初めに
これは作者が聞いた、とあるマジシャンの話を聞いたことから、この話を書くと決意した作品です。
ですのでノンフィクション半分、フィクション半分が混ざったような作品になると思います。
書き溜めはなく、見切り発射上等な作品ですが、それでもいい方は見ていただければ幸いです。
もしかしたら矛盾が出てくるかもしれませんが、どうか温かい目で見守ってやってください。
感想をくれると、もっと頑張れるかもしれません(`・ω・´)
それでは本編です。
どうぞ楽しんでいってください<(_ _)>
プロローグ
今から三十年ほど前の○月△日、沖縄のサトウキビ畑が広がる中、その一角に一つの病院が建っていた。たいして大きくもない小さな病院だ。
夏に入りかけの春、他の県では過ごしやすい季節だというのに、この小さな孤島は三十℃~四十℃近くという異常な猛暑が続いていた。そのくせ、ぼちぼち台風が来るわ、家の屋根が飛ぶわで災害という名の大自然は島に住む人々に容赦なく追い打ちをかけてきている。
これではいつ脱水症状や熱射病で衰弱して死人が出てもおかしくない。
だが、それがどうしたと言わんばかりに、その病院から子供たちの声が、歓声が、驚きの声が聞こえてきた。よく聞くと大人たちの声まで聞こえてくる。
その当時は今ほど空調設備が整っていないので外ほどではないが、やはり暑い。全く、皆元気なものだ。
その病院の一室には学生服を着た青年が子供たちに囲まれながら魔法を操っていた。
何もない所からお金を出したり、かと思えば消えてしまったり、瞬間移動を体現したりと多種多様なものだ。
足元に座る子供たちは、それを見るたびに「スゲー!」だとか「お兄ちゃんすご~い!どうやったの!?」と口々に騒いでいた。それを看護婦は苦笑いしながらも、もう少し静かにしようねと注意するが、少年少女たちにとってそれは最早、馬の耳に念仏であった。
ただ青年は苦笑いしながら注意を促した看護婦に申し訳ないという意味を込めて軽く会釈するのであった。