「これより、人間料理のパーフェクトプロフェッショナル。略してPPと呼ばれている、わたくしの料理をおこないます」
真紅のエプロンを身に纏い。天高くそびえるコック帽をかぶった人物は目の前の客に対してペコリと軽く頭を垂れるとあらかじめ用意しておいた食材の方へと目を向けた。
「今日、調理する食材はあの時空管理局のエースオブエースこと高町なのはとその親友のフェイト・テスタロッサです! いやあ、腕がなりますねえ! わくわくしますねえ!」
台の上に置かれている高町なのははガチガチと歯を震わせていた。そうなるのも無理は無い。これから自分が切り刻まれたり、焼かれたり、揚げられたり、煮込まれたりするのかもしれないのに平常心を保っていられる人間の方が珍らしいだろう。恐らく隣にいる彼女の親友も同じ心境であろう。
「まずはこのわたくし特製の魔法の粉をかけます!」
パラパラと七色に輝く粉を二人にかけるPP。まんべんなくその粉をかけ終えると彼はおもむろに包丁を取り出し。
「綺麗にスパッとな!」
高町なのはの首を一瞬で切り落とした。それを隣で見ていたフェイトは絶望に顔を歪ませ目に涙を溜めていたが、一方でPPはニコニコと笑っていた。
高町なのはの首が切り落とされてから数秒後。なんとその離れた頭は瞬きをしていた。
「えっ!? 私生きてる・・・というか痛いぃぃぃ!!!」
瞬きをしたと思ったら次は急に叫びだす頭。フェイトはわけがわからずに混乱し。一方でPPはなんの驚きも見せずにただニコニコと笑っていた。
「わたくしの粉凄いでしょ! 普通なら死ぬような状態でも何故か生きていられるんですよ。さすがに消化されたらアウトですけど」
二人に何気なく粉の効果を説明しつう、くいくいと手を動かすPP。
すると荷台を持った人物がこちらにやってきた。
「彼女の頭から下の部分はいずれ別の料理で使うから冷蔵庫にしまっといて」
「はい」
荷台に高町なのはの体を乗せるとPPに呼び出された人は何処かへと消えていった。
「さて、ではクッキングタイムへと移りますか」
そう言うとPPは高町なのはの額から上をスパッと切り裂いた。
「ひぎぃっ!!?」
「なのはぁ!!?」
「切ったこれはいらないからゴミ箱にぽいっ」
PPは切った部分をゴミ箱に捨てると次は高町なのはの頭の中身スプーンでグリグリとえぐりだしボールへと移す。
「あっ、ああ・・・」
「やめて・・・やめてぇぇぇ!!!」
「よし、全部ほじくり出せた! 次はフェイトだ!」
フェイトの叫びをガン無視して一つの作業を終わらせたPPは何処を見ているのかわからない目をした高町なのはの頭ををオーブンの近くに置くとフェイトの調理へと取り掛かる。
「ひぃぃ!! 嫌だ!! 来ないで!!」
「最初に全身の皮膚をスパッとして次に毛を全部抜いて・・・」
PPが手際よく包丁を振るうとフェイトの皮は全て剥がれ筋肉がむき出しになった。今の彼女は空気に当たるだけで痛い状態であろう。
「痛い・・・痛いよ・・・誰か助けて・・・」
「よし! 太もも部分はお刺身にして残りはミンチでバーグにしよう!!」
太ももを一定の形にスパスパと切っていくPP。切られる度にフェイトは悶え苦しむ。
だが、PPはあいも変わらず楽しそうに料理をしていた。料理を楽しむ気持ちを忘れない。正に真の料理人の姿だ。
「お刺身は完成! 次はミンチだ!」
巨大なハンマーを取り出すとPPはフェイト目掛けて力強く振り下ろす。
「ぴぎ!? ぷぎゃ!? ぐええ!!?」
「ペッタン! ペッタン! 楽しいなあ!!!」
フェイトの形が無くなるぐらい粉々にすると次はそれをPPは圧縮し始めた。
「圧縮! 圧縮!!」
「うげぃぁぁぁ!!!」
そして、さっきくりぬいた高町なのはの頭の中に入るサイズになるとPPはオーブンの前の頭の中にそれを押し込んだ。
「ひぎっ!? 何か入ってきた!?」
「それは君の親友のフェイトちゃんだよー!!」
PPがそう告げると高町なのはは顔を歪ませながらこう叫んだ。
「そんな!! どうしてぇぇぇ!!!」
だが、PPは特に気にすることなく高町なのはのフェイトミンチ入りをオーブンに入れると指定の時間をセットして、スキップを始めた。
「あづいー!!! あづいぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「なの・・・は・・・」
しばらくして、オーブンからチンと音が鳴るとフェイト詰めなのバーグが完成した。
「さあ、お客様。フェイト詰めなのバーグとフェイトの太ももの刺身になります」
目の前に料理を置かれるとそれガツガツと食すお客様。その表情はとてもにっこりとし嬉しそうだった。
「あべぎゃ!?」
「どゅべ!?」
「こいつはゲロうめえ!!!」
お客様の喜ぶ顔を見るとPPはにっこりと微笑みながらペコリと礼をした。
「今回のお客様は大変ご満足された様です。では次回のわたくしの料理まで、さようなら」