これはひどいオルタネイティヴ152001年11月11日 午前囮の為にBETAの群れへと突っ込んだ俺は、水平跳躍噴射で奴らの奥を目指していた。当然 狙いは光線級と重光線級。 こいつらを倒せば俺にとって厄介な相手は要塞級程度だ。だけど、そろそろ目の前に要塞級が接近……重光線級は奥に控えているのか……『要塞級は3体のみ確認、距離300m切ります』「それよりも先に光線級と重光線級を殺りますッ! 数は!?」『――――光線級25、重光線級は5体の模様』「把握しました、マーキングを御願いします!」『了解……少佐ッ、レーザー照射来ます!』「!? 来る……そこだっ!」俺が速瀬と合流する前に照射してきたと思われる、要塞級の手前に居る光線級のレーザーをヒョイっと回避した俺。ウザったいのでフワジャンをしながら12秒のインターバルのうちにチェーンガンで片付ける。マークして有るので自動で照準を合わせて構えてくれるし、アッサリと5体を始末した。"フォックス3"とか言って置くべきなんだろうけど、孤立してる状況だと無意味だよね。かなり格好良いとは思うけど、コールサインさえ決まって無いしな……そんなうちに要塞級が接近して来ているが、今は後方のレーザー種の壁にしかなっていない。『要塞級 接近中、距離50m!』「でけぇ~……けど、お前を相手にしてる暇は無いんだよっ!」≪――――ブォッ!!≫『!? し、少佐ッ! それ以上 高く飛んでは危険です!』「大丈夫ですって!」接近してきた要塞級の触手を宙でヒラリとかわすと、更に噴射跳躍して奴の頭を飛び越える。高度は約70m……教本を考えれば非常識にも程が有るよね、こんな戦い方するなんて。んでもって来てます来てます、レーザー照射警報。 もはや視界が真っ赤なんですけど。何せ遠距離でレーザー級25体が狙っていますからね! それ程 危ないって事か。『白銀少佐!?』『不味そうですね、あれ……』『そんな、私達の為に……』伊隅・宗像・風間の声が聞こえる。 心配してくれているんだろう。確かに当たれば一瞬で蒸発するだろうが……肖っているエースはシー●ック・アノーだ。回避には定評が有るし、今の俺には新OS(β版)・白銀大佐・不知火S型が付いているのさ!≪――――カッ!!≫「なんとおぉーーーーっ!!!!」『――――っ!?』よって全てのレーザーを回避成功。 照射見てから水平余裕でした、略してあるのがコツだぜ?一方 驚く伊隅達……それはそうとインターバル中にさっさと始末しないとね!俺は更に噴射を活用してレーザー種に近付く。 推進剤が有り余ってるのは嬉しい限りだ。『光線級インターバルに移行! 照射まで10、9、8……』「これまでだ……ッ!!」ピアティフちゃんがカウントダウンしてくれる、これはマジで助かるわ。流石に12秒で光線級の全滅は無理だけど、第二照射もヒョイっと避けて残りも仕留ようとする。……けど、原作の空気を読んで5体ほど光線級を残しておく。 俺って律儀過ぎじゃね?それはそうと……次の標的は重光線級5体。 マーキングが無くても奴らはデカいから直ぐに判る。『重光線級、照射まで16、15、14……』「……こんな所にノコノコ来るからっ!!」≪ボヒュッ!! ――――ドゴオオォォンッ!!!!≫両手の二丁同時でも当たりそうなんだけど、120ミリってコストが高そうだよね。だから近付きながら右手で1発づつ命中させ、最後の1体のレーザーを簡単に避けて反撃。そして撃破……これで厄介な奴らを全滅させれたって事で、俺はフワジャンをしながら喋る。「こちら白銀機! 重光線級は全滅させたッ、そちらはどうです!?」『こちらヴァルキリー1、速瀬を離脱させました! 現在 要撃・戦車級を迎撃中ですッ!』「把握ッ! 後は食い放題ッスよ!? 適当に囮をやってるんで無理せずに宜しく!」『――――了解!!』推進剤はモリモリ減る事になるけど、放置した光線級のレーザー照射警報にだけ気を配れば、後は適当に浮いているダケで、一方的にBETAを攻撃できる。 今は主にチェーンガンで要撃級を攻撃し、伊隅達がヤバかったらフォローを入れるべく様子見だ。……けど心配は要らなかったようで、ヴァルキリーズの士気は最高潮の様子。やがて補給を終えた速瀬も戻り、2体の要塞級が120ミリの集中砲火でどうと倒れる。『要塞級、残り1です!』「後はコイツだけか……」≪……ズシンッ、ズシンィィッ!!!!≫BETAの数は減り、もう宙に浮かぶ必要も無くなったけど、地割れを起こしながら最後の要塞級が馬鹿デカい音を鳴らして接近してくる。地面に立ってると物凄い威圧感だよな……けど、動きがスロー過ぎて触手には当たる気がしない。他のBETAと連携を取られると、相手をするのは恐ろしいんだけど、ほぼ単体だしな。≪フオオォォォォンッ!!!!≫「当たるか!!」≪――――チャキッ!!≫「抵抗するんじゃない、逝っちゃえよッ!!」≪ドゴォッ!! ――――ドゴオオォォンッ!!!!≫余裕で触手を避け懐に入り込むと、F91のヴェ●バーのように突撃砲を両手に引いて構える。そして同時に120ミリ滑空砲を発射! 勿体無いけど、つい殺っちゃったんだ☆弾丸は当然 至近距離なので直撃し、要塞級はブッ倒れた。今の振動で避難した地元の人 涙目確定。しっかし……思ったより手間取るモンだな。 ハイヴの中には光線級は居ないし、500体を全滅させるのとスルーするのとは、案の定ワケが違うって事か……『!? 白銀少佐、HQより撤収命令が出ています』「……えっ、まだ戦いは終わってませんけど?」『そ、それは――――』「あっ……いや、OKッス」そんな事を思いながら残りのBETAにマルチ・ランチャーを放っていると、突然の撤収命令。ふ~ん……成る程……ゆーこさんは俺に捕獲をスルーさせるよりも隠す事を選んだのか。今のピアティフちゃんの反応からすると、もしかすると彼女は知ってるかもしれないな。……けど、追求する気はサラサラ無い。 お役御免上等だ、フォローは済んだし帰るとするか。俺は後方跳躍噴射しながら適当にBETAを捌きつつ、伊隅達の横を素通りする。『白銀少佐、どちらへ?』「不知火S型のテストは完了しました、俺は引き上げますんで後は頼みます」『了解ッ! 助かりました……少佐』「いえいえ」微笑んでくれた伊隅の表情を最後に、俺はデータリンクの範囲外へと離脱した。とりあえず初戦は何とかなった……白銀大佐、マジ助かりました。(土下座)しかしピアティフちゃん、そんな可愛そうな人を眺めるような表情で俺を見ないでくれ。ガン●ムごっこは仕方無いんだよぅ! ともかく……嗚呼……次はションベンだ。『ヴァルキリーマムよりヴァルキリーズへ。 只今よりBETA捕獲作戦に移行せよ』『聞いたな!? 全員 実弾を酵素弾倉に変更しろッ!』『――――了解ッ!』「……ッ……」≪良いから命令だ!! お前を死なせたくないんだ、頼むから下がってくださいッ!≫「(……アイツ……少しだけ、泣いてた……)」≪そ、それじゃあ今迄……少佐はどんな辛い思いをして来たんだろ……≫「(私と遙だって孝之を……それなら、アイツはどれだけの人を失って……)」≪逃げ回りゃ……死にはしない≫「(……それでも、生きる理由がアイツには有る……それは何なのよ……?)」『――――速瀬ッ、何をしている!? 貴様が一条と神村より出遅れてどうするッ!』「!? す、すみませ~ん! ヴァルキリー2、ヴァルキリー5・6に続きます!!」『全く戦闘中に考え事とは……終わったら腕立て200回だぞ!?』『御愁傷様です、速瀬中尉』『ストレス発散は捕獲作戦だから無理ですからねェ?』「む、宗像ァ・葛城ィ!? くうぅ~ッ、何もかもアイツの所為よぉーーっ!!」『良し速瀬、その意気だッ! ヴァルキリー3・4・7、続け!!』『――――了解!!』……程無くして、ヴァルキリーズは被害無しで作戦を成功させた事が耳に入った。ピアティフちゃんが報告してくれ、その際 俺は輸送車の上の戦術機の中で揺られていた。横浜基地に戻ってからは、PXで特に誰とも会う事無く飯を食い、俺は執務室へと向かってゆく。………………2001年11月11日 午後「白銀 武、只今 特殊任務より帰還しました~」「ご苦労様」「ヴァルキリーズは全員無事だったみたいです」「へぇ……良い仕事をしたもんじゃない」「速瀬がちょっとヤバかったですけどね」「あの娘が? まぁ……3機くらいは殺られると思ってたし、そう言うパターンも有るかもね」「実際に有ったんですってば」「……でも、それ位で死なれる様だとA-01じゃやっていけないわ」「でしょうね~」「……ふ~ん……思ったよりも冷静なのね」「これは性分ですって(嘘)……それに、相応の理由も有りそうですから」「理由?」「……旅団規模って事から多くても5000のBETAに対し、 3つの艦隊と12の中隊が迎え撃って、1つの艦隊と4つの中隊が全滅させられた。 それなのに、あえて10分の1のBETAに7機のみの戦術機をブツける。 現状では正直 無謀です……何か深い意味でも有るとしか思えませんからね」「"深い"意味は無いわ、新OSで無くとも旨く立ち回れば、 500体であっても7機も有れば十分よ。 機体の性能を殆ど活かし切れて無いだけ」「それは否定しませんけどね……残念ながら」正直なところ、さっきピアティフちゃんに総被害を聞いて、めっちゃ驚いた。3つの艦隊が1000体のBETAを倒していたとして計算しても、最低48機もの戦術機が25体のBETAすら倒せずに大破しちまってるんだからね。各中隊も被害はゼロってワケじゃ無いんだろうし、更に能率は悪かったんだろう。ゆーこさんのスパルタの理由については、聞かずとも俺には判るので深く問うつもりは無い。よって"残念ながら"と言いながらも、俺は ゆーこさんに午前のログを手渡した。対して彼女も場の空気を変えたかったのか、カタカタとキーボードを打ち始めてくれる。「……ふ~ん……相変わらず変態的な機動ね、シミュレーターに限っての話だと思ってたけど、 ホントに実戦の時でも、レーザー照射を空中で避けれるなんて」「惚れ直してくれました?」「バカ言いなさい」「はははっ、冗談です。 ところでバルカンとマルチ・ランチャーのデータはどうでした? レーザー種を殺っちゃうと宙の方が楽だったんで、大して多様はしてなかったんですけど」「問題無いわ、明日迄にはシミュレーターのデータに反映させて置くわよ?」「是非に御願いします。 ……で、不知火S型のロールアウトは何時になります?」「今のところ目処は無いけど、A-01の娘達の機体は近いうちに組む様に指示しとくわ」「ふむふむ。 バズーカに関してはどん位 掛かりそうですか?」「気の早い話ね、昨日の今日でしょ?」「すんません」「ん~……不知火S型の事も有るから、遅くても今週中にはデータを拵えとくわ」「重ねて御願いします」「折り畳み式のバズーカ……名前に案はある?」「"フォールディング・バズーカ"とか如何っすか?」「タンパク質の3次元構造? シンプルだけど悪くは無いわね、それでいきましょ」「有難う御座います」「後は任せときなさい。 バズーカも完成した暁には不知火S型で、 XFJ計画の開発陣の鼻っ柱をヘシ折ってやるのも良いかもしれないわね~」「……XFJ計画?」「日米共同開発で何やら遣ってるらしいの。 オルタネイティヴ4が潰えれば、 人類が滅亡する時間を少しだけ延ばすダケにしか成らないって言うのにね」「ふ~む……まぁ、(原作そのものと)関係ないのに期待はしませんよ」「ふふん、言うモンじゃない。 じゃあ、用が済んだら出て行って良いわよ」"フォールディング"の深い意味なんぞ知らなかったので、ゆーこさんの知識には感服するぜ。しかも彼女にとっては普通の単語っぽいし、バズーカの件も心配無さそうですね。XFJ計画とか言うのについては謎だけど、オルタ本編しか知らない俺には関係無いか。何となくTEっぽいけど、それに関わる機体を使わなくてもクリアできるしね。……でも、まだ話は有るんだよな~。 作業を中断させてばっかりで申し訳ない限りだ。「最後に1つだけ。 少しは俺の事を信用してくれました?」「!? ……まぁ、少しだけならね」「そりゃ良かった。 じゃあ、失礼しま~す」「…………」≪ガシュゥーーーーッ≫ラストの話と言っても今のダケで、ゆーこさんの其の言葉を聞きたかったのだ。よって俺は早足に執務室を出る。 "他にも予知しろ"とか言われると今じゃ困るしね。何せ思い出しながらの物語の進行だ……天才を目の前にボロを出さない自身は無い。そんなこんなで地上に戻る前に霞に会って安心させてやると、俺は執務室の扉に戻り一言。「ゆっくりつくっていってね……」――――流石に音量は自重したが、表情はエレベータに乗るまで戻らなかったようだ。………………「ぅおっ?」「あっ……」疲れたから寝たい。 それに俺の息子が寂しがっているのだ。そう思いながら自室を目指していると、俺の部屋の前にピアティフちゃんが居た。成る程ッ! 部屋に連れ込んで良いイベントですか? ……いやいや、無いって。「あれ~、何してんですか? そんなトコで」「えっ? し……少佐の部屋に伺おうとしたら、お留守だったみたいで……」「だったら丁度良かったですね、何の用ッスか?」「あのっ、そのっ……今日は……御疲れ様でした」「あぁ、御疲れでした。 ホントに助かりましたよ」「……ッ……」「……んで、話ってソレだけですか?」「いえッ、それと……これから私の事は"イリーナ"と呼んで下さい!」「ぇえ!?」「では少佐……し、失礼しますッ!」≪――――ダッ!!≫な、なんだってぇー!? 名前で呼んじゃって良いですと~ッ?思ってみればピアティフって苗字だったんだよね、心の中でもピアティフが定着してたよ。……だってゲームでも、ピアティフ・ピアティフばっか言ってたんだもん。何で呼称がイリーナで良いとしてくれたのかはイマイチ判らないけど、恐らく可愛そうな俺の友達になってくれるんだろう、これって前進ですよね!?俺はファイルを抱え走り去るピアティ……イリーナちゃんを眺めながら、静かに嘆いた。「……イリーナ……君に決めた」(ポケ●ン調)………………≪今から君は俺のモノだ、イリーナ……≫≪はい、武さん……来て下さいっ……≫さっきの名前の呟きは白銀の容姿から、傍から見れば渋かったんだろうけど違うのよね。イリーナちゃんの尻を見た事で、今夜のオカズの決定を表していたダケだったのでした。くそっ……まだまだ消化する必要の有るネタが多いってぇのに、イリーナちゃん恐るべし!!――――そんなワケで2日ぶりの今夜も、イリーナちゃんで犯っちゃったんだ☆●戯言●海本さんの人気に嫉妬。白銀の活躍が書きたかったから、つい犯っちゃったんだ☆今回は恐縮ながら非常に短いですが、次の展開は書きながら決める事が出来ました。特に速瀬とか速瀬とか速瀬とか。次回は馬鹿白銀に戻るので勘弁していってね!!!●伊隅戦乙女隊●ヴァルキリー1 伊隅 みちる(迎撃後衛)ヴァルキリー2 速瀬 水月(突撃前衛)ヴァルキリー3 宗像 美冴(迎撃後衛)ヴァルキリー4 風間 祷子(制圧支援)ヴァルキリー5 一条 優理子(強襲前衛)ヴァルキリー6 神村 亜衣(強襲前衛)ヴァルキリー7 葛城 綾乃(打撃支援)●フォーメーション●速瀬をワントップに一条と神村が左右に展開。速瀬の後方に葛城が打撃支援。葛城の右に伊隅、左に宗像。葛城の背後に風間が配置され計7機編成となる。●オリキャラ●一条→身長高め・Cカップ・冷静・黒髪ロング神村→身長普通・Bカップ・活発・黒髪ショート葛城→身長高め・Dカップ・勝気・茶髪ポニテ全員同期で19歳、苗字だけ覚えて頂ければOKです。当作品では殆ど空気なので御気になさらず。