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No.37756の一覧
[0] とある幻想の弾幕遊戯(とある魔術の禁書目録×東方シリーズ)第一部・完[ベリーイージー](2015/01/18 16:44)
[1] 第一話 氷精と禁書目録・一[ベリーイージー](2014/05/27 04:16)
[2] 最強と巫女(外道)上[ベリーイージー](2014/05/27 04:27)
[3] 最強と巫女(外道)下[ベリーイージー](2014/05/27 04:41)
[4] 第一話 氷精と禁書目録・二[ベリーイージー](2014/05/27 04:51)
[5] 第一話 氷精と禁書目録・三[ベリーイージー](2014/05/27 05:05)
[6] 第一話 氷精と禁書目録・四[ベリーイージー](2014/05/27 05:25)
[7] 第一話 氷精と禁書目録・五[ベリーイージー](2014/05/27 05:36)
[8] 第一話 氷精と禁書目録・六[ベリーイージー](2014/05/27 05:43)
[9] 第一話 氷精と禁書目録・七[ベリーイージー](2014/05/27 05:55)
[10] 第一話 氷精と禁書目録・八[ベリーイージー](2014/05/27 06:01)
[11] 第一話 氷精と禁書目録・⑨[ベリーイージー](2014/05/27 06:07)
[12] 第一話 氷精と禁書目録・十[ベリーイージー](2014/05/27 06:15)
[13] 第一話 氷精と禁書目録・十一[ベリーイージー](2014/05/27 06:25)
[14] 第一話 氷精と禁書目録・十二[ベリーイージー](2014/05/27 06:32)
[17] 第一話 氷精と禁書目録・十三[ベリーイージー](2014/05/27 06:37)
[18] 第一話 氷精と禁書目録・十四[ベリーイージー](2014/05/27 06:49)
[19] 第一話 氷精と禁書目録・十五[ベリーイージー](2014/05/27 06:54)
[20] 第一話 氷精と禁書目録・十六[ベリーイージー](2014/05/27 07:06)
[21] 閑話 マヨヒガにて[ベリーイージー](2014/05/27 07:10)
[22] 第一話 氷精と禁書目録・十七[ベリーイージー](2014/05/27 07:20)
[25] 第一話 氷精と禁書目録・十八[ベリーイージー](2014/05/27 07:25)
[26] 十八・裏[ベリーイージー](2014/05/27 07:27)
[27] 第一話 氷精と禁書目録・十九[ベリーイージー](2014/05/27 07:31)
[28] 第一話 氷精と禁書目録・二十[ベリーイージー](2014/05/27 07:37)
[29] 第一話 氷精と禁書目録・二十一[ベリーイージー](2014/05/27 07:41)
[31] 第一話 氷精と禁書目録・二十二[ベリーイージー](2014/05/27 07:47)
[32] 第一話 氷精と禁書目録・二十三[ベリーイージー](2014/05/27 07:54)
[33] 第一話 氷精と禁書目録・二十四[ベリーイージー](2014/05/27 07:56)
[34] 第二話 節姫と電撃姫・一[ベリーイージー](2014/05/27 08:01)
[35] 第二話 節姫と電撃姫・二[ベリーイージー](2014/05/27 08:04)
[36] 第二話 節姫と電撃姫・三[ベリーイージー](2014/05/27 08:07)
[37] 第二話 節姫と電撃姫・四[ベリーイージー](2014/05/27 08:08)
[38] 第二話 節姫と電撃姫・五[ベリーイージー](2014/05/27 08:10)
[39] 第二話 節姫と電撃姫・六[ベリーイージー](2014/05/27 08:12)
[40] 第二話 節姫と電撃姫・七[ベリーイージー](2014/05/27 08:13)
[41] 第二話 節姫と電撃姫・八[ベリーイージー](2014/05/27 08:17)
[42] 第二話 節姫と電撃姫・九[ベリーイージー](2014/05/27 08:18)
[43] 第二話 節姫と電撃姫・十[ベリーイージー](2014/05/27 08:19)
[44] 第二話 節姫と電撃姫・十一[ベリーイージー](2014/05/27 08:22)
[45] 第二話 節姫と電撃姫・十二[ベリーイージー](2014/04/24 23:28)
[46] 取材 序章[ベリーイージー](2014/04/24 23:29)
[47] 取材編 一[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[48] 取材編 二[ベリーイージー](2014/04/24 23:30)
[49] 取材編 三[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[50] 閑話 少女の変遷[ベリーイージー](2014/04/24 23:31)
[51] 取材編最終章[ベリーイージー](2014/02/13 01:59)
[52] 第三話 学園都市の光と闇・一[ベリーイージー](2014/07/06 04:24)
[53] 第三話 学園都市の光と闇・二[ベリーイージー](2014/07/06 04:26)
[54] 第三話 学園都市の光と闇・三[ベリーイージー](2014/07/06 04:32)
[55] 第三話 学園都市の光と闇・四[ベリーイージー](2014/07/06 04:38)
[56] 第三話 学園都市の光と闇・五[ベリーイージー](2014/07/06 04:45)
[57] 第三話 学園都市の光と闇・六[ベリーイージー](2014/07/06 04:49)
[58] 第三話 学園都市の光と闇・七[ベリーイージー](2014/07/06 04:52)
[59] 第三話 学園都市の光と闇・八[ベリーイージー](2014/07/06 04:55)
[60] 第三話 学園都市の光と闇・九[ベリーイージー](2014/07/06 04:59)
[61] 第三話 学園都市の光と闇・十[ベリーイージー](2014/04/08 22:00)
[62] 第三話 学園都市の光と闇・十一[ベリーイージー](2014/11/04 23:00)
[63] 第三話 学園都市の光と闇・十二[ベリーイージー](2014/04/17 19:16)
[64] 第三話 学園都市の光と闇・十三[ベリーイージー](2014/05/22 21:58)
[65] 第三話 学園都市の光と闇・十四[ベリーイージー](2014/04/29 17:53)
[66] 第三話 学園都市の光と闇・十五[ベリーイージー](2014/04/29 17:54)
[67] 第三話 学園都市の光と闇・十六[ベリーイージー](2014/04/29 17:56)
[68] 第三話 学園都市の光と闇・十七[ベリーイージー](2014/05/05 17:09)
[69] 第三話 学園都市の光と闇・十八[ベリーイージー](2014/05/08 22:08)
[70] 第三話エピローグ[ベリーイージー](2014/05/12 19:57)
[71] 御使堕し・零[ベリーイージー](2014/05/18 23:10)
[72] 第四話 御使堕し・一[ベリーイージー](2014/05/22 21:58)
[73] 第四話 御使堕し・二[ベリーイージー](2014/05/22 21:59)
[74] 第四話 御使堕し・三[ベリーイージー](2014/05/24 18:10)
[75] 第四話 御使堕し・四[ベリーイージー](2014/06/05 22:09)
[76] 第四話 御使堕し・五[ベリーイージー](2014/06/05 22:10)
[77] 第四話 御使堕し・六[ベリーイージー](2014/06/05 22:23)
[78] 第四話 御使堕し・七[ベリーイージー](2014/06/11 21:56)
[79] 第四話 御使堕し・八[ベリーイージー](2014/06/15 22:46)
[80] 第四話 御使堕し・九[ベリーイージー](2014/06/15 22:48)
[81] 第四話 御使堕し・十[ベリーイージー](2014/06/25 21:35)
[82] 第四話 御使堕し・十一(完)[ベリーイージー](2014/07/04 01:20)
[83] 短編 幻想から見た学園都市・一[ベリーイージー](2014/07/04 01:21)
[84] 短編 幻想から見た学園都市・二[ベリーイージー](2014/08/13 22:40)
[85] 短編 幻想から見た学園都市・三[ベリーイージー](2014/07/08 21:49)
[86] 幻想から見た学園都市・四(完)[ベリーイージー](2014/08/21 22:56)
[87] 短編 裏で起きていた出来事[ベリーイージー](2014/08/21 22:57)
[88] 第五話 呪術師の野望・一[ベリーイージー](2014/08/21 22:58)
[89] 第五話 呪術師の野望・二[ベリーイージー](2014/08/21 23:01)
[90] 第五話 呪術師の野望・三[ベリーイージー](2014/08/21 23:03)
[91] 第五話 呪術師の野望・四[ベリーイージー](2014/08/21 23:05)
[92] 第五話 呪術師の野望・五[ベリーイージー](2014/08/21 23:06)
[93] 第五話 呪術師の野望・六[ベリーイージー](2014/08/21 23:10)
[94] 第五話 呪術師の野望・七[ベリーイージー](2014/11/04 23:01)
[95] 呪術師の野望・八(終)[ベリーイージー](2014/09/03 22:02)
[96] 第六話 最後の夢・一[ベリーイージー](2014/09/05 20:42)
[97] 第六話 最後の夢・二[ベリーイージー](2014/09/07 21:10)
[98] 最後の夢・三[ベリーイージー](2014/09/12 00:45)
[99] 最後の夢・四[ベリーイージー](2014/09/17 22:05)
[100] 最後の夢・五[ベリーイージー](2014/09/22 20:49)
[101] 最後の夢・六[ベリーイージー](2014/09/25 01:25)
[102] 第六話 最後の夢・七[ベリーイージー](2014/09/30 19:37)
[103] 第六話 最後の夢・八(完)[ベリーイージー](2014/10/19 22:25)
[104] 第七話 呪術師の暗躍[ベリーイージー](2015/01/05 01:01)
[105] 第七話 呪術師の暗躍・二[ベリーイージー](2015/01/05 01:02)
[106] 第七話 呪術師の暗躍・三[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[107] 第七話 呪術師の暗躍・四[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[108] 第七話 呪術師の暗躍・五[ベリーイージー](2015/01/05 01:03)
[109] 第七話 呪術師の暗躍・六[ベリーイージー](2015/01/05 01:04)
[110] 第七話 呪術師の暗躍・七[ベリーイージー](2015/01/05 01:04)
[111] 第七話 呪術師の暗躍・八[ベリーイージー](2015/01/05 01:05)
[112] 第七話 呪術師の暗躍・九[ベリーイージー](2015/01/05 01:05)
[113] 第七話 呪術師の暗躍・十[ベリーイージー](2015/01/05 01:06)
[114] 第七話 呪術師の暗躍・十一[ベリーイージー](2015/01/05 01:07)
[115] 第七話 呪術師の暗躍・十二[ベリーイージー](2015/01/05 01:08)
[116] 第七話 呪術師の暗躍・十三[ベリーイージー](2015/01/11 20:40)
[117] 第七話 呪術師の暗躍・十四 new[ベリーイージー](2015/01/11 20:42)
[118] 第七話 呪術師の暗躍・十五(修正)[ベリーイージー](2015/01/13 20:31)
[119] 第一部・完[ベリーイージー](2015/01/18 16:43)
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[37756] 第三話 学園都市の光と闇・二
Name: ベリーイージー◆16a93b51 ID:abda770b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/06 04:26
超が口癖の窒素重機娘を礼拝堂に吹っ飛ばした幾らか前、麦野は嫌そうに呟いた。

「ふう、やってられない、すっげえ面倒」

教会送りの更に少し前彼女を訪れた研究者を思い出し初見で感じた印象を遠慮なくぶちまける。

「天井って言ったか、あいつから駄目人間臭がする、大事な所でポカして足掬われるタイプで正直関りたくねえ」

同席する仲間の内無表情な少女と無能力者は苦笑しリハビリから復帰した残り二名は麦野の暴言に困惑する。
アイテムの同僚(&前回拾い物した無能力者)が勢揃いした会議室でそんなことを言う物だから士気がた落ちである。
暗部組織のリーダーとして褒められたことではないのはわかっているが情報を鵜呑みにするのは後が怖い。
天井は計画が如何に有意義か熱く語った後それを妨害する者の排除を頼むも麦野は冷めた目で見ていた。

「……はあ、人形遊びの手伝いなんてごめんよ、地味だし優雅じゃないし何より悪趣味過ぎる」

超能力者を味方に退き込み不確定要素への対処を任せたいのだろうが麦野は正直言うと乗り気ではなかった。
何故なら今の彼女は自身の楽しみ優先で暗部にも暴れる場所として都合が良いから所属しているに過ぎないのだ。
できるなら友人の言葉である弾幕はパワーとばかりに華々しく優雅な方が彼女としては望ましい。

「絶対能力者ねえ、やる気出ない……さぼりたいわ」
「……超同感です」

殆ど趣味の範疇で暗部としての依頼を断ろうと考え始めている麦野と同じく仲間の一人が不機嫌そうに呟く。
呟いたのはアイテムの最年少メンバーであり白兵戦では無類の力を持つ大能力者絹旗最愛である。
暗部としての活動時他の暗部組織と命令系統の違いから小競り合いになりその際の負傷で先日まで入院していた少女だ。

「気が合うわね、絹旗」
「理由は違いますがね、麦野……正直言えば計画の内容に超反吐が出ます」
(あら様子が変ね?)

普段は割りと無駄口無く行動する彼女らしくない態度だった。
基本命令には忠実に従い成果を出す少女であり今の露骨に不満そうな姿に違和感を感じる。
どうも天井に対し嫌悪を隠していないようだがその理由が良くわからなかった。

「……滝壺、何で怒ってるかわかる?」

とりあえず彼女に聞こえないよう小声で滝壺に聞くと呆れたような視線が麦野に向けられた。

「麦野、もしかしてわからないの……五月計画のこと聞いてるでしょ」
「どっかで聞いた覚えがあるけど忘れた、何だっけ?」

麦野の答えに更に滝壺が呆れたようだった。

「身寄りの無い子供に他人の人格の一部を植え付けて……効率的な能力の演算を可能にする計画だよ」
「……へえ、そんな計画が……使えるかどうかしか興味ないんで忘れてたわ」

つまり彼女はクローンに自分の立場を重ねたのだろう。
他人の人格移植で人生滅茶苦茶にされた絹旗、勝手な都合で生み出され殺されるシスターズ、重ね同情しているのだ。
同情し強く反発している、もっとも暗部の一員である以上反抗までしようとはしていないようだが。

(面倒な任務だけど前回暴れすぎたし今回の件は従わないと不味い……だってのに問題が沸いたわね)

麦野としてはやる気は全く出ないが前回暴走した分をできれば取り戻しておきたい。
だが、仲間のメンタル的にどうも良くない物を感じ困ったように唸る。

(うーむ、これは困った、土壇場で爆発されてもたまらないし留守番させるか?)

何かの切欠次第では裏切る可能性もあり連れていかない方が良いような気もする。
そこまで考えた時だった、まるで天恵の如く麦野に妙案(但し彼女にとって)が浮かんだ。

「(待て、寧ろここは爆発させるべきか?計画失敗した方が面白い気がする……)うん、いけそうね」
「……麦野、何考えてるの?」
「何で警戒してるのよ、ショックだわ」

思い至った瞬間思わずにやりと笑った麦野に滝壺が嫌な予感がして一歩下がりながら聞いた。
その反応に少し傷つきつつも麦野は仏頂面の絹旗の方に手を置いた。

「不満そうね、絹旗」
「っ、麦野!別に命令に不満は……」
「……我慢は良く無いわ」
「あれ?」

注意されると思ったのか否定した絹旗だがにっこり笑う麦野に困惑する。

「正直に言いな、天井って奴の計画が不満なんだろ?」
「……アイテムのメンバーとして活動に私情は挟みません」
「いや挟め、どんどん挟め」
「……うん?」

本来なら諌める立場でありながら何故か煽り始めた麦野に絹旗の方が首を傾げる。

「良い、絹旗?」
「な、何でしょう(さ、寒気がする)」

満面の笑みで自分の考えを話し始めた麦野に絹旗は奇妙な悪寒に震えながら耳を傾ける。

「あの天井という男は残念そうだし垣根帝督はぶっちゃけ目障りなの」
「……は、はあ」
「でも私は立場上手助けしないといけない、癪だけどね」
「…………た、確かにそうでしょうね」
「だからさ、誰かが奴等の予定をぶっ壊してくれたら嬉しいなって思うのよ」
「………………私にそれをやれと?」
「大正解よ、絹旗!」
「え、ちょ、狂いましたか、麦野って……何で持ち上げるんです!?」

小柄とは言え肩を掴むその手で絹旗を宙吊りにした麦野は逆の手で拳を握る。
するとその拳はばちばちと電子を迸らせた。

「滝壺、窓を!」
「うん!浜面は机でバリケードを!フレンダ巻き込まれるから来て!」
「え?何!?」

それを見て滝壺と浜面、変化後の麦野との付き合いはそれなりにある二人は素早く反応する。
滝壺が会議室の窓を開けると浜面が同時に机を蹴り上げ縦に盾のように並べる。
更に滝壺が何が起きるかわからず困惑する金髪の少女をその裏へと連れ即席のバリケードの陰に隠れた。
会議室には拳を構える麦野、宙吊りの絹旗、亀のように縮こまる他三人という奇妙な光景が広がる。

「な、何が起きるんです!?」
「しゃべるな、舌噛むよ……絹旗、あんたは私と反目したことにして計画を妨害するんだ」
「む、麦野、何を!?」
「私もあんたも今回の件が気に入らない、なら好きにやろう、ああそれがいい」

困惑しっぱなしの絹旗に麦野は構わず続ける。

「今からあんたを話次第だが手伝ってくれそうな連中のところに送る。
私は立場があるから表向き協力は出来ないが上手くやれ……寮か教会かどっちが良いか、今休みだし教会か?」

頭の中で綿密に絹旗の軌道を計算しながら麦野は火花を散らす拳を引いた。

「さ、能力で防げよ……グッドラック!」

ドゴォン

「こ、この超馬鹿上司ぃ!?」
「頑張れよ、絹旗!後ミスったら口封じに消し飛ばすから!」

麦野の渾身の右ストレートが炸裂し極悪な電子をばら蒔く。
咄嗟に能力で防いだものの絹旗は衝撃を完全には消せず彼女は空高く吹っ飛んでいった。

『……鬼だ』
「あ?私はか弱い人間だよ……さて教会に知らせないと」
「天井って人に何か言った方が良いんじゃ……」
「裏切り者が出たって報告したら、それを理由に立て直したいと言ってここで暫くじっとして時間を稼ごう」

そんな経緯で天井にとっても垣根帝督にとっても絹旗にとってもイレギュラーな形のまま物語は始まった。
教会直行弾道弾となった絹旗が教会に直撃したのはこの直後である。



第三話 学園都市の光と闇・二



「……また第四位の仕業か」
「あの人ならしかたないね」
「ああ仕方が無い、諦めよう」

上条とインデックスは力無く言う、諦観の言葉しか出なかった。
目の前では滅茶苦茶になった礼拝堂と泣きが入った少女を前にそれ以外どうしようもないのもあるけれど。

「ひぐ、うう、馬鹿上司絶対ぶん殴って……死にたくないよう」
「だ、大丈夫?あたい何か力になれる?」
「ほら、泣かないで……姉、ぼうっとしていないで背でも擦って」
「……ええと、こうでしょうか?」
「まず気を落ち着かせてあげないと……」

確実に超能力者(計画妨害なら垣根、しないなら粛清しに来る麦野)と争う自分の未来に絹旗は最早ガチ無きだ。
何だかんだ言って面倒見の良い(ガキ大将敵な意味で)チルノは宥めようとしシスターズの二人もそれに続く。
チルノやインデックス等との触れ合いで覚えたか自然と優しい声音で話すミサカと促される姉、少し絹旗が落ち着く。

「姉、優しく笑顔です、はい笑って」
「……にこり」
「ぎこちない、もう一回……」

頭をぽんぽん撫でてやるチルノを他所に人形を絹旗に押し付けながらミサカは姉と呼ぶ人物に笑いかけるよう言う。
それに言われるままぎこちなく笑った彼女にミサカから容赦の無い駄目出しが飛んだ。

(うーん、微笑ましい光景だが自我より先に母性に目覚めそうだな)

上条はクローンと言う言葉から受ける印象と全く違う光景に不思議な感覚を受けた。

(……泣く子供に四苦八苦するとかどう考えても良くある機械染みたクローンのイメージじゃないな)

一言で言えば子供がより幼い子供を前に手を引く感じか、涙目の少女を前に精一杯庇護しようとしている。
ふと唯単に人形や機械的なイメージが間違いであり自我が薄いだけなのだと上条は気付く。

(そういえば御坂妹もこんな感じだったか、生まれかばかりみたいに子供なんだ……いや実際にそうなんだが)

そう考えると色々得心が行く、と同時にいつぞや聞いた計画の話への怒りが沸いた。
特に麦野の話の内容からいてどう考えても関係があるのでそれは消えそうに無い。
ぎりと思わず拳に力が入る上条の隣でインデックスがポツリと呟いた。

「……記憶というか記録というか何となくアニマルセラピーって言葉が頭に浮かんだ」

確かに庇護欲を感じさせるし自分よりも立場の弱い者に手を差し向ける光景は確かにその言葉を連想させた。
この場合は精神的なものであり肉体的な治療に行われる本来の用途とは違うが。

「割りと納得できるな、あっちの子泣いてるせいもあるんだろうが小動物っぽいし……」
「もしかして私もああだった?」
「……そうかもな(姉、多分別のクローンの子も妹みたいになるのか?)」

ほのぼのの様でその実シスターズの成長的に何気に大きなことが起きているのかもしれない。
そんなことを二人が話している間に絹旗が落ち着いてきた。

「……大丈夫ですか?」
「は、はい、超恥ずかしい所を見せましたね、もう大丈夫ですから」

恥ずかしそうに目尻の涙を拭いながら抱いていた人形を絹旗はミサカに返す。

「そっちの二人はシスターズ、他の面々は麦野の言っていた方々とお見受けします」
「……第四位から聞いてる、大変なことが起きてるみたいだな」
「はい、危急の用があります、何か対策を取らなくては……」
「待った」
「どうしました?」
「……少しな」

すると何故か話始めようとした彼女を上条は止めた。
何故か真っ青な彼に不信そうにする皆だが説明すればチルノとインデックス、ミサカは首を強く振る。

「まずここから移動しよう」
「どうして、かみじょー?」
「……第四位が関る以上相手が知ってる所には居たくない、不意打ちで吹っ飛ばされるのが落ちだ」
『賛成(です)!』
「一ま、ではなくミサカと皆様一体?」
「どうやらうちの火力馬鹿が超迷惑をおかけしたようで……」

麦野が直ぐに動かないと聞いてはいても油断出来る筈が無かった。
フリーダムな暴れっぷりは既に骨身に染みているので上条等前回の事件の参加者の思考は一致した。
唯一わからずきょとんとするミサカ00001号、対し何となく予想できた絹旗は肩身が狭くするのみだ。
殆ど一瞬でこの場の移動が決まり特に反対意見も無いので彼等はその場を離れていく。

コロリ

小石が何かに蹴られたかのように転がった。
だが、辺り一面荒れていたこともありその些細な現象に誰も気付かなかった。

「……私はあっちに行くね」
「ええ、任せます、こいし」
「うん……お空は彼を手伝ってあげてね」



「第二位を俺の代わりに実験に参加させるか、正気か、天井君よォ?」

ニヤニヤ笑いながら一方通行は天井に絡み始めた。
実験の再開と一方通行が必要ないことを告げた彼にそれを気にした様子も無く挑発するように嘲笑する。

「急にそンなことしたら色々と段取りが狂う、実験の成功率を下げかねェってのに……無茶するなァ」
「き、貴様が言うことを聞けばそもそも……おい、声が大きい!」

天井に言ってるようでその実他の研究者にまで聞こえる声で一方通行は計画に不安を抱かせる言葉を口にする。
それを聞いた他の研究者はざわめき立ち天井を不信がるような空気が漂い始めた。
更に一方通行はそれを助長させるように続ける、彼は空を指しながら問いかけた。

「スペアを使うのは良いが……だがその場合は計画の細部を変える必要があるよなァ」
「し、心配要らん、どんな差が出るかシュミレートしているとも」
「はァ?天井君の頭で出したのがどの程度信頼できるンだか?……あの最近調子の悪い計算機に確認は?」
「……できていない、相変わらずあれの反応は途絶している」

学園都市の研究者にとって最も頼りになる機器の不調は研究者やそれに近い立場の者にとって半ば周知の事実だ。
性格の悪いことに一方通行はそれを知りながら聞いた。
わかって聞く彼に青筋を立てつつも必死に自制し天井は渋々使用できていないと答える。
それを聞いて一方通行はげらげら笑いながら全然残念そうに無いのに残念だと言った。

「そいつァ残念だ、あの化け物みたいなスペックの計算機の裏付けが無ェンじゃ計画に支障が出ちまうかもなァ」
「……今地道に人の手で計算しデータを纏めている、余計な心配は無用だ」
「はっ、精々頑張れよ(……人力で調整中ね、それが終わるまでが妨害の期限か)」

おざなりな一方通行の応援の言葉に顔を引き攣らせながら天井は外出する。
恐らくは協力者である第二位に会いに向ったのだろうが直ぐに計画が始められるとは思えない。
また先程の会話で他の研究者たちの彼への目が冷たい物になっている気がする。
下手に天井に同調すれば要らない責任を被るのではないかと保身を考えているのだろう。
理由は多少複雑ではあるがこれなら天井の意向のままに計画が進む可能性は低い筈だ。

(俺と天井、どっちに付くか悩ンでるって所か……現代日本人の事勿れ主義に万歳だな)

状況は一方通行やシスターズにとって致命的という程ではない。
兎に角第二位主動の計画といってもチャンスはある、前提条件が変われば必然的に計画の内容に変化が出るのだ。

「……余り猶予は長くねェかもな、無駄な時間は多分殆ど無ェ(……それでもやるだけはやらねェと)」

それが長いか短いかは流石に専門外であり一方通行にはわからない。
まあそれでも碌に考え動く時間が無いよりはマシだろう。
その猶予の間に新計画を立ち上げ以前の計画より現実味があると上に判断させれば良いのだ。
尤もその手段は恐らく相手の足を引張るか直接的に排除するという非合法な物の可能性もあるが。

(天井と第二位、その二人さえ潰せれば計画は止まる筈だ、問題は上向きの理由が要ることだが……)

流石にそれをやるだけの理由は一方通行にも無い。
現状学園都市の許可を受けての実験であり天井を排除するのは難しかった。
それでも行き成り実験を開始できる程ではないが油断は出来ない。

(……最悪天井たちが焦れれば強引に計画を進めかねェ、責任取るようなことになれば終わりだからな)

絶対能力者進化計画、それは恐らく学園都市に於いて最重要といえる計画だ。
それだけに支持者は多く計画を進めたい者は多い筈であり当然天井に支援する者も存在する。
計画遂行の為暗部が動く可能性は高いし(先日の襲撃もあって)一方通行にとって障害は多い。
又同時に計画失敗時は計画責任者の一人である天井に支持者からの責任追及(という名の賠償金)が襲い掛かるだろう。
そういう意味では天井は計画失敗時間違いなく破滅するだろうし必死なのは彼も同じだ。

(奴等が手段は選ぶとは思えねェな……まァこれは俺が言えることじゃねェが)

彼等にとって障害となる者はマークされるだろう、あるいは暗部が張り付くかもしれない。

(……ていうか既に俺に対して見張りが付いてるな、暗部か?)

一方通行が天井を追い払ったのと入れ違いに女性の研究者が一方通行をさり気無く監視している。
研究者にしては若い女で少し白衣を着慣れてないように思える。

(暗部っぽくは無い、戦い慣れてるように見えねェ……決め付けるのは早いな、精神干渉辺りの非戦闘向け能力か?)

ちらりと視線を送り観察し一方通行はそう思考し一旦保留する。
修羅場を潜った暗部には見えないものの能力次第であるし。

「……おい、俺は暫く休憩室にいるから天井か第二位が研究所に来たら言え」

内心の疑念を御くびにも出さず一方通行は監視の少女に言った。
図太すぎる彼の言葉に流石に引き攣り顔になった相手を無視し一方通行は休憩室の椅子にどかりと腰を下ろす。

(監視するなら好きにすれば良い……だが俺に気を取られ過ぎだ、間抜けども)

そう心中でだけ笑った一方通行は彼一人しかいない休憩室を見回した。

「ま、あいつ等のお手並み拝見と行くか」

脳裏に浮かぶは二人の女性、天井が一方通行と話す間に既に動き始めていた。
天井を相手した時点で一方通行は一仕事終えていたのだ。
囮という名の二人の協力者から眼を逸らすという仕事を。



「……ごめん、重いよ、芳川さん」
「訴訟……いや確かに計画だ何だで生活サイクル狂っい放しだけど」

ばさばさ

研究所の空中を二人組が飛ぶ、一人がもう一人の体に手を回し背から生えた翼を動かす。
はたては芳川と共に一方通行が注意を引きつけている間に研究所外に向かおうとしていた。
研究所の外で一方通行の味方がいるのは大きい、特に研究者の知識は。
もっとも文に比べ飛ぶのは然程得意ではないはたては先程から余裕無さげだった。

「うーむ、研究所のカメラの誤魔化しは上手くいったんだけどなあ」

念写の応用で研究所中の監視カメラに何も無い画像を貼り付け密かに脱出したのだが問題が起きた。

「……ていうか念写の上に飛行能力ってどういう?羽は変化能力だろうけど」
「一族揃って羽あります……私は飛ぶのが上手い方じゃないけど、仕事場に篭る方だし」
(原石って奴かしら?先日の角の生えた女の子といい妙な縁ね)
「ところでもう駄目かも……」
「が、頑張って!」
「重い、でもまだ降りるのは早い……ああ文の羽が羨ましい」
「つ、墜落死なんて冗談じゃないわ、頑張って!」

その問題というのははたてがばてたのだ。
疲れたはたては微妙に弱音を吐き始めている。
かといって降りようにも出入りの画像が無くても芳川の姿が見えなければ不審に思うだろう。
その場合の追っ手を考えると余り近くには降りられない。

「ふむ、それなら手伝いましょう……加護よ、風を」
「お、楽になった……え?」
「え?」

風が下から押し上げるように吹き体勢を整えることが出来たはたてはきょとんとする。
何故なら飛ぶので必死になっていてある少女の接近に気付かなかったのだ。
その少女、取材時に会った鬼を髣髴とさせる気配の持ち主である涙子の接近に。

「やあ」
「げげっ、あの時の……」

そこには風でその身を浮かべた涙子の姿、反射的に逃げようとしたはたてだが涙子の手元から何かが伸びた。

ぺち

「あいたっ!?」

鬼を思い出したか露骨に嫌そうな顔なはたてにカチンと来た涙子は鈍く輝く何かでぺちんと叩いたのだ。
更にその鈍い輝きを持つ何かははたての頭を叩いた後しゅるりとその首に巻きつく。

「黙って話を聞いてくれると嬉しいなあ」
「黙るも何も絞まってるよ!?」
「話聞けばそれ以上しない……それ、知り合いの鎖に対抗する為の殴ることもぶん投げることもできる万能凶器だから」

警告染みた言葉と首に巻きついた凶器の存在にはたては涙子の言葉を黙って聞く姿勢に成った。
元々鬼に近い気配のせいもあり苦手意識も有ったが物理的に首を取られてもいたので反抗する気等起きない。
大人しくなったはたてに涙子は満足した様子で話しかける。

「とりあえず私は知り合いに良く似た人物とその背後関係を調べに来た、それで貴女たちを見つけたんだけど……」
「よ、よく気付いたね、後そ私たちをどうする気なのかな?」
「別段私は目が良ければ鼻が利く訳でもないけど風で辺りの情報を集められるんでね、知ってる気配に気付けたの。
それで様子を見に来てみれば先輩と行動していた貴女を見つけたんだが……情報目当てなら見逃す理由は無いわよね」

幾らか話が出来たとはいえミサカに関してわからないことの方が多く情報源として魅力的だ。
慌てて逃げてきた相手の様子も気になるし涙子は問い詰めようとし、そこで更なる乱入者の登場だ。

「うにゅにゅ、その話ちょっと待った!」
「……あら、確かこいしちゃんと一緒にいた?」
「地獄鴉のお空だよ!」
「私は佐天涙子、宜しく……そっちも何か調べに来たってことかな?」
「うにゅ、研究所の状況を聞いてきて欲しいって知り合いに頼まれたの!」
(うわ、確か地下で暴れたって悟りのペット、鬼っぽい子だけでも面倒そうだってのに……)

一度面識があり普通に挨拶し合う涙子とお空に対しはたては思わず悲鳴を上げかける。
はたては彼女たちが話している間に小声で芳川にそっと聞く。

「芳川さん、どうしましょう」
「姫海棠さんはあの二人を知っているの?」
「片方は情報だけ、もう一人は似た連中知ってます……悪人とは思えないけど何を考えてるかまではわかりません」
「……私の目的は研究所外からの一方通行の支援、戦闘に発展し時間を失うより絡まれただけ幸運と思いましょう」
「……確かに、まあ天井って奴の仲間とか暗部とやらに見つかるよりはましか」

無条件に相手を信じる訳ではないが好戦的な相手じゃないだけマシだと思うことにする。
はたてと芳川は溜息を吐きながら話し始めその内容を涙子は真剣な表情でお空は能天気そうな表情で耳を傾けた。
気付いていないが各人超能力者の知り合いたちのある意味学園都市の未来を左右する話し合いが始まった。

(……逃げたい、すっげえ逃げたい……でもそうしたら追ってくるんだろうなあ)

鬼と似た気配を持つ涙子と神の眷属と言って良いお空を前に胃をきりきりさせる鴉天狗を犠牲にして。



「ひゅい、山の皆が工房数百年記念にプレゼントしてくれた髪飾りが行き成り!?」

ぶちっ

「むむ、不吉な……もしや山の皆に何かあったか?
でも文は逃げ足速いし椛は守衛らしく頑丈だし……はたてはあんまり外出ないから特に考え難いし無用な心配だったな」

風紀委員詰め所を訪れていたにとりは水色の髪を縛る赤い髪飾りの破損に不安になるものの直ぐに気のせいと考え直す。

「……ま、気のせいか、それはそれとしてやっほう、お堅い盟友」
「にとりさん、今日は何しに?何度来ようとキャパシティダウンは渡しませんからね……」
「今日は唯遊びに来ただけだって……節姫の奴最近忙しそうで付き合い悪いから」

流石のにとりも彼女の説教は懲りたのか没収された機械の返還を諦めたようだ。
学園都市の知り合いは少なく同郷の涙子の都合が付かない以上固法以外に選択肢は無いので遊びに来たらしい。
とはいえ顔を出してくれたにとりには悪いのだが固法は風紀委員の業務に忙しく手が空いていなかった。

「おや、何だい?また事件か、タイミングが悪かったな……」

資料だらけの机の前で作業する彼女に申し訳無さそうににとりは頭を掻く。
油断か疲れか固法は思わず部外者に言うべきでない情報を口に仕掛け慌てて口を塞ぐ。

「最近暗部組織の活動が活発でして、同じ学園都市に所属する勢力といえど警戒を……あっと今の言葉忘れてください」
「聞かなかったことにしよう……他人の仕事に首突っ込むほど野暮じゃないしね」

そう言って苦笑するにとりだが何か気になることがあるのか思案顔になって固法に尋ねた。

「……そのさ、聞かなかったことにするって言ったばかしで悪いんだけど何かやばめな事件でもあるのかい?」
「そうなるかもしれないという程度ですが……何か気になることがお有りですか」
「最近節姫の奴の様子がおかしくてね、また何か首突っ込んでるんじゃないかって」

何か悩んでいるような彼女をにとりは心配していた。

「あいつ、師匠筋に当たる御方同様厄介事に好かれてるから」
「そうなんですか?そういえば確かに先日も……」
「ああ、面白がって引っ掻き回す伊吹様と違ってあいつは巻き込まれる方だけど……まあ、その後開き直って暴れるが」

彼女の類子への懸念は大きく分けて二つ有った。
一つは事件に巻き込まれ怪我でもしないか、そしてもう一つが騒ぎを更にややこしくしないかという物だ。
にとりは昔馴染みだけに心配だったが同時に馬鹿なことをやらかさないかと不安にも成っていた。

「……それらしい情報があれば知らせます、前回のこともあるし確かに彼女良くも悪くも何かしそうだし」
「すまん、助かるよ、盟友」

一応保険を掛けることが出来たにとりは固法に感謝しつつ溜息を吐くのだった。

「ま、何も無いと良いんだが……ひゅい、あれは?」
「どうしました、にとりさん」
「あっちに部屋にいるのは前回の事件の時ちらりと会った子だよね、確か超能力者の……」
「え?ああ、御坂さんですか、何でも黒子さんと初春さんに会いに来たそうです」
「確か有名人なんだっけ」
「ええ、それだけに研究職に行って残念がられてますがその理由が理由だから更に人気出て……」
「ふーん、凄い子なんだねえ」



カタカタカタ

「今該当データを転送しますね、御坂さん」
「……黒子や佐天さんに得意だとは聞いていたけど凄いわね」
「えへへ、これに関しては誰にも負けない自身が有りますから」
「うう、お姉様のお褒めの言葉とか……私もCP操作覚えて置けばよかった」

興味深そうににとりが見ているのも気付かず美琴は初春に手伝ってもらいある情報を調べていた。
その手際を褒められる初春に黒子が羨ましそうに見えているのを無視し美琴は考え込む。

(どうも何か隠してる気がするのよね……前回の事件の時の佐天さんを考えればもう少し積極的に動くだろうし)

自身と似た容姿の人物に接触せず見ていただけというのは佐天にしては消極的に思えた。

(彼女にして動きが大人しすぎる、思い切りが良いというか無鉄砲だってのは知ってるし)

ならば隠している理由があるのだろうと考え美琴はこの手の調査が得意だという初春(黒子はおまけ)を尋ねた。
共通の知人である彼女の様子が変だと聞き初春は快く引き受けてくれた。

「一応監視カメラ漁れば最近の行動はわかると思います……唯誰かと会ってるかだけじゃ調べようが」
「うーん、外での人との接触全てなんて調べていてはキリが無いわね……それなら最近訪れた場所は?」
「確かにそれなら様子が変だっていう理由がわかるかもしれません、調べてみましょう」

会った人間全て調べる等幾ら時間が有っても足りる訳がない。
ならばと初春は涙子が行った場所を調べ始める。
そこで何かが遭ったから様子がおかしいのかもしれないしあるいはそこを訪れた理由が関係しているかもしれない。

「……最近の佐天さんの足取りというとこれかな?」

暫く調べ、すると初春はとある屋敷(というか畑)に辿り着いた。
時間を制限したせいで、何故か安牌であるとある超能力者とは別の地雷と言っていい超能力者に辿り付いてしまう。

「ああこれだ、男女三人組とここに行ったらしいと交通機関の情報に」
「わかったわ、それでその場所こと調べられる?」
「ええと……所有者は麦野沈利って、この人超能力者の!?」
「何ですって、私以外の超能力者!?(……これは直接会う方が良いか?)」

明らかな大物に直接的関係が全く無いと思わず美琴は情報の為その超能力者、麦野沈リに会うことを決意した。
思い切りの良さや無鉄砲さという意味では彼女は涙子のことを言えないようだ。

(私と同じ容姿の人物の正体は何か、佐天さんが何を隠しているのか……会えばそれがわかるの?)

この瞬間それまで全く繋がりの無かった二人の超能力者の接触が完全なる偶然と誤解で決まった。



次回に続く、ややスローペースかな?
まとめると
暗部として動く振りしつつ裏でむぎのん悪企み
いつもの面々プラス一&泣きが入っている絹旗
一方通行が一見大人している裏ではたてが大変な目に
地雷原に突っ込むもう一人の原作主人公、って感じでしょうか・・・全体的に碌でもないことに・・・

以下コメント返信

いいい様
正直ネタな印象強すぎ、登場時点で研究者だが失脚し赤貧に仰ぎつつ(必要な手段とはいえ)幼女誘拐な有様だし。
あれ?感想良く読んだら・・・荒れで大正解です、彼が今回の話屈指のハードモードです。
後佐天さんの逃げ云々は作者の山のイメージ、鬼は神出鬼没で天狗は逃げ足速いし河童はステルス装備とそれ等の影響。

九尾様
砲弾にされた絹旗ですが原作も良く(一巻一回は)吹っ飛ばされてたし原作準拠、むぎのんがやった訳ではないですが。
垣根ボス化は能力と性格の関係で、少し下駄を履かせればそれを任せられる上そもそも人格的に味方にし難いから。
前回お空が戦ったのは最後だけだったので今回はこいし垣根と組んで頑張ってもらう予定、裏で暗躍する組ですね。

転載厨様
残念ながらその予定は無いです、オリジナルの集まるサイトってイメージあるし・・・今後内容次第で可能性あるけど。


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