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No.3960の一覧
[0] これはひどいオルタネイティヴ(ぶち壊し注意)[Shinji](2008/08/24 12:52)
[1] これはひどいオルタネイティヴ2[Shinji](2008/08/25 11:13)
[2] これはひどいオルタネイティヴ3[Shinji](2008/08/25 11:11)
[3] これはひどいオルタネイティヴ4[Shinji](2008/08/26 04:35)
[4] これはひどいオルタネイティヴ5[Shinji](2008/08/26 23:24)
[5] これはひどいオルタネイティヴ6[Shinji](2008/08/27 20:54)
[6] これはひどいオルタネイティヴ7[Shinji](2008/08/28 16:19)
[7] これはひどいオルタネイティヴ8[Shinji](2008/08/29 20:22)
[8] これはひどいオルタネイティヴ9[Shinji](2008/08/30 23:24)
[9] これはひどいオルタネイティヴ10[Shinji](2008/08/31 22:48)
[10] これはひどいオルタネイティヴ11[Shinji](2008/09/01 21:59)
[11] これはひどいオルタネイティヴ12[Shinji](2008/09/03 08:21)
[12] これはひどいオルタネイティヴ13[Shinji](2008/09/05 10:13)
[13] これはひどいオルタネイティヴ14(+用語ver1)[Shinji](2008/09/07 08:57)
[14] これはひどいオルタネイティヴ15(+伊隅戦乙女隊ver1)[Shinji](2022/04/20 02:22)
[15] これはひどいオルタネイティヴ16[Shinji](2008/09/11 14:52)
[16] これはひどいオルタネイティヴ17[Shinji](2008/09/13 17:38)
[17] これはひどいオルタネイティヴ18(+伊隅戦乙女隊ver2)[Shinji](2008/09/16 23:33)
[18] これはひどいオルタネイティヴ19[Shinji](2008/09/19 22:36)
[19] これはひどいオルタネイティヴ20[Shinji](2008/09/23 02:45)
[20] これはひどいオルタネイティヴ21(+用語ver2)[Shinji](2008/09/26 21:20)
[21] これはひどいオルタネイティヴ22(+第207衛士訓練部隊)[Shinji](2008/10/02 22:28)
[22] これはひどいオルタネイティヴ23[Shinji](2008/10/09 19:42)
[23] これはひどいオルタネイティヴ24[Shinji](2008/10/23 01:55)
[24] これはひどいオルタネイティヴ25[Shinji](2008/10/31 02:49)
[25] これはひどいオルタネイティヴ26[Shinji](2008/11/22 04:34)
[26] これはひどいオルタネイティヴ27[Shinji](2008/11/25 18:05)
[27] これはひどいオルタネイティヴ28[Shinji](2008/12/14 03:54)
[28] これはひどいオルタネイティヴ29[Shinji](2009/01/11 03:35)
[29] これはひどいオルタネイティヴ30(前編)[Shinji](2009/01/17 04:11)
[30] これはひどいオルタネイティヴ30(中編)[Shinji](2009/01/21 01:11)
[31] これはひどいオルタネイティヴ30(後編)[Shinji](2009/01/28 12:16)
[32] これはひどいオルタネイティヴ31 2009/02/08 00:31[Shinji](2009/05/17 17:57)
[33] これはひどいオルタネイティヴ32[Shinji](2009/02/19 03:33)
[34] これはひどいオルタネイティヴ33[Shinji](2009/04/10 04:03)
[35] これはひどいオルタネイティヴ34[Shinji](2009/03/26 08:07)
[36] これはひどいオルタネイティヴ35[Shinji](2009/03/30 03:38)
[37] これはひどいオルタネイティヴ36(前編)[Shinji](2009/04/08 22:44)
[38] これはひどいオルタネイティヴ36(後編) 2009/04/14 04:28[Shinji](2009/05/17 17:53)
[39] これはひどいオルタネイティヴ37 2009/04/24 06:26[Shinji](2009/05/25 00:10)
[40] これはひどいオルタネイティヴ38[Shinji](2009/05/10 00:10)
[41] これはひどいオルタネイティヴ39(前編)[Shinji](2009/05/12 20:01)
[42] これはひどいオルタネイティヴ39(中編)[Shinji](2009/05/14 23:55)
[43] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)①[Shinji](2009/05/17 05:05)
[44] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)②[Shinji](2009/05/25 02:35)
[45] これはひどいオルタネイティヴ40①[Shinji](2009/06/01 01:54)
[46] これはひどいオルタネイティヴ40②[Shinji](2009/06/05 02:47)
[47] これはひどいオルタネイティヴ40③[Shinji](2009/06/11 02:49)
[48] これはひどいオルタネイティヴ40④[Shinji](2009/06/14 06:03)
[49] これはひどいオルタネイティヴ40⑤[Shinji](2009/07/02 03:10)
[50] これはひどいオルタネイティヴ41(前編)[Shinji](2009/07/13 01:30)
[51] これはひどいオルタネイティヴ41(中編)[Shinji](2009/07/28 19:03)
[52] これはひどいオルタネイティヴ41(後編)[Shinji](2009/08/16 04:00)
[53] これはひどいオルタネイティヴ42[Shinji](2009/08/27 00:58)
[54] これはひどいオルタネイティヴ43(前編)[Shinji](2009/09/10 23:51)
[55] これはひどいオルタネイティヴ43(中編)[Shinji](2009/09/20 09:43)
[56] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)①[Shinji](2009/10/07 07:49)
[57] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)②[Shinji](2009/10/10 22:26)
[58] これはひどいオルタネイティヴ44(前編)[Shinji](2009/11/11 20:38)
[59] これはひどいオルタネイティヴ44(後編)[Shinji](2009/11/17 03:24)
[60] これはひどいオルタネイティヴ45[Shinji](2009/12/04 11:35)
[61] これはひどいオルタネイティヴ46(前編)[Shinji](2009/12/07 06:52)
[62] これはひどいオルタネイティヴ46(後編)[Shinji](2009/12/20 00:54)
[63] これはひどいオルタネイティヴ47(前編)[Shinji](2010/01/26 07:13)
[64] これはひどいオルタネイティヴ47(後編)[Shinji](2010/01/29 14:19)
[65] これはひどいオルタネイティヴ48(前編) 2010/02/20 03:44[Shinji](2010/02/23 04:16)
[66] これはひどいオルタネイティヴ48(後編)[Shinji](2010/03/04 12:24)
[67] これはひどいオルタネイティヴ48.5[Shinji](2010/03/06 20:21)
[68] キャラクター注目度ランキング(~2010年03月09日)[Shinji](2010/03/09 18:23)
[69] これはひどいオルタネイティヴ49 2010/03/14 07:03[Shinji](2010/03/15 12:47)
[70] これはひどいオルタネイティヴ50 2010/04/08 07:58[Shinji](2010/04/10 03:15)
[71] これはひどいオルタネイティヴ51(前編)[Shinji](2010/04/18 14:51)
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[75] これはひどいオルタネイティヴ53[Shinji](2010/10/06 05:34)
[76] これはひどいオルタネイティヴ54[Shinji](2011/03/29 08:19)
[77] これはひどいオルタネイティヴ55[Shinji](2011/04/02 07:48)
[78] これはひどいオルタネイティヴ56[Shinji](2011/05/16 11:26)
[79] これはひどいオルタネイティヴ57[Shinji](2012/08/02 01:56)
[80] これはひどいオルタネイティヴ58[Shinji](2012/09/01 14:35)
[81] これはひどいオルタネイティヴ59 2012/10/29 15:03[Shinji](2012/11/03 14:33)
[82] これはひどいオルタネイティヴ60 2012/11/02 17:30[Shinji](2012/11/03 14:34)
[83] これはひどいオルタネイティヴ61[Shinji](2012/11/07 21:35)
[84] これはひどいオルタネイティヴ62[Shinji](2013/02/17 10:44)
[85] これはひどいオルタネイティヴ番外編[Shinji](2009/04/14 02:45)
[86] これはひどいオルタネイティヴ番外編②[Shinji](2009/10/15 18:11)
[87] これはひどいオルタネイティヴ番外編③[Shinji](2010/11/04 17:45)
[88] これはひどいオルタネイティヴ(登場人物+用語)[Shinji](2010/10/10 03:07)
[89] これはひどいオルタネイティヴⅡ(原案)[Shinji](2022/03/24 21:32)
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[3960] これはひどいオルタネイティヴ58
Name: Shinji◆b97696fd ID:1391bf9d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/01 14:35
これはひどいオルタネイティヴ58




2001年12月17日 午後




≪コッコッコッコッ……≫


「純夏」

「うん」


純夏と並んでPXを目指す事 数分後。

特有の騒がしさと共に到着を察した俺は、一言 告げると彼女は浅く頷き一歩下がった位置で歩みを進める。

そしてPXへと到着するとピークは過ぎていた為か其処まで人は多く無く、席の埋まりは6割程だった。

しかし唯依たちの姿は無いので席の周辺に目を移してみると、広い空間の隅に11名の女性達の姿が有った。

ウチいち早く俺に気付いたのは唯依&まりもちゃんで……此方が発見した時には既に近付いて来ている。

それに続いて他の娘達も寄ってくるワケなのだが、彼女達の後方を見てみると。

何故か霞はブリザと手を繋いでおり、トコトコと歩み寄って来るのが可愛く見えました。


「こんばんわ。白銀少佐」

「訓練お疲れ様、篁中尉。経過は順調だったかい?」

「恐らく滞り無くは。詳しくはテレサ中尉が報告書を作成されるとの事です」

「把握。じゃあ大まかな話は食事をしながら聞こうか」

「はいッ! ……あッ……?」

「(見慣れない鑑さんの存在で……皆さんの心に疑問が走ったみたいです……)」


――――さて置き。

俺&純夏の前まで来た面々は当然 最初は俺ダケに注意を向けていた。

よって"もう一人"の存在に気付いた時には、既に注目は自分にでは無く純夏に移っていた。

それに対して俺はワザと首を傾げていると、おずおずと唯依の横のまりもちゃんが口を開いた。


「あ、あの。白銀少佐」

「何だい? 神宮司中尉」

「其方の者は?」

「まァ気に成るよな? では自己紹介して貰おう。鑑少尉?」

「はいっ!」


≪――――ザッ≫


「(こ、これが……"あの"鑑さん? 何て"らしい"感情……)」

「始めましてッ! 私は本日より国連軍 横浜基地に着任した"鑑 純夏"少尉です!!」

『!?!?』

「皆さんと配属は違う部隊に成りますが、精一杯 務める所存ですので今後 宜しく御願しますッ!」

「述べての通り、鑑少尉は伊隅大尉ら"A-01"にゆく事が決定している」


――――打ち合わせ通りキリッとしている純夏の方を向いて、そう俺が言うと次はライトが口を開いた。


「白銀少佐。何故 彼女を私達に紹介されたですか?」

「うん? 何が疑問でも有るのかい?」

「い、いえ。個人的に興味が有ったダケです。すみません」

「謝罪は別に必要ないけど……早い話 鑑少尉は今後 人類の"切り札"に成るとも言える存在だからだ」

『!?!?』

「だから必然的に知る以前に近い内に作戦を共にする事にも成るだろうしで、紹介するに越した事は無いさ」

「お、おいッ! 切り札って……」

「どう言う意味なんだろう……?」


――――驚きで言葉が出ない模様のライトを尻目に、フレアとブリザが顔を見合わせて首を傾げている。


「白銀少佐ァ~?」

「おっと口が滑ったか。悪い鑑少尉。皆 流石に気に成るだろうが流してくれ。詳しくは機密だからな」

『…………』

「では突撃機動部隊の皆にも自己紹介をして貰おうかな? 右から順番に良いかい?」

「わ……私から……ですか?」

「肯定だ。社臨時少尉」


純夏のチートっぷりを仄(ほの)めかしたのは半分ワザとだが、別に そんなの関係無ェ!

スサノオ搭乗 云々では色々と誤魔化す必要が有りそうだし、そもそも嫌でも注目度は上がるだろうからな。

……とは言え原作では佐渡島 攻略時は純夏の存在はシークレットだったけど、今 考えれば良かったのかな?

特に何も言われなかったので普通に一緒に行動して自然に紹介してしまったが、早まった可能性も有る。

だが純夏には人間らしい扱いをされて欲しいし、唯一ラザフォード場を制御 出来る天才とすれば良い筈だ。

まァそれも置いておいて。

突撃機動部隊の皆と純夏を赤の他人で終わらせる気は無いので今度は唯依たちにも名乗って貰おう。

尚 並び順は右から霞・伊隅(妹)・七瀬・フリザ・フレア・ライト・イルマと続いている。

即ち最初に自己紹介をするのは霞で有り、意外にも今の純夏と彼女の面識は無かったりした。


≪――――コツッ≫


「社 霞……臨時少尉です……技術仕官と言う役割を担っているので……戦う事は出来ません……」

「……ッ……」

「(……純夏?)」

「(タケルちゃんの話によると"脳味噌"だった私に色々と声を掛けてくれた……私の恩人とも言える娘)」

「……宜しく御願します」

「(やっぱり読もうとしてるのか~?)」

「(私と同じ能力を持ってるらしけど……とにかく可愛いなァ。でもタケルちゃんを どう思ってるんだろ?)」


――――"宜しく御願します"とギコちない敬礼をした霞に対し、純夏は何も反応しないので俺は声を掛ける。


「ゴホン。鑑少尉~?」

「あッ……こ、此方こそ宜しくです!」

「それでは続いて頼んだ」

「はいっ! ボ……わたしは伊隅 あきら。階級は少尉。ポジションは制圧後衛です!!」

「伊隅はトライアルでの実力が評価され、香月副司令の鶴の一声で13日付で当部隊に配属となった」

「き、恐縮ですッ」

「…………」

「尚 横に居る"彼女"も同じタイミングで突撃機動部隊に加入している。ポジションも同様だ」

「(何だか良く分からないウチに国連軍に移されちゃったんだ。でも今は充実してるみたいだね)」


――――純夏は今度は伊隅(妹)をネットリと見つつ無言で敬礼を返したが、一応 俺はスルーして次を促す。


「……っと紹介は本人に任せるべきだったね。良いかい?」

「はっ! 私は"七瀬 凛"少尉。以前は帝国軍に所属していましたが、現在は国連軍の恩恵で此方に居ます」

「はい。詳しい話は白銀少佐から聞いています」

「そ、そうですか(……其処まで白銀少佐が話されていると言う事は、やっぱり只の少尉では無さそうね)」

「(へぇ~。タケルちゃんに助けて貰ってから、彼を今は亡き"お兄さん"に重ねてるんだ)」

「ちなみに七瀬は斯衛の"赤"としての立場も有るからモメ事は起こさないように」

「起こしませんッ」

「結構。じゃ~どんどんイこう」


――――今と関係の無い話だが、七瀬が国連軍に移った直後は彼女の身内が多少 横浜基地を出入りしていた。


「わ……私はブリザ・スリーブス少尉。カナダ出身です。ポジションは強襲掃討を担わせて頂いています」

「(この人も"お兄さん"がユーラシアでの戦いで死んじゃってるんだ……後 背の低いのを気にしてるみたい)」

「ちなみにブリザ少尉は社臨時少尉が"お気に入り"らしいね?」

「あうッ。す、すみません」

「いやさ。彼女は人見知りする性格だから、仲良くしてくれて有り難いって意味だよ。そうだろ?」

「はい……ブリザ少尉は……優しい人です……」

「か、霞ちゃんッ」


初対面でブリザに抱き付かれた霞だったが、"読んで"みても悪意は皆無で守りたいって感情が強かった事から。

俺との意図しない(下着姿で侵入して来るって意味での)スキンシップも有ってか、今は満更でも無いらしい。

よって今の発言をした霞だったが、ブリザが感動してテンパっているので横のフレアが一歩踏み出して言う。


「そんでアタシはフレア・フレイドル。同じく少尉で強襲掃討。ブリザ・ライトと同じで米軍に居たんだ」

「フレア少尉は見てくれは全然 違うが、ブリザ少尉と共に中衛としてブレの無い援護をしてくれる」

「アタシとブリザの持論なんだけど……ポジションの動きが統一されてる方が、味方が動き易そうだからね」

「な、成る程~」

「あとブラジル出身だから踊りの事なら任せてよ。鑑少尉はダンスとかは遣るのかい?」

「やらないです……(何だか軽いノリだけど、家族から勘当されて迄 生きて戻る事を誓って軍に入ったんだ)」

「はははッ。いずれは披露して欲しいモンだね」


――――此処で少し明るい雰囲気に成った事が若干 引っかかったのか、今度はライトが前に出て口を開く。


「さて続いて名乗らせて頂きます。私はライト・ラーニング少尉。ポジションは突撃前衛です!」

「よ、宜しく御願しますッ」

「ライト少尉のポジションはラプターの事も有り本来後衛だったが、適正 通り前衛に変えたら化けてくれた」

「今は機動性に劣る不知火の反面 新OSの恩恵も有り少々戸惑っていますが、精一杯 務めている所存です!」

「(凄く元気そうに見える人だけど……故郷のフランスでは全てを失ってる)」

「彼女の真面目で誠実な所は、俺ダケでなく横浜基地の人間も見習うべきだな。そんじゃ~次いこう」

「(出身地を名乗らないって事は聞くだけ野暮って事だよね? それに……私も負けないようにしなきゃ)」


≪――――コツッ≫


「イルマ・テスレフ少尉です。ポジションは"ライフル"による砲撃支援。フィンランド出身です」

「(故郷は消えちゃってるけど……家族の人達が無事か逆かで、少しの違いは有るんだね)」

「彼女はワケ有りの加入となったが、詳しい話は差し支えの無い範囲で鑑少尉には話している」

「そ……そうですか」

「(その際"タケルちゃんに遣ってしまった事"は凄く後悔してるみたい。顔には余り出してない様子だけど)」

「七瀬少尉の事情と同様 話してしまっているのは彼女が"それだけ"の位置付けと言う事を理解して欲しい」

「分かりました」

「ゴホン。では続いて神宮司中尉とゆきたい所なんだが……」


コレで霞・伊隅(妹)・七瀬・ブリザ・フレア・ライト・イルマと少尉7名が紹介を終えた所で。

残りは まりもちゃん・唯依・テレサ・セレナの中尉4名と成ったワケなんだが……

先程からコロコロと表情を変えている純夏の様子を見ると、こりゃ絶対に間違い無いんだZE。

純夏は彼女達の心を無意識ウチに読んでしまっており、それを本人自身が違和感を得てないっぽい。

それに対して純夏の表情の変化に、唯依たちは初対面による緊張の為だろうと妙には思ってない模様。

つまり(当たり前だが)俺にしか分からない違和感なのだが、即効で誓った事を破りやがって……!!

コレは"慣れ"or"頭のアレ"が無いと恐らく勝手に読んでしまうのかもしれんが、コレ以上 読まれるのは拙い。

次に控えている4人……皆 付き合いが長いと言う事で、純夏に話してない俺の汚点を知られる可能性が有る。

だが霞は(詳しくは知らないけど)頭のアレが色々と防いでいるみたいなので良いとして。

特に唯依には怒られてばかりなので、純夏に良い男でキメていた俺のイメージを壊されてしまうではないかッ。

思えば まりもちゃんのオッパイにダイブしたり唯依の頭を撫で回したりも してるし……早急に対策せねば。

よって純夏には"勝手に読んでた"と言う非も有るしで、まりもちゃんの紹介の前に行動に出る事にした。

まりもちゃんが前に踏み出そうとする前に、俺が唐突に霞の方にへと近付いたのだ。

対してウサギさんが大きな瞳をパチクリとさせながら、意外な行動をした俺を見上げて呟く。


「……白銀少佐?」

「社臨時少尉。ちょっと来るんだ」

「は、はい」


――――何時に無く真剣な俺の(意図的な)表情に、霞は素直に後を追い6~7メートルほど皆と離れた。


「良いか? 霞。正直に答えてくれ」←以下小声

「????」

「純夏は……今の紹介でイルマ少尉達の感情を読んでたのは間違い無いな?」

「……ぁッ……そ、そうだと思います」

「有難う。それじゃ~社臨時少尉。元の場所に戻ってくれ」

「り、了解しました」


霞が小走りに伊隅(妹)の横にへと並んだのを見届けつつ、俺も純夏の方へと戻ると今度はコイツを見下ろす。

しかし やっぱり"読んでしまった"と言う自覚は無いのか純夏もウサギと同様 首を傾げているダケだった。

ちなみに霞に確認したのは"念の為"であり、万が一読むのを自粛していたらマジで申し訳無い為である。

……とは言え余計な配慮だった様で、此処は俺の名誉の為にも皆の前で純夏にオシオキするしか有るまい!?


「あの……白銀少佐?」

「少し紹介は待ってくれ。神宮司中尉」

「は、はあ」

「どうしたんですか~?(何だかタケルちゃん怖い顔してるけど……)」

「…………」
















■白銀 武■


必殺技表

アームロック 236P

アームロック 623P

アームロック 214K


超必殺技(2ゲージ消費)

アームロック 236236P

アームロック 214214K
















「きゃっ!?」

「……ふんッ」


≪――――ばっ≫


特に意味は無いが とりあえず上から2番目辺りにして置こうと思いつつ、俺は素早く純夏の腕を取る。

そして技名通り"アームロック"を掛けるべく動くワケなのだが、純夏は意味が分からず殆ど無抵抗だ。

まァ仕方無いので御愁傷様と心の中で詫びつつ、ネタ故に"このように悲鳴を出せ"と心の中で強く願う。


≪――――ギュッ≫


「が!? がああああッ!!!!」

『!?!?』

「痛っイイ!! お、折れるぅ~ッ!!」

「…………」←力量 追加

「がああああぁぁぁぁーーーーッ!!!!」

「し、白銀少佐……それ以上は いけません」

「……ふむ」


――――此処で十分満足のゆく純夏の絶叫が聞けたのと、霞の方からも念じた台詞が聞けた事で腕を離した。


「はぁ、はぁ、はぁ……アイタタタ……」

「うわぁ~ッ♪」

「テレサ……涎 拭きなさい……」

「あのッ。白銀少佐……な、何故 鑑少尉に其の様な仕打ちを?」

「篁中尉。彼女は皆が自己紹介していたと言うのに、落ち着きが無く目を泳がせてただろ? 当然の処置だ」

「(そ、そうだった……此処は2人ダケの時とは違って皆の目が有る。故にケジメを付けるのは必然だった)」


≪……も、もっと……撫でて……くださいッ……≫(36話 後編 参照)


「(なのに私は周囲の事を考えずに武さんに夢中だった事が……でも彼は周囲の気配で良しとしてくれたのね)」

「そんな訳でだ。少しは頭が冷えたか? 鑑少尉」

「うぅぅぅ……は、はいィ~ッ……すみません」

「良いか? 自己紹介する時はな。誰にも邪魔されず自由で……何と言うか救われてなきゃ~ダメなんだ」

「!?(そ、そっか……やっぱりタケルちゃんには分かってたんだ……だから怒って私に"お仕置き"した)」

「独りで。静かで。豊かで……ブツブツ」

「……(そうだよ。数え切れない程"繰り返した"タケルちゃんは言葉の重みが違う。気を引き締めなきゃ)」


――――当然の如く純夏が痛かった場所を撫でつつ訝しげな視線を向けるが、原作でも意味不明だし無問題。


「そんなワケで脱線して済まなかった。神宮司中尉。注目も集まったし後は手短に頼むとしよう」≪キリッ≫

「り、了解っ! ……私は元横浜基地・衛士訓練学校・教導官"神宮司まりも"であります」

「彼女は更に以前は帝国陸軍大尉で中隊長。19歳で富士教導団に抜擢された経緯を持つエリートだ」

「以後 宜しく。鑑少尉(エリート……白銀さんに比べたら私なんて……やっぱり中尉として精進しないと!)」

「はいッ(絶対に……見ない……見ない……見ない……)」←白銀の無意識にフラグ超回避の図


「私は帝国斯衛軍"篁唯依"臨時中尉。突撃機動部隊の副隊長を務めさせて頂いています」

「クーデターの際は俺の変わりに努めてくれてたよ。尚"特別任務"に関しては既に大体説明している」

「そ、そうですか(切り札 鑑少尉……七瀬の時に違和感を感じたけど、やはり普通の少尉とは違う権限が?)」

「宜しく御願しますッ」

「…………」←無言で敬礼を返す唯依


「続きまして私はセレナ・ウォーケン。アメリカ出身。オペレーター担当で階級は中尉です。お見知り置きを」

「そして妹のテレサ・ウォーケンですっ! 同じくオペレーター。応援しか出来ませんけど頑張ってま~すッ」

「2人は主に訓練・実戦 問わず"突撃機動部隊"の管制役を担ってくれている」


――――個人的には原作キャラのイリーナちゃんでも良かったけど、純夏の関係で忙しいっぽいんだよね彼女。


「尚BETAとの実戦……作戦の際は私かテレサのどちらかが"快速反応部隊"の管制を行う予定です」

「現在 講師を担当している月詠中尉達との情報交換は欠かさず行う事にしていま~す」

「本来は片手間に出来る事じゃ無いと思うけど……其処は2人は優秀って訳だから宜しく」

「了解(この人達も気になるけど……見ない……見ない……見ない……)」

「そんなワケで。もう堅苦しい空気は仕舞いにして、皆で食事に移るとしようか」

『はいっ!!』

「(ゴメン……ゴメンね? タケルちゃん。今度こそ気を付けるから、私の事を嫌いにならないで……)」


未だに周囲の衛士や整備兵etcの注目が止まない中、俺は努めてスルーするとスタスタとカウンターに向かう。

そうすると純夏を含め若干 遅れて皆 俺に続き……背後には以外にも純夏では無くて唯依が居るようである。

まァ"いつもの"ポジションなんだけど、純夏の足取りが重そうだったのは流石にアーム・ロックが効いたか?

……かといって自分で他人の様に振舞えといった手前、此処でフォローするのは難しいので後で謝るしか無い。


「オバちゃん こんばんわ~ッ」

「あァ武。今日も遅かったね? 何にするんだい?」

「そうだな……何か"最近のおすすめ"とかホワイトボードに書いて有った合成"餡かけチャーハン"で」

「餡かけチャーハンだって? 悪いねェ。ソレは一日100食しか無いんだよ」

「!? が~んだな……出鼻を挫かれた」

「何なら予約して置くかい? 明日食べるならだけど」

「予約するッ! そう言うのも有るのか」


――――本来なら"お持ち帰り"と言いたかったドコロか対象は霞か"たま"にしたかったが どうでも良い話だ。


「それなら決まりかい?」

「いや~、俺だけ贔屓するのは拙いでしょ。聞かなかった事にして置きますよ」

「武が そう言うなら仕方無いね。だったら改めて何にするのさ?」

「一発 焼肉でも入れていくか。ンじゃ豚肉定職で。そして豚汁も良いけど……此処はナメコ汁で決めよう」

「あいよ~ッ! なら唯依ちゃんは どうするんだい?」

「わ、私も同じモノで御願します」

「あはははっ。そう言うと思ったよ」

「早く御飯 来ないかなぁ? 焼き肉といったら白い飯だろうがッ!」←肖ってるダケ

「それにしても武は元気そうだねェ……何か良い事でも有ったのかい? 唯依ちゃん」

「さ……さあ?(可能性が有るとすれば鑑少尉が絡んでそうだけど……今は様子を見たほうが良さそう……)」




……




…………




……1時間後。


「ぃよう」

「ばんわ」

「早速 行くとすっか」

「うん」


何時の間にか俺のポジが電卓の5に固定されていた事を妥協しつつPXで情報交換しながらの飯を終えると。

唯依たちに朝は"くれぐれも"部屋の前に来るなと遠回しに命令し、無難に解散すると自室で純夏と落ち合う。

そして部屋に付属して有る(ゆーこさんに半ば強引に押し付けられた)デスクトップ・パソコンを純夏に見せる。

つまり俺が訓練から戻って来るまで、勝手に(随時更新して)放り込まれているデータを回覧させるのだ。

反面 俺は窓みたいな神OSが無いオルタ世界の現状 操作しても面白くも何とも無いので只の箱である。

だが純夏は問題なく操作 出来るから問題無く、俺は素直にメモ帳(アプリに有らず)を愛用しましょうかね。

さて置き。

例の(昼寝したり速瀬に襲われたりした)給水装置の横の長椅子に座っていた慧と待ち合わせをした俺は。

今現在 無難に彼女と合流でき、善は急げと並んで早足にシミュレータールームを目指していた。


「そう言えば午後はどうだったんだ?」

「教室で講義かな……質疑応答メインの」

「成る程。概要は霞が教えてくれてたしなァ」

「かすみ?」

「おっと口が滑った。まァ立場上 多少は仲が良い関係だとは言って置く」

「妬ましい」

「その台詞 好きだよなオマエ。それより どうだったよ? 武御雷は」

「良い機体だよ。(実機でも仮想でも)どっちでも良いから……早く動かしたいのが本音?」

「今回は流石に不知火S型で遣るけどね」

「別に構わない」

「謙虚で結構」

「……ども」

「そんな訳で到着……ってアレ?」

「筐体は動いてないけど……(明かりが点いてる?)」


≪――――コツンッ≫


最近は忙しくて出ていないが、噂によれば まりもちゃん・イリーナちゃん・伊隅(姉)・涼宮(姉)・速瀬。

この5人は俺が居ない時でも、余裕が有る時は自発的に集まって夜の訓練を行っていたらしい。

だけどクーデター以降 疲れも有るだろうし、流石に誰も追加の訓練は行っていないと思われたが……

静かでは有るが電気が落ちておらず人影を発見でき、俺達の足音で"其の人間"も此方に気付いた様だ。

尚その人物は僅かに点いた照明の中、机の前に座り(持ち運び出来るが重い)ノートパソコンを叩いていた。


「!? し、白銀少佐?」

「イリーナ中尉だったんスか。こんな時間に此処で何を?」

「そ、それはッ」

「どう言う事?」

「其処で不機嫌そうに成るなっつーの。取り合えず時間が勿体無いから着替えて来い」

「……武は?」

「俺は必要ない」

「別に一緒に着替えても良いよ?」

「グッ……却下。さっさと行けっつーの。俺はかーちゃんの奴隷じゃないっつーの」

「意味不明」

「自分でも そう思ったから此処は流してくれ。はいはい。さっさと行く」

「(妬ましい)……了解」


――――慧の不意打ち発言で苦しい事を言ったが、彼女の背を押して着替えを促すと残ったのは2人ダケだ。


「ウチのアホが失礼しますた。それで何を?」

「えっと……いざ訓練を行おうとした時に私の様な者が居なくては不便だと思ったので……」

「!? そ、それって毎日此処で待機していた様に聞こえるんスけど!?」

「大体 当たっているかと」

「マジっすか。神宮司中尉からはクーデター以降は行って無いって聞いてたんですけどねぇ?」

「私が勝手に待っていたダケに過ぎません。生憎 残った仕事を片付けるにも問題無い環境でしたから」

「とは言え最近の流れだと、話を交わさずとも暫くは"お休み"して置くのが定石だったと思うんスけど」

「間違い……有りませんね」

「……っと毎晩 待機しててくれてたのに"こんな事"言うのは失礼だったか。面目無い口が滑りました」

「気にしないで下さい……でも……本当は……」


――――この時点でイリーナちゃんは俺の正面に立っているが。どうしてか急にモジモジし始めました。


「本当は?」

「い、何時か白銀さんが此処に来てくれるかもしれない……ソレが理由で待っていたのかもしれません」

「ゑっ!?」

「……ッ……」

「じゃあッ。まさか此処に居たのは、俺が来るかもしれない"可能性"が有ったからだって言う事ですか?」

「は……はい。お互いに遣る事も有るでしょうし"この様な機会"で無ければ"まとも"に会えないと思いまして」

「イリーナ中尉なら簡単に予想 出来るかもしれませんけど、俺が来る確率は凄まじく低いってのに?」

「それでも不思議と構いませんでした。よって私の足は"この時間"に成ると自然と此処を目指していたんです」

「さ、さいですか」

「御迷惑……でしたよね?」

「いやいやッ! とんでもないですって。ワザワザ俺の為に申し訳 無かった感が強いです」

「有難う御座います」

「考えてみればマトモに有ったのは殿下に会いに行った日 以来でしたよねェ?」

「はい。それと お話し出来たのは同日の夜の電話が最後です」(52話 参照)

「ふぅ~む(毎朝 来てくれてたし……たった3日がヤケに長く感じるモンだな)」

「白銀さんッ」

「えっ? 何です……うぉっ!?」


≪――――ぎゅっ≫


「……ッ……」

「イリーナ中尉!?」

「すみません……少しの間だけ……」

「り、了解ッス」


まさかの登場&あまりの忍耐に驚く中、イリーナちゃんは唐突に俺の胸に飛び込んで来ました。

冥夜や唯依の様に胸の質量は左程 感じないが、俺が女性に抱き付かれて股間が疼くのは何時もの事。

――――うおォン!! 俺は まるで人間火力発電所だッ! ……そんな冗談はさて置いて。

只 黙って自分の胸に顔を埋めている彼女の顎を浮かせて、以前みたくキス☆もしたくなった俺であったが。

純夏の存在を考えれば少なくとも彼女とベッド・インする迄は流石に迂闊な事は出来ないので自重しよう。

よって お友達とのスキンシップは進展させず、彩峰が着替えている時間ひたすら微動せず興奮を抑える俺。


「(今は こうしていたい。久々に2人きりに成れた事で……私の気持ちを察してくれたんですね……?)」

「(手が何も出せないとは最悪やでカズヤぁ……!! しかも脳内音響の曲が"夕暮れ"なんですけど!?)」


≪――――イイィィン……≫


「あッ……」

「(静かだし自動ドアの音で直ぐ分かるのが幸いだったか)そろそろ離れましょう」

「……分かりました」

「じゃあ続きは"また今度"って事で」

「!? は、はいッ」←フラグ継続

「戻りました」

「早かったな。それじゃ~早速始めるか」

「御願します」

「イリーナ中尉は今回は俺一人で平気なんで、もう戻って貰って良いですよ」

「(此処で野暮はダメね……)畏まりました。電源の切り忘れには注意して下さいね?」

「気を付けます。それと皆 忙しいって事で"この時間"の訓練は終了させて下さい」

「("また今度"と言ってくれたし)白銀さんが そう仰られるので有れば、特に問題は無いかと」

「そうッスか。じゃあ御疲れ様でした~ッ」

「では失礼致します」


――――ペコリと頭を下げて立ち去るイリーナちゃんの背中を見送ると、俺は彩峰のへと向き直った。


「それじゃ~ビシビシ行くから覚悟しとけよ!?」

「……ぽっ」

「其処デレる所 違うッ! それ以前に今のはノリだから気楽に遣ろうぜ?」

「分かった」

「先ずはモーションを魅せてやる。ガッカリするなよ? ……って何処にデータ入ってたっけなァ……」

「(やっぱり着替えてないのは"負担"に成るから? なのに教えてくれる……流石に邪はダメかな……?)」


今イリーナちゃんに抱き付かれて分かったが、やはり此処は着替えなくて正解だったかもしれない。

流石に筐体内の密室で"完全に2人きり"って成ると、彼女に我慢できるかマジで自信ないからな~。

よって俺はイリーナちゃんを意図的に戻らせ、自分が管制役を担う事で切り抜ける事にした次第です。

だけど少し勿体 無かったかな~? ……とか思いつつ、俺は特別シミュレーター訓練の準備に移るのでした。




……




…………




「ど、どうだ? この2つのモーション」

「機体を一回転させて……長刀で斬撃……?」

「正確に言うと今のは横払い・振り下ろし・勢いを殺さず回転斬り……の3連撃だな」

「最初のは?」

「横払い・回転斬り・振り下ろしの3連撃。回転斬りの順番を入れ替えたダケだよ」

「何の意味が有るの?」

「少し負担に成るが背後の様子が一瞬だが窺えるからだな。レーダーより信憑性が有るのもデカい(嘘だが)」

「!? 確かに斬ってる最中はレーダーを見ている余裕は殆ど無い。戦いに慣れれば別かもしれないけど」

「でも慣れて無ければ自分の目で見てる方が動き易いだろ? 初っ端から回転斬りするのは危ないけどなァ」

「……よく思い付いたね。コレ」

「何度も戦場に行けば自然に思い浮かぶ手段さ(……そもそも長刀を持った実戦は一度も無いんですけど)」

「早速 体験しても良い?」

「あァ。最初は目を回すかもしれないから気張って行けよ?」

「やってみる」


――――30分後。


「段々慣れて来たみたいだな(……と言うか順応 早過ぎるだろ……合ってたのかな?)」

「うん。良い感じ」

「だが無難な状況な時は遣るなよ? あくまで敵が増えた時の状況の判断用だ。マンセル時は例外だが」

「マンセル?」

「"two-man cell"の意味ね。二機連携の時の状況判断で行うなら特に問題無いって事だ」

「成る程」

「まだやるか? 口挟みまくって良ければだが」

「勿論やるよ。頂いてくよ? この技」≪ニヤリ≫

「お、おうッ」

「(御剣には負けられない……私にしか出来ない事を遣れる様にするんだ)」


――――更に30分後。


「回転斬りには慣れたが"回す"のは まだまだ だなァ」(この技術は16話 参照)

「神宮司中尉に"触り"は聞いたけど、理解が難しかった」

「生憎だが彩峰のは射撃を"外して"も敵の正面に戻って来てる"ゆとり外し"だ」

「ゆとり……」

「斬り掛かってからのクイック・ドローの後に側面か背後を取って見てくれと言ったろ?」

「方法が全然 分からない……どうすれば良いの?」

「特別に"くの字外し"と"三角外し"を教えてやるよ。言われた通りに操作してみてくれ」

「了解」

「(膝に乗せた方が教え易いんだが無理な話……霞に"シンクロ・システム"で実装させて貰って置くか……)」

「(斬ってる時でさえ"併用できる行動"を考え出すなんて、やっぱり武は天才だ……教えてくれて良かった)」


――――1時間経過。


「そろそろ消灯だし切り上げるとするか」

「もうこんな時間……?」

「"回す"のも大体出来る様に成ったな。でも"外した"後の選択肢の一つなダケと言う認識は忘れるなよ?」

「はい」

「んで見た感じ最初のモーションは気に入ってくれた様だが、二次配布は禁止だからな?(恥ずかしいし)」

「分かってる(……新しい交渉材料に使うんだよね? 私は その第一人者って事かな? この場合2番目か)」

「ともかく不躾だったが御疲れさん。冥夜の事は其処まで気にするなよ? 十分 付いて行けると思うから」

「んッ」←頭をグリグリされている

「よしよし。それじゃ~片付けてから帰るから、彩峰も着替えたら戻って寝ろよ?」

「……手伝おうか?」

「大丈夫だ問題無い。そもそも俺はともかく新任少尉は寝る時間だ」

「チッ」

「だ、だから其のままスタスタ行くのは止めろってッ! 地味に傷付くだろ!?」


≪此処に並んだ大量のBETAがすべて敵として立ちはだかって来る≫

≪このワザとらしい光線級!!≫

≪ラストの2匹……アレが効いたな≫

≪ほ~良いじゃないか。そう言うので良いんだよ、そう言うので≫


慧に指導をするに辺り、全く意味も無く(孤独の)グルメりながら約2時間ほど。

大したフラグも立てずにシミュレータールームを出た俺は、一直線に純夏の待つ自室を目指した。

う~む……出来れば早めにラブ・シーンに持って行きたいが、ああ言うのは段取りや空気が重要だからなァ。

少なくとも脳内で"告白"が流れている様な雰囲気が必須なんだろうけど、俺のテンションで大丈夫なのか?

だとすれば純夏が自分の肉体にコンプレックスを抱える迄 待ってから鬱ブレイクする方が良いかも知れない。

そんな事を考えつつ通路を歩き自室まで戻って来た俺は、ノックするが返事が無い為 ゆっくりとドアを開く。


≪――――ガチャッ≫


「お~い純夏。帰ったぞ~?」

「…………」(凝視)

「純夏~?」

「あッ……タケルちゃん。お帰りなさい」

「んっ? まだパソコンを見てたのか?」

「うん。思ったよりも情報量が多くて」

「純夏のスーパー・ブレインなら一瞬だと思ったんだけどな」

「そうなんだけどさ。何だか"勝手"に理解すると何だか私じゃないナニカが居るみたいで気持ち悪いの」

「ふむ。だから素でも理解出来てから次に進んでたって感じだったり?」

「大体そんな所かな~。両方で分かった方が妙にスッキリするんだよね」

「だけど素だと文字がやたら読み難くないか?」

「"あっち"の知識なら間違い無いね。でも"こっち"の私の知識も有るし大体は大丈夫みたい」

「そう言えばそうだったな。俺は少し違うから何気に知識は浅いんだ」

「アハハハッ。だけど旨く遣れてるみたいで感心するよ」

「それほどでもない」

「と、ところで……タケルちゃん?」

「何かね?」

「ちょっとタケルちゃんの戦闘データって言うのを見てたんだけど……滅茶苦茶スゴいね」

「どこが?」

「だって光線級のレーザーを避けてるし。普通に有り得ないよ」

「シミュレーターだと俺以外にも避けれてる人も居るんだが?」

「でもソレって光線級の索敵内に出ちゃって、本当に止むを得ない時での回避の練習でしょ?」

「えっ? そうなの?」

「"そうなの"じゃ無いよ~ッ。ワザと視界に入って避けてから射撃するなんて、タケルちゃんダケだよ?」

「ふ~ん。まァ俺は何度も(白銀大佐が)"繰り返してる"からな。カラダが勝手に覚えてるんだろ」

「!? 確かに普通は即死だけど、繰り返せるタケルちゃんだから直感的に回避する事が出来るんだッ!」

「多分そうなんだろうな。(実際は全部だが)半分は勝手に操縦桿 握った手が動いてたカンジだったし」

「だ、だったら今迄タケルちゃんは どんな戦いを……」

「それはな?」




≪――――くっそおおおおぉぉぉぉーーッ!!!!≫




≪――――クソッ! 何故だ!? 何故勝てない!?≫




≪――――BETAァ!! 貴様は俺のォッ!!!!≫




「!?!?」

「伝わったか?(某中尉の肖りが)」

「えっ? あッ! ゴメンね!? 覗くつもりじゃ無かったんだけどッ」

「別に問題無いよ。今の俺が本当に体験した経験ってワケじゃね~し」

「で、でもPXで怒られたばッかりだったのに……」

「2人きりの時は良しとしてやるよ。常に読まれるのは勘弁だけどな」

「……ッ……」

「ともかく今日は寝ようぜ? だが腹がペコちゃんだし、夜食でも食って一息つくか?」


此処で適当に白銀の戦死☆シーンを脳内で描いてみたが、純夏の能力は有る意味 優秀すぎるのかもしれない。

彼女に架空の状況を意図的にイメージさせる様な発想をする様な人間は、俺以外には居ないだろうが……

恐らく純夏の脳内には悔しそうに叫ぶ声と共に、レーザーで爆発した俺の機体が鮮明に浮かび上がった筈。

だとすれば……俺が冥夜や悠陽あたりを縛って笑顔強制ダブル・ピースをさせるシーンを脳内で描いたり。

裸で拘束されて"Fucking slaves, get your ass back here!!"とか叫んでゲイ動画に出演する自分を描いても。

全て純夏に伝わってしまい、過去の俺が本当に経験した事の有るシーンだと勝手に思い込んでしまうだろう。

そう成れば本人から認識した誤解を口頭で どうにかするのは難しく、純夏が自閉してしまうのも時間の問題。

しかし逆に前述の某中尉みたく真面目に逝った事実を観せれば、同情してブルーに成った彼女を励ませる筈だ。

ンな事を考えつつ"読んでしまった"事を大慌てで謝罪する純夏を安心させる為 対応すると彼女は眉を落とす。


「……わたし……床で寝た方が良いのかな?」

「はァ~? 何 言い出すんだよ? 唐突に」

「だって"この姿"に成ってからも、タケルちゃんに凄い迷惑 掛けてるし。何だかゴメンねって言うか」

「"読んだ"事なら お互い様だろ? 俺も俺で純夏の観たくない事を思い描いたのも悪いんだし」

「だ、だけどッ!」

「それ以前に今回の俺の迂闊さで、純夏が頭抱えて倒れてた可能性も有ったんだ。大丈夫だったか?」


≪ぽんっ≫


「あッ……」←NA☆DE☆PO状態

「これ以上 俺の死ぬ所なんて見たく無かったよな?改めてマジで悪かったよ」

「き、気にしてないよ」

「それは良かった。んじゃまァさっさと寝ようぜ? シーツを交換するから手伝ってくれ」

「!? じゃあ私が遣るよッ。其の間に夜食でも食べてて?」

「いやシャワー浴びて来る事にするわ。腹は純夏の顔を見たら一杯に成っちまったZE」(キリッ)

「うぅ~っ。不思議と今のタケルちゃんは口が上手過ぎるよぅ……」

「何回目に逢えたと思ってんだよ。伊達に長く生きてるワケじゃ無いってね」

「でもでも。苦労てるのに落ち着いてるタケルちゃん……何だか別人みたい」

「(ギクッ! それ以前に只のポーカーフェイスだっての)買い被り過ぎだって」


――――其の言葉を最後に動揺を隠しつつ、ヒラヒラと手を振ってシャワー室に向かうワケなのだが。


「タケルちゃ~ん? 私も浴びてきたよ~?」←ワザとらしく裸ワイシャツ

「…………」

「あれっ? 寝ちゃってる……余程 疲れてたんだ……」

「……ぐぅぐぅ……茂美怖いでしょう……」


流れによっては純夏の姿を見て勃起してしまう事を恐れ、シャワー室に背を向けて側臥位になっていたが。

あまりにも今日は頭を使い過ぎた為か、待っているウチに睡魔に襲われてしまい意識をアッサリ手放して。

ふと目が覚めてチラりと後ろを見てみた時……俺には触れずにシャツの端を握って寝る純夏の姿が有った。

う~む……普通に可愛いじゃないか……俗に言う"守りたいこの寝顔"ってヤツなのかな? 元ネタは笑顔ね?

ともかく明日はA-01に紹介する予定なんだが、純夏が旨く速瀬らと馴染んでくれる事を祈るしか有るまい!








●戯言●
白銀28が意図しない純夏の"劣等感フラグ"の強制回避を行う事によって直結イベントは今回回避されました。
何だか白銀と純夏がイチャイチャするように成って別のSSに変わった気がしますが、コレが本来の目的。
ですが純夏一筋ではなく佐渡島に向け他のキャラのフラグも回収します。尚フレアの一人称をアタシに変更。
また白銀の脳内での謎の英語はニコ動で"Evan様"と調べると分かるかも。ガチムチネタは絡ませ辛いです。


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