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No.39673の一覧
[0] 「終わりの時と新しい始まり」   テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー[流星](2014/03/19 21:26)
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[39673] 「終わりの時と新しい始まり」   テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー
Name: 流星◆9ca20e37 ID:b241ec64
Date: 2014/03/19 21:26
 ここはパスカ。その寿命を間もなく終える世界だ。世界樹は人々の生きる源となるエネルギー、マナを生産できなくなり、人々はの恵みを失った。絶望にくれる者、静かに死を待つ者とさまざまだった。
この世界を守るために世界樹が生み出したディセンダー、カノンノも世界の終わり、そして自らの死を静かに受け入れた者の1人だった。

「色々なことがあったな・・・」
 カノンノは自身が『アドリビトム』と慣れ親しんだギルドの、自室のベッドで横たわっていた。
世界樹のマナそのものが彼女の生命力だ。マナが生み出せない今、彼女も身体を動かすこともままならなかった。死ぬのが怖くないと言えば嘘になる。ディセンダーとして過ごした数千年という人生、悔いがないとも言えない。しかしカノンノは不思議と今は安らかな気持ちだった。こうやって目を閉じると真っ暗な世界にあの日の思い出たちが眩くあふれてくる。


 カノンノは一度、このパスカを裏切った。世界のマナをめぐって繰り返される戦争。激しい貧困の差。それでも絶えることのない争い・・・。カノンノはディセンダーとして、人々の説得を続ける日々を送っていた。しかし、ほとんどの者は彼女の言葉に耳を貸そうとせずに、争いは激しさを増すばかりだった。そして欲望に取り付かれた人々はディセンダーであるカノンノの力も我が物にしようと企んだ。そのときの人間の顔は今でも忘れられない。凶器に狂い、欲望の踊り子となった人間の顔とは、あそこまで恐ろしくなるものなのか?思い出すだけで鳥肌が立つほどだ。人間たちの凶器は彼女の心に恐怖を植えつけた、恐怖から逃れるため、自身もやがては凶器に染まるようになった。
 『とある事件』が起きた。それがすべてのきっかけだった。カノンノは凶器に身を捧げ、鬼神となった。パスカの人々を、逃げまとう者も、女子どもさえも皆殺しにした。そこにディセンダーはいなかった。人一人いない世界で血の海に沈んだ彼女は、自身がしてしまったこと、自身をここまで追い詰めた者たちに絶望にした。わけもわからず、状況判断能力を拒むように泣き叫んだ。泣き叫んでも帰ってくるのは自分の声ばかり・・・。
このような日がどのくらい続いただろう。そんなカノンノの目の前に一人の男が現れた。彼の名はウィダーシン。ギルガリムという世界のディセンダーだと言う。彼は自分たちと共に、滅びることの無い永遠の世界を築こうと言ってきた。そのためにはさまざまな世界をギルガリムに食べさせなくてはならないとも言った。カノンノは、新しい滅びることのないパスカを作ってもらうことを約束し、この誰もいない今のパスカをギルガリムに捕食させ、彼の部下となった。

ウィダーシンが眼をつけたのはテレジアという世界だった。
思い出しても良い気持ちがしない。だが、このことがあったことで今のカノンノはいるのだ。

「ハウル・・・」
 カノンノは自分を変えてくれたテレジアのディセンダーの名前を口にした。赤い髪をした炎のような少年。乱暴でどこか幼くて、寂しがりやな少年のことを。


テレジアのマナは強力だった。マナを弱らせようとしたカノンノは逆にその巨大なちからはじかれ、その衝撃で記憶をなくした。その間に起きたこと・・・。アイリリーという町のギルド、アドリビトムという組織に入った。この町はガンゼルという者の支配下になり、外の町との交流もできない閉鎖された街だった。故にギルドは人々の支えになっていた。狩をしたり、モンスターを倒したり、色々な仕事を通して、苦しいことや楽しいことを分け合いながら、人々とふれあい、たくさんの仲間たちと出会うことができた。そして間もなく、このテレジアの世界樹が生み出したディセンダーとして生まれてきたハウルと、ヤウンという世界のディセンダー、モルモと出会ったのだ。
彼らと共にガンゼルと戦い、アイリリーを開放した。まだ記憶が戻っていないカノンノは、ありもしない故郷を探すため、彼と共に旅に出た。今まで以上ににたくさんの人に出会い世界観はグンと広がった。だが、彼女には無くしたと思っていた記憶がいつも気になっていた。
そしてとあるきっかけで記憶を取り戻したとき、彼女は絶望にくれた。自分の大好きなこの世界を自分はギルガリムに捕食させるためにここへ来たという真実。一人で悩んで出した結論、それはこの世界をギルガリムに食べさせることだった。彼女はアドリビトムのメンバーとしてではなく、パスカのディセンダー、ウィダーシンの手下、カノンノとしてハウルたちに戦いを挑んだ。

ハウルたち仲間と呼んだ者を思う気持ち、新生パスカを誕生させたいと願う気持ち。カノンノは二つの自分の気持ちに引き裂かれそうになりながら剣を抜いた。そのままハウルと仲間の手によって朽ち果ててもよいと思っていた。
「私はパスカを復活させる!そのためには力が必要なの!!!」
 カノンノの叫びとともに、大地がさけ、ギルガリムが出現した。
「・・・ギルガリム・・・!なにをするんだ!!カノンノ!!」
「ドーブルーンをギルガリムに食べさせるわ・・・」
 自分でも寒気がするほど冷たい声が出た。
「やめてよ・・・、カノンノ・・・」
 モルモの悲痛の叫びがカノンノの心を鋭く突いた。
「・・・私を倒せばいいわ・・・」
「そんな・・・」
 モルモはもはや泣き出しそうだ。
「お前と、・・・カノンノとは戦えるわけないだろうが!!」
 ハウルが搾り出すように言う。
「それでも、もう止められない。止められないのよ!!!・・・私は戦うわ、あなたと・・・!!」
 カノンノはそれだけ言うと、決別を意味するようにバスタードソードを抜き、ハウルに切りかかった。
「くそ!!!」
 ハウルは叫んですぐに応戦した。苦しく悲しく激しい戦いが続いた・・・。

 そして激闘の末に勝利を収めたのはハウルたちだった。4vs1、当然と言えば当然かもしれないが、カノンノが力を解放すれば勝てない戦いではなかった。だが力を出せなかった。これが自分が望んでいたことだったのだから。
「・・・私の負けよ、とどめをさしてよ・・・」
 そう言うカノンノにハウルは予想しない行動をとった。
「一緒に戦おうぜ。そんでカノンノの故郷、パスカだって取り戻す!」
 ハウルから帰ってきたのが今の言葉だ。そしてカノンノに暖かい手を差し出してくれた。
「わ、私は、またみんなを裏切るかもしれないのよ、それなのに、どうして・・・!!」
「そのときは何度だって止めてやるよ。俺はディセンダーだからな!困ってる女を助けないわけにゃいかないぜ」
 明らかにらしくない言葉を放ち、真っ赤な顔を見せるハウル。屈託の無い恐れを知らない瞳。ディセンダーとしてではなく、心を持つ者としてどれだけ憧れただろうか。そのままハウルはカノンノの頭の上に優しく手を置き、頭を撫でてくれた。それは彼女がずっと忘れていて、ずっと求め続けていたぬくもりだった。
「う、うわあああああああああ・・・。ありがとう・・・。ありがとう・・・。ハウル・・・」
 何年ぶりに心の底から泣いただろうか。絶望や恐怖で流す涙ではない。喜びであふれる涙・・・。カノンノはもう一度一からやり直そうと決意することができた。

 そしてウィダーシンを倒して、テレジアのマナのおかげでパスカも元に戻った。カノンノも自分の世界、パスカへ戻ることができた。

彼女が一番最初に行ったことは、アドリビトムという名のギルドを立ち上げ、そこのリ-ダーになることだった。最初はたった一人で始めたギルドで小さなお手伝いから始まった。しかし、時間が経つにつれて彼女の元で働きたいと言う者も増え、アドリビトムは少しずつ成長していった。

「そういえば、チャットが船を使ったギルドをすれば、より広い範囲で人々を助けられるって船をくれて、自分が船長になっちゃたんだったな・・・。ジェイドって軍人さんは性格は最悪だったけど、今考えると若作りだったな・・・。部下のガイは女性が好きなのに、女性恐怖症。すごくカッコイイ人だったのに・・・。クロエは男勝りだったけど、すごく女の子らしい子だったな・・・。ヴェイグは口を開くとクレアクレアって叫んでたのに、結局は振られてアニーって人と結婚したんだよね・・・」

 目を閉じれば、思い出たちは、いくつもいくつも駆け抜ける。カノンノも思わず笑ってしまう。
「ねぇ、ハウル。私のこのたくさんの思い出たち、あなたとも分け合いたい。そしてあなたのテレジアの思い出にも触れさせてほしい・・・」
 ふいにカノンノの姿がろうそくの火のように揺れかけた。一瞬、彼女の意識が消え、次に意識が戻ったときには真っ暗だった。視力を失ったのだ。
「・・・もうすぐだね・・・」
 カノンノは静かにつぶやく。視力を失った今の方が思い出たちはより鮮明に思い出すことができる。

 ハウルの声、温かい手で頭を撫でられる感触。無邪気で澄んだ瞳。どんなことにも恐れずに立ち向かう大きな背中。そしてその姿こそが周りを元気付け、自分を変えてくれたのだ。

「・・・私、もし、今度生まれ変われるとしたら、ディセンダーじゃなくて、人間になりたい。普通の女の子になって、そしてハウル、もう一度あなたに会いたい。いっぱいお話がしたい。いっぱい、いっぱい・・・」

 世界が縮んでいく。マナが無くなり、身体が消える。もう肉体を構成できないのだ。パスカの寿命はもうそこまできている。もうすぐこの世界は終わってしまうのだ。

「ハウル・・・。みんな・・・」

 それがパスカのディセンダー、カノンノが放った最期の言葉だった。
パスカという世界は長い寿命を全うして、今、ディセンダー、カノンノと共に永久の眠りに着いた。



ザザザザザ・・・・。
ここはグラニデという世界。波の音に耳を傾けながら、1人の少女が『バンエルティア号』という船から世界樹を眺めていた。
「パニール、洗濯物、取り込んだよ」
「ありがとうカノンノ。さて、と私はこれから恋愛小説を読みながらお茶を飲む、幸せタイムの時間よ♪」
 パニールと呼ばれた、どこかモルモに似ている生物(口調から女性だろう)は、おほほほっと微笑を向ける。
「私はおやつタイムかな」
洗濯物を干していた少女は『カノンノ・イアハート』。ピンク色のショートヘアーに、水色の強調したセーラ服姿が特徴的な外見をしていた。
「あ・・・」ふいにカノンノは、何かに気付いた。
「どうしたの?カノンノ」
「今、世界樹が光った・・・。まるで、なにか出したみたい・・・」
 そうつぶやいた矢先のことだった。

 ヒューーーー!!!ドガン!!!

空からなにか降ってきて、パニールとカノンノの前の床に叩きつけられた。
「はわわわわわわ!!!ひ、人が、人がふってきてわわわわわ!!!」
「パニール!!落ち着いて!!と、とにかく船の中に運ぼう」
 カノンノはこのとき、肩に背負った少女の顔を見て、不思議な感覚を覚えた。初めて見る顔なのに、どこか懐かしく、とても穏やかな気持ちになれた。

「あなた、名前はなんて言うの?」
「・・・アタシ・・・は、シャイナ・・・。シャイナ・セレデーナ・・・」
「シャイナって言うんだ。いい名前だね」
「あ、ありがとう・・・」
 シャイナには『記憶』がなかったが、このピンク色の髪をした目の前の少女からは、なんとなく懐かしい香りがした。記憶が『無い』のに『懐かしい』。つまり『過去』が『在った』ような矛盾した感覚だが、不愉快ではなかった。むしろその感覚にシャイナは身を任せたほどだ。
「あ、自己紹介がまだだったね。私はカノンノ。カノンノ・イアハート。これからよろしくね。シャイナ」
「・・・うん、よろしく。カノンノ!」

 2人の少女は互いに笑顔を向け合った。この瞬間から再び、新しい物語が始まる。舞台はここテレジアとパスカのマナから産まれた世界『グラニデ』。彼女たちを乗せた『自由の灯火』の意味を持つギルド『アドリビトム』の世界を巻き込んだ大冒険はここから始まった。





あとがき

こんばんは流星です。まずはここまでのご愛読をありがとうございました。レディアントマイソロジーシリーズは私が好きなゲームの1つです。前にいたテイルズ投稿小説サイトでは一話完結で、たくさん書いていました。
これはその中の一番最初に書いたもので、パスカが滅びる場面です。
グラニデでの新しい出会いやら、文面やらはテイルズ小説サイトからだいぶ変更させています。

ドラクゴンクエスト小説などと共に、マイソロ2、3も、書いていきたいと思っています。オリジナルキャラの設定も出していくので、皆様、どうぞよろしくお願い致します。


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