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No.40089の一覧
[0] 【一発ネタ】艦隊これくしょん二次創作[鉄分不足](2014/06/29 12:01)
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[40089] 【一発ネタ】艦隊これくしょん二次創作
Name: 鉄分不足◆164cf233 ID:4756b139
Date: 2014/06/29 12:01
 最初に。
この物語は、僕がpixivで見た響きと兵士のおっさんと言うタイトルの絵を見て作った作品です。
投稿者MICさんの作品です。
それを見て勝手に想像した作品です。
表現もまだまだですが、読んでいただけたら幸です。


北方鼠輸送作戦にて。

「ねぇ、おじさん。 朝だ」
「ああ」

「雪、降ってきたね」
「ああ」

「スープ、美味しいね」
「ああ、暖まる」

「……艤装のね、修理が終わったんだ。 主機は無事、装備もできるだけの事はやって貰
った」
「うちの整備員は腕がいいからな」

「うん。 だからね、もう行くよ」
「……そうか」

「次の輸送部隊も、すぐに来る。 私もまた来るよ」
「ああ」
 
「……それじゃぁ、元気で。 死なないで」
「お嬢ちゃんこそ、道中気をつけな」

「不死鳥の名は伊達じゃないよ、信じて。次は特製のボルシチをご馳走するよ。私のは美
味いって皆に評判なんだ」
「そいつは楽しみだ。 待ってるよ」
  
「うん、また」
「……」
 おじさんは、また、という言葉に返事を返さない。私もおじさんも、次は分からないから……だから、これはおまじない。

 日をまたいで今日でちょうど1週間また此処にいる。
「ほらね、おじさん。また戻ってきたよ」
「ああ」
 警報が耳に届く。深海棲艦がこの海域に近づ居てきた事を知らせる音。
「大丈夫だよ、おじさん。そのために私達がいる。幸この海域は軽巡ヘ級が居るくらいだ。行ってくるよ」
「油断するな、死ぬなよ」
 もちろん、戦いである以上油断なんてしない。それがどれだけ弱い相手だろうと慢心は、死につながるを前線で戦い続ける私達も良く知っている。
「うん。戻ってきたら、ココアが飲みたいな」
「ああ、とびきりのを入れてあげよう。私の娘が気に入ってくれた程だ。味も期待してくれ」 
「うん、また」 
「……」
「戻って来いよ。お嬢ちゃん」
「うん。約束だ」
◆ 
「暁。敵の数は?」
 警報の音を聞いて一番手に集合場所に居たのは暁。
「響、もういいの?」
「うん。戻ってきたらココアをご馳走してくれるってさ」
「いいわね。ココア」
「なのです」
「ちょっと、あなた達早すぎだって」
 雷と電、夕張も警備をきり止め合流する。
「うーんっと。駆逐ハ級が3隻、軽巡ト級が同じく3隻ね」
夕張は軽巡でありながら同じタイプに比べると艤装を多く積める。それを生かして電探
を限界まで積んで索敵能力を上げ、出来る事なら戦闘の回避。それが出来ないのなら、先
制をして敵艦に致命傷を負わせるのを目的として部隊に配属されている。
 ちなみに、ドラム缶(輸送用)は駆逐艦組みが交替で運んでいる。
「それじゃ、早く終わらせて戻ろう。ココアが待ってる」
 そう答えると少し頬が緩む。けれど―――
「ちょ、ちょっとまってね……」
 次の瞬間夕張の声色が変わる。
 焦りと沈黙は不安を増幅させ伝染すもの。不安にあおられて、電は少し震えた口調で訊く。
「夕張さんどうしたのです?」
「うそ……ありえない」
 電に言葉を返す余裕すらなく、目の前の電探を見つめてる。
「ちょっと、もったいぶってないで教えなさいよ」
「総員撤退よ」
 理由もなしに夕張はそう答える。だけど、それで納得できるはずも無い。
「どういう……」
 暁の言葉を遮るように蒼白になった夕張は言い放つ。
「姫が……大艦隊を―――」
 遠征のために作られた部隊。かなり高い錬度を持っている私達でも到底敵う相手じゃない……
「わ、私は、おじさんに逃げるように行って来る」
 頭によぎるのはココアを作ってくれると約束してくれたおじさんの姿。
「ダメよ。行かせないわ」
「なんでだい?夕張」
 腕を捉まれ、夕張の瞳を見る。蒼白な顔をしていても、強い意志があって、私じゃきっとマネなんて出来ない。だって、これは我侭だから
「此処を落とされるよりも私達が轟沈した方があきらかに損害は大きい。知っているでしょ?艤装を扱える人間は限られた人に加えて男性には扱えない。此処で、たとえ1億の資源が消えるより艦娘の存在の方が価値があるの」
 艦娘なんて呼ばれてこそいるけど、艤装を扱えるだけで、ただの人間。
 ただ、艤装は使う人を選ぶ。けして、訓練された人がなれるわけではない。
 だから、圧倒的にその数がが少ないのが現状。
「分かっているよ。そんなの」
「なら!」
「早く行って、響」
 この言葉と同時に以心伝心で暁に加え雷、電が夕張を押さえつける。
「ちょっと、あなたたち」
「暁……」
「ちゃんと戻ってくるのよ」
 こくんと頷くと身を翻して、基地へと向かう。 
「まるで、これじゃ、私が悪者ね」
 響の背を見送りながら夕張はぼやく
「そんな事ないのです。夕張さんだって見殺しに出来なかったのですよね?だって、私達くらいなら振り切れたはずなのです」
「ああ、もう。どの道この海域は不味いわ。響を拾って横須賀鎮守府まで逃げるわよ」

「おじさん。おじさん」
「まだ、この基地に居たのか。逃げなきゃダメだろ?」
「姫が、姫がもうすぐそこまで来ているんだ」
「そうか……海路がダメになったんだね。姫、ということは空路もダメか」
「そんな事を言いに来たんじゃない!ここに居たら死んでしまうよ」
 普段無表情の響が顔をゆがめる。彼女には分かっていた。彼らは私達のために捨て駒になる気なのだと。
「だが、海路がだめになったら陸を行くしかない」
「おじさん達も一緒に逃げるんだ!」
「ははっ。こんな年端も行かない女の子に戦わせ続けるだなんて随分とダメな大人になったと思っていた所なんだ」
「何を言って……」
「お嬢ちゃんたちは陸へお逃げ。艦娘は陸では機動力がガタ落ちなのだろ。我々の方が陸では強い上がってきた駆逐型は1匹たりとも逃しはしないさ」
 そうだったね。彼女らは見た目相応だ。
 イヤで、受け入れがたくて、涙を流して必死に説得を続ける。
「次はボルシチをご馳走するって言ったでしょ」
「そいつは楽しみだ。腹をすかせなきゃな」
 未来をこの子達にしか託せない。なにを言われてもいい、せめて甘い嘘をつき続けよう……
「うん。だから、もう少し待っていてよ。すぐに出来るからさ」
「ああ」
 艤装は誰でも使える訳ではない。だから彼女のような子が命を賭けている。
 なんて、理不尽な世の中だ。
「本当に……もうすぐなんだって……」
「ああ、大丈夫だ。これが終わったらみんなで食べよう」
 必死になって説得をして我々を生かそうとさえしてくれている。
 歯がゆいばかりだ。我々には一緒に戦える為の力すら無いのだから……
「約束だよ?」
「……ああ約束だ」
「響!!」
 迎えが来たみたいだな。
「暁……」
 顔をくしゃくしゃにして泣く彼女の手を引いて二人は敬礼をする。
「またなお嬢ちゃん」
「うん……」
「ヒト、マル、サン、ハチ、現時刻をもってこの補給基地は戦闘を開始します。お早く」
 敬礼する私に手を伸ばす。
 でも、その手を取れるはずも無い。その手はゆっくりと空をきり掴む事の無い手を取って腕を下ろす。
 二人が見えなくなり、敬礼を解くと、いつも持ち歩いている物を手に取る。
「喜響(ききょう)。生きていればお前くらいの歳だったな」
 ペンダントの中に入っていたのは娘の写真。艦娘、響にそっくりだった。だから、あの子をこの目で見たとき俺は一度、救われている。
 亡き娘と重ねて自己満足に浸り娘だと心の中で思い会話をした。 
「お前は生きろ」
◆ 
「司令室から各員へ。最後の宴の準備だ。野郎ども!酒と武器を手に持て。敵は前方!あのクソったれ共だ!一匹たりとも逃すな!陸ならば我々に利があり!」
 基地から聞こえる、声の怒涛。
「帰ったら、もう一度酒盛りだ!!吐くまで返さねぇからそのつもりでいろ!!」

 あれから更に5日。
 補給基地は全滅。姫に襲われ、瓦礫なった補給基地で私達は使えそうな資源を集めている。
「全部、瓦礫になってしまったじゃないか……死んだら意味なんてない……」
 涙を見られるのがイヤで、補給基地だった場所を一人で回る。
 崩壊しきっていて見る影無いこの場所に、89式小銃とそれに絡み付いているペンダント。
 ペンダントを手に持つと何処かもう脆かったのだろう。ロケットペンダントは二つに割れ写真が現れる。
「私?それにしては少し幼いような」
 割れたもう片方には折りたたまれた手紙がある。
「なんだよ……これ……あまりにも理不尽じゃないか」
 手紙にはこう書いてある。
『これを見てる奴がいるって事は俺はもうこの世界にいねえって事だから、勝手に書こうと思う。
 俺の娘は、深海棲艦に殺されてもう居ない。
 そのはずなんだが、響。お前は俺の娘に似ている。
 だからなんだろうな、響と話してるとまるで娘と話してるみたいで、嬉しかった。
 勝手ですまない。お前が記憶喪失なのも勝手なこじつけだ。
 以前ココアが大好きだと言ってくれた事があっただろ?
 娘も大好きでな、全部お前と重なっちまうんだ。
 響。お前が喜響なのかどうかは、関係ない。
 お前には生きて欲しい。生きろ。
 これが勝手な俺の希望だ』
 以前に私が何処で拾われたのか提督に聴いたことがある。私の拾われた場所とおじさん
の故郷が全く同じだから親近感が沸くのだと思ってた。
 でも、このペンダントは私達の繋がりを証明してるような物。
 全部想像でしかないけど、全部が全部じゃあ出来すぎている……
「パパ……」
 言葉にすると驚くほど、すっと心に収まる。
 もしかしたら血の繋がった親子かもしれない。
 そう感じただけで、涙は止まらず……泣き続ける。
 どれくらいそうしていただろうか……泣きつかれて、涙さえ出なくなった時だ。
 泣き続けていたのが原因なのか頭が割れるように痛い。
 その痛みに耐えてると無くなったはずの記憶の断片がよみがえってくる。 
 確信した。彼はお父さんだ。
 私とパパは逃げている最中に深海棲艦に襲われた。
 私は、その時のショックで記憶をなくし、今の提督に助けられた。
 全て繋がってしまえば酷い運命だ……
「ありがとう。2度も身を張って助けてくれて。私は、強くなるよ。絶対に生き残る」
 ペンダントを握り締め、そして89式小銃を地面に突き立る。
「父さんまた来るよ。お墓参りに。そうしたら、またお話を聞いてくれるかい?」





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