別に俺が正しいとは言わないが、この世界の世間の目という奴は何でこうも厳しいのだろうか。
俺はただ自分が好きなものを好きと言っているだけなのに、世間の目は俺を冷たく突き離す。
それどころか、俺を犯罪者という者までいる。
言っておくが、俺は犯罪行為なんてしたことはない。
むしろそんな野蛮な連中と一緒にされたくはない。
俺のそんな願いも空しく世間の目は俺を犯罪者を見るような目で見てくる。
だから俺は、旅に出た。
そう。
俺の理想郷を実現のものに出来る新世界を探しに。
まぁ。その理想郷というのは、幼女と仲間良くしても警察が追いかけて来ない世界のことなんだけどね。
こんな束縛だらけの国に居ては死んでしまう。
そう思った俺は、自分で作ったイカダに乗って日本を飛び出した。
制作期間は一ヶ月で作り上げた。
そんなイカダにつけた名前はイカちゃん。
そんな相棒に乗って俺は日本を飛び出したのだ。
それで現在。
俺は海のど真ん中にいる。
「はぁ。青い空、白い曇、清々しい風」
海の上を航海しながら俺は独り言をいう。
「さてさて、俺の理想郷はどこにあるのかなぁ」
双眼鏡を覗きながら辺りを見渡す。
でも、見えるのはどこまでも続く海ととてつもなく巨大な高波。
・・・。
まてよ?
高波?
俺は今、高波と言ったのか?
俺は、そんな自問自答をしながらもう一度双眼鏡を覗く。
「うわー。スゲェな・・・」
むしろ、そんなものを見なくても大きな水の壁は俺のすぐ傍まで迫っていた。
「て、見てる場合じゃねぇ!!!」
俺は急いで逃げようとするが時すでに遅く、俺は高波に呑まれてしまった。
「ぎゃあああああああ!!!」
一ヶ月も掛けて作成したイカダは意図も簡単に粉々に壊れてしまい、俺も海に投げ出されてしまった。
「ガボガボッ!!」
どうにか俺は海面に出ようと試みるが、水分を含んだ衣服は予想以上に重くどんどんと海の底に沈んでいった。
その瞬間、俺は確信した。
俺はこのまま死ぬんだと。
チクショウ。
俺はこのまま誰にも気づかれることなく一人寂しく朽ちていくのか。
最悪だ。
本当に最悪だ。
そんなことを思いながら、俺の意識は深い闇の底に沈んでいった。
※
・・・。
「なに、コレ?」
浜辺に何か流れついていないかと見に来て見れば、何かとんでもないものが流れついていた。
「ど、どうしよう」
とりあえず、生きているのかを確認したいのだけど、近づくのは怖い。いや、正直気持ち悪い。
私はとりあえず、そこいらに落ちている本の棒で突っついて見る。
「ん。うーん」
何度か顔を突っついていると、地獄から這い出てきた悪魔のような呻き声をあげる。
「ヒッ」
私は思わず後退りしてしまう。
「で、でも・・生きてる?」
でも、それ以降の反応がない。
「もしかして人工呼吸とかしなきゃダメ?」
浜辺に倒れているそれに再び恐る恐る近づき馬乗りになる。
怖いけど、生きているのなら助けたい。そんな思いが私の中を駆け巡る。
「よし。がんばれ私!」
私は覚悟を決めて自分にエールを送ると、ゆっくりそれの口に顔を近づけていく。
※
・・・。
徐々に意識がハッキリとしていく。
どうやら、俺は生きてるらしい。
ツンツン。
ツンツン。
ん?
何かで突っつかれているようだ。
くすぐったい。
「ん。うーん」
声を出そうとするがうまく舌が回らなかった。
結果。まるで化物のような声になってしまった。
「ヒッ」
誰かの声が聞こえた。
俺の耳がおかしくなっていなければ、声の主は女の子だ。しかもロリっ娘。
「もしかして人工呼吸とかしなきゃダメ?」
そんな声が聞こえた。
人工呼吸だと?
なんだその嬉しすぎる展開は。夢にまで見た展開じゃないか。
さて、こうしてはいられない。俺に人工呼吸をしてくれる娘の顔でも拝見しますか。
お陰で意識も大分ハッキリとしてきたので、俺はゆっくりと目を開けてみる。
気づかれないそうにゆっくりと。
お。おぉ!!!
俺の視界に入ってきたのは、紛れもない俺好みのロリっ娘だった。
しかも、その娘は俺に馬乗りになりながら口付け、いや。人工呼吸をしようとその
柔らかくて可愛らしい唇を近づけていた。
今すぐにも、その唇にしゃぶりつきたいという願望を押し殺して俺は人工呼吸が開始されるのを待つ。
さぁ来い。幼女よ。
俺の唇はいつでも君の唇を受け入れるぞ!!
・・・。
あれ?
あと数センチで俺の長年の夢が叶うという所で、何故か俺は幼女と目が合った。
興奮し過ぎて俺は目を開き過ぎたのだ。
「・・・」
俺の顔のそばで幼女完全に固まっていた。
そしてその3秒後。
「きゃあああああああああああ!!」
「えぇーーー!?」
地を砕くような悲鳴と共に幼女の鋭いビンタが俺の顔面に炸裂した。
「ぎゃあああああああ!!!」
その華奢な身体のどこからそんな力を出したのは知らないが、俺はそのまま海に飛ばされた。
「・・・」
いや。
確かに人工呼吸は失敗したが、俺の願望その二の幼女にビンタされるというのは実行に成功した。
まぁ。
なんだか思っていた始まりとは大分違っているが、こうして俺と幼女のハーレムライフが始まったのだ。
これからどうなるのか若干不安ではあるが、まぁどうにでもなるだろう。
俺はそう結論付けて再び海の中で意識を失った。