メルトリリス×女主人公です。
ご都合主義の設定や百合表現などがありますので、ご注意下さい。
「お腹が空いたわ。何か作って」
一人暮らしのアパート。1DKの間取りの隅に配置されたベッドの上で、彼女が言った。
そう、なんの冗談か知らないが、快適な一人暮らしだったはずのこの部屋は彼女の襲来によって二人で暮らすちょっと狭い部屋になってしまった。
今でこそ黒のブラウスに青いスカートという可愛らしい格好をしている彼女だが、初めは酷かった。本当に酷かった。鉄の棘みたいなのをはいてるし、下はほとんど隠してないし。これがいいの私は。なんていう彼女を説得するのには本当に苦労した。今ではこれもこれでいいわね。なんて言ってくれて、ちょくちょく二人で服を買いに行ったりもする。
まぁでも問題はそれだけじゃない。彼女が言うには、彼女は2030年の未来の、それも月の裏側から来たらしい。その月の裏側で、私に恋して、戦い、敗れ、悪魔みたいな女に吸収されて、気付いたら私の部屋の前にいたらしい。
色々ぶっ飛びすぎてわけがわからない。そもそも月の裏側で何してたんだ私。てか2030年て私何歳だよ。それに恋するなんて、いいのか君は。それで。
でも、どこまでもお人好しなのが私の悪いところ。結局彼女がここに住むことを承諾し、同棲がスタートしたのだった。
「ちょっと。聞いてるのかしら。動かないのなら人形にするわよ。てかそうしたいわ。そして360度全てから見回したいわ。そして感触を確かめて、ふふっ。」
何かよくないモードに入ってしまったようだ。
「はいはい、聞いてるよ。適当に何か作るから待ってて」
そう言ってキッチンに向かう。人形うんぬんはスルーしよう。それが私のためだ。うん。
「なんだ、つまらないわね。……待ってるわ」
…本当素直じゃない。
小さく付け加えられた言葉に、私は少し微笑んだ。