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No.3960の一覧
[0] これはひどいオルタネイティヴ(ぶち壊し注意)[Shinji](2008/08/24 12:52)
[1] これはひどいオルタネイティヴ2[Shinji](2008/08/25 11:13)
[2] これはひどいオルタネイティヴ3[Shinji](2008/08/25 11:11)
[3] これはひどいオルタネイティヴ4[Shinji](2008/08/26 04:35)
[4] これはひどいオルタネイティヴ5[Shinji](2008/08/26 23:24)
[5] これはひどいオルタネイティヴ6[Shinji](2008/08/27 20:54)
[6] これはひどいオルタネイティヴ7[Shinji](2008/08/28 16:19)
[7] これはひどいオルタネイティヴ8[Shinji](2008/08/29 20:22)
[8] これはひどいオルタネイティヴ9[Shinji](2008/08/30 23:24)
[9] これはひどいオルタネイティヴ10[Shinji](2008/08/31 22:48)
[10] これはひどいオルタネイティヴ11[Shinji](2008/09/01 21:59)
[11] これはひどいオルタネイティヴ12[Shinji](2008/09/03 08:21)
[12] これはひどいオルタネイティヴ13[Shinji](2008/09/05 10:13)
[13] これはひどいオルタネイティヴ14(+用語ver1)[Shinji](2008/09/07 08:57)
[14] これはひどいオルタネイティヴ15(+伊隅戦乙女隊ver1)[Shinji](2022/04/20 02:22)
[15] これはひどいオルタネイティヴ16[Shinji](2008/09/11 14:52)
[16] これはひどいオルタネイティヴ17[Shinji](2008/09/13 17:38)
[17] これはひどいオルタネイティヴ18(+伊隅戦乙女隊ver2)[Shinji](2008/09/16 23:33)
[18] これはひどいオルタネイティヴ19[Shinji](2008/09/19 22:36)
[19] これはひどいオルタネイティヴ20[Shinji](2008/09/23 02:45)
[20] これはひどいオルタネイティヴ21(+用語ver2)[Shinji](2008/09/26 21:20)
[21] これはひどいオルタネイティヴ22(+第207衛士訓練部隊)[Shinji](2008/10/02 22:28)
[22] これはひどいオルタネイティヴ23[Shinji](2008/10/09 19:42)
[23] これはひどいオルタネイティヴ24[Shinji](2008/10/23 01:55)
[24] これはひどいオルタネイティヴ25[Shinji](2008/10/31 02:49)
[25] これはひどいオルタネイティヴ26[Shinji](2008/11/22 04:34)
[26] これはひどいオルタネイティヴ27[Shinji](2008/11/25 18:05)
[27] これはひどいオルタネイティヴ28[Shinji](2008/12/14 03:54)
[28] これはひどいオルタネイティヴ29[Shinji](2009/01/11 03:35)
[29] これはひどいオルタネイティヴ30(前編)[Shinji](2009/01/17 04:11)
[30] これはひどいオルタネイティヴ30(中編)[Shinji](2009/01/21 01:11)
[31] これはひどいオルタネイティヴ30(後編)[Shinji](2009/01/28 12:16)
[32] これはひどいオルタネイティヴ31 2009/02/08 00:31[Shinji](2009/05/17 17:57)
[33] これはひどいオルタネイティヴ32[Shinji](2009/02/19 03:33)
[34] これはひどいオルタネイティヴ33[Shinji](2009/04/10 04:03)
[35] これはひどいオルタネイティヴ34[Shinji](2009/03/26 08:07)
[36] これはひどいオルタネイティヴ35[Shinji](2009/03/30 03:38)
[37] これはひどいオルタネイティヴ36(前編)[Shinji](2009/04/08 22:44)
[38] これはひどいオルタネイティヴ36(後編) 2009/04/14 04:28[Shinji](2009/05/17 17:53)
[39] これはひどいオルタネイティヴ37 2009/04/24 06:26[Shinji](2009/05/25 00:10)
[40] これはひどいオルタネイティヴ38[Shinji](2009/05/10 00:10)
[41] これはひどいオルタネイティヴ39(前編)[Shinji](2009/05/12 20:01)
[42] これはひどいオルタネイティヴ39(中編)[Shinji](2009/05/14 23:55)
[43] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)①[Shinji](2009/05/17 05:05)
[44] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)②[Shinji](2009/05/25 02:35)
[45] これはひどいオルタネイティヴ40①[Shinji](2009/06/01 01:54)
[46] これはひどいオルタネイティヴ40②[Shinji](2009/06/05 02:47)
[47] これはひどいオルタネイティヴ40③[Shinji](2009/06/11 02:49)
[48] これはひどいオルタネイティヴ40④[Shinji](2009/06/14 06:03)
[49] これはひどいオルタネイティヴ40⑤[Shinji](2009/07/02 03:10)
[50] これはひどいオルタネイティヴ41(前編)[Shinji](2009/07/13 01:30)
[51] これはひどいオルタネイティヴ41(中編)[Shinji](2009/07/28 19:03)
[52] これはひどいオルタネイティヴ41(後編)[Shinji](2009/08/16 04:00)
[53] これはひどいオルタネイティヴ42[Shinji](2009/08/27 00:58)
[54] これはひどいオルタネイティヴ43(前編)[Shinji](2009/09/10 23:51)
[55] これはひどいオルタネイティヴ43(中編)[Shinji](2009/09/20 09:43)
[56] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)①[Shinji](2009/10/07 07:49)
[57] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)②[Shinji](2009/10/10 22:26)
[58] これはひどいオルタネイティヴ44(前編)[Shinji](2009/11/11 20:38)
[59] これはひどいオルタネイティヴ44(後編)[Shinji](2009/11/17 03:24)
[60] これはひどいオルタネイティヴ45[Shinji](2009/12/04 11:35)
[61] これはひどいオルタネイティヴ46(前編)[Shinji](2009/12/07 06:52)
[62] これはひどいオルタネイティヴ46(後編)[Shinji](2009/12/20 00:54)
[63] これはひどいオルタネイティヴ47(前編)[Shinji](2010/01/26 07:13)
[64] これはひどいオルタネイティヴ47(後編)[Shinji](2010/01/29 14:19)
[65] これはひどいオルタネイティヴ48(前編) 2010/02/20 03:44[Shinji](2010/02/23 04:16)
[66] これはひどいオルタネイティヴ48(後編)[Shinji](2010/03/04 12:24)
[67] これはひどいオルタネイティヴ48.5[Shinji](2010/03/06 20:21)
[68] キャラクター注目度ランキング(~2010年03月09日)[Shinji](2010/03/09 18:23)
[69] これはひどいオルタネイティヴ49 2010/03/14 07:03[Shinji](2010/03/15 12:47)
[70] これはひどいオルタネイティヴ50 2010/04/08 07:58[Shinji](2010/04/10 03:15)
[71] これはひどいオルタネイティヴ51(前編)[Shinji](2010/04/18 14:51)
[72] これはひどいオルタネイティヴ51(中編)[Shinji](2010/05/25 05:31)
[73] これはひどいオルタネイティヴ51(後編)[Shinji](2010/06/26 00:51)
[74] これはひどいオルタネイティヴ52[Shinji](2010/07/27 04:27)
[75] これはひどいオルタネイティヴ53[Shinji](2010/10/06 05:34)
[76] これはひどいオルタネイティヴ54[Shinji](2011/03/29 08:19)
[77] これはひどいオルタネイティヴ55[Shinji](2011/04/02 07:48)
[78] これはひどいオルタネイティヴ56[Shinji](2011/05/16 11:26)
[79] これはひどいオルタネイティヴ57[Shinji](2012/08/02 01:56)
[80] これはひどいオルタネイティヴ58[Shinji](2012/09/01 14:35)
[81] これはひどいオルタネイティヴ59 2012/10/29 15:03[Shinji](2012/11/03 14:33)
[82] これはひどいオルタネイティヴ60 2012/11/02 17:30[Shinji](2012/11/03 14:34)
[83] これはひどいオルタネイティヴ61[Shinji](2012/11/07 21:35)
[84] これはひどいオルタネイティヴ62[Shinji](2013/02/17 10:44)
[85] これはひどいオルタネイティヴ番外編[Shinji](2009/04/14 02:45)
[86] これはひどいオルタネイティヴ番外編②[Shinji](2009/10/15 18:11)
[87] これはひどいオルタネイティヴ番外編③[Shinji](2010/11/04 17:45)
[88] これはひどいオルタネイティヴ(登場人物+用語)[Shinji](2010/10/10 03:07)
[89] これはひどいオルタネイティヴⅡ(原案)[Shinji](2022/03/24 21:32)
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[3960] これはひどいオルタネイティヴ28
Name: Shinji◆9fccc648 ID:37b9b89a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/12/14 03:54
これはひどいオルタネイティヴ28




今回の模擬戦のルール
①敵のオペレーターの言葉以外は全て漏れる
②レーダーが丸見え(機体・仕様・衛士は確認が必要)
③戦闘エリアから出ると無条件で大破となる
④ペイント弾の予備弾倉は全機 本来の半分


●横浜基地・突撃機動部隊(暫定名称)●
アルカディア01 白銀 突撃前衛 不知火S型
アルカディア02 月詠 突撃前衛 武御雷(赤)
アルカディア03 神代 突撃前衛 武御雷(白)
アルカディア04 雪乃 強襲掃討 武御雷(白)
アルカディア05 美凪 強襲掃討 武御雷(白)
アルカディア06 唯依 強襲掃討 不知火S型


●今回の伊隅戦乙女隊●
ヴァルキリー01 伊隅 迎撃後衛 A小隊長
ヴァルキリー02 速瀬 突撃前衛 B小隊長
ヴァルキリー03 宗像 迎撃後衛 C小隊長
ヴァルキリー04 風間 砲撃支援 C小隊員
ヴァルキリー05 一条 突撃前衛 C小隊員
ヴァルキリー06 神村 突撃前衛 A小隊員
ヴァルキリー07 葛城 打撃支援 C小隊員
ヴァルキリー08 涼宮 強襲掃討 B小隊員
ヴァルキリー09 柏木 砲撃支援 B小隊員
ヴァルキリー10 築地 強襲掃討 B小隊員
ヴァルキリ-11 麻倉 打撃支援 A小隊員
ヴァルキリー12 高原 砲撃支援 A小隊員




2001年11月25日 午前




一部の人間(伊隅と速瀬)を除くA-01が、俺達6人より間違いなく劣っている事。

それは各々の"個人技"であり、更に述べれば"対・戦術機"による訓練の熟練度だ。

地球に置いて人類・共通の敵がBETAと言うのは周知の事実なんだけど、
少数 生産機である武御雷に乗る帝国斯衛軍は、互いに戦う事で技量の向上を図る傾向が強いらしい。

だから前にも述べたように、①と②以外の不知火S型が2機で各機に掛かろうとも一応は問題ない筈。

特に元A分隊の5名は対BETAによる連携を重点的にしか鍛えてないし、最も対人経験不足と言える。


『各機前進ッ』

『――――了解!!』×11


……でも、2機が3機。 3機が4機になるに連れて、彼女達の脅威度は爆発的に上昇する。

簡単に言えば1機で2機は捌けても、2機で4機を捌くのは簡単にはいかないと言う事だ。

そう考えると6機で12機と"まとも"にブツかったりしたら、勝てる要素など無くなってしまう。


「全速前進だ!」

『――――了解!!』×5


しかしながら、無謀と思える戦いであれど勝てる可能性を信じて挑むしかないのさッ。

んで たった今 状況が開始され、A-01は陣形を維持しつつ此方に迫って来ている。

まぁ、予想通りだけど……正攻法こそが今まで鍛えた"連携"が最も生きるし、妥当なトコロだよな~。

だから最も厄介である"連携"を、俺達はどんな手段を使ってでも崩さなくてはならない。


≪ゴオオオオォォォォッ!!!!≫


俺は篁達には"全速前進"と叫んだけど、ラインを上げるのは6機のうち3機だけ。

残り3機は固まりながらA-01と同じペースで進軍しており、前衛との距離が開いてゆく。

一方 前衛の3機は各々が散開し、正面左の伊隅が纏めるA小隊、
正面の速瀬が纏めるB小隊、正面右の宗像が纏めるC小隊のルートを遮る様に距離を詰める。

それにより、7:3の比率で俺達が戦域を確保した状況で3機の戦術機がA-01と接触する!

追い詰められたら負けが見える"こちら側"にとっては、初っ端のライン上げは かなり重要だ。


『ヴァルキリーマムより各機へ。 敵機"3体"が接近中です』

『どう言う事だッ? 残り3機の動きはどうなっている?』


『随分と後ろに居るわね、何 考えてんのかしら?』

『いきなり不可解な行動をしてきたモノですね』

『来るからには食っちゃうけど良いのよねェ~?』

『そうなると我々は、4機で1機の取り合いになりそうですが?』


速瀬は"随分と後ろに居る"と言ってるけど、後方3機の進行ペースはA-01と同じ。

要は先行してる3機の進行速度が速すぎるダケであって、彼女達はラインを"上げられて"いるのだ。

さておき、涼宮(姉)と伊隅を他所に、速瀬と宗像は原作の実戦でも冗談を言い合うダケ有って、
俺達の妙な動きをシッカリと警戒しつつも、前途の様な会話を交し合っている。

だけど空気を読まなくて悪いが、考える時間なんぞ作らせる気は無い。 ……負けちゃうしね。


『!? は、速いです! B小隊との接触迄5、4、3……』

『なんですってぇ~!?』

『あ、あれはッ――――』


≪ズシイイィィンッ!!!!≫


そんなうちに着地による振動と音を大きく響かせ、いち早くB小隊と接近した味方機。

間も無く残りの2機も左右のA小隊・C小隊と接触する事になるだろう。

対して このスピードは流石に予想外だったか、速瀬が驚き涼宮(妹)が敵機を見て嘆いていた。


『――――武御雷ッ?』×4

『……ッ……』


速瀬・涼宮(妹)・築地・柏木の前に現れた戦術機とは、武御雷(白)だった。

4人は判らないだろうけど中の人は"神代"で、盾を左手に突撃砲を構えている。

それが何を意味するのか一瞬 速瀬達は考え様としたようで、撃ち合いは直ぐには始まらなかった。

これは神代にとってはチャンスなんだけど、彼女にも想う所が有ったのだろうね。

その際……俺はハッキリと聴こえた。 神代が敵には決して察せられない程度に息を吸い込んだのを。


『お、おらおらおらああぁぁっ!!!!』

『!? 散開~ッ!』

『くっ!?』

『ひゃあっ!』


≪ドパァンッ、ドパアァンッ!!!!≫


――――気合と共に連続で放たれた120ミリを、咄嗟に回避する後衛の柏木を除く3機。


『ちょっ……ど~言う事? あんな相手 居たっけ?』

『わかりません! それよりも多恵、弾幕ッ!』

『うんっ!』

『ヴァルキリー9、バンディット・イン・レンジッ!』


『落ォちろおおぉぉっ!!!!』


≪ダパパパパパパパパッ!!!!≫


『ちっ! やっぱ武御雷だけ有るわねェ』

『は、速いッ』

『当たって、当たって~!』

『う~ん、この距離じゃ牽制にしかなりそうもないなァ』


武御雷の十八番である機動性を活かしつつ、雄叫びを上げながら4機相手に弾幕を張る神代。

突出した速瀬の実力を考えた"本来"であれば、簡単に撃墜されても可笑しくは無いんだけど、
何処ぞのオルガを真似させた彼女の気迫に押されたのか、B小隊は思わぬ苦戦を強いられている。

それを元A分隊3名は"大きな"実力差と錯覚し、速瀬も感染したか御得意の"突撃"に移れない。

正直 神代のやってる事は只の"引き撃ち"なんだけど、翻弄による時間稼ぎが元からの狙いだったのさ。

ラインはジリジリと下げられてはいるが、いくらサブ射撃の有る不知火S型であろうと、
武御雷(白)の機動力には到底 追い付けないので、4対1でも銃撃戦が一応は成り立っている。


≪――――ズシンッ!!≫


『……(巽は始めたようね)』

『こちらヴァルキリー6(神村)、こっちにも"白い武御雷"が現れました!』

『ヴァルキリー1、了解ッ』

『ヴァルキリーマムよりA小隊へ。 ヴァルキリー6を盾に前進しつつ、
 敵機 発砲後ヴァルキリー1は右から、ヴァルキリー11(麻倉)は左より展開せよ』

『了解』×2

『続いてヴァルキリー12(高原)へ。 牽制射撃のみを行い、退路を断て』

『了解~!』


……一方、巴の武御雷(白)が伊隅の指揮するA小隊と接触すると同時に。


≪――――ズシンッ!!≫


『……(私も覚悟を決めなくてはなりませんわ)』

『!? ヴァルキリー5(一条)です、同じく白い武御雷を確認』

『ヴァルキリー3(宗像)了解。 さて どうするか……』

『ヴァルキリーマムよりC小隊へ。 同様にヴァルキリー5を盾に前進し、
 交戦開始 直後ヴァルキリー3は左から、ヴァルキリー7(葛城)は右より展開し挟撃せよ』

『了解ッ』×2

『続いてヴァルキリー4(風間)へ。 前途の指示と同様に、敵機に牽制射撃を行え』

『了解しました』

『また、3機の武御雷の武装は突撃前衛・強襲掃討・強襲掃討と確認。
 及び音声により、突撃前衛 仕様の"白い武御雷"に搭乗する衛士は神代少尉と判明。
 残りの戦術機の仕様 及び衛士は、確認次第 直ちに情報を転送します』

『――――了解!』×8


右に展開していた戎もC小隊と接触し、彼女等 2人も間も無くA-01と交戦しようとしている。

その際 伊隅や宗像の指示は何も聞こえないのに"了解"と僅かなウチに言っているという事は、
多分 CP将校の涼宮(姉)が直ぐ様プランを立てているんだろう。 ほんの十数秒の間で大したモンだね~。

脅威は12機による連携ダケだと思いがちだが、涼宮(姉)の存在もA-01に欠かせない存在だ。

まぁ、正攻法で来る事には変わらないだろうけど……地味に精神的ダメージを食らった様な気がする。

だけど"こちら側"も意外性での攻撃力はこんなモンじゃ~無いZE。 何故かと言うと、神代ダケじゃなく……


『何だか知らないけど、貴女も瞬殺ぅ!!』


≪――――ドヒュッ、ドヒュウウゥゥッ!!!!≫


『貴女達ッ、邪魔ですわっ!!』


≪――――ドパァンッ!! ドパッ、ドパアアァァンッ!!!!≫


『えぇっ!? ち、ちょっと待っ……!!』

『120ミリを連射!? 回避しますッ!』


巴は何処ぞのクロト、戎も何処ぞのシャニを肖り、気合と共に激しい弾幕を降らせた!!

神代は"突撃前衛"なので突撃砲は一つだが、巴と戎は"強襲掃討"な事から、
二丁でより激しい射撃ができており、初っ端は120ミリ滑空砲の6発×2丁全てを躊躇無く撃ち捨てた。

ソレを直撃されれば流石に盾を持っている不知火S型でも防ぎ切れないので、
突撃前衛(元は強襲前衛)であるA小隊の葛城・C小隊の一条は、慌てて回避せざるを得なかった。


『はああぁぁぁぁっ!! 滅・殺!!!!』

『ああぁぁっ!! ウザああぁぁいんですのっ!!』


≪――――ダパパパパパパパパッ!!!!≫


その隙を逃さず、神代とは違い徐々に前進しつつ弾幕を張り続ける巴と戎。

位置取りは前方の神村&一条機の胸部マルチ・ランチャーの射程外ギリギリと、絶妙なポジションを維持。

そんな巴の攻撃を無難に捌けそうな技量を持つ伊隅でさえ、予想外の彼女達のキャラに集中力を欠いている。


『ヴァルキリー1より、ヴァルキリーマムへ! あれは"誰"だ!?』

『た、大尉達と交戦中の衛士は巴少尉……そしてC分隊 前方の衛士は戎少尉です!』

『ふむ。 斯衛軍の衛士と言うのは皆 あんな風に"変わる"んですかね?』

『そんな話は聞いた事も無いぞ? 宗像ッ』

『私もです……っと、それどころじゃ無いですね』


今の神代達は"こちら"の人間から見れば、BETAに対する恐怖で錯乱した衛士の様に見えるかもしれない。

ぶっちゃけ俺もパイロットを肖っているのを除外すれば、バラ撒いてるのはペイント弾だし、
トライアルにてBETAの奇襲でテンパり、バーサク状態になった白銀みたいに見える。

……でも彼女達は"正常"であり、俺の指示によって"言わされてる"ダケなんですよね~。


『怯むな、相手は1機だッ! 応戦しつつ包囲しろ!!』

『了解!』×3


――――さておき交戦から約30秒、ようやく連携が機能し始めた伊隅のA小隊。


『こちらも各機応戦だ。 弾幕は近いうちに止むだろうが、その前に決めるぞ』

『了解!』×3


――――同じくC小隊……若干A小隊より回復は遅い様だけど、"こちら"のラインは下げられてゆく。


「……(良し、行きますよ~?)」

『……ッ……』


一方、後方で進行中の俺&篁の不知火S型と、月詠さんの武御雷(赤)の3機。

いずれもA-01には絶対に"判別されない"様に、瓦礫の障害物に隠れながら進んでたけど、
一時的とは言え敵全機の注意が完全に3機の武御雷(白)に向いている今、もはや その必要は無くなる。

更に秒数が経過し、後方の俺達の存在による脅威を思い出してしまう前に奇襲を掛けなくてはならないのだ。

正直 神代達の肖りが効かなかったら一気にキツくなっちまったんだろうけど、
やはり"実直そうな斯衛軍の少女達のキャラが急激に変わる事"に対する耐性は伊隅達には無かった様子。

だから その"一瞬のチャンス"を最大限に活かす為、俺はバストアップが表示されている、
篁と月詠さんに対して口パクして、二人が真剣な表情で頷いたのを確認すると、
S型を大きく跳躍噴射させ、直ぐ様 匍匐飛行に切り替えると、B分隊と交戦中の神代機へと急ぐ。

その際レーダーを見ると、篁と月詠さんも昨日の夕食時にPXで立てた作戦の"第二段階"へと移っている。


≪――――ガチッ、ガチ!!≫


『な、何だよ!? 撃てないじゃないかッ!』←未だに肖り中

『神代機・滑空砲 弾数ゼロの模様』

『遙ァ~、そんなの言うまでも無いってば』

『くそっ……この馬鹿 戦術機……』←流石に小声

『(今 何て言ったのかしら?)ともかく、ようやく追い詰めたわよォ~?』

『……ッ……(36ミリも"これ"を撃ち切ったら終わりか……)』

『多恵。 相手は武御雷だし、まだ油断しちゃ駄目よ?』

『わかってるよ~』

『さ~て、もう何処にも逃がさないよーッ』


……状況開始から約1分後。 時間稼ぎをしていた神代機が、速瀬達に追い詰められているようだ。

レーダーを見るに速瀬が神代の真正面、こちら側から見て左から築地・右から涼宮(妹)が包囲。

そして後方の柏木は、神代の120ミリが使えなくなった事から、
若干 距離詰め見晴らしの良いポイントで狙撃体勢を取っていると言ったトコロか。

しかも、合流を急ぐ俺の正面には5階建て分くらいの瓦礫が積み上がっており、
神代はソレを背にさせられていると予想でき、ほぼ"詰んでいる"状況なんだろうね。

これ以上 後退は出来ないので、背後の瓦礫を飛び越えて下がろうにも柏木の狙撃が脅威。

正面には一番 厄介な速瀬が居るし、左右に逃げようにも築地と涼宮(妹)の弾幕の回避は困難だろう。

……だけど未だに突撃前衛に置ける武御雷の白兵能力を警戒しているのか、
胸部マルチ・ランチャーの射程内 迄は現在進行形で前進している速瀬でさえ近付いていない。

サブ射撃はむしろ接近戦でのカウンターに有効なんだけど、ハイヴ攻略シミュレーターに置いて、
BETAを捌く事ばかりで利用していた為か、何気に"この1分間"では殆ど利用していなかった様だ。
(一応 武御雷に乗る面子には弾幕を張る時に限りサブ射撃の射程内には極力入らないよう指示した)

これも予想していた事だし助かってるけど、クーデター戦ではメイン射撃と同じくらい活用して欲しい。


『……(これで神代少尉は撃破できそう。 ……でも最初3機の敵が迫って来た時、
 B小隊の正面に来るのは てっきり"白銀少佐"だと思ったのに……)――――ハッ!?』

『ヴァルキリー8・9・10ッ、墜とすわよ!?』

『了解!』×3

『ま、待ってくださいッ! 各小隊に向かって後方の3機が急接近して来ます!!』


さておき たった数十秒とは言え、"俺達の存在を忘れさせる"のが斯衛トリオの最も重要な役割だった。

神代達のキャラに不釣合いな罵声を言わせたのも、元々の技術と機体ダケでは役不足だったからなんだよね~。

んで今 聴こえていた話の内容から速瀬たちB小隊は、"神代のみ"に対し油断しない様 注意を払っている。

……つまり"第一段階"の作戦は"成功"であり、最も早く3機の存在に気付くのは涼宮(姉)あたりだろう。


『CPよりアルカディア1へ。アルカディア3迄の距離は200、150……』

『良しッ!』


≪――――ブァッ!!!!≫


『B小隊に敵機出現ッ! 戦術機は不知火S型……し、白銀少佐です!!』

『!?』×4


先程からA-01のサブ射撃の使用頻度 等、早口で戦況を知らせてくれている、
イリーナちゃんのオペを聞きつつ、俺は初っ端の"全速前進だ!"以外の台詞を此処にきて始めて喋った。

その"意図的"である2文字が聴こえたっぽいB分隊は今 ようやく"思い出した"ようで、
言葉は発さずとも此方に注意が向いたのは、既に彼女達を"見下ろしている"俺には十二分に理解できる。

何故なら俺は正面の瓦礫を跳躍噴射で飛び越え、神代機の頭上あたりでB分隊に銃口を向けているからだ。


『あいつ……!!』

『くっ、眩し……』←茜

『はははっ! 上を取ったぞッ、リーダ……(違った)……滑空砲・発射!!』


≪――――バヒュッ!! バヒュッ、バヒュウウゥゥッ!!!!≫


すッ、凄ェ……俺の不知火S型。 落ちながら戦おうとしてる!?

そんな冗談はさておき、言う必要も無いのに つい大声で射撃をアピールしちゃったんだ☆

でも完全に神代から"俺"へと注意が移ったみたいだし、意味は有ったのかもしれないね~。


『あぶなっ!?』


瓦礫を"飛び越えている"為か俺の機体は神代の頭上を通り過ぎ、速瀬のサブ射撃の射程内に入っている。

だけど幸い速瀬は"空中の敵にサブ射撃を放つ"価値観は無かった以前に、
思った以上に驚いてくれたのか、突撃砲による射撃さえも行っては来ていない。

それを好機と俺は輝きを放ち続ける太陽を背に、S型の左腕を延ばし邪魔な盾を除けつつ、
棒立ちしていた速瀬に頭部バルカン砲と胸部マルチ・ランチャーを連射する。

対して彼女はサブ射撃を"この瞬間"思い出したのかと思う程、咄嗟な右水平噴射で回避行動に移った。


『こ、このっ!』


また神代機を向かって右から包囲していた涼宮(妹)は、僅かなタイムラグの後 当然の如く、
現れた敵機にチェーンガンを両腕で射撃して来たが、フットペダルを連続で踏み込んで浮きつつ回避。

そんな俺の機体の右腕に持たれている突撃砲は"もう片方"の強襲掃討をしっかりと捕らえていた。

"彼女"も涼宮(妹)より更に遅れながらも、チェーンガンを放とうと二つの銃口を向けて来るんだが……


『ひ、ひゃああぁぁーーっ!!!!』


≪ドパアアアアァァァァンッ!!!!≫


『ヴァルキリー10、コックピットに被弾・大破』

『た、多恵!?』

『……うぅッ……そ、そんなぁ~』

『戦いを"まとも"にやろうとするから、こういう目に遭うのだよ……築地ッ!』

『こっのおッ! よくもやったわねぇ!?』


銃口を此方に向けている"ダケ"の動作しかしていないS型に、攻撃を当てる事なんぞ容易い。

迫り来るBETAが相手であれば光線級がチャージ済みでもない限り被弾の恐れは無いけど、
相手が戦術機と言う事となると、僅かな判断の遅れで命が無くなるのさッ。

よって後衛の柏木を除く3機のうち、最も判断が遅れた築地が俺の120ミリの餌食となった。

ゴメンね~ロリ巨乳。 実は最初から俺の狙いは君だったんです、速瀬と涼宮(妹)の技量を考えるとNE。


『!?(少佐、旨く動いてるなァ……下がらないとダメか~)』


現在は再び銃撃戦が開始され、予備弾倉の少ない速瀬は今になってサブ射撃を駆使して。

涼宮(妹)は相変わらず適正距離を維持しながら、俺に弾幕を放って来ている。

結構 激しいな……神代より後ろには下がれないから、これで柏木の狙撃が加われば厄介になる。

よってドサクサに紛れて120ミリを⑨に向けてロックオンすると、彼女は射程外に後退してくれた。


『貰ったぞッ!』

『し……しまった!?』

『ヴァルキリー11、動力部に被弾・大破』


―――― 一方、巴が足止めしていたA小隊を月詠さんが奇襲し、向かって右側の麻倉(打撃支援)を仕留め。


『其処ォ!!』

『う、嘘ぉぉっ!?』

『ヴァルキリー7、メインカメラ損傷・戦闘継続不可能』


――――全く同じ要領でC小隊を抑えていた戎に割り込み、篁が同じく打撃支援の葛城を撃破した。


『ヴァルキリーマムより各機へ。 ……と、突然の奇襲によりヴァルキリー7・10・11が撃破された模様』

『ヴァルキリー1、把握済みだ。 流石は白銀少佐、やってくれるッ』

『しかし、まだフライト(4機編成)が崩れたに過ぎませんが?』

『そうだな宗像。 此処で退く訳には いかん!』

『敵全機の位置・仕様・衛士が判明、直ちにマーキング配布します。
 各小隊は敵エレメントを包囲しつつ前進・合流し、9機にて6機を個々撃破せよ』

『了解!』×9

『状況報告。 状況開始より90秒が経過』


ちなみに機体大破や経過時間を告げてくれるのは、イリーナちゃんのお友達No1(姉)。

この役を任せるに当たって、ジャンケンで負けたお友達No2(妹)が指を銜えているのを、
姉の報告に置けるバストアップが表示される度に見えるのはさておき。

どうやら伊隅達は、このまま3vs2が始まると思ってるんだろうが……そうは問屋が卸さない!


「もう良いぞッ、一旦 下がれ!!」

『!? で、でもやっぱり私も少佐の援護を――――』

「退けッ、神代!! 今の御前の任務はガンダ……奴等を倒す事では無い筈だッ!」

『り、了解っ』


俺は神代の武御雷(白)に下がる様に指示し、速瀬達B小隊の前に立ち塞がる。

その時 言った台詞なんだけど……即席で肖ってるから、つい間違えちゃうんだ☆

対して何故 数的不利を選ぶのか理解できないっぽい速瀬が突撃砲を向け警戒しながら言う。


『アンタ……どう言うつもりなのよッ?』

「戦いとは、駆け引きなのだよ!!」


≪――――ゴォッ!!≫


『く、来る!?』

『上等!! 茜・晴子、絶対に仕留めるわよッ!』

『り、了解!』×2


俺は自分でも意味不明な事を言いながら、B小隊に向かって前進する。

実は……各小隊で最も脅威なのは速瀬の小隊で、4機編成だと一人で勝てる気は全くしなかった。

武御雷の様な高機動メカに乗ってないと、不知火より若干 鈍足なS型じゃ逃げる事さえ出来なかった筈。

でも3機なら何とか俺 単機で戦えるッ。 ソレだけで組んだ今回の"2段階目"迄の作戦だった。


『アルカディア1、B小隊3機と交戦中。 各機作戦の第3段階へ移行せよ』

『アルカディア2了解した。 ……巴ッ』

『はいッ。 アルカディア4、後退します!』

『戎少尉、此処は私が!』

『後武運を御祈りしますわ~』


イリーナちゃんの言葉で、篁達のレーダーの位置にも変化が見られる。

各小隊の足止めをしていた斯衛トリオが俺・篁・月詠さんとバトンタッチして後退を始めたのだ。

その全速後退に追撃を掛け様にも、ラインを下げずに俺ら3機が弾幕を張るので不可能。

そもそも追いつけないし、A-01は目の前の1機の戦術機と交戦するしかなかった。

しかも向かって左側のA小隊を相手にする月詠さんは、徐々に左に伊隅達を誘導しつつ戦い。

俺の遥か右側で交戦中の篁も宗像達C小隊をラインを下げず右の奥に誘導しつつ戦っている。

これに何か思うところ有るんだろうが、各敵小隊は3機連携を崩すワケにはゆかず左右に展開してゆく。


『ヴァルキリーマムより各機へ! A小隊・C小隊 共にB小隊より距離が離れ過ぎています!』

『妙だな……一体 何を考えて後退したんだッ?』

『大尉、3機の白い武御雷は後方で合流する つもりの様ですが?』

『成る程……再び時間稼ぎをさせつつ、各小隊を合流した武御雷3機を加えた"4機"で潰してゆくつもりか』

『それが妥当な線ですかね』

『良いか神村・高原ッ。 そろそろ右側はエリア外になる!
 エレメントで左から背面に回りこめッ、赤い武御雷の前方は私が抑える!!』

『了解!』×2

『ヴァルキリーマムよりC小隊へ。 ヴァルキリー5(一条)は前進。
 右よりヴァルキリー3・4は迂回し、篁機を三方から包囲せよ』

『了解!』×3


速瀬達はともかく、A小隊とC小隊は伊隅と宗像以外 全く喋っていない。

余計な事を言わない様に、事前から伊隅に指示されているんだろう。

たった今は月詠さんを抑えるべく伊隅は指示を出したけど、宗像は言わなかった事から、
きっと涼宮(姉)が代弁したんだろう。 篁に"やる事"は伊隅の指示した方法と同じだと思うけどね。

……って、味方の心配をしてる場合じゃねぇっ! 何気に避けるのが精一杯だ!!

やっぱりサブ射撃ってチート過ぎだな~、速瀬は闇雲に撃ってるっぽいが近付けないぞッ?


『このっ、このォ!!』

『な、何で当たらないのッ?』

『武御雷よりは遅い筈なのに~!』


ペイント弾と言うのがシュールだけど……俺も速瀬も同様に、適正距離でサブ射撃を撃ち合っている。

互いに予備弾倉の少ないチェーンガンの消費を抑えて戦っているのも同じだ。

だけど俺は涼宮(妹)と柏木にも狙われているので、執拗に弾幕を張って来る涼宮(妹)に対し、
たまに速瀬より若干弾数の残っている36ミリで牽制する事で、辛うじて戦線を維持できているのだ。

つまり36ミリが無くなったら一気に押し込まれる……そうなる前に、この状況を打破する必要がある。


『ヴァルキリー9(柏木)、予備弾倉 交換まで残り5発・4発・3発……』

『(ゆーこさんを図に乗らすワケには いかんのだよッ)』

『ゼロッ!』

『(今だ……っ!!)』


≪ゴオオォォォォッ!!!!≫


――――よって、唐突に速瀬に向かって吶喊した俺。 勿論、考えが有っての事だ。


『……っ!? でも、これで……!』

『ちぃっ!』


速瀬は軽く動揺しつつもマルチ・ランチャーを放ってくるけど、驚いたのも無理はない。

左右にピョンピョン跳びながら射撃していたダケのS型が、急に突っ込んで来たんだしね。

対して俺は突撃しながらも前屈みになりつつ、盾を斜めに構えてグレネードのペイント弾を受け流す。


≪――――パアアァァンッ!!!!≫


『アルカディア1、盾損失・左腕小破』


"まとも"に受けたら盾ダケじゃなく機体ごと持ってかれそうだけど、被害は最小限で済んだみたいだ。

その代償としてブッ壊れた盾はパージされ、現在進行形で爆風 代わりに弾けたペイントが視界を覆ったが。

俺は前進を止めずに速瀬に距離を詰める中、イキナリ涼宮(妹)機に銃口を向けると……


≪――――チャキッ≫


『えっ!?』

『そらッ!』


≪――――ダパパパパッ!!≫


『きゃあっ!』


……速瀬を援護"しようとした"彼女を36ミリで牽制し回避行動を強制し。


『晴子ォ!』

『ゴメンなさい、丁度 今リロードちゅ……!?』

『ぬぉぉっ!!』

『くっ!?』


≪ガシイイイイィィィィンッ!!!!≫


リロード状態なのを見計らって俺が"行動を起こした事"に勘付いた様子の柏木。

彼女のマヌケな声と共に俺は頭部バルカンを速瀬にバラ撒きつつ接近し、長刀を振り下ろした。

柏木は良いポジションで構えていたので、前方水平噴射するダケの俺なんぞ良い的だ。

其処で少数編成の特権……イリーナちゃんに柏木のリロードの瞬間を特定して貰ったのさ!

自動で行われるのでタイムラグは2秒も無いんだろうけど、撃つべき時に撃たせないダケで全然違う。

だから速瀬に斬り掛かれたワケなんだけど……流石はエース。 シールドに阻まれちまったッ。

直前のバルカンに怯まずにシールド防御して来るとは、考えては いたけど予想通りでは無い。


『!? 中尉ッ、気をつけて!!』

『今更遅いぜ!!』


――――けど"考えてはいた時点"で対処法は有り、俺は涼宮(妹)の声と同時に次の行動に移る。


≪ドパパパパパパッ!!!!≫


『くぅっ!』

『駄目だ、この距離じゃ誤射しそうで撃てないよッ』


俺は速瀬にゼロ距離の頭部バルカン砲を撃たせる前に、直ぐに格闘をキャンセルすると、
突撃砲に持ち替えつつ速瀬の正面から、跳躍噴射を駆使して彼女から向かって直ぐ右に回り込む。

そんなS型の向きは速瀬の側面。 つまり彼女を左斜め後ろで援護していた涼宮(妹)を、
"外した"事によって送られたロックにより、再び射程内に捕らえていた。

同時にラストのマガジンに変えた ばかりの36ミリを涼宮(妹)のS型に打ち込み、支援する余裕を与えない。

これで後は速瀬を倒すダケ。 右腕の武器は突撃砲だし、左腕の盾じゃあ右側面からの攻撃は防げまい!

涼宮(妹)には夕食後の訓練で、格闘をキャンセルして射撃を外し ループさせる技術は披露したから、
俺が"何をする"のかを大まかに察したみたいだけど、速瀬は"回す"事は知らないだろう。

だから、旨くゆけばB小隊は全滅させられるか!? 俺って凄ェッ! そう考えた矢先……!!


『こんのぉっ!!』


≪――――ガコオオォォンッ!!!!≫


『ぐあっ!?』


≪ズウウウウゥゥゥゥン……ッ!!!!≫


ようやく此方を向いた速瀬に再び斬り掛かろうとした直後、何故か俺は"吹っ飛ばされて"いた。

その為ダウンしてしまい地面が揺れ、同時に俺の頭がダイレクトにシェイクされる。

は、速瀬のどの銃口も"こっち"を向いてなかったから油断してた……まさか、タックルしてくるとは……

この長刀は突かないで振り下ろす様に出来てるから、"潰す"には最も適した対処方法をされたってワケだ。

ゲームでも格闘にタックルが強いのは同じなんだけど、"こっち"でもされるとは思わなかったぜ……

速瀬はカンがいいのかッ? それともあの新しいタイプの奴なのか!? いや、そんな肖り よりもッ!


『茜ェ!!』

『はいっ!』


≪ダパパパパパパパパッ!!!!≫


『うわっ!? とっとっと……!!』


ダウンしたのを好機と、涼宮(妹)が今までの牽制の御返しするような勢いで弾幕を張って来た!!

よって俺はS型を立ち上がらせる途中の無理な体勢で、主脚でケンケンする様な感じで後退し回避する。

だけど、左から"ロックオンされた"と言う数度目の警報が鳴ったと思った直後に――――


≪パアアァァンッ!!!!≫


『……ッ……アルカディア1、両脚部損傷。 移動及び噴射行動不能』

『あははっ』


敵機の単純な移動進路を予測して、柏木が射撃を俺のS型の左足に命中させたのだ。

くそ~ッ、柏木さんってば嬉しかったのか"あははっ"って無意識に口にしちゃってますよ!?

でもビクンビクンッ……白銀は速瀬も含めて予想外の彼女達の健闘に、ゾクゾクしちゃったんだ☆

それはそうと"両脚部損傷"って事は実際なら貫通して右足もダメージを食らっちまうって事みたいだね~。

ともかく此処までかよ……今の被弾によりガクンと戦術機の両足の制御が効かなくなったのを感じた。


≪ぐらっ……≫


『白銀少佐ッ!?』


――――それにより崩れ落ちようとする俺のS型。 同時にイリーナちゃんの驚く声が耳に響く。


『や、やったの!?』


――――格好悪い姿を見せてゴメンよ……けど、最期に俺は涼宮(妹)の油断を見逃さなかった!!


『……(不知火S型は、元は俺専用に開発して貰った戦術機だ……)』

『ふふ~ん。 ナイスよ、晴子~』

『ホントは上半身を狙ったんですけどねェ』

『……(だから香月 副司令への……)』

『えッ(ロックオン?)』

『俺には男としてのメンツがあるんだよッ!!』


≪――――ボヒュウッ!!!!≫


『き、きゃああぁぁぁぁっ!!!!』

『茜ェ!?』(速瀬)

『うっそぉ~ッ』(柏木)

『!? ヴァルキリー8、致命的損傷・大破』


≪ずううううぅぅぅぅん……っ!!!!≫×2


『ぐっ!?』

『うぅ~っ』


まさに鼬(いたち)の最期ッ屁。 俺は倒れる直前に、180ミリを放って涼宮(妹)のS型に直撃させたのだ!

正直"計画通り"に ゆくのなら速瀬を堕としたかったんだけど、避けられる気がして止めて置いた。

しかし油断し過ぎだぞ涼宮(妹)達。 確かに俺の"異常"な機動は、脚がなきゃ出来無いとは言えどもねェ。

まぁ……ソレだけ俺の機動が目立ったんだろう。 だから"射撃のみ"に対する脅威が不足したってか~?


『成る程……油断大敵って事ォ?』

『そうですね~』


もう俺の役目は終わった。 今ので速瀬と柏木の警戒はするだろうし、後は撃破される事を待つしかない。

仕事は100%こなせなかったけど、不思議と悔しくは無かった。 ……色々と得れたしね。

だから倒される前にアレだけは言って置こう。 殺られるからには、言わなければ肖った意味が無いZE。


「……イリーナ中尉! このデータを、副司令に届けてくれよっ?」

『し、少佐?』

『止めよッ!』

「これは……"いいもの"だァーーっ!!」


≪――――ドパアアアアァァァァンッ!!!!≫


『アルカディア1、致命的損傷……た、大破』


(戦術機の)頭がパァーン!! その直前に白銀は詰んだから、つい言っちゃったんだ☆

一応 適当にキャラを合わせたんだけど、深い意味なんて全く無いからねっ?

でもイリーナちゃんのお友達No1(姉)が引いてる気がしないでもないけど、後悔はしていない。


『(何だとッ、白銀少佐が撃破されたのか!?)』

『(やっぱり速瀬中尉は それ程の……だけどッ)』


≪イリーナ中尉! このデータを、副司令に届けてくれよっ?≫


『(最期に聴こえた言葉……まるで勝負の結果よりも……)』

『(少佐は更に先の事を考えて、今の模擬戦に臨んでいたと言うの?)』

「戦いは この一戦で終わりでは無いのだよ……」←もはや自棄

『(!? い、今のは……間違い無いッ!)』

『(そうなれば、与えられた"役割"を果たさないとっ!)』


状況開始から僅か2分……早くも動かないS型のコックピットの中で、戦いを傍観する羽目になった俺。

う~ん。 一応 隊長なのに最初に撃破されちゃったって事で、何だか恥ずかしくなってしまった。

だから対・B小隊的な意味で、またパイロットの台詞を肖ってしまうと……あら不思議☆

急に月詠さんと篁の動きが冴え出してるし、もはや面目 丸潰れっぽい気がするんですけど。

もう帰ろうかなァ……だけど制御を解いて貰う様に言うのもアレだし、見るしかないか~。

そうヘコんでいると、俺を撃破した速瀬と柏木の前に3機の戦術機が急接近して来たッ!

言うまでも無いだろう、神代達だ。 その姿を見ながら俺は心の中でまた自重しない台詞を肖った。


「(さて……来て貰おうか、神代)」

『よ、よくも少佐をッ!!』

『今度は私達が相手です!』

『覚悟は宜しいですの~?』


≪――――ズシッ、ズシイイィィンッ!!!!≫


そうだった! 撃破されて自棄になってしまっていたが、俺は大事な事を忘れていたッ。

3機になり、ようやく本来の実力が出させる斯衛トリオの"奥の手"を見ない訳にはいかない。

こんな"段取り"にしたのも、これから披露されるモノを"拝みたかった"為だと言っても過言では無いのだ。


『おおおおぉぉぉぉっ!!!!』

『なっ……(捨て身!?)』

『大尉!?』×2

『アルカディア2、ヴァルキリー1。 致命的損傷・大破』


―――― 一方 作戦通り月詠さんが"道連れ"にする形で白兵により伊隅を撃破するも、僚機の射撃を受けて大破。


『(このタイミングで、当てに来る筈ッ!)』

『これで止めを……えっ!?』

『み、美冴さん!?』

『アルカディア6、ヴァルキリー3。 致命的損傷・大破』


そして篁は宗像に着地硬直を意図的に晒したところを、強引に反撃して彼女と相打ちになった。

これが作戦の"第3段階"の終了を意味し、俺・月詠さん・篁は各敵小隊の隊長を倒す事が目的だったのさッ。

でも……俺だけ目的 果たせて無くね? べっ、別に悔しいだなんて思ってないんだからね!?(涙)


『ヴァルキリーマムより各機へ。 月詠機と篁機を撃破、しかしヴァルキリー1・3が大破した模様』

『ふ~ん、大尉と宗像が? でも……これで残りは目の前の3機ってワケか』

『どうします中尉、合流した方が良くないですか?』

『そうね~、晴子は距離も有るし下がんなさい。 私は逃げれそうも無いから』

『えぇっ? だけど……ッと、了解しました~』


≪ブワァッ!!!!≫


『ヴァルキリー4・5・6・9・12は直ちに合流し、ヴァルキリー2は戦線を維持せよ』

『了解!』×6


柏木が速瀬への援護を打ち切って後退する。 実戦なら見捨てないだろうけど、今じゃ妥当だな。

斯衛トリオのうち2人居れば速瀬を抑えるのは十分だから、1機が流れた時点で柏木は抗えないからね。

よって2機とも撃破されて最悪4対3になるよりも、彼女を下げて5対3を選んだんだろう。

それは こっち側にも好都合……3対2だと速瀬の火事場の馬鹿力で誰かが撃破される恐れが有るけど、
3対1となると、武御雷(白) 3機全ての連携力を単機に集中させる事ができるからな。

つまり"アレ"の出番だッ。 故に何時の間にか斯衛トリオは、戎を正面に・巴・神代と縦に並んでいる。

斯衛トリオを警戒する速瀬から見れば、1機の武御雷(白)のみが自分に向いている様に見えるだろう。


『……(妙ね、何をする気なの?)』


――――もはや言うまでも無いけど、今の斯衛トリオは"白い三連星"と断定できる。


≪ズゴオオオオォォォォーーーーッ!!!!≫


『絶技ぃ~っ!!』

『わっ!?』


――――3機並んで同時に距離を詰め出した直後、1番手の戎が180ミリを両手から放って左に離脱し。


『噴射ぁーッ!!』

『くっ……!』


――――2番手の巴が速瀬が避けた進路を読み、右に離脱しながらも36ミリでの射撃を継続させ。


『気流殺ゥッ!!』

『えぇっ!?』


――――36ミリを盾で防がざるを得なかった速瀬機に急接近し、神代が長刀を振り下ろした結果。


≪ガシュウウウウゥゥゥゥッ!!!!≫


『ヴァルキリー2、胸部切断・大破』

『!? ヴァルキリーマムより各機へ。 ヴァルキリー2が大破。 合流後、武御雷3機を殲滅せよ』

『了解!』×5


――――速瀬はジェット・ストリーム・アタックにより撃破される。 流石に踏み台は無理だったか。


『あちゃ……大尉、すいませ~ん』

『幾ら何でも、今のはアッサリ殺られ過ぎじゃないですか?』

『む、宗像ァ!?』

『ほら もっとこう……さっきの白銀少佐みたいに』

『こらッ、死人がベラベラと喋るな。 大人しく戦況を見届けろ』

『やれやれ速瀬中尉……怒られてしまったでは ないですか』

『アンタの所為でしょうがッ!!』


――――宗像、君はホントに怖い者 知らずだな。 だけど俺を評価してくれたのは有り難いZE。


『ヴァルキリー2を撃破。 引き続き作戦の"第4段階"を継続せよ』

『了解!』×3


そうだった、そうだった。 此処で俺達が立てた"作戦の段階"と言うモノを説明しておこう。

……まず1段階目は巴・神代・戎がA・B・C小隊の注意を少しの間ダケでも良いから向ける。

次に月詠さん・俺・篁が各小隊を奇襲し、必ず一機を仕留め、その後 武御雷(白)と囮役をバトンタッチ。

そして第3段階は相打ちでも良いから、伊隅・速瀬・宗像の3人の小隊長を撃破する事。

最後に、残った斯衛トリオが3×2機編成となったA-01を合流前に全滅させるって寸法だった。

俺が速瀬を堕とせなかったって事で柏木達を合流させちまったけど、まぁ……そんなモンですよね。


「さて、結果はどうなるのかな~?」

『奴等を信じるしかないでしょう』

『そうですね』

「まぁ……どっちも応援しましょう。 得れたモノは多かったですしね」

『!?』

『……ッ……』

「ど、どうしました?」

『い、いえ』

『何でも有りませんッ!』

「???? なら良いんスけど」

『(やはり白銀少佐は"勝ち"には こだわっていなかったか……)』

『(むしろ、撃破された事を嬉しく思っている様な……けどッ)』


≪俺には男としてのメンツがあるんだよッ!!≫


『("あの時"の気迫……一体どれが彼の"本心"なのだろうか?)』

『(今の私には"それ"を知る権利は無い。 でも、いずれ……)』

「……ッ……」


月詠さんと篁……き、急に押し黙っちゃって何が有ったんですか!?

必死で戦ってたのに"どっちも応援しましょう"って言ったのがヤバかったのかな~?

今の戦況とか何も見ずに考え込んでるみたいだし、好感度ダウンってヤツなのかッ?

やっぱり言動には注意した方が良いのかなァ……篁と月詠さんに限ってはホント自重しないとね。


『くっ……す、すいません……』

『ヴァルキリー4、致命的損傷・大破。A-01全滅、状況終了』

『はぁっ、はぁっ』

『や、やった……』

『勝ちましたわッ』


――――そんな俺の考えを他所に、何時の間にか模擬戦は白銀陣営の勝利で終わっていた。


『うぅっ……全滅……12機の不知火S型が全滅……3分も持たずに~……』

「涼宮中尉」

『はぃいっ!?』

「悔やむ必要は無い。 ……君はよくやったよ」←今の台詞的な意味で

『し、白銀少佐……』(キュン)

『……~~ッ……』×3

「!? か、神代・巴・戎も良く戦ったぞッ?」

『はいっ!』×3


相手を褒めちゃダメって判ったばかりなのに、涼宮(姉)の台詞を聞いた結果がこれだよ!!

だ、だけど俺はだな……涼宮(姉)が自分の采配の所為で負けたと思わない為に、声を掛けたダケなのさッ。

それよりも斯衛トリオに睨まれてしまったので、慌ててフォローを入れる羽目になってしまった。

……だけど次は篁・月詠さん・イリーナちゃんにも睨まれ、結局 敵味方・全員を労う事となった俺だった。




……




…………




2001年11月25日 正午


――――2時間後。


「お帰りなさい……まぁ、予想通りの結果だったわね~」

「…………」


たった3分の戦いとは言え、さっきは勝てて良かったッ! 肩の荷が一つ下りた気分だよ!!

事後処理の後 横浜基地に帰還した俺は着替えると、清々しい気分で廊下を歩いていた。

この後はPXでノンビリ篁達を待って、祝勝会と言う名の昼食と洒落込もうではないか。

歩みを進める中、何故か執務室に居る筈の ゆーこさんの声が聴こえた気がしたけど、空耳だろう。


「何よ、無視するつもり~? 後悔するわよ?」

「はいスイマセン。 何の用ッスか?」

「ブリーフィング・ルームに来なさい。 もう他の娘達には来るように伝えて有るわ」

「さ、さいですか……」


ふっ……実は気付いてたけど、意図的に ゆーこさんをスルーしようとしてたのさ。

だってホラ……勝ったら"どんな命令"をするか決めて無かったし、時間が欲しかったんですよ!

でも皆を集めちゃたって事は行かざるを得ないし、即席で考えるしか無いっぽいね~。

俺は歩き出した ゆーこさんの背中を尻を眺めつつ追いながら、深い溜息を吐いたのでした。


≪涼宮中尉……君には俺専属のオペレーターに成って欲しい位だよ≫


「白銀少佐が真っ先に褒めてくれた~、水月には悪いけど嬉しいよお~っ」


―――― 一方、着替える必要の無い涼宮(姉)は、ついトイレで自慰っちゃってたんだ☆




●戯言●
微妙な戦闘シーン。もっと描写を細かくしたかったのですが、要点だけ書く事にしちゃいました。
次回は白銀28が伊隅大尉ら4人に命令したりタマパパ関連のイベントを予知したりします。
年末は忙しくて1月16日まで連休が有りませんが更新頑張りますので見捨てないで下さい@w@


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