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No.38412の一覧
[0] 紫色の魔術師は微笑む【fate/stay night・fate/extra】(わかめループネタ)[フルト@メルト](2014/02/11 17:13)
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[38412] 紫色の魔術師は微笑む【fate/stay night・fate/extra】(わかめループネタ)
Name: フルト@メルト◆c2434095 ID:e7877825 次を表示する
Date: 2014/02/11 17:13
ビルの屋上に続く廊下に、転がるものがあった。

死体だ。人間の死体。

しかし、人間がどう頑張ったらこんな死体が出来上がるというのか、きっとどんな敏腕検死官でもわかるまい。
事実としてその死体を作り上げたのは人間ではないのだから。
そもそも人間の腕力では、男子高校生を肉片する程の力はない。
例えどんな凶器を持ったとしても、ミンチのようにはなりはしない。
まぁ対戦車ライフルとかそっち系を持ってこられたら、人間がミンチになるのは当たり前なんだが、普通日本の男子高校生はライフルで撃たれて死んだりはしない。
余程の事がない限りは。
例えば、テロリストに撃たれたとか、そんな理由。


しかし、間桐慎二はそんな理由などなくても死んだ。
神秘を扱う家系に生まれながら、魔術回路を持たない自分は、魔術師たちの闘争へ首を突っ込んでミンチになって死んでしまいました。


短く書くなら三行で済んでしまいそうな死に様。
それがこれから回想する間桐慎二の始まりだとは、魔法使いもきっと誰も知らない。






episode1 融合






間桐慎二は二人いる。
肉体はひとつだけだが、心は二つ。
理由は簡単だ。男としての心と、女としての心を持つから。


なぜ自分が二人なのか―――。


それは、一人では耐えられないことを耐えるため。その為に男女で自分の意識を二分割した。
間桐慎二の精神は、誰にも人として認識されない孤独に耐え切れず、苦しみを裂くことで精神の崩壊を避けた。
自己防衛のために、自分を二つに分けた。


お互いに名前はない。
二人で間桐慎二。



私達は何も出来ない。

俺達に力はない。

引き起こされる神秘に抗う術はないのだ。

結論は既に出ていた。

自分たちは何もできず、

ただの脇役に過ぎず、

何も間桐慎二が自分たちである必要はなかった。


それが答え。


どうしようもなく空っぽな人間。


それが間桐慎二という存在の全てだ。

これから身に付けていくであろう技術、経験。
きっとそれらに意味はない。
それが間桐慎二のものであるというだけで全てに意味はないのだ。


女の自分は物事を客観的に見ることができた。
だからこそ、少し考えただけで全ての答えは出揃った。
どうしようもない存在の結論。


生まれてこなければよかったのに―――。


そうは思いながらも、死ぬことだけは勘弁願いたかった。
魔術と関わるとろくなことがない。
まぁ自分の運がなかっただけの話であり、もうどうしようもないものだ。
これより酷い地獄に落なかっただけ、自分はまだ幸運なのだ。
結果は出てしまった。くだらない結論。



広い屋敷。
家主の事情で締め切られたカーテンが光を遮り、重く暗い雰囲気の廊下を歩く。
今日は習い事の空手がある日だから、準備をしなければ。


慣れない小さな体を動かしながら、ふと思う。

このまま何も知らずに生きていけたらいいのにと。

人形のような妹も、この家、魔術師の間桐家では普通に有り得ること。
しかし血筋すら道具にするあたり、あの妖怪はその実魔術師ですらないのかもしれない。
なんて魔術師でもない自分は考えている。


誰だって死は怖いものだ。
一度経験した慎二が言うのでは多少説得力に欠けるが、事実死は恐怖と生の実感で溢れているし、戦っている人間はあれを味わいたくて、殺し合いをしたのだと昔の人間の気持ちを多少なりとも理解した気持ちになる。
まぁ慎二の場合、臨死体験ではなく本当に死んでしまったのだが。



ビルの屋上で繰り広げられた、英霊たちの戦いの後、逃げようとした自分は、バーサーカーに殺されてしまった。
正直、神様に片足を突っ込んでいるような化け物相手に一体どうしろというのか。
あれを相手に出来るようになるであろう未来の友人が、少し恐ろしく感じた。



ともかく、あの物語のオチ的には、やはりエロゲで収まるのだろうか。
それにしては色々と作り込みが過ぎると思うし、一つの作品から派生しすぎているような気もしてくるが、まぁ読者が面白くて、作者も満足しているのならそれはそれ。

問題は、その物語に自分が組み込まれてしまったことにある。

世界には抑止力というカウンターがあり、歴史には修正力が働く。
それはおそらく物語であったとしても例外はない。

ならば…

いや考えても無駄なことだ。
自分が起こせる行動など小さな事で、せいぜい無様に命乞いをするくらい。
たった一人の人間が起こした行動が世界の破綻を招くなど、そもそも誰も許しはしないだろう。
その前に正義の味方がやってくる。
世界は滅ばない。


しかし結局のところ、自分の足掻きと言うのはあまり意味がなかったように思える。
間桐慎二は妹が何をしているのか、この世界の歴史でも知ってしまったからだ。
何事もままならないものだ。


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