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No.39251の一覧
[0] 【艦これ】波が寄せては返すように 前編[未入リヨン](2014/01/15 00:50)
[1] 【艦これ】波が寄せては返すように 後編[未入リヨン](2014/01/15 01:38)
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[39251] 【艦これ】波が寄せては返すように 前編
Name: 未入リヨン◆9c44de7a ID:7032ab2a 次を表示する
Date: 2014/01/15 00:50
 ノックの音がした。

「はい、どうぞ」
 意識が飛んでいたようだ。机の上にはパソコン、山積みの書類、うさぎの人形。
 
 うさぎ?

「失礼します」
 線の細い女性だ。青い袴。髪をサイドでまとめている。加賀…だよな。

「先のタンカー護衛任務の報告をしてもよろしいでしょうか」
「お願い」
「担当は第4艦隊、旗艦を天龍とし、龍田、暁、響…」

 …

「…提督。サインを」
 ふむ。話を聞いてなかったみたいだ。ぼけっとしていたのだろうか。
 いや、何かに気を取られていたような…

「少し疲れているようですね。お休みになっては?」
「いやいや、大丈夫。お前こそ寝不足なんじゃないか」
 目が赤い。まぶたも腫れているように見える。誰が見ても寝不足だと分かる。

「いえ、私は…」
 …なぜ言葉に詰まる。失礼します、と扉へ向かう寸前、加賀の目。
 泣いているのか。何かあったのだろうか。

「おい、何か知ってるか?…あれ…」
 部屋の隅に机が1つ。

「…忘れようとしてるみたいで…」
 扉の外。

「早く立ち直ってもらわないと困る」
 苛立った声。

「加賀さん…今度は私も一緒に行きます」
 優しい声。

「ありがとうございます。でも、あの時止めてたらって。
 私が殺したようなものなんです」
 後悔の声。




 ご主人さま♪





 誰もいない。机には誰も。


 ああ。漣。

 思い出しちゃったじゃないか。
 艦隊立ち上げ時、右も左も分からない自分を支えてくれたのはお前だったな。
 意志薄弱な私を時に厳しく、時に優しく、
 時にふざけて励ましてくれたお前の優しさを


 思い出しちゃったじゃないか。


「提督!」
「おい!バカやめろ!」
「やめてください!」

 手には短剣。お腹を出して。ははは、無意識なんだ。許してくれよ。
 なんで分かっちゃうかな。お前ら察し良すぎだぞ。

「お願いですから生きてください!」
 顔まで真っ赤だぞ。

「お前は卑怯者だ!恥を知れ!」
 さすが。ビッグセブンは他人にも厳しい。

「ほら、少し落ち着きましょう」
 もういい歳ですから。頭を撫でるのやめてください。

「俺は自分の責任を果たすだけだ。判断ミスをした。だから責任をとる。
 軍人として当然の行為だ。
 鳳翔さん、皆をお願いします。
 長門、後継の提督は脱ゆとり世代だ。きっと優秀だと思う。仲良くするんだぞ。
 加賀、すまんな。
 それでは、皆さんさらば!」
 腹にぐっと力を加える。女子三人の力を押しのけて刺すことぐらいなんてこと…



「おい!待て!新規建造艦はまず身体検査を受けるんだよ!」
「おーい。誰かその子止めてあげてー」
「北上さん。さっきわざと手を放したでしょう」

 廊下が騒がしい。

「そっちはダメだ!待てって!」
「大井っちも悪いよねぇ。さっきあの子に渡した案内図。執務室への行き方しか書いてなかったじゃん」
「私はね、北上さん。こういうドロドロした展開が大好きなの」



ノックの音がする。



「…」



 ガチャ



「綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま♪」




…to be continued


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