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No.37756の一覧
[0] とある幻想の弾幕遊戯(とある魔術の禁書目録×東方シリーズ)第一部・完[ベリーイージー](2015/01/18 16:44)
[1] 第一話 氷精と禁書目録・一[ベリーイージー](2014/05/27 04:16)
[2] 最強と巫女(外道)上[ベリーイージー](2014/05/27 04:27)
[3] 最強と巫女(外道)下[ベリーイージー](2014/05/27 04:41)
[4] 第一話 氷精と禁書目録・二[ベリーイージー](2014/05/27 04:51)
[5] 第一話 氷精と禁書目録・三[ベリーイージー](2014/05/27 05:05)
[6] 第一話 氷精と禁書目録・四[ベリーイージー](2014/05/27 05:25)
[7] 第一話 氷精と禁書目録・五[ベリーイージー](2014/05/27 05:36)
[8] 第一話 氷精と禁書目録・六[ベリーイージー](2014/05/27 05:43)
[9] 第一話 氷精と禁書目録・七[ベリーイージー](2014/05/27 05:55)
[10] 第一話 氷精と禁書目録・八[ベリーイージー](2014/05/27 06:01)
[11] 第一話 氷精と禁書目録・⑨[ベリーイージー](2014/05/27 06:07)
[12] 第一話 氷精と禁書目録・十[ベリーイージー](2014/05/27 06:15)
[13] 第一話 氷精と禁書目録・十一[ベリーイージー](2014/05/27 06:25)
[14] 第一話 氷精と禁書目録・十二[ベリーイージー](2014/05/27 06:32)
[17] 第一話 氷精と禁書目録・十三[ベリーイージー](2014/05/27 06:37)
[18] 第一話 氷精と禁書目録・十四[ベリーイージー](2014/05/27 06:49)
[19] 第一話 氷精と禁書目録・十五[ベリーイージー](2014/05/27 06:54)
[20] 第一話 氷精と禁書目録・十六[ベリーイージー](2014/05/27 07:06)
[21] 閑話 マヨヒガにて[ベリーイージー](2014/05/27 07:10)
[22] 第一話 氷精と禁書目録・十七[ベリーイージー](2014/05/27 07:20)
[25] 第一話 氷精と禁書目録・十八[ベリーイージー](2014/05/27 07:25)
[26] 十八・裏[ベリーイージー](2014/05/27 07:27)
[27] 第一話 氷精と禁書目録・十九[ベリーイージー](2014/05/27 07:31)
[28] 第一話 氷精と禁書目録・二十[ベリーイージー](2014/05/27 07:37)
[29] 第一話 氷精と禁書目録・二十一[ベリーイージー](2014/05/27 07:41)
[31] 第一話 氷精と禁書目録・二十二[ベリーイージー](2014/05/27 07:47)
[32] 第一話 氷精と禁書目録・二十三[ベリーイージー](2014/05/27 07:54)
[33] 第一話 氷精と禁書目録・二十四[ベリーイージー](2014/05/27 07:56)
[34] 第二話 節姫と電撃姫・一[ベリーイージー](2014/05/27 08:01)
[35] 第二話 節姫と電撃姫・二[ベリーイージー](2014/05/27 08:04)
[36] 第二話 節姫と電撃姫・三[ベリーイージー](2014/05/27 08:07)
[37] 第二話 節姫と電撃姫・四[ベリーイージー](2014/05/27 08:08)
[38] 第二話 節姫と電撃姫・五[ベリーイージー](2014/05/27 08:10)
[39] 第二話 節姫と電撃姫・六[ベリーイージー](2014/05/27 08:12)
[40] 第二話 節姫と電撃姫・七[ベリーイージー](2014/05/27 08:13)
[41] 第二話 節姫と電撃姫・八[ベリーイージー](2014/05/27 08:17)
[42] 第二話 節姫と電撃姫・九[ベリーイージー](2014/05/27 08:18)
[43] 第二話 節姫と電撃姫・十[ベリーイージー](2014/05/27 08:19)
[44] 第二話 節姫と電撃姫・十一[ベリーイージー](2014/05/27 08:22)
[45] 第二話 節姫と電撃姫・十二[ベリーイージー](2014/04/24 23:28)
[46] 取材 序章[ベリーイージー](2014/04/24 23:29)
[47] 取材編 一[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[48] 取材編 二[ベリーイージー](2014/04/24 23:30)
[49] 取材編 三[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[50] 閑話 少女の変遷[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[51] 取材編最終章[ベリーイージー](2014/02/13 01:59)
[52] 第三話 学園都市の光と闇・一[ベリーイージー](2014/07/06 04:24)
[53] 第三話 学園都市の光と闇・二[ベリーイージー](2014/07/06 04:26)
[54] 第三話 学園都市の光と闇・三[ベリーイージー](2014/07/06 04:32)
[55] 第三話 学園都市の光と闇・四[ベリーイージー](2014/07/06 04:38)
[56] 第三話 学園都市の光と闇・五[ベリーイージー](2014/07/06 04:45)
[57] 第三話 学園都市の光と闇・六[ベリーイージー](2014/07/06 04:49)
[58] 第三話 学園都市の光と闇・七[ベリーイージー](2014/07/06 04:52)
[59] 第三話 学園都市の光と闇・八[ベリーイージー](2014/07/06 04:55)
[60] 第三話 学園都市の光と闇・九[ベリーイージー](2014/07/06 04:59)
[61] 第三話 学園都市の光と闇・十[ベリーイージー](2014/04/08 22:00)
[62] 第三話 学園都市の光と闇・十一[ベリーイージー](2014/11/04 23:00)
[63] 第三話 学園都市の光と闇・十二[ベリーイージー](2014/04/17 19:16)
[64] 第三話 学園都市の光と闇・十三[ベリーイージー](2014/05/22 21:58)
[65] 第三話 学園都市の光と闇・十四[ベリーイージー](2014/04/29 17:53)
[66] 第三話 学園都市の光と闇・十五[ベリーイージー](2014/04/29 17:54)
[67] 第三話 学園都市の光と闇・十六[ベリーイージー](2014/04/29 17:56)
[68] 第三話 学園都市の光と闇・十七[ベリーイージー](2014/05/05 17:09)
[69] 第三話 学園都市の光と闇・十八[ベリーイージー](2014/05/08 22:08)
[70] 第三話エピローグ[ベリーイージー](2014/05/12 19:57)
[71] 御使堕し・零[ベリーイージー](2014/05/18 23:10)
[72] 第四話 御使堕し・一[ベリーイージー](2014/05/22 21:58)
[73] 第四話 御使堕し・二[ベリーイージー](2014/05/22 21:59)
[74] 第四話 御使堕し・三[ベリーイージー](2014/05/24 18:10)
[75] 第四話 御使堕し・四[ベリーイージー](2014/06/05 22:09)
[76] 第四話 御使堕し・五[ベリーイージー](2014/06/05 22:10)
[77] 第四話 御使堕し・六[ベリーイージー](2014/06/05 22:23)
[78] 第四話 御使堕し・七[ベリーイージー](2014/06/11 21:56)
[79] 第四話 御使堕し・八[ベリーイージー](2014/06/15 22:46)
[80] 第四話 御使堕し・九[ベリーイージー](2014/06/15 22:48)
[81] 第四話 御使堕し・十[ベリーイージー](2014/06/25 21:35)
[82] 第四話 御使堕し・十一(完)[ベリーイージー](2014/07/04 01:20)
[83] 短編 幻想から見た学園都市・一[ベリーイージー](2014/07/04 01:21)
[84] 短編 幻想から見た学園都市・二[ベリーイージー](2014/08/13 22:40)
[85] 短編 幻想から見た学園都市・三[ベリーイージー](2014/07/08 21:49)
[86] 幻想から見た学園都市・四(完)[ベリーイージー](2014/08/21 22:56)
[87] 短編 裏で起きていた出来事[ベリーイージー](2014/08/21 22:57)
[88] 第五話 呪術師の野望・一[ベリーイージー](2014/08/21 22:58)
[89] 第五話 呪術師の野望・二[ベリーイージー](2014/08/21 23:01)
[90] 第五話 呪術師の野望・三[ベリーイージー](2014/08/21 23:03)
[91] 第五話 呪術師の野望・四[ベリーイージー](2014/08/21 23:05)
[92] 第五話 呪術師の野望・五[ベリーイージー](2014/08/21 23:06)
[93] 第五話 呪術師の野望・六[ベリーイージー](2014/08/21 23:10)
[94] 第五話 呪術師の野望・七[ベリーイージー](2014/11/04 23:01)
[95] 呪術師の野望・八(終)[ベリーイージー](2014/09/03 22:02)
[96] 第六話 最後の夢・一[ベリーイージー](2014/09/05 20:42)
[97] 第六話 最後の夢・二[ベリーイージー](2014/09/07 21:10)
[98] 最後の夢・三[ベリーイージー](2014/09/12 00:45)
[99] 最後の夢・四[ベリーイージー](2014/09/17 22:05)
[100] 最後の夢・五[ベリーイージー](2014/09/22 20:49)
[101] 最後の夢・六[ベリーイージー](2014/09/25 01:25)
[102] 第六話 最後の夢・七[ベリーイージー](2014/09/30 19:37)
[103] 第六話 最後の夢・八(完)[ベリーイージー](2014/10/19 22:25)
[104] 第七話 呪術師の暗躍[ベリーイージー](2015/01/05 01:01)
[105] 第七話 呪術師の暗躍・二[ベリーイージー](2015/01/05 01:02)
[106] 第七話 呪術師の暗躍・三[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[107] 第七話 呪術師の暗躍・四[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[108] 第七話 呪術師の暗躍・五[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[109] 第七話 呪術師の暗躍・六[ベリーイージー](2015/01/05 01:04)
[110] 第七話 呪術師の暗躍・七[ベリーイージー](2015/01/05 01:04)
[111] 第七話 呪術師の暗躍・八[ベリーイージー](2015/01/05 01:05)
[112] 第七話 呪術師の暗躍・九[ベリーイージー](2015/01/05 01:05)
[113] 第七話 呪術師の暗躍・十[ベリーイージー](2015/01/05 01:06)
[114] 第七話 呪術師の暗躍・十一[ベリーイージー](2015/01/05 01:07)
[115] 第七話 呪術師の暗躍・十二[ベリーイージー](2015/01/05 01:08)
[116] 第七話 呪術師の暗躍・十三[ベリーイージー](2015/01/11 20:40)
[117] 第七話 呪術師の暗躍・十四 new[ベリーイージー](2015/01/11 20:42)
[118] 第七話 呪術師の暗躍・十五(修正)[ベリーイージー](2015/01/13 20:31)
[119] 第一部・完[ベリーイージー](2015/01/18 16:43)
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[37756] 第三話 学園都市の光と闇・五
Name: ベリーイージー◆16a93b51 ID:abda770b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/06 04:45
ちくちく

「不味い、占い飽きたのか客足が悪い、お守り作って売ろっと……」
「幼馴染に金銭面で頼りきりじゃ格好付かないもんねー、霊夢」
「そうなのよ……この街に本格的なお守りなんて早々無いし珍しがって買ってくれるはず」
「そーなのかー?(どうせ飽きられて終わりだと思うけど)」

ルーミアは小首を傾げながら内心哀れんだ。
どう考えても占い同様一時売れるのが関の山だ。
そこで目先の目新しさというかインパクトに走るのが彼女が商売ベタな赤貧巫女たる由縁かもしれない。

「鴉天狗、止めた方が良い?」
「まあまあルーミアさん、放っておきましょう……我等は霊夢さんの新たな商売の結果を見守れば良い、色々な意味で」
(……こいつ、霊夢が在庫の山の前で頭抱える光景期待してるな、そうすれば弄るネタが増えるし)

カメラ始め映像機器関係のカタログを見ていた文はにやにや笑いで霊夢の行動を見守るようだ。

「どんなお守り作ろう?やっぱり学業関係は人気出そう」
「学生が好きそうなのは恋愛運とか……」
「……うちの神社で取り扱ってたかしら?とりあえず色々作っておいた方が良いかな?」
「お好きにどーぞー(少なくとも金運のお守りだけは効果が無いと確信できる)」

元一方通行の部屋(現博麗神社出張所)に緩い空気が漂う、ここまでは概ねいつも通りだった。
だがそんな空気は妙に殺気だった人形遣いの発言が崩壊する。

「霊夢!」
「あら、外で学生相手に人形劇してたんじゃ?」
「戦争よ、私の娘に喧嘩売った馬鹿がいるわ……ボムを持って来なさい、それも一つじゃなくてありったけ!」

趣味の人形劇に出ていた筈のアリスが戻ってきて行き成り物騒なことを言い始めた。

「ボム欲しいならメイド探しなさい、落とせばボム一個くれるから……じゃなくてどうしたの、アリス?」
「あの子が緊急通信用の念話で危機を知らせてきたわ、余り大量の情報は送れないからそれ以上はわからないけど……」
「それでさっきの戦争云々か(幻想郷に数少ない常識人なのに人形が関るとこの様か)」
「上海と蓬莱と、大江戸人形と大江戸人形と大江戸人形と後やっぱり大江戸人形……」

血走った目で爆薬を仕込んだ人形を並べ始めた彼女に霊夢は溜息を付いた。
このままでは犯人にレミングスパレード(大量の人形を突進その後自爆)を放ちかねない、霊夢は止めることにした。

「ふふふ、待ってなさい、我が娘よ……貴女を害する全てを塵芥に変えてあげる!」
「はあ、そんなテロ紛いなことさせないっての、ここは幻想郷じゃないんだから……文、ルーミア!」
「とうっ」「やあ」
「ぐふっ……」

霊夢の合図で同時に襲い掛かった二人にアリスは無力化され気を失う。

(ふう、これで一安心……あの様子じゃ最悪ゴリアテ人形まで出しかねなかったし)

霊夢は常識人枠だった筈の彼女による全く予想外な暴走を止められてほっとする。
乱暴な止め方だが外に向わせれば不味いことになるのは確実だ、それに何を言っても聞くように思えなかったし。

「……文、ルーミア、少し出るからアリス見張ってて」
「おや、行くのですか?」
「まあね、勘だけど何か知ってるのが関ってる気がするし……」

面倒そうに言いながらお守りを作る手を止めると霊夢は立ち上がった。
幻想郷の人間がここで騒ぎを起こすのは不味い、管理者の一員である巫女としてそれは未然に防がなければならない。
その為には原因の排除が手っ取り早いだろう。

「人形を助ければアリスも落ち着くはず……後馬鹿やった相手にお仕置きしないと、休日潰された罰も兼ねて」

こうして彼女は一方通行が何も言わなくても今起きる騒ぎに乱入する、八つ当たり染みた怒りを抱きながら。



第三話 学園都市の光と闇・五



「……何で俺こんなところにいるんだろうにゃー?」

弾幕飛び交う戦場で土御門が嘆く。
視界の端で未現物質の槍を振り回すゴーグルの少年と違い彼は正気だったがそれ故に自分の立場に縛られている。

(速攻で陰陽師ってことがアレイスターにばれて以来面倒毎に借り出され……最近は第四位第二位と本当に碌でもない)

逃げれば確実に処分される身の上であり、その上今共に戦う相手がこれまた碌でもなかった。

(精神的距離感を弄られ第二位とスクールを最上位に、というか自身と混同視してる……えげつないにゃあ)

能力に操られたゴーグルの少年にとって二位の破滅は自分のことでもあり絶対に避けなければならない。
大抵の生物が持つ自身の保全の為の全力行動として彼は自分の限界を超える力を発揮している。
限界を超える力を振るうから四肢は歪み骨は軋む、今戦う間もその体は段々と壊れていくだろう。
だが自分よりも第二位を最上最優先とする故に彼はそれに全く頓着せず戦い続けている。

(その上容赦がない……当たり前か、このままじゃ自分が破滅するんだから手心なんてあるわけない)

そういう相手が上条やインデックスに襲い掛かるが故に土御門は最悪の結果になる前に倒したかった。

「あの男に殺されるのを避けるには俺が無力化するしかない……だから抵抗しないでくれないか、上やん?」
「断る、土御門……シスターズのことを聞いたら放っておけない」
「上やんならそういうと思ったにゃ(だから厄介なんだが……)」

殴りかかってきた上条の拳をかわしながら土御門は困ったように笑う。
お人好しの彼ならそういうとわかっている、だが土御門にも立場というものが有った。

(何とかさっさと上やんを何とかしたいが……数の差がある、集中攻撃を受ければ正直耐えれられそうにない)

殴り合いなら戦い慣れた土御門が彼に負ける可能性は低いがこれではゴーグルの少年の援護は難しい。
援護しようにも上条がしつこく仕掛けてくる上迂闊に式を放てばインデックスに妨害されるだろう。
このまま土御門が足止めされていては手数の差で追い込まれるのは明白だ、彼はここで手間取る訳には行かなかった。

「(それなら)……上やん、俺に構ってて良いのか?未現物質の槍の相手は全員の方が良いと思うぜ?」
「へえ、だがそうは言ってもその必要性はあるように思えなくてな」

彼の言葉に土御門は訝しそうな顔をする。
向うを見れば悲鳴を上げながら絹旗はゴーグルの男の槍から逃げ惑っていた。

「……」
「ち、超待つです、タイムです!」
「……」
「ひ、ひい、このままじゃ超死ぬです!?」

窒素装甲による防御で何とか耐えているがジリ貧だ。
それ故に土御門は上条の態度の理由がわからない、そもそも向こうではなく土御門の相手をしているのが可笑しい。

「動揺を誘いたいとしても無駄だ、土御門……直前に気付いたが俺よりも前衛向きの子がいて心配は要らないようでね」
「何?……なっ、おい、深追いするな、罠だ!」

焦らせ精神的に優位に立とうとした土御門だが上条の言葉と向うで起きた事態の変化に逆に動揺する。
土御門が見たのは絹旗をそれを追う男を囲むように展開される弾幕だった。

「うわーん、このままじゃ……あ、泣き真似はもう良いみたいですね、それじゃ超無様に超吹っ飛んでください」

そしてそれ等は同時にゴーグルの男へと放たれ、更にその間に絹旗は弾幕に紛れるように逃げ姿を消していた。

「……絹旗って子には俺にはない武器がある」
「武器だと?」
「弾幕をばら蒔く後衛には小さい方が良い、即ち『小回り』だ」

圧倒的密度で撃ち込まれる弾幕の隙間を小柄な影、絹旗が駆け抜けゴーグルの男に殴りかかる。
そして一撃を加えた瞬間弾幕に紛れるように逃げては再び攻撃を繰り返していた。

「俺には出来ない戦い方だ……ああ女の子に面と向って小さいは禁句か」
「とうま、わかってるなら口に出さないように、絹旗さんに言っちゃうよ?」
「……後で何か奢るから黙っててください、インデックス」
「じゃあ中華ね……まあそれは兎も角集中、集中!」

弾幕の中で行動できるのは同じだが少なからず弾幕を削いでしまうので今回は離れて戦う上条はそう言って肩を竦める。
すかさず式神を封じる為に集中していたインデックスに呆れ顔で突っ込まれたが。



「……アノ『槍』ヤッカイ、ドウスル?」
「最強のあたいが相手しても良いけど……折角前衛がいるんだし後ろから動き回りながら撃つ!」
「はいはい、承りましたよ、正直怖いですが既に後戻りできないし頑張りますか……」

そんな何となくとしか言い様無い流れで組んだが意外に相性が良かった(代わりに混じれずすごすご離れた者もいたが)
チルノは羽隠しのベールを解き翼を広げると人形と共に後衛に、絹旗は果敢に前衛として前に出る。
そうしてチルノと人形が動き回り時には空から放つ援護射撃の中を小回りの良さを活かし絹旗がつっ切っていく。
相手も槍を振り回しあるいはそこから放つ衝撃波で反撃するが圧倒的密度の弾幕のせいで碌に狙いを着けられない。

「もういっちょ、超喰らえ!」
「……っ!?」

ガキィ

「ちっ、受けられたか……次行きますか」

衝撃波を辺りを飛び交う弾幕を盾にして回避した絹旗はその能力を攻撃にのみ先全力で叩き付ける。
相手はぎりぎりで槍の柄で受け止めたものの彼女が下がると同時に襲い掛かる弾幕に防御に専念するしかなかった。
そして、弾幕を防御した時点で絹旗の姿は完全に見失う。

「……適当に体力を削りますか、次の攻撃お願いします」
「任せろ!」
「リョーカーイ!」
「それじゃあ頑張って避けると良いですよ、スクール……隙見せれば超パンチですけど」

そして弾幕の向うから聞こえる絹旗の言葉を合図に再度の攻撃、それに潜み絹旗が奇襲の隙を伺う。
スクール構成員である男とチルノたち三人の戦いはその繰り返しだった。

(羽付きに喋る人形と怪しいことこの上ないですが……味方としては中々に頼もしいものです)

絹旗は見掛けから叶わぬチルノ等の戦い振りに苦笑しつつそう思った。

(麦野に無茶振りされた時はどうなるかと思ったけどこれなら何とかなるかも……)

弾幕の中絹旗が数度目の打撃を繰り出し相手も反撃に槍を振るい衝撃波を放つ。

「おりゃあ!」
「っ……」

ゴオッ

「まだまだですよ!」

衝撃波は威力の大半を弾幕に削がれるものの一部が命中するがそれを絹旗は自前の装甲で耐える。
それでも幾らか装甲の上からのダメージが来たが直撃に比べれば遥かにましだ。

(少なくとも未元物質を真正面に相手取らずに済んだ……全く運が良い)

もしチルノ等の援護無しではとっくに体力が尽きていただろうし更にこれに加え土御門の援護も会ったはずだ。
そう考えたら麦野の思いつきに感謝しても良い気がした、少しだけだが。

「(教会墜落の件は許しませんが……何時かぶん殴ってやる)それはそれとして喰らえ、スクール!」

半分ほど麦野への怒りを込めた拳がスクール構成員の男へと放たれる。
咄嗟に男は槍の柄で受け止めるが怒りの分力が入っていたのか大きく押され体勢を崩した。

「超今です、一緒に追撃を!」
「おう、あたいの技は弾幕だけじゃないぞ!」
「っ……」

バン

銃声が一度鳴る、足を貫かれ暗部が体勢を崩した。

「っ!?」
「折角なのでミサカも参加を……姉を見ているだけと思ったらそれは愚かな判断と言わせてもらいます」

絹旗が拳を握りチルノが氷の槌を肩に担ぐ、ゴーグルの少年は慌てて立ち上がろうとしたが傷を負った足では直には動けない。

「超チャンスですね、行きますよ!」
「合わせるよ、アイスクラッシャー!」

ドガッ

勝機だと考えた絹旗が突進しチルノもそれに続き、二人は息を合わせ同時に攻撃する。
窒素を纏った拳と氷の槌が男の胴へと叩き込まれた。

「おいっ!」
「気を逸らす余裕は有るのか、土御門?」
「……くっ、上やん」

ガシッ

それを見て土御門が動揺した瞬間、麦野の件の恨みか容赦なく上条が殴りかかる。
しかしその一撃はぎりぎりで土御門の手で押さえ込まれた。

「だが殴り合いなら俺が上だ!」
「……そうかもな、だがそれなら彼女ならどうだ」
「マカセテ、オニイチャン!」
「くうっ!?」

上条の後方から人形がランスを手に突っ込む、先程チルノと共に仕掛けなかったのはこの為だ。
突き出した槍の鋭い穂先が土御門の脇腹を抉る。

「コレデ……ッ!?」
「舐めるな、ちっちゃいの!」

だが土御門は人形を捕らえようと手を伸ばす。

「しまった、土御門の能力は……」
「悪いな、少々の傷は無視できるんでな!」

無手の人形なら簡単に確保できる、そして人形の次は地力で勝る上条だ。
一息に勝利とは行かないがそれに近づけると土御門は確信した。
それ故にその瞬間彼は油断していた。
人形がそのガラスの瞳をぎらりと輝かせた。

「フッ、アマイナ」
「え?」
「アリスジキデンノ……ロー!」

スパンッ

「……え?おうふっ!?」

人形は槍が使えないと見るやそれに固執せず手放し体を軽くした。
更にそのまま彼女は土御門の手を掻い潜り彼の懐へ自ら飛び込む。
そして異様なまでに鋭く重いローキックが放たれた土御門の膝を直撃した。
がくりと土御門は痛みによる脂汗を垂れ流しながら倒れた。

「ちょっ、こ、この衝撃は、姉ちんをからかい過ぎてお仕置きされた時並みっ!?」
「……え、何、アリスさん直伝?あの人意外に武闘派なの?」
「アリス、キックノオニ!」
「へ、へえ……まあ、おかげでチャンスだな」

インデックスたちを相手に人形劇をするアリスしか知らない上条はその情報に冷や汗を流しつつ拳を振り被った。

「ま、待つにゃ、上やん!?」
「断る、第四位の件の落とし前込みで……歯を食いしばれ、土御門!」
「ぐふっ!?」

上条の渾身の右ストレートが土御門の顔面を捉えた。
土御門は悲鳴を上げごろごろと転がりながら胸を押えるゴーグルの少年の隣まで吹っ飛んだ。

「……」
「い、いかんにゃ、正直形勢は不利だがどうするよ?」

地面に倒れたまま隣の彼を見上げ土御門は問いかける。
しかし、彼が選んだのは期待していた逃走ではなく戦闘の続行だった。
ゴーグルの少年は片手で胸を押えつつ槍をチルノや上条等に突き付けた。

「まだやる気ってわけかにゃ……なら仕方ない、俺も覚悟を決めよう」」
「これは……相手してられないな、それに応援が来るかもしれない」
「かみじょーの意見にあたいも賛成、皆適当なところで引いた方が良いと思うよ」
「ぐっ、このダメージでは追えん……何とか足を止め、式が……」

追うにしろ戦い続けるにしろペースは既にチルノや上条側にある。
二人の意見が一致すれば他の面々も異論は無く、その様子に土御門は慌てて式を放とうとした。
だが懐から式を引き抜こうとした手が空振りする、土御門は哀れなほど動揺する。

「な、無いにゃ!?」
「……ふ、ふふふ、甘いんだよ、陰陽師!」
「ワレナガラ、イイシゴトヲシタゼッ!」

インデックスが勝ち誇るように笑いながらドサクサの内に人形が奪い彼女から手渡された式を見せびらかす。
戦いの中奪われた式には当然彼が込めた魔力が既に充填してあった。
魔力が既にあるならば後はインデックスの知識で制御を奪ってしまえば良い。

「これは水行かな……うん、使えそう」
「ま、待つにゃ!?」
「駄目、ミサカお姉さんは友達だもん、今度は私が助ける番……式よ、行って!」

水の式がゴーグルの少年と土御門目がけて突進する。
咄嗟に未現物質の槍でそれを切り払うがそれにより多大な隙を晒し、すかさずチルノたちが追撃する。

「……今度はあたいの番、続いて、人形!」
「リョーカイダヨッ、チルノチャン!」
「全力で撃つから頑張って防いでね、その間に逃げるけど!」

二人並んで弾幕を放とうとする、冷気と五色の光の弾幕が展開される。
土御門は顔を引き攣らせゴーグルに叫ぶ。

「う、撃たせるな、幸い大技だけに時間が掛かる、先に……」
「っ!?」
「おい?」

先に攻撃しろと言おうとして土御門は混乱する。
何故ならゴーグルの少年が小さく呻き声を上げ倒れたのだから。
何時の間にか彼の首にワイヤーが絡まっていた、それが伸びる先はミサカの手だ。

「これは!?」
「……人の限界を超えようが神経へのダメージは早々耐えられないでしょう」
「私たちシスターズの出力では数秒の麻痺が精々、それでは短すぎるのでは?ミサカ10032号?」
「問題ありません、既に私の友人たちが攻撃の準備を終えました、決着です、ミサカ00001号」
「友人ですか……知識でしか知らず又私たちに作れる物ではないと思っていましたが」
「ええ、以前なら私もそう思っていました……でも実際それができると中々に良い、姉にも作れると良いのですが」

本当に心の底からそれを願いながらミサカは言葉の意味が判らず小首を傾げる姉の手を引き駆け出す。

「チルノに小さなアリス、最後の締めお願いします」
「了解だい、『凍符』パーフェクトフリーズ!」
「オナジク……『究極の魔導書』ゼンキノウカイホウ!」
「全く頼もしいね……余波は俺は抑えるから皆脱出しよう」
「殿なら私も、ついでに窒素噴射で相手の目を晦ませます!」
「皆様、暗部と思われる電磁波を幾つか感知……何とか避けて先導するのでついて来て下さい」

そうして視界を覆い尽くすほどの弾幕は放たれた。
ゴーグルの少年たちは槍と式で必死に防ぐもその間にミサカを先頭に上条と絹旗を殿にして彼女等は悠々と離脱していった。



「包囲網の隙間を突かれた、このままでは突破される」
「……追うぞ、それと心理定規に連絡を」

土御門の追跡から始まったこの戦いはスクールにとって予想外なものだった。
それ故に遅れた数は少なく囲むようにして人員を配備していたもののその穴は大きかった。
だが、ゴーグルの少年と同じく能力の影響下にある構成員は必死に追い始める。
但し偶々唯一近くに居た二人の構成員が応援を呼ぶことが出来たらの話だが。

「……だーめ、応援は呼ばせないよ」

こつんと小石に手を打たれ一緒にいた構成員は通信機を取り落とす。
構成員たちの前に何時の間にかその目の前に黄緑色の髪の少女が立っていた。

「っな、何時の間に!?」
「敵し……」
「遅いよ!」
「ぐっ!?」「があっ!?」

敵襲だと判断し垣根から与えられた未元物質の武器を構えようとしたがそれよりも一瞬早く首に何かを巻きつけられる。
少女の両手から伸びた何か、第三の目と繋がる紐状の器官が構成員の首を恐るべき力で締め上げる。
人外の力で締め上げられて暗部たちは一瞬で昏倒した。

(後は何も無かったと囁けば……発見も襲撃も既に意識下に無いならどうしようもないしね)

そしてこいしは倒れた構成員たちに小さく囁くと無邪気に笑った。

「思わず助け舟出そうとしたけど必要ないようで何よりだよ、あんまり派手に動くとばれちゃうし……
ま、とりあえず逃げてった皆を追うとして……私は上手くやるからそっちも頑張ってね、てーとく」

ぽつりと別行動中の同行者を思い浮かべた彼女は心配そうに呟いた後軽い足取りで走り出した。



暗部周りの設定見返し中で麦野対二位に関しては次回に回すことにしました。
とりあえずゴーグル&土御門ハードモード、多分土御門はもう帰りたいでしょうね・・・次回は更に悲惨かも。

以下コメント返信

九尾様
それで実験対象者である大事な超能力者に悪影響が出たりしたらそれこそ計画が大変なことになる気がします。
というか麦野という例が有るのでアレイスターとしては利用なんてする気は無く寧ろ帰ってくれって感じでしょう。
彼にとって許容できるのはチルノ、霊夢、ぎりぎりフランくらい?一応それぞれ役割が有るし・・・

AISA様
むぎのん的に負けても構わない戦いで一応素直に従う振り、相手は一方通行と戦うので受け容れるしかありません。
表向き暗部としてチルノや上条、美琴相手に喧嘩売りつつ裏で色々悪巧みします(つまり一話と一緒)詳しくは次回。

蒼月様
責任負いたくないので嫌がるかな?現時点で十分貸し作れ何時でも天井を切れるのでこれ以上は望まないと思います。
ぶっちゃけてしまうと一部の研究者がやる気なだけ、実験に失敗したら原作みたいに借金苦に陥るので必死な天井とか。


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