<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.39172の一覧
[0] 白いワンピースの少女をのせてはいけません。[関口小雨](2014/01/03 19:29)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[39172] 白いワンピースの少女をのせてはいけません。
Name: 関口小雨◆628d5bdc ID:3424e0db
Date: 2014/01/03 19:29
白いワンピースの少女をのせてはいけません。 関口小雨

「白いワンピースの少女をのせてはいけません」
そんな看板がこの町の渓谷沿いにたてられている。
最近、噂になっている心霊スポットだ。
白いワンピースの少女が現れるのだという。
その少女を乗せたが最後。車に乗っている人間は皆殺しにされるのだという。
そんな話を会社の先輩が言ってきた。

実際、あの場所では原因不明の事故が多発していた。
大方の予想とは違い、本当に皆殺しにされていたようだった。

みんなで行こうぜって話もあったけど、俺は行く気がしなかった。
少女が現れる原因を作ったのは、すべて俺だったからだ。

-----------------------------------------------------------------

級友が谷から落ちて死んだ。

その話が噂ではなく真実に変わったのは、彼の葬式に実際に足を運んだ時だった。
なくなった級友の家族が泣き崩れるさまを見て、私はバツの悪さを感じていた。


彼の親御さんに話を聞く。
すると、予想通りの答えが返ってきた。
「深夜に事故の多発している渓谷をスピードを出して通った。彼は運転を誤りガードレールを破って、100メートル下の地面に激突し死んだ」
その話はまるで彼を私が殺したかのような気持ちにさせるには十分だった。

なぜ、こんなことになったのだろう。
それからも事故の話は続いた。
バイト先の先輩が死に、友人が死に、そして私の恋人が死んだ。
全員があの渓谷を通った時に亡くなったのだ。


私は昼間のうちに事故現場近くにいき、看板をたたき壊し、地面にたたきつけた。
目から出る涙も、鼻から出る鼻水もそのままに、ただ泣きながら、ハンマーで粉砕していく。

これ以上、何も起こらないでほしい。
もう誰も死なないでほしい。
純粋にそう願った。看板に灯油をかけ、火を放つ。
燃え盛る火の中に、線香を放り込んだ。

これでよかったんだよな、きっと。

ヒタヒタと足音が聞こえた。
後ろを振り返る。
白いワンピースを着た少女がたっていた。

いや、気のせいだ。そうやってもう一度、前を見る。
真黒いセダンが猛スピードで突っ込んできていた。

-----------------------------------------------------------


何者かが、「白いワンピースの少女をのせてはいけません」という看板をたたき壊し、火をつけた。
そんなニュースを、あたしは彼氏の口から聞いた。
だが、事故は一向に減らなかった。
むしろドンドンと伸びしろをあげている。
まるであの渓谷では事故が起きるのが当たり前のように、事故は起き続けている。

あたしの住む大学寮は渓谷の頂上付近にある。
そして大学もまたうっそうと茂る山の中にあった。

看板のせいで事故が起きているわけではない。
ただ冬山での運転が苦手な若者の車は、よくアイスバーンや凍結にスリップして谷底へと転落していく。
ただそれだけのことだった。

結局、看板に目を奪われた学生の運転の問題だったのだと、あたしは分析している。

今日もまた事故の音は絶えなかった。
あたしはしばらく大学寮から外へは出ないようにしようと思っている。
運転が下手なくせに、いきがって、暴走運転を繰り返す同年輩の若者たちとドライブにいくのをやめ、
あの渓谷を通らなければいい。それだけで事故死する確率は格段に減るからだ。


感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.028534889221191