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No.3946の一覧
[0] 魔法保母さんシャマル(シャア丸さんの冒険)[田中白](2009/01/31 18:18)
[1] シャア丸さんの冒険 プロローグ[田中白](2008/11/30 20:41)
[2] シャア丸さんの冒険 一話[田中白](2008/11/30 20:42)
[3] シャア丸さんの冒険 二話[田中白](2008/11/30 20:43)
[4] シャア丸さんの冒険 三話[田中白](2008/11/30 20:45)
[5] シャア丸さんの冒険 四話[田中白](2008/11/30 20:47)
[6] シャア丸さんの冒険 五話[田中白](2008/09/08 11:20)
[7] シャア丸さんの冒険 短編一話[田中白](2008/11/30 20:49)
[8] シャア丸さんの冒険 短編二話[田中白](2008/11/30 20:51)
[9] シャア丸さんの冒険 短編三話[田中白](2008/09/08 11:35)
[10] シャア丸さんの冒険 短編四話[田中白](2008/10/26 11:20)
[11] シャア丸さんの冒険 短編五話[田中白](2008/10/26 11:30)
[12] シャア丸さんの冒険 外伝一話[田中白](2008/11/30 20:52)
[13] シャア丸さんの冒険 六話[田中白](2008/10/26 11:37)
[14] シャア丸さんの冒険 七話[田中白](2008/11/30 20:58)
[15] シャア丸さんの冒険 八話[田中白](2008/11/30 20:58)
[16] シャア丸さんの冒険 九話[田中白](2008/11/30 20:59)
[17] シャア丸さんの冒険 短編六話[田中白](2008/11/30 21:00)
[18] シャア丸さんの冒険 短編七話[田中白](2008/12/31 23:18)
[19] シャア丸さんの冒険 十話[田中白](2008/12/31 23:19)
[20] シャア丸さんの冒険 十一話[田中白](2008/12/31 23:20)
[21] 十二話 交差する少女たち[田中白](2009/01/31 18:16)
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[3946] シャア丸さんの冒険 十一話
Name: 田中白◆d6b13d0c ID:d0504f35 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/12/31 23:20
2005年11月12日



 行きますと言ってから十分が経過しています。

 だというのに、誓いの言葉を口にしたビルの上には、未だに竜の世界へと向かっていない私たちがいました。

 足元に浮かぶ六角形の魔法陣はそのままで、全員が疲れた顔をして突っ立っています。


「……なぁ」


 天上は星空。月と星が見守る中で、ヴィータちゃんが小さく呟きました。

 小さな体で精一杯の背伸びをして、六角形の中心で手を伸ばします。

 目指す先にあるのは闇の書です。しかし、ヴィータちゃんの手が闇の書に触れるか触れないかというところで本が小さく動き、ヴィータちゃんの手から逃げ出しました。

 逃げた先でもシグナムが手を伸ばし闇の書を掴もうとして、同じくかわされます。私も手を伸ばしますが、やっぱり機敏な動作で逃れます。

 この十分の間ずっと、闇の書を連れて竜世界に行こうと努力しているのです。

 けれども、闇の書は私たちの気持ちなんて知ったことじゃないと言わんばかり。誰の手にも納まろうとしません。


「……どうして付いて来ない、闇の書?」


 不毛な捕獲行動に嫌気がさしたのか、シグナムが腕を伸ばしながら聞きました。

 無言でシグナムの手を避け、さささっと私たちから距離を取る闇の書。

 宙に逃げた闇の書を飛び上がったザフィーラが手の内に納めようとしますが、すぐさま転移して闇の書は私の後ろに逃げ込みます。

 後ろにいるのでクラールヴィントを巻きつけて捕縛……さらっとかわしてまた六角形魔法陣の中央に移動しました。

 手荒なマネはしたくないのでガバっと掴むことが出来ずにいると、シグナムがポツリと呟きました。


「まさか、シャマルの言う世界に危険があるとでも言っているのか……?」


 その言葉にビクッとなる私。そんな疑念を持たれたら、私の作戦はこの場で終了。

 危険性の高い、魔導師や強力な魔力持ち生物との戦闘ルートに移行してしまいます。

 それだけは避けなくてはならないので、どうにか誤解を解こうとします。


「いえ、そんなことは……」
「黙っていろ、シャマル。私は闇の書に聞いている」


 強い口調のシグナムの言葉に、弁解の言葉すら封殺されてしまいます。

 ……はうぅ。闇の書のせいで、私の用意周到とは言いがたいけれど、失敗する可能性はそこまで低くない計画がおじゃんになってしまいそうです。

 もしもこれで竜世界行きが取り消されてしまったら、これからは一生闇の書を夜天の書と呼んで上げませんっ。

 変な覚悟を決める私。……闇の書も、どうしてこんなときに動かないんですか。私ははやてちゃんを助けたいだけなのに……。


「で、シャマルの言ってる世界って危険なのかよ?」


 ヴィータちゃんも闇の書に聞きます。ザフィーラも視線で聞きます。

 他のヴォルケンリッターの問いかけに答えるように、宙に浮かぶ闇の書が明滅しました。

 そのまま横に、左右に揺れ始めました。


「……?」


 闇の書の奇怪な行動に、怪訝そうな顔をするシグナム。

 横に揺れられても、何がしたいのか分かったものではありません。

 諦めずに、何かを伝える様に左右に揺れ続けている闇の書。その姿を何処かで見たような気がして、私は少しばかり考え込みます。

 規則性を持って横方向に動いている闇の書。それはまるで、人の首みたいです。

 何がしたいのか分からない私ですが、混乱するみんなの中でヴィータちゃんが声をあげました。


「あ!」
「……どうした、ヴィータ?」


 ヴィータちゃんが理解の色を示したのに気付き、ザフィーラが何に思い至ったのかを聞いています。

 横に揺れていた闇の書が、ヴィータちゃんの叫びを聞いて動きを止めました。


「ほら、今の闇の書、首を横に振ってるみたいじゃないか?」


 嬉しそうに言うヴィータちゃん。そう言われてみれば、そうかもしれません。

 全員に見られている闇の書が、縦方向、上下に動きました。どうやら肯定を表しているようです。

 ……長いヴォルケンリッターの歴史の中で、始めて未覚醒状態の闇の書と意思の疎通がとれたかもしれません。

 ヴィータの意見と取って良い。そのことを認めたシグナムが、闇の書に再度問いかけます。


「……それで、だ。シャマルの言う世界は危険なのか?」


 シグナムの問いかけに横方向に揺れる闇の書。否定、つまり危険ではないと言っています。

 さっすが夜天の書! 私の言葉を肯定してくれるんですね!

 そんなさっきと真逆のことを考えていたら、闇の書に体当りされました。……なんでです。

 理不尽を感じている私を放っておいて、会話を続けるシグナムと闇の書。


「では、何故お前は付いて来ない?」


 考え込むように動きを止める闇の書。

 困った、と言っているような動作に、シグナムは違う聞き方をします。


「聞き方がまずかったな。お前は、我々に付いて来る気がない。そういうことか?」


 大仰な動作で縦方向に揺れる闇の書。その通りである。かなり偉そうに見える動き方でした。

 米神に青筋が浮かぶシグナム。

 ……まあ、闇の書がないと効率的な蒐集が出来ませんからね。

 今回の私のように抜いたリンカーコアを保存しておくことは出来ますが、それだと持ち運べるコアの量が激減してしまいます。

 ずっと負荷をかけ続けていたクラールヴィントも休ませたいですし、デバイスを戦闘機動させる必要があるかもしれない前衛二人に最大容量までコアを溜めさせることは出来ません。

 それを考慮すると、100ページ。これが一回の転移でデバイスに入れることが出来る限界値でしょう。

 けれど闇の書を持ち歩けば、666ページ、気にすることなくページを蒐集できます。

 ……うーん。時間が生まれるのは私の考えからすれば都合が良いんですが、闇の書はどうして竜世界に行くのを嫌がっているんでしょうか。

 ……想像が付きません。


「「「…………」」」


 手を伸ばし、逃げられ、また手を伸ばし、逃げられる。そんな、遊んでいるようにしか見えない三人と一冊。

 何がしたいのか、とりあえず連れて行ってから決める様子のシグナム。

 手に入るのを良しとせず、頑として逃げ続ける闇の書。

 追いかけっこに嫌気がさしたらしいシグナムが、闇の書を見据えます。


「では、行かない方がいいのだな」


 凄まじい速さで左右に動く闇の書。絶対に行け、行った方がいい。鬼気迫る動きで自らの感情を伝えてきます。

 ……自分は行かないが、お前らは行け。……何ですかそれは。


「……はぁ」


 頭を抑えて闇の書の行動の真意を捉えようとしているらしいシグナム。

 闇の書の真意は何なのか。私はそのことをずっと考えていました。

 二人で闇の書の異常行動の意味を模索します。もしかして、闇の書がバグっているのでは……。

 予想できるいくつもの可能性を考えては破棄、考えては破棄をしていると、後ろからヴィータちゃんの声が聞こえました。






「……あー、もう、しょうがねーな」

 あたしの言葉にシグナムとシャマルが振り向いた。

 これから何を言い出すのか、期待しているようだった。

 ……そりゃあ闇の書があった方が蒐集は早いし、何よりデバイスに負担をかけないですむ。

 それに、リンカーコアは特殊な術式を組まないと引き抜けないから闇の書が一瞬でやってくれると楽だ。

 だけど、闇の書が付いて来ないって言うんじゃ仕方がない。


「行こうよ、闇の書置いてさ」


 このまま闇の書を説得するなんてまだるっこしいことはやってられない。はやての症状は、かなり悪い。

 こうして無駄な時間をかけている間にも、認めたくないけど、はやての体はどんどん悪くなっていく。

 だから、闇の書が行かないって言うならそれでいい。要は、あたしたちが頑張ればいいだけなんだから。

 あたしたちが頑張れるだけ頑張って、闇の書が付いてこなくたってもたくさんのページを蒐集すればいいんだ。


「そうするしかないだろうな……」


 何を考えているのだか。シグナムが、闇の書を見つめながら微妙な顔をする。

 闇の書は、そ知らぬ顔で揺れるだけ。つれない態度だ。


「ヴィータちゃん……」


 シャマルが心配そうな目であたしを見てくる。

 あたしの体のことを考えて、心配そうな顔をしている。

 目を瞑ると思い出すのは、昔のシャマル。冷たい目をした湖の騎士。

 やっぱり、変だ。昔っからあたしのことを気にかけてくるおせっかいな奴だけど、前の再生からはそれが度を過ぎてる。

 やっぱり、バグなんだろうか。あたしの視線を受けて曖昧に微笑むシャマルを見ていると、ふと思う。

 けど、闇の書を通して感じるシャマルに、おかしなところは全然ない。むしろ、強化されている。存在的にも、魔力的にも。

 前回の闇の書の覚醒のときに消えて、出た。それだけで強化されるというのはありえない。バグなのに強化されるっていうのは、もっとありえない。

 怪しさを解消するため、シャマル抜きでシグナムたちと話したこともあるけど、結局保留ということで落ち着いた。

 強くなって、知ってることが増えて、家事ができて。そして、優しくなって。何なんだろうかこいつは。

 だけど、たった一つだけ確信できることがある。

 こいつはどうしようもなくシャマルなんだと、それだけは分かった。闇の書から伝わってくる、こいつの考えていることの断片。

 少なくとも、それは悪いものではないように感じられる。

 そんなことを考えていると、自然と言葉が口から漏れた。


「わかんねえ……」
「何がですかー?」


 ほら、すぐに聞いてくる。どんな時でもあたしたちのことを気にかけている。

 ……シャマルって、ホントにこんな奴だっけ。何だか、丸っきり他人のような、そのままのような……。

 そういえば、こんなにシャマルのことを考えたのは初めてではないだろうか。

 ……なんか気にいらねえ。


「なんでもねえよ!」


 シャマルにぶっきらぼうに答えると、あたしは転送の準備を始める。ほかの奴らは、すでに発動段階だ。

 周囲を見渡して慌てたように魔法を発動し、転移の準備をしているシャマル。……遅いって。

 シャマルが準備を終えるまでの、短い時間の空き。

 視線を彷徨わせ、闇の書を見る。闇色の魔法陣が消えた後も、じぃっとそこに留まっている。

 ……なんで付いて来ないんだろ、あいつ。危険はない、行って来い。太鼓判を押しているのに、自分は行かない。

 わけわかんねえ。最近、そんなのばっかりだ。

 シグナムとかザフィーラは、あたしのことをノーテンキだとか思ってるみたいだけど、色々と考えてんだよ、これでも。

 シャマルの転移準備は終わった。……んじゃ、行くか。

 目的の世界まで行くのに通る世界は三つ。うざったい管理局に見つからないように、ちゃっちゃと行くか。

 ほんの数秒後、四つの光の線が星空を切り裂いた。





 ランダムに二つの世界を移動、その後にシャマルの言う世界の一つ前で合流。

 示し合わせた手順を終了して、あたしは他の三人と合流した。

 木々の多い、自然が豊かな場所。ただし、気温は-30℃。寒冷地の中でのみ生き残れる植物しか生えていない。動物は十数種類程度。管理外世界の一つだ。

 騎士甲冑を身に纏っているおかげで寒さは感じない。はやての服が最初に守ってくれたのが、敵の攻撃ではなく寒さだというのが、少しばかりおかしかった。

 帽子についてるノロイウサギは、吹雪を真っ向から受けて寒そうだった。

 吹き付ける雪をかわすために、三人は森の中にいた。

 全員、木の根元に座っている。

 一番後に出たはずのシャマルがあたしより前にいるのが、少しばかり納得いかない。

 ……やっぱり、魔力が増えたおかげだろうか。どうして生物じゃないはずのシャマルの魔力が増えたのかが、かなり気になる。


「どうしたんだよ、さっさと行こう?」


 全く動こうとしないみんなを見て、あたしは焦れたように言った。ように、というより、本当に焦っているのだろう。

 時間ばっかりかけたくない。こんなに待機の連続になるだなんて、想像してなかった。もっとがっつりと簡単に行けばいいのに。

 まだるっこしいことは嫌いだ。障害なんて突き破っていけばいい。

 手の中でハンマーの形態を取っているグラーフアイゼンを握り締める。


「待て、ヴィータ」


 木の根元に座り込んだまま、シグナムが呟いた。リーダー様の言葉に、あたしの動きが止まる。同時に浮かび上がってくるのは、怒り。いや、苛立ちだ。

 ……さっきも闇の書の変な行動のせいで時間が潰れた、これ以上時間を潰されるのは、嫌だ。

 時間がない。このことは、全員知っているはずなのに。


「また待つのかよ。そんなの、飽きた」


 飽きた、の言葉で溜息を吐くシグナム。その態度が、いっそう癪に触る。

 狼の姿を取って寝そべっているザフィーラが、のっそりと体を起こした。


「待った方がいい。目的の世界を、管理局が見張っている」


 ……? シャマルが行こう行こうと押している世界を、管理局が見張っている?

 シャマルを見る。顔を背け、下を向いた。

 その言葉を聞いて、シャマルの反応を見て、頭に血が昇った。

 顔を伏せているシャマルに近づくと、胸倉を掴む。


「何だよ、それ!」


 シャマルの目が、諦めに染まっているのがより腹立たしい。

 何か言えよ。何か弁解しろよ。

 けれども、シャマルは目を背けるだけだった。

 シャマルの口が、ごめんなさいと動いた。

 視界が変わる。自分の目の色が変わったのを感じた。

 何が簡単にコアが手にはいる、だ。何が戦って集めるのがメンドウくさい、だ。

 何も知らないまま進んでいたら管理局に見つかって、それこそメンドウなことになっていたことだろう。

 犯罪をしていないから捕まることはないだろうけど、身元を調べられる。そうなれば、闇の書の守護騎士だと芋づる式にバレてしまうかもしれない。

 ……もう、信頼できるか! あたしの中で、何かが爆発する。


「お前は何なんだよ!!」


 それは、信頼できないこいつへの不審の感情だった。

 あたしの言葉に、目を見開くシャマル。掴んだ胸倉を何度も何度も揺さぶって、当り散らす。

 みっともない。ちらりと考えたが、そんなこと知ったことじゃなかった。

 あたしたちが捕まって、はやてに迷惑がかかるよりはずっと良いのだから。

 回りだした口は止まらなくて、聞いてはいけない、聞かないで良いと思っていたグレーゾーンのことまで聞いてしまう。


「お前はシャマルなのか!? それとも違うのか!?」


 やさしい、よくあわてる、わらう、にんじょうか、ぬるい。

 天真爛漫。たくさんの感情を見せて、たくさんの信頼を寄せられる。

 本当にお前(シャマル)はそんな奴だったか?

 冷たい目で他人のコアを引き抜く策謀の騎士は何処へ行った!?

 にこにこと笑って、誰からも愛されて、それが湖の騎士なのか!

 どうして自分が湖と呼ばれたのかを思い出せ!

 誰かを心配したように見せても、本当の目的はただのメディカルチェックで、常に諦めていて最悪の選択を頭にいれて、霧を張った湖のように平静で……。

 だけど、湖のように平静の中にたくさんの命(策略)を持っていて……。


「湖の騎士シャマルを、何処へやったんだよ!?」


 あたしの叫び声に、小さく息を呑むシャマル。目に浮かんでいるのは、焦りというよりは純粋な驚き。

 目を覗きこむ。その奥にある軟弱な部分を確かめたくて、奥の奥まで覗き込む。

 そして、表向きの部分を通り越して、裏の部分に辿り着いた気がした。

 すぅっとシャマルの目が細められた。あたしの目とシャマルの目が真っ向からぶつかり合う。

 期せずしてぶつかりあった瞳は、そのまま動かない。シャマルの目は、真っ向からあたしを見詰めていた。

 そこにあったのは、殺意だった。これ以上、覗くな。そう言っているようだった。


「――止めなさい、ヴィータちゃん」


 シャマルの唇から洩れた言葉。声量はあまりにも小さく、吹雪の音を相まって、きっとあたしの耳にしか届いていないだろう。

 ……逸らせない。ここで目を逸らしたら、攻撃してしまう、攻撃される。そんな予感がした。それほど、シャマルの目は『怖かった』。

 シャマルの口が、またしても小さく動いた。そこから先に確信がある。そんな気がする。あたしの目をじっと見つめ、シャマルは口を開く。


「私は……」
「そこまでにしておけ、ヴィータ」


 引き寄せていた胸倉を、シグナムによって離される。

 あたしの手から、シャマルが解放される。

 途端に笑顔になったシャマルが、シグナムに助かりましたーと礼を言っている。

 その姿に、何だか安心した。同時に不安になった。

 シャマルにも、まだあんな暗い部分がある。そのことが、何だか嬉しかった。同時に、失望もした。はやての下にいたのに、まだあんな目ができるのか、と。

 希望と失望が同じもの。矛盾しているが、そんな感想を抱いた。


「ゴメン、シャマル」


 謝るしかない。話を最後まで聞かずに掴みかかることはなかったと、反省した。

 けれど、シャマルは相変わらずの笑顔で私にひらひらと手を振る。大丈夫ですよー、気にしてませんから。

 ……〝いつも通り〟だけど、この笑顔の下には、あの冷たさがある。そのことが何だか恐ろしかった。


「さて。話が拗れてしまったが、ここはシャマルの弁解を聞くとしよう」


 居住まいを但し、シャマルを顎で指すシグナム。あたしも思考の海からさっと引きあがってシャマルの言葉を聞くことにした。

 何時もの笑顔のシャマル。今は、このままでいいやと諦めた。今以上は踏み込んじゃいけないみたいだから。何か言う必要があるなら、シャマルが言ってくれるに違いない。

 三対の視線を向けられて困惑するシャマル。えー、シグナムとザフィーラにはもう弁解したじゃないですかーと愚痴るシャマル。

 どのみちヴィータにもするのだから、また私たちに話しても手間は同じだろう。ニヤリと笑うシグナム。

 分かりましたよー。溜息を吐こうとしてすぐに止め、笑顔に少しばかりの苦渋を入れてシャマルは解説を始めた。


「あの世界は、管理外世界でも管理世界でもない、強いて言うなら無視世界です」


 ああ、そういや行こうとは言われたものの、世界自体の説明受けてなかったな。

 無視された世界の略だろうが、とてもセンスが良いネーミングではなかった。

 名付けた本人は胸を張っているので、シャマルは自信タップリの名前らしい。……やっぱ、変わってんのか?

 ちょっと理解に苦しむが、メンドイからすぐに思考を放棄した。


「管理局に監視をされていなかったので、少し前は誰でも入れたんですけど、どうやら監視がついてしまったみたいですね……」


 シャマルが言うには、あの世界にはロストロギア級の生物がいるので、管理局による統治こそ出来ないものの、何時監視がついてもおかしくなかったらしい。

 ……やっぱりハナっから罠だったんじゃねーの?


「いや、それはない。管理局がいることを知らせたのはシャマルだからな」
「はぁ?」


 そこで、シグナムがシャマルを庇うかのような発言をした。

 あたしが少しばかり到着が遅れているので、シャマルが今あの世界がどうなっているのかを探索魔法で調べたところ、管理局の戦艦が監視しているのを発見したらしい。

 なるほど、もしも罠だったいうんらな、見つけた時点で何食わぬ顔で管理局に見つかればいい。

 ザフィーラも、シャマルの言葉をこの世界に引き止める口実だと考えて周囲の警戒しているが、今のところこの世界に管理局が潜り込んでくる気配はないそうだ。


「って、私が嘘を付いてるって考えてたんですか!?」
「良くも悪くも変わりすぎなのでな。少しばかり警戒させてもらった」


 予想外のことを聞いていじけているシャマルを置いておいて、あたしはふと重要なことに気がついた。

 ……結局、あの世界の詳しい説明を受けてねえ。ロストロギア級の生物つってたが、そいつは一体なんなんだ。

 うじうじしてるシャマルの背中を蹴っ飛ばしてまで聞くつもりはねえし……。まあ、どうにでもなるだろ。あたしたちは最強なんだしな。





 それからまた数十分。はやての世界では夜の二時くらいになっているだろうか。

 蒐集にどれくらいかかるかは知らねーが、このままじゃ朝になっちまうんじゃないか?

 シャマルが立ち上がり、探索を開始。これでもう五度目。

 ……何時まで監視してんだか。

 今日はこれで帰らないとはやてが起きちまうよー。なんて思っていると、シャマルの目つきが変わった。


「戦艦、行きましたね……」
「よっしゃあ!」


 管理局による監視が外れ、世界に入れるようになったとシャマルが告げた。

 歓声を上げると、あたしは転移魔法の準備を開始する。


「とはいえ、あの世界にいる王竜さんはかなり強力な生物です。そんなに長い間監視が外れるとは思えませんし、さっさと蒐集を済ませなくては」


 おうりゅう、王竜。それがロストロギア級生物の名前らしい。

 竜ってことは、あの『竜』なんだろうか。火を吹いてガオーって言う奴。……まあ、見りゃわかるか。

 あたしだってマジマジと見たことはない竜という生物。

 シャマルがどんな蒐集をするのかは聞いていないが、何だかワクワクが止まらなかった。

 それぞれが転送を開始。目指すのは、雪を降らせている雲の隙間からたまに見える、岩の世界。

 足元に広がる赤い魔法陣。発動する魔法。赤い閃光となって、あたしは王竜とやらのいる世界に突撃した。





 最初に見たのは赤い岩肌。空の色は灰色。所々から獣の臭いがする。

 ばら撒かれているのは殺気。荒涼とした殺意だけが、世界を覆っている。


「……ここでいーのかよ」


 お世辞にも、生物がいそうな世界ではなかった。その上、感じるのは殺気だけ。

 胸糞悪い。


「……なんか、かーなーり殺気立ってますね。監視されているせいでしょうか……?」


 冷や汗だらだらのシャマル。

 何とも頼りにならないガイドだ。

 四方八方から感じる視線。……ホントにやばくないか、ここ。

 その時、更なる殺気があたしに向かってきた。

 ドロドロとした、空気にも似たぶ厚い原始的な感情。

 日々の殺し合いの中で培われてきたであろう、直情的な殺意。


 〝食べてやる。〟


 向けられたのは、捕食の感情。同時に飛び掛ってくる、一つの大きな影。

 手の中ですでに臨戦態勢にあったアイゼンを一閃。

 カートリッジをロードするヒマはなかったが、手応えは上々。良い当たりだった。


「毛髪西洋竜さん!」


 ヘアードラゴンさん! シャマルが叫んだ。……っつ、知り合い!? まさか、シャマルの言う簡単な蒐集対象って、ここにいる友好的な生物たちなのか!?

 まあ、とても好意的にゃあ見えねえけどな……。

 ……ヤベっ。潰しちまったかも……。

 恐る恐る顔をあげる。そして、絶句。

 目に前にいたのは、十メートルを越える緑色の体を持った一匹のドラゴン。

 何か当たったのかとでも言いたげに、鼻を擦っている。

 ……カートリッジをロードしてなかったとはいえ、魔力で強化されたあたしの攻撃を喰らって、鼻を擦るだけ……?

 何でも壊せるってのがあたしの中で最大の矜侍だってのに、鼻を擦るだけ?

 ……そんなの、認められるか。

 ハンマーを振りかぶり、あたしは叫ぶ。まずは、カートリッジロードだ!


「アイゼン!」
『Ya!』(了解しました)
「何やってんですか、ヴィータちゃん!?」


 シャマルの手から放たれ、アイゼンに巻きつくクラールヴィント。これじゃ、振り下ろせない。

 何度かこのまま振り下ろせないものかと引っ張ってみたが、ビクともしない。


「放せ、シャマル。こいつを倒せない!」
「だから、倒す必要ないんですって!」


 その後、ザフィーラに諭されてあたしはヘアードラゴンを攻撃することを諦めた。
 ……別に髪の毛が生えてるって訳でもないのに、何でヘアードラゴンなんだろ?




 シャマルに声をかけられて、急に沈静化したヘアードラゴン? ……どうしてだ。

 シャマルが言うに、前にこの世界に来た時、ちょっとした事件を解決したらしい。

 その影響で、ここの竜たちとちょっとした交友関係が生まれたそうだ。……何をどうしたら、会話できないだろう竜と友達になれるんだ。

 周囲に集まった竜は五十以上。今までの戦闘経験から考えると、一匹一匹がかなりの魔力を保有している。

 それどころか、竜はこの世界のそこら中にいるらしい。

 全員、やって来たのがシャマルだと知った瞬間、殺気が消失した。

 事件解決とやらのおかげで、ここに住んでいる竜は『全員』シャマルには友好的だとのこと……。

 湧き上がる感情は、歓喜。


「オイ!!」
「ど、どうしました、ヴィータちゃん?」


 わらわらと、芋を洗うかのようにして集まっている竜たち。

 あたしはここに集まっている竜を指差して、叫ぶ。

 声には紛れもない喜びがにじみ出ている。シャマルにぶつけた怒りは、完全に消え去った。


「これなら、すぐにはやてを助けられるな!!」


 闇の書はついてこないから仕方ないが、全員のデバイスに合計100ページまでしか入らないとしても、たったの一週間で全てのページが集まる、埋まる。

 簡単。今の状況は、たったの二文字で端的に表せられる。

 アイゼンを振り回し、歓喜の感情を抑えきれないままはしゃぐ。


「じゃあ、集めて集めて集めまくろうぜ!」
「待て、ヴィータ。……シャマル、一つ聞いていいか?」


 ザフィーラに割り込まれ、バランスを崩すあたし。

 ただ、あまり発現しないこの青い狼が疑問を投げかけるというのだから、大きな問題があるのだろう。

 黙ってザフィーラの言葉に耳を傾けることにする。


「なるほど、確かにここの竜たちは友好的だ。一匹一匹の魔力保有量も多い。だが、リンカーコアの蒐集には大きな痛みが伴う。暴れられてはどうにもならないだろう。そこをどうするつもりだ?」


 ……っ。そうだった……。

 コアの蒐集は、一言で言うと『痛い』。いかに竜の魔力が多いからといって、蒐集の痛みに耐えてくれるとは思えない。

 一匹蒐集するだけで終わりという可能性もある。……どう、しよう。

 シグナムは、何故だか竜に集られている。ここの竜たちは、シャマルと背や体つきが似ているシグナムに興味津々らしい。

 困った顔をしているものの、巨大な竜の姿に『強さ』を見ているのか、シグナムの顔は楽しそうだ。

 蒐集するだけで、この笑顔が消えてしまう。そんなの、駄目だ。


「あ、大丈夫ですよ」


 シャマルがあっけらかんと言った言葉で再度こける。ザフィーラも肩をがくんと落とす。分かりにくいがこけたらしい。かなりレアな行動だ。

 あたしのちょっとマジメな考えはなんだったんだろうか。ちょっとだけ目元に涙が滲む。……なんだよ、これ。


「この世界は、他の世界と比べると何故だか魔力が豊富です」


 そう言われて気付く。この世界は異常に魔力素が濃い。周囲が岩肌でとても動植物が育つ状況ではないというのに、たくさんの生命の息吹を感じる。

 それは、動植物が魔力素を喰らって育つという機構を持っているからとシャマルが言う。

 ここに自制しているコケ類や肉類が、かなり栄養価が高いから不思議に思って調べたところ、それが判明したらしい。

 どうして栄養価が高いのを知ったかというと、食べたかららしい。ここで何してたんだろ、シャマル。

 その質問を軽くスルーして、シャマルは言葉を続ける。


「なので、ここに住んでいる竜たちは、常に過剰魔力に苛まれています」


 過剰な魔力を送り込まれ続けているため、体を常に痛みが襲っている。けれど、それに耐える力がある。だから防御力が高い。体力がある。

 後頭部への一撃やら全身への打撲などには対応していないようですけど、とシャマルは昔を思い出すようにして寂しげに笑った。


「そんな状況に比べれば、蒐集の痛みなんて微々たるものです。それどころか、リンカーコアを抜かれることで魔力を作る機能がなくなるため、過剰魔力から解放されて一時的にですがリフレッシュします」


 まあ、これはあくまで予想なんですけどね。とシャマルは締めた。

 でも……もしもシャマルの予想が正しいのだとしたら、彼らはリンカーコアが抜かれることをマッサージ程度にしか取らないだろう。

 シャマル曰く、一度コアを抜いた後に動けなくなっていた(実は確かめていない)ようですけど、きっと揉み返しみたいなものでしょう。とのこと。

 彼らに迷惑をかけないうえ、たくさんのコアが一辺に集まる。


「……じゃあ、今度こそ蒐集しよう!」


 また叫んだ。今度は誰も止めない。じゃあ、蒐集を開始しよう。

 グラーフアイゼンを抜き放って、リンカーコアを抜き取るための術式を作成する。

 戦闘不能にしてからコアを抜くのは、対象が動いているからに過ぎない。別に対象がこちらに全てを任せているのであれば、弱らせなくてもコアは抜ける。

 あたしの目は、きっと希望に満ち溢れているだろう。


『―――!』


 シャマルが大声で何かを叫んだ。それはただの鳴き声のようだったが、竜たちが応じて集まってきた。

 どうやら収集の合図らしい。

 シャマルが悪戯っぽく、竜たちに集まってくださいと言ったんですと笑った。


『―――!』


 もう一度叫ぶ。竜たちが私たちに体を預けてくる。……じゃあ、集めるか。

 そっと一匹の竜の体に触れる。

 その時、一際大きな山の方から地鳴りが響いてきた。

 ズン、ズン、ズン、ズン。音はどんどん大きくなり、そして、一匹の巨大な竜が現れた。

 山の化身。そうとしか言えない、神々しい姿。シャマルが、やっぱりフェルグラントドラゴンに似てなくもないですと呟いた。

 シャマルが言った王竜ってのは、多分こいつだ。つーか、こいつが王竜じゃなかったら、誰が王竜なんだ。

 それほど、この竜は神秘的だった。

 王竜があたしたちを見下ろしてくる。微妙な居心地の悪さがある。

 そして、王竜がシャマルを見据えて口を開いた。


「久しぶりだな」
「なっ!?」
「うわっ!?」
「ぬぅっ!?」
「お久しぶりでーす」


 ……喋った!? そりゃあ、喋る野生生物もいるだろうが……たまに見たが、こいつが、こんなにデカいのが喋るとは思わなかった。

 こんなに綺麗な竜なのだから、はやてに見せてあげたい。何となくそう思った。


「約束、守ってくれたようだな」
「……スミマセン」
「謝る必要はない。お前にはお前の目的があり、我らには我らの需要がある。それが重なっただけに過ぎないのだから」
「それでも、ごめんなさい。私の目的に、あなたたちを利用してしまって……」
「謝るぐらいなら始めてくれ。我も〝ソレ〟を味わってみたかった」


 くすりと笑うと、シャマルは王竜の肩に飛び乗った。そして、旅の鏡を詠唱。シャマルの手が、王竜の胸から飛び出し。そして、蒐集。

 その場でくすぐったそうに震える王竜。……嘘だろ、蒐集喰らって倒れないなんて……。

 ちょっとした絶望を感じていたら、シャマルがあっと呟いた。クラールヴィントの中に、目的までページが溜まったらしい。

 一回で50以上のページを入手。知らず、ゴクリと喉が鳴った。……これなら、これなら、本当に簡単にはやてを助けられる。

 こんな簡単で良いのかな。そんな疑問を持ちながら、あたしはコアの蒐集を開始した。





 まだ目的容量までページが集まりきっていないけど、途中でシャマルに声をかける。

 一つ、聞いておきたいことがあったから。


「なあ、シャマル?」
「どうしたんですか、ヴィータちゃん?」
「シャマルさ、はやてん家から出るとき、魔法使ってたろ? アレ何だったんだ?」
「ああ、あれですか」


 それは、はやての症状が進行すると聞くほんの少し前。シャマルが、はやてが寝静まったのを確認した後、部屋でエリアタイプの魔法を使ってた。


「癒しの空間を展開して、怪我とか病気の進行を抑える結界を張る魔法です」
「そんな魔法あったんだ」
「いえ、少しばかり入用があったので作ったんです。はやてちゃんのために使用できて良かったです」


 そう言ってシャマルは笑った。

 けれど、その笑みはあまり嬉しそうじゃなかった。役にたったのに、どうしてそんな自嘲的な笑みをしているのか気になって、理由を聞こうとして……。


『――シグナム、ヴィータ、シャマル。逃げろ、この世界を監視していた船が戻ってきた!』


 ザフィーラの念話が飛んできた。ずっと見張りに徹したいたあいつが、管理局の戦艦が戻ってきたのを発見したらしい。

 さすがに偵察が得意なだけある。

 シャマルはすでに転移魔法を発動中。予定までページが溜まっていたから、すでに詠唱を行っていたらしい。

 シグナムも、やはり転移を発動中。どうやら、ページを集めきっていなかったのはあたしだけらしい。

 ……ちっ、あたしだけ遅れたか!

 悔やむくらいならばその時間を転移魔法の発動に回した方がいい。すぐさま魔法を発動して、魔法陣を展開。

 効果が起動するまでの数十秒が今は待ち遠しい。くそっ、今日は待ち時間に苛立たせられる……。

 何かが、近くの宙域に近づいて来たのを感じ取る。同時に転移が発動、あたしは別の世界に転移した。





今回の収穫
80+100=180/666ページ 残り486ページ

闇の書ワンポイントチェック。
今回はシャマルのおかげで大量に稼げたが、次はこうは行かないぞ。ヴィータは、疑問を持つ時間を蒐集に回していれば良かっただろう。





「艦長、さっきの少女は……?」
「大方、一時期あの世界で流行った観光業だろうよ。迷惑なこった。あの世界での死人が多すぎたせいで、今さら俺たちが監視してんのに……」
「艦長、言いすぎです!」
「俺は……もう、死人なんて見たくないのさ……」
「艦、長……。すみません。あなたも、確か……」
「それ以上言うな!」
「艦長!?」
「いや、なに……スマン、感情的になった」
「艦長……」
「なに、次の艦の交替までまだ時間がある。少しばかりなんかに触れるが、酒でも飲もうや」
「艦長っ!」
「それしかいえねーのかテメェは!」

 はぁと溜息を吐くと、艦長は副官を見やる。あの世界には、凶暴な竜が大量にいる。

 監視用の機械などを置いておくだけでは、咄嗟の事態には対応できない。だからこそ、咄嗟の事態に対応するために自分たちがこうしてあの世界を見張っているのだ。

 神竜脈。神たる竜を産む、聖なる山。界竜の住む世界を、荒らしてはいけない。

 それは、自分たちが良く知っている。かつて、あの世界の逆鱗に触れた者は、みな死んだのだから。


「さて、と」


 艦の中にこっそりとしまっておいた酒を取り出すと、中身をグラスに注ぐ。

 カチンとグラスをあわせ、副官と乾杯する。

 横目で見るのは、さきほど捉えた少女の映像。

 遠くだったため、ボンヤリとしていて画質が悪い上、後ろ姿しか写っていない。


「ま、こんな取るに足らない侵入者の目撃情報でも、一応、報告しておくか」


 報告書の一つとして、艦長は鉄槌の騎士ヴィータの画像を纏めることにした。


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