「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、
王国に至る三叉路は循環せよ。閉じよ(みたせ)。閉じ
よ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たさ
れる刻を破却する。――――告げる。汝の身は我が下に、我
が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この
理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善
と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。されど汝はその眼
を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我
はその鎖を手繰る者――。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の
輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
強烈な稲妻と突風が吹き荒れ、中心には激しい光が輝く。
しかしそれも薄れてゆくとその光の中から人型が浮き彫りなった。
どうやら男性のようだった。
平安貴族風の紅色の着物と深海の様に濃い紺色の烏帽子。
顔はとても現代的でその上整っていた。
「おじゃむー! まったく難儀な事じゃ。和歌を詠んでいる最
中に呼び出すとはの。どうやら今度の主は反りが合わないので
おじゃる。」 そう言いながらずれた烏帽子を直しつつ、
自分を召還した主に視線を移した。
「して、そなたが麿の主でいいかの?」