これはひどいオルタネイティヴ39(中編)2001年12月05日 早朝「揃ってるみたいね」「敬礼ッ!」『――――っ』俺・ゆーこさん・イリーナちゃん・巌谷さんの4人でブリーフィングルームに入ると、207B分隊の5名+まりもちゃん……そして朝 姿を見せなかった篁の姿が有った。彼女達は俺らの入室と同時に此方に向き直ると、揃って敬礼する。全く同じ凛々しい動作で。そのうち声を出したのは まりもちゃんダケなのは さて置き、当然 此方も敬礼し応える。だけど ゆーこさんに限っては、ヒラヒラと面倒臭そうな表情で右手を振る事で流していた。「……ッ……」「んっ?」「!!!?」「(……冥夜?)」ゆーこさんは相変わらずだ……きっと一生こんな性格なんだろうね~と苦笑していると。何となく冥夜と目が合ってしまった瞬間、光の速さで視線を逸らされた。昨日と同様 赤面して。ははァ~ん、大方 人生で始めて異性に名前で呼ばれる様になるのが恥ずかしかったのかねェ?EXでオマエと呼ばれて繰り返しブツブツとツブやいていたみたく……何か違う気もするけどな。……そんな意味の無い事を考えていると、イリーナちゃんを斜め後ろに控えさせ、俺達 全員の正面に立っている ゆーこさんに、まりもちゃんが おずおずと何か話し掛けようとする。まぁ疑問に思うのも最もだよな。訓練兵たちに、副司令 直々にブリーフィングするとか有り得んし。「ふ、副司令……あの、何故 我々にこんな機会を?」「自惚れさせる気は無いけど、アンタ達が相応の部隊だからよ」「それでは どの様な任務に宛がわれるのですか? やはり実戦投入に……?」「近いうちに分かるわ」「はあ」「とにかくピアティフ、皆に資料を配って」「畏まりました」イリーナちゃんの手によって全員に資料が行き渡った直後、ゆーこさん宛てに通信が入る。どうやらラダビノッド司令からの様子……状況が状況だから追加情報なのが有力だろうね。それにより ゆーこさんとイリーナちゃんが退室し、残った俺達は資料を読んで過ごす羽目になった。しかし相変わらず読み難いな……日本語の資料。脳内で白銀大佐に聞かんと意味不明なモノも有る。……とは言え今後 命に直結する事も書いてあるかもしれない。よって空気と資料を同時に読む俺。嗚呼、やだな~こう言う沈黙って。ゆーこさんとイリーナちゃん、早く戻って来ないかな~?………………≪コッコッコッコッ……≫「博士」「何? ピアティフ」「白銀少佐や巌谷中佐……そして神宮司軍曹にも来て頂いて置いた方が、 再びブリーフィングルームに戻った際、円滑に事を進めれたのではないかと思ったのですが」「篁はともかくとして、纏めて説明すると訓練兵が知らなくても良い情報が入るって事ね?」「は、はい。重要な情報に限っては後に少佐・中佐の口からなら中尉に言って頂けるでしょうし」「まぁ~良いじゃない。そこを旨く説明するのが あたしたちの役目よ?」「!? そ……そうですね、私達の口から合間を見て白銀少佐に話すのも良いですから……」「そう言う事」「……(意外だわ、香月博士がこんな非効率的な事を考えるなんて)」「しっかし、なかなか良いわねコレ。白銀の顔っぽいのに……」←キーホルダーを見ながら「……(この"ゆっくりたける"……丸っこい白銀さんの顔で、薄っぺらい紙粘土なのだけど)」≪ゆっくりしていってね!!!≫「暇が出来たら気分転換に、これのAAを作ってみるのも悪く無いかしら?」「……(何故か裏にマジックで"ゆっくりしていってね"と書いてあるわ)」「とにかく 焦らず往くに限るわ。なんか そんな気分なのよ今は」「はあ(最初は可愛いマスコットかと思ったけど、この状況の為に作ってくれたのね……私達の為に)」……………………2人の留守中、資料を読み始めて数分後。「クーデターの首謀者は帝国本土防衛軍・帝都守備 第1戦術機甲連隊 所属の沙霧 尚哉 大尉……か」「!?」←彩峰「まったく……全国のナオヤさんに謝れっつ~の」「……ッ……わははは、相変わらず発想が凄いな君は」「有難う御座います中佐」「いや、褒めてないぞ?」未だに続く沈黙の中で、俺は書いて有った沙霧の名前をポロっと口に出してしまった。それにより僅かながら彩峰の息が漏れた気がしたので視線を移してみると、彼女は眉を落としている。ふむ……昨日のテストじゃ"沙霧"のサの字も話題に触れなかったから、この後フォローしないとね。だけど今は大人しく資料を読み進めるしか無く、更に十数分後 ゆーこさん&イリーナちゃんが戻る。「それじゃあ最新の情報よ、有り難く聞きなさい」「キャーユーコサーン」「白銀……ナメてんの?」「サーセン」重い雰囲気を穏和しようと、つい言っちゃったんだ☆ でも今は流石にコレ限りにして置こう。……さて、ゆーこさんが先ず述べたのは後 2時間もすれば横浜基地は米軍を受け入れるという事。そして仙台臨時政府が鎮圧部隊を編成中。んでもって各地の新しい戦闘情報がチラホラ。ソレらに関してナントカ艦隊やらナントカ師団やらナントカ連隊やら色々と挙がってたダケでなく、日本の地名も沢山 出て来てサッパリ理解できませんでした。ゆーこさん喋るの早過ぎですマジで。ゲームだと飯食ったりググったりしながら自分のペースで進めれてたから多少は理解できてたが……真面目に聞こうとしていても俺の耳に念仏。それなのに篁とか何 頷きながら聞き入ってるワケ!?「最後に首相官邸で起こった事に関してなんだけど……」「!?」←千鶴「ピアティフ」「はい」「(予想通りだなァ、榊が……)」「これに限っては正確な情報は出ていません。内閣の人間が複数 殺されていると言う話も有らば、 予め この出来事を予測していたのか、既に逃れていると言う情報も曖昧ながら漏れています」「クーデター軍の連中が事実を隠蔽してるのか、第3者が何らかの工作をしてるのか。 詳しい内容に関しては分からないわね。まぁ……あたし達にとっては どうでも良いけどね~」「……ッ……」話は変わり榊の親父サン(首相)関連となるが、ワザとらしくアバウトな態度を取るゆーこさん。一方 今度は彩峰に続いて榊のカラダが強張り……仲悪しとは言え父の安否が心配なのだろう。だけど榊は訓練兵なので、真面目な彼女は口を挟めない。"今回"は冥夜を殴った篁ダケでなく、イカつい事に定評の有る巌谷さん(笑)も居るのだ。当然 発言直後まりもちゃんも真っ先に注意する筈。それに榊 自身も真実を聞くのが怖い……と言う事から言葉に詰まっているのかもしれないね。……だけど、コレは明らかに正史とは違う流れだ。曖昧・隠蔽・工作……何それ美味しいの?即ち原作では間違いなく榊首相は沙霧 自らが国賊とみなして殺しており、情報も直ぐ伝わった。故に榊の親父さんは、きっと生きて……そう考えて咄嗟に巌谷さんに視線を移してみると……「(ふっ……やれやれ)」≪バチコーン!!≫「――――!?」←武溜息混じりに腕を組みながら俺にウィンクした巌谷さんの姿が目に入った。しかし何だ今の擬音は?それはそうと、巌谷さんの画策が旨くいったみたいだね……何をやったかは分からんがGJだZE。榊首相が100%無事かまでは期待できないけど、今の巌谷さんになら掘られても良い気がした。いや、冗談ですよ? ……そうケツを押さえる中。イリーナちゃんがインカムに手を添えながら言う。「間も無くの様です」「あらそう。じゃあ、まりも」「了解……映像 出ます」≪……ヴンッ≫「…………」×11『親愛なる国民の皆様、私は帝国本土防衛軍・帝都守備連隊所属……沙霧 尚哉 大尉であります』指示を受けた まりもちゃんの手で、正面のモニターに白い軍服を着た男が映し出される。名乗った通り誤変換に定評の有る沙霧だ。そんな彼の声明が開始されるんだが……ゴメン、睡眠不足だから寝て良い? 実は資料を読み始めてから睡魔に襲われていた俺だった。……………………クーデター軍の代表・沙霧の声明が流れる中、俺を含めて各々は様々な反応を示していた。イリーナちゃんは無表情でモニターを眺めており……恐らく沙霧の台詞を頭に叩き込んでいる様子。巌谷さんは腕を組みながら訝しげな表情でモニターを見上げていて、顔が普通に怖かったです。篁も沙霧の言葉にイライラしているのか、腕を組んで瞳を閉じながら声明を聞き流している。「(し、白銀さん……たまに顔をあげるダケで、俯いて殆ど動かないわ)」←まりも次にB分隊。まりもちゃんも何だか無表情で見ている。やっぱ冷静なのは良い事ですよねェ?んで分隊長の榊は親父サンの事も有り、睨み付ける様にモニターを凝視し聞き入っているけど……彩峰は対照的に眉を落としながら俯いて声明を聞いている。思ったより重傷なのかもしれない。一方 冥夜の表情はコロコロ変わっている。何せ彼女も一部、沙霧と同じ事を言っていたのだから。まぁ彼女のフォローは大丈夫だよな? そして珠瀬と鎧衣だけど、ボヘ~ッと普通~に見ていた。「(アイツも相当 腹が立ってるみたいね……そろそろ切り上げ時かしら?)」最後に ゆーこさんだけど……ずっと、つまらなそうにポリポリと頭を掻きながら聞いているダケ。しかも……モニターは結局一度も見ず終いらしかった。ホントど~でも良い内容だったんですね。ちなみに俺は どんな様子だったかと言うと、半分 立ちながら眠ってました。まだまだ寝足りません。「……これ以上は時間の無駄ね。まりも、切って良いわよ?」「はい」≪――――ブツッ≫「御剣」「はっ」「あたし達 人類 共通の敵は何?」「BETAでありますッ」「じゃあ、BETAの巣が一番 近い場所は何処?」「甲21号……佐渡島ハイヴであります」「今 また其処のBETAが5000攻めて来たらどうなると思う?」「!? そ、それは――――」「あっと言う間に大惨事よ……ヘタすりゃ日本が堕ちるわ。つまり、死活問題どころじゃない。 なのに、あの連中は綺麗事ばかり並べて そんな簡単な事にまで頭が回っていない」「……(い、今の私には耳が痛い限りだ……)」「あ~あ、ホント嫌になるわ……事を起こしてでの都合の悪い事は全部ひっくるめて無視。 挙げたらキリが無いし、相手にするダケでも馬鹿らしいったらありゃしないわねホント~に。 自分達には正義が有るから、万が一にでもBETAは攻めて来ないだろうとでも思ってんのかしら?」「……ッ……」「……っと、愚痴が過ぎたわね。そんなワケで、今回の相手は"こんな連中"よ? まりも」「はっ」「それで今回はアンタ達(B分隊)を使う際、白銀と篁を随伴させるわ」「!?」「何よ嫌だった?」「い、いえ……それは むしろ嬉し……ではなくてッ! やはり戦線……あっ……いえ、了解しました」「それで良いのよ。言ったでしょ? "近いうちに分かる"って」「は……はい(悔しいけど、知る権利が無い限りは何も言えないわ)」「じゃあ、話を続けるわね? 巌谷中佐」「はッ!」≪――――ザッ≫「知ってる娘も居ると思うけど、彼は帝国軍技術廠の第壱開発局・副部長。 先月の22日から横浜基地に臨時中尉として着任してる篁の上官に当たるわ」「巌谷 榮二だ。お初にお目に掛かる」「敬礼!」←まりも「――――ッ」×5「さて、今回 貴様等と随伴する2人の件だが……白銀少佐には、日米共同開発計画。 "XFJ計画"で開発された不知火・弐型に搭乗して貰う事になる」「えぇっ!?」←武「そ、そんなッ」←唯依「ちょっと、何でアンタも驚いてんの?」「えっ? い、いやだって……(もう出来たのかよ!? ……って言うか乗るのッ?)」俺が驚愕しているウチに、何時の間にかイリーナちゃんがモニターに弐型の全身図を映していた。これって、どう言う事なの……新型に乗れるのは嬉しいけどさ、もしかしてブッつけ本番?物凄ェ不安なんですけど、スサノオも普通に乗りこなした白銀はコレくらいやらんとダメなのね。「だがこれは往来の不知火・弐型では無い。不知火S型のサブ射撃を取り入れた"最新型"だ。 しいて言えば……うむ、不知火SⅡ型と言ったところか。また、新たな武装のテストも行って頂く」「あぁ、ライフルですか~」「うむ。"01式 支援狙撃砲"……支援突撃砲の改良型だ。その威力は飛躍的に上がっている。 いずれは砲撃支援の主要武器として運用する予定だが、これら件に関しては自己紹介の"ついで"だ」「!?」×5「あ……あの、巌谷中佐」「神宮司軍曹だったな? 発言を許可しよう」「御言葉ですが、理解 致しかねます」「貴様の教え子は訓練兵の身。それなのに相手はBETAでは無く"人間"と言うフザけた初陣だ。 SⅡ型や新兵器の事迄 頭が回らないのは勿論、自分の身を守る事すら困難なのが確かだろう」「…………」×5――――この瞬間、巌谷さんは真剣な顔から破顔し表情が180度変化した。「だから"君達"は細かい事は忘れてくれて良いと言う事だ!」「……ッ!?」×5「実戦では訓練で叩き込まれた事を忘れず行動し、各々の死力を尽くす事ダケを考えろッ。 そう健闘する君達を、SⅡ型に搭乗する白銀少佐……そして篁中尉が必ず守ってくれる!!」「……(お、俺が? ……いや、そりゃ~守るけど)」「初の実戦では生き残る事に意味がある。それが上官の手を借りたモノで有って何が悪い? 勿論 頼り過ぎてもイカんが、衛士の初陣など そんなもんだ。……当然、俺の場合もな」「……(巌谷中佐はまさか、この娘達を安心させる為に機体の説明を……ッ?)」「そう言う訳で、貴官の教え子の頼もしい味方となる戦術機を簡単に紹介させて貰ったと言う訳だ」「な、成る程……理解しました。有難う御座います」ふ~ん。ただ顔見せ(自己紹介)するダケなのもアレだから、ついでに今回が初陣となる、榊達を巌谷さんなりの遣り方で激励したってワケか……なかなか味な真似をするねェ。これで俺の巌谷さんに対するポイントが飛躍的に上がった。凄い肩書きを持っているダケ有るぜ。その気遣いを理解したのか、B分隊の緊張が結構 解けた気がする。特に榊と彩峰あたりが。「それと、もうひとつ」(キリッ)『…………』←再度 緊張したB分隊の面々「君達は娘と年齢が近そうだな。良ければ唯依ちゃんの友達になってやってくれ」「!?」×5「WAO」←武「(な、ななな何を言って……!?)」←唯依「神宮司軍曹。俺からの話は以上だ」「!? か、畏まりましたッ。皆……聞いたな!? 貴様等は5人ダケで戦うのではないっ! 私は勿論の事、白銀少佐に篁中尉をはじめ大勢の方達の後ろ楯が有る事を決して忘れるな!!」「はい!!」×5「……これで自分から言う事は終わりました、香月副司令」「ふ~ん、じゃあ終わりね。……まりも」「はっ。これから全員 戦術機のフィードバック・データ等の調整に移り、 終了後は即応体制で待機していろッ。それでは解散とする!!」『――――了解ッ!!』まりもちゃんの言葉に対し、返事+敬礼で答えたB分隊のメンバー5名は、俺の方に向き直って再度敬礼すると、ブリーフィング・ルームを出てゆこうと歩き出す。しかし俺は先程の展開から若干2名ほどに言いたい事が有る。……フラグ的な意味で。全く同じ流れにするのは俺の階級や記憶の所為で不可能だけど、形ダケはこなさなくてはッ。「榊・彩峰」←小声「は、はい?」「……何?」当然 上官に呼ばれた事から動きを止める2人。それが意外だったのか驚いている様子の榊。対して冷静にタメ口を使う彩峰。ちなみに俺&榊にしか聞こえない程 小さな声で喋ったので無問題。それに関して榊は性分から言いたい事が有りそうだったが、今回も流石に言葉を飲み込んでいた。「先に屋上に行って待っていてくれ、少し話が有る」「!? えっ? でも……」「……分かった、行く」「素直で宜しい。榊も ちゃんと来るんだぞ?」「と言う事は……2人同時に御話が有るのですか?」「そうだけど、都合でも悪いのか?」「やらしい」「なっ、なんで そう言う考えになるのよ!?」「おいィ……話がズれちまってるぞ?」「!? す、すみません。了解しました……参ります。勿論 都合など悪く有りませんからッ」「じゃあ宜しく~」「チッ」「あ・や・み・ねェ?」「ほらほら、それは出てってからにしとけって」「うぐっ……」「……(少佐の事だから、声を掛けてくれるって思ってた……でも、何て言ってくれるのかな)」……………………まりもちゃんに続いて ようやく榊と彩峰も退室すると、俺はゆーこさんに向き直る。「ゆーこさん、俺達はどうすれば良いんスか?」「篁は巌谷中佐と新型のチェックをするみたいだから、アンタはシミュレーターでもしてなさい」「そう言う事だ。急に悪いな白銀少佐」「別に謝罪は要りませんけど……クーデター中に訓練しなきゃダメなんスか~?」「そ、そうですッ! 完成が間に合ったのは流石ですが、この状況で乗り換えるだなんて!!」「貴様に発言は許可していないぞ? 篁中尉」「クッ……」「時間に余裕なんて有るんスか?」「あの娘達が居ない今だし言うけど、アンタ達が"出る"のは暗くなってからの予定だから問題無いわ」「まぁ、それなら良いんですけど」「だったら あたし達は行くわよ? 適当に始めていなさい、白銀」「し、白銀少佐なら2時間もあれば調整は可能だと思います……頑張って下さい」「イリーナ中尉……」「では(……不知火SⅡ型……勿論、白銀少佐の様な人でなければ急な搭乗は反対していたわ)」コレに関してもエラく原作と変わっちまったな……新型と新兵器が納品されたどころか、クーデターの真っ最中にシミュレーター訓練で慣れてからSⅡ型を実戦投入……だとッ?まぁ……篁&巌谷さんが居る時点で規格外だし、SⅡ型に関してはその余波って考える事にしよう。それにしても、やけに巌谷さんは詳しそうだな……影で動いてくれた事が影響している線が強そうだ。ンな事を考えているウチに ゆーこさん&イリーナちゃんが退室し、巌谷さん&篁も続こうとする途中。「白銀少佐、コレが"不知火SⅡ型"の簡単な資料だ。軽く目を通して置いてくれ」「はい」「そして君が乗っていた不知火S型だが、そのまま神宮司軍曹が乗る事となる予定だ」「了解ッス。伝えておきますよ」「では篁中尉、俺達はハンガーに……んっ?」「……叔父様」(ゆらり)「ど、どうした?」「公で私を からかうのは……止めてくださいと言ったじゃないですか!!」≪――――ドスッ!!!!≫(ボディブロー炸裂)「ごふぅっ!?」「それに白銀少佐に更なる負担を……少し其処で反省していて下さいッ!」「あの……す、すまん……本気で痛かったんだが……」「知りません。それでは白銀少佐、後ほど御会いしましょう」「OK、いっておいで~」擦れ違い様、巌谷さんに100ページ程の"SⅡ型"の資料を手渡されたので、凛々しく敬礼して退室する篁と軽く言葉を交わしつつ、軽く目を通す事にした結果。数十秒後のブリーフィング・ルームには俺と鳩尾を押さえて蹲る巌谷さんの姿が残った。少し前に何か見落とせない出来事が有った気がするけど、俺のログには何も無いな。嗚呼、しかし この人……最後にB分隊に告げた言葉が無きゃ完璧だったのに、無茶しやがって。「……ふ、ふふふッ……逞しい娘に育ってくれて俺は嬉しいぞ? 唯依ちゃん」「でも本当の親父さんには今夜辺り祟られるんじゃないスか?」――――そう頭を掻きながら彼に前述の台詞を残すと、俺は資料を片手に屋上を目指すんだけど。「あっ……まりもちゃん、まりもちゃん。何か俺のS型を そのまま乗って良いそうですよ?」「えっ? ほ、本当ですか?」「まりもちゃんの以前のS型は、何時の間にか ゆーこさんが篁のにしちゃってますからね」「あうッ……」「それについては ゆーこさんだから諦めて下さいとしか言えませんけど……考えてみれば、 俺のフィードバック・データを少ない調整で乗りこなせるのって貴女しか居ないんですよ。 だから是非とも乗ってください。無理そうなら速瀬にでも無理矢理 押し付けますんで……」「と、とんでもありませんッ! あああ有難う御座います!!」――――途中で まりもちゃんと遭遇したので先程の事を言うと、何か凄い喜んでくれて驚きました。●戯言●あれ? これって当日だよね? んで巌谷さんのターン。どうしてこんなになるまで放って置いたんだ!なんだか区切りが良かったので中編になってしまいましたが後編は速瀬や涼宮(姉)とかも出ます。ちなみに実際に有ったとして私が一番欲しいのは、ゆっくりまりもです。かすみとゆうこも捨て難い。