※注意事項
本作は、別サイトで作者が書いていた作品の『リメイク』です。そのことをご理解していただけた上で、読んでいただければ、と思います。
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序章・救いのない物語
「ヘェ、なるほどね」
夜も更けてきた、鬱蒼と暗い森の中で、彼は囲まれていた。
軽く見積もっても十人はいるだろう。
こんな子供相手に大仰なことだ。
迷子を捜しての山狩りでもあるまいに。
右手には愛用の木刀、左手には拝借したナイフがある。
もちろん、刃物の扱いは熟達しているとはいえ、状況の打開にはつながらないだろう。
何せ、相手は銃で武装している。
それも拳銃などというチャチな代物ではなく、大の男でさえも抱えて持つ自動小銃。
山狩りというよりも、クマ狩りに出ていくような装備だ。
銃口こそ向けられていないが、ほんの二十度ほど角度を上げれば、こちらにその仄暗い穴を見せることだろう。
逃がす気はない。
言葉にならない圧力が、雄弁にそれを伝えてくる。
これは交渉でも、ましてや命令ですらない。
ただの通告、宣言だ。
「なるほど、なるほど。確かに、理に適ってる。悪趣味と言えば悪趣味だが、アンタらしいと言えばアンタらしいのかもな?」
だが、その包囲網の中心で、彼は笑っていた。
不敵に、不遜に、ふてぶてしく。
最大の疑問が今、彼の中で弾けて消えて、そして代わりにいくつもの疑問が鎌首をもたげていた。
さながらそれは、実る稲穂のように膨大で、揺れる芒のように高々と、疑問を掲げている。
先ほどまでの耐えがたい不安と疑念と、堪えがたい衝動と首の痛痒を、すべて吹き飛ばしてしまうような衝撃だった。
謎は解けた。
次の謎もできた。
こうして前進していることを全身で感じられているのに、どうしてそんな些末なことに意識を裂くことができようか。
だから、彼は嗤う。
「くくく、くはははははは。くひゃははははっはははははは!」
けたたましく、やかましく、騒々しく。
自分でもそう思えるほど、彼は嗤った。
込み上げる衝動と壊れた歯止めが、それを許した。
楽しくて仕方ない。
それを思う存分貪って何が悪い。
蹂躙するように噛み砕き、冒涜するように飲み下す。
犯すように楽しんで、息を吐く。
甘く熱を帯びるような吐息が、夜闇に消えていく。
だらりと、両腕を下げた。
逃走ではなく、闘争のために。
思考も思念も指標も指針も吹っ飛んだ、衝動と狂気に身をゆだね、全力で包囲網に飛び込んだ。
体が軽い。
動きが速い。
容赦は、いらない。
周囲の連中は予測さえしていなかったのか、怯んで動けなかった。
ちょうどいい的だ。
手始めにずたずたに引き裂いてくれよう。
だが、ふと気付くと下がった位置にいた、先ほど応えてもくれなかった誰かは笑っていた。
暗闇で音もなく、腕が上がって、そして