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No.40672の一覧
[0] まやかし[香ばしき男](2014/11/07 18:45)
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[40672] まやかし
Name: 香ばしき男◆6fde3d52 ID:1a4b7592
Date: 2014/11/07 18:45
歪む視界 

日に日に減り続ける食糧が
磨り減る精神が
呻き声が

私の心を蝕み続けるのだ

それでも生きたい
生きていたい

生きて行かなくてはならない理由がある

震える唇を手で押さえると乾燥しているのか血が滲んでいた

夢なら覚めてくれ。
これが現で無いのならば、それは果たしてそれは何であるのか

そもそも私たちの見る夢とは本当に夢なのか?

我々が夢と思っているモノこそが、現実世界だとしたら?

現実世界は夢の中を反映していたとしたら…

あぁ、私は夢を見ているのか
幼い頃に見た暖かな記憶
その温もりが皮膚を通して伝わってくる。
感覚が鋭敏になっていく
あの時の綿菓子の香り
人混みの気怠い熱気
私の手を引く大きな手が

まるで、夢ではない?

夢なのに感覚がある?
───────いや違う

これこそが現実だ。


そう思った瞬間だった

夢が現実に。
現実が夢に。

全てが逆転してゆく。

強い眠気を覚えた私は不意に目を閉じた。

次に目を覚ました時、私は驚愕をするのであった。


何に対して驚いたのかと言われると言葉に困る。
何故ならば


全てが驚きの対象になりうるからだ。


そう、私は夢の世界に入り込んだのだ。

いや、正確には現世と異なった現実の世界だ。

分かり難いとは思うが当の私にさえ良く分かっていない。

ただ確実に分かることと言えば、私が生きてきた記憶は、どうやら保持しているようだ。
更に、いつの間にか実家の自分の部屋に居ること。

そして、この世界は過去の自分が体験した世界に酷似したそれである───完全に同じではないが故に度々私の記憶と齟齬を起こすのだ。

しかし、変わらないこともあるようだ。
代表例は勉学などである。

これは私が習っていたものと同じように思える。
しかし、数学であれば公式そのものはあるが、それを生み出した人間が変わっているのだ。
まぁ、別段作成者が変わろうとも何の支障も無いのだが。


逆に変化が激しいもの、それは。

────人であった。

私の知っている有名人などは、この世界においては名前が違う。
その人だと断定出来るほど似ている人がこの世界には居て、やはりどこか違う。


完璧な複製ではない。
私が生きた過去と同じ方向へ進んではいない。

それだからこそ良い。
私は生きていたいのだ。

この世界は私への贈り物であろう。
私は随分と小さくなった自らの手を硬く握り締め、決心を新たにした。

もう一度、やり直す。
そして─────────────

『学校に遅れるぞ!!早く起きろ!』

この声の主は誰なのか、聞く限りは父のように聞こえるが…
私は一抹の不安を拭いきれずにいたが、とりあえずドアを開けて声の主のする居間へ向かった。

そこには、あまりにも懐かしい日々の記憶が内包されていた。

料理を慌ただしく並べる母。
テレビに夢中になっている父。
相変わらず寝起きが悪く寝癖が酷い姉。

全てが、あのときのままで。

私は不意に視界が滲んだ。
同時に肩が震えた。

初めまして、親愛なる家族


今はまだ見えない未来は。
私が過ごした未来は。
同じものにはさせない。

小さな希望を胸に抱いて。

私は生きていたい。



ふと思いつきで20分ほどで書きました。
雑文失礼致しました!
批評を頂けると大変嬉しいので、よろしくお願いしますm(_ _)m



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