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No.39833の一覧
[0] 【習作】 WAR DOGSーウォー・ドッグー[SETO](2014/04/17 22:47)
[1] 【始まりは突然に】[SETO](2014/04/21 07:18)
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[39833] 【習作】 WAR DOGSーウォー・ドッグー
Name: SETO◆05ac7168 ID:301a4123 次を表示する
Date: 2014/04/17 22:47






※使い古された感のあるVRMMOFPSが入り口となっております。

※TS転生、同性愛、暴力的な描写あり。

※上記の描写有り、注意してください。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼





荒れ果てた大地に突き刺さるように佇む高層ビルの廃墟の一つ。
そこに、伏せ撃ちの姿勢で対物ライフル【ダネル NTW-20】を構える少女の姿があった。
年齢は15〜6歳くらいだろうか。
彼女の淡いピンク色の髪と同色の獣耳が乾いた風によってゆらゆらと揺れる。

その隣には、大柄な狼面の男が双眼機を片手に少女の隣でうつ伏せになっていた。
鋭い牙が並ぶその口には少女の腕と同じ太さの骨をまるで葉巻かタバコの様に咥えている。
黒く大きな狼耳と尻尾がピクリと揺れた。

「・・・来たぜ。レイ」

「・・・OK、見えた」

男の声に【レイ】と呼ばれたピンク髪の少女は静かに呟く。
ダネルに取り付けられたライフルスコープを覗く青い瞳には砂煙を上げ爆走する5両編成の武装列車『フォートレス・トレイン』の姿があった。


男がおもむろに通信機の小型マイクのスイッチを入れた。

「・・・【サニー】。準備はいいか?」

《いつでも行けます!!ヴォルフさん》

男【ヴォルフ】が呟くと、無線機の向こう側からノイズ混じりに調子の良い少年の声が響いた。
その声を聞くとヴォルフはニヤリとほくそ笑み、「やれ」と呟いた。


ドォォォン!!!!


腹にドスンとくる鈍い爆発音が遠方から響いた。
レイはスコープ越しに列車が爆発、横転する様をリアルタイムで眺めていた。暫く立つと生き残ったプレイヤー達が何か騒ぎたてながら列車から出てくるが、3kmも離れたこの場所からは何を言っているのかさっぱりわからない。

《うぉりゃああああああ!!!!》

無線機から雄叫びが聞こえると同時に、レイの視界にゴリラとよく似た形状の人型ロボットが列車の残骸とプレイヤーを蹴散らしながら現れた。

サニーが保有し操作する【人型局地戦闘車両(グランド・ウォーカー)『シルバー・バック』】だ。

《吹き飛べェェェェェ!!!!スパイラルパァァァァァンチッッッ!!!!》

雄叫びと共に、凄まじい勢いで回転する右腕を地面に叩きつけた。
衝撃と回転によって生まれた暴風が残骸とプレイヤーを巻き込む巨大な竜巻になって襲いかかる。

「・・・なんだよ、“スパイラルパンチ”って」

「あいつが徹夜で考えた右腕武器攻撃の名前なんだとよ」

「あっそ・・・」

レイが呆れた様な声を漏らしたとき、轟音と共に赤色に塗装された3機の人型グランドウォーカーが空から降ってきた。
レイの顔に獰猛な笑みが浮かんだ。

「・・・おいでなすったな」

「ゲーマーID確認。間違いない、“ターゲット”だ」

ダネルをしっかり押さえ、狙いを定める。

「あのグランドウォーカーは・・・『ヘクトル』だな。アイツは背中のジェットパックが弱点だ。そこを狙え」

「・・・了解」

ふぅぅ、と息を吐き。引き金に指をかけ、狙撃の瞬間を待つ。スコープの先には、3機でシルバー・バックに一方的な攻撃を食らわせるヘクトルの姿が映っていた。





「今だ、撃て」

ドゥン!!ガシャン!

射撃、ボルトを引いて排莢、装填。

ドゥン!!ガシャン!

射撃、ボルトを引いて排莢、装填。

ドゥン!!ガシャン!

射撃、ボルトを引いて排莢、装填。

計3発、リズム良く放たれた弾丸は吸い込まれる様にそれぞれのジェットバックに命中し、爆発した。

「Удивительно!!(素晴らしい! !)。いい腕してるぜレイ」

「褒めるのは後にしてくれ、残党が残ってる」

感嘆の声を上げたヴォルフに対しレイは、淡々と敵を狙撃して行った。
そして、銃声が止み。静寂を取り戻すと電子音と共に上空にメッセージが浮かび上がった。

『クラン【WAR DOGS】がクラン【Brotherhood】を殲滅しました!!』

『クランランク上昇!!155位→95位になりました!!』

「上位クランだったから返り討ちにされるかと思ってヒヤヒヤしたけど対したことなかったな」

《ヴォルフさんの作戦が上手く行ったね!!》

「いやいや、お前さん達が上手くやってくれたおかげだよ。・・・さて、これからどうする?クランランクが2桁代に突入した記念を評して拠点で一杯やるか?」

「んー、悪い。そろそろ寝ないと明日ヤバイ」

「あー、そういやレイは学生だったな?大学か?」

「まっ、そんなとこ」

《僕は、シルバー・バックを修理にだしたいのでそのあとならば》

「了解だ。そんじゃ、皆。お疲れ」

《お疲れ様でした〜〜〜》

「お疲れ」






「・・・ふぅ。くぁぁぁ、全身バキバキだな」

ヘッドギアを外すと、俺は欠伸をしながら背中や首をポキポキと鳴らす。瞼が重い、時計を見ると深夜二時を回っていた。

「やべやべ、ついやり過ぎちまった」

そう言って、俺はふと、視線を勉強机に無造作に置いてあるゲームソフトに移した。

『フロンティア・プラネット』と描かれたそのゲームは、この世にVR(ヴァーチャルリアリティー)ゲームが発売された当初から今まで、人気の耐えることのないVRMMOFPSである。

『人類と異星人との戦争から数十年後の地球』を舞台としたこのゲームは、よくあるファンタジーゲームで基盤にされやすい『剣と魔法のファンタジー』をあえてぶち壊した『現代兵器と巨大ロボットのミリタリー色強めのファンタジー』というかなりぶっ飛んだ世界観がこの作品の特徴だ。


かなり突飛な作風だが、このゲーム。細かいところまでトコトンこだわって作っており、ゲーム内で知り合った友人は「制作者の真剣さが伝わってくる良作」と評して惚れ込んでいた。自分もその意見にはおおむね賛成だし、おそらくは常連プレイヤーのほとんどがそう思っていることだと思う。おそらくはここが人気作となった要因の一つなのだろう。
で、俺もこのゲームに惚れ込んでここまでのめり込む程になっていた。

「・・・ふぁぁ、さて。明日はどこのクランを潰そうかな?」

そんな物騒な事を口走りながら、俺はベットに横になった。
すぐに瞼は重くなり、やがて意識は闇に包まれた。






























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