人の少女が包丁を持ち、果敢にもはぐれをにらみつけている。

「おいおい…」

その少女は彼の見知った人物だった。

忘れようもない。幼いころから兄妹のようにして育ってきた少女だ。

「早く逃げろ!!」

彼の声が彼女に届く。それでも彼女は動けない。

おそらく目の前のはぐれに背を向けて走り出した瞬間、襲われるだろう。

幾ら動きが遅いといっても隙を見せてしまえばそこにつけこまれる。

「くそ!」

走り出す。そして彼女の目の前のはぐれに手斧を振り下ろした。

これでダメージが与えられれば良し。悪くても隙を作り、彼女を逃がすぐらいは…

ガギィンッ

「くっ…」

手が痺れた。甲羅でもない手足の部分を狙ったにもかかわらず跳ね返された。

はぐれはそんなことを意にかえさず、ただ目の前の少女を狙っている。

「うおぉぉぉっ!!」

気合一閃、今度は全力で再び手斧を振り下ろした。

バキィッ

今度は手斧の柄の部分が折れ、刃がどこかへ跳んでいった。

「………」

はぐれは気だるそうにこちらを向き…その前足で彼の体を振り払った。

ドガッ

「!!…!」

飛んでいる。しかし次の瞬間にはすでに地面に叩きつけられていた。

「だ、大丈夫!?」

少女が彼に駆け寄る。

「はは…かっこわるい…な」

息も絶え絶えながら、彼は立ち上がる。

それでも彼には…いや、二人にはわかっていた。もうどうしようもない。

はぐれたちは周囲を包囲し、確実に逃げ場を失くしている。

「あ~…まだやり残したことがあったんだけどな」

彼がぼやく。

「私も…こんなことになるんだったらさっさと言っちゃえば良かった」

少女も間近に迫る死の恐怖をこらえ、死までの時間を少しでも有意義なものにしようとしていた。

「俺もだ…こんなことになるんだったら誕生日なんか待たないでさ」

「誕生日…?何をしようとしたの」

「秘密だ」

「何よ…どうせ最後なんだから教えてよ」

「次の世界で教えてやるよ」

「そ、じゃあ私も黙っておこ」

二人の目の前に死が迫る。

はぐれの口が開いた。中にはのこぎりのような牙が大量に見える。

「うわ、いたそ~」

「多分同時に食われるな…どうする、俺が先に食われて時間を稼ぐか?」

「冗談、一分足らずで何が出来るって言うの?」

少女の体がとうとう恐怖に耐え切れず震え始めた。

「そうか…じゃあ、一緒に行くか」

「うん、今までずっと一緒だったんだから…最後も一緒でいいじゃない」

二人が覚悟を決めた。そのときだった。

「…!!!」

銀色の光が走った。

「………」

ズ…ズン…

一瞬驚いたような表情を見せたはぐれがその巨体で大地を響かせ、倒れた。

そのはぐれの甲羅には深い切り傷があった。

「…大丈夫ですか?」

そこに立っていたのは自分より年の頃が七つか八つは下の銀髪の少年だった。

彼の手には良く磨かれた彼の髪の色と同じ銀の剣があった。

安物とはいえ剣をも砕いたその甲羅を断ち切っというのに、それは一切の刃こぼれはおろか曇りすらない。

「あ、ああ…」

「少し待っていてください。すぐに終わらせます」

少年が駆ける。彼が一度剣を振るうたびに一匹のはぐれがその巨体を沈めていく。

「強い…」

五分もかからず、少年はすべてのはぐれを倒していた。

「さて…あっちも終わったみたいだね」

少年が森のほうに目をやる。出てきたのはサプレスの悪魔の死骸を背負った機械兵士。

「お疲れ様、ザンテック」

ザンテックと呼ばれた機械兵士は悪魔の死骸を大地に置いた。

そして頭部だけ分離し、少年のそばで浮遊している。

「き…君は?」

彼の問いに少年は少し恥ずかしそうに答えた。

「クリュウ…ワイスタァンの鍛冶師です」


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