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No.37503の一覧
[0] インフィニット・ストラトス ~弱きものの足掻き~【転生オリ主】[友](2013/05/05 20:35)
[1] 第一話 IS学園入学初日[友](2013/05/05 20:36)
[2] 第二話 IS特訓[友](2013/05/05 20:39)
[3] 第三話 クラス代表決定戦[友](2013/05/05 20:40)
[4] 第四話 まさかの共同生活の始まり[友](2013/05/05 20:42)
[5] 第五話 天才なんて嫌いだぁぁぁ![友](2013/06/23 22:14)
[6] 第六話 首突っ込むつもりは無かったのに………[友](2013/08/13 00:29)
[7] 第七話 2人の転校生…………ま、俺には関係ないが[友](2013/08/15 11:34)
[8] 第八話 俺が活躍すると? ブーイングの嵐です。[友](2013/08/15 11:35)
[9] 第九話  海の楽しみは海水浴だけではない![友](2013/08/25 11:52)
[10] 第十話  名は体を表すを地で行ってます。[友](2013/08/25 11:54)
[11] 第十一話 まさかのデート!?  そして…………[友](2013/09/15 22:47)
[12] 第十二話 楯無の心[友](2013/11/09 23:38)
[13] 第十三話 楯無の答え[友](2013/11/10 06:36)
[14] 第十四話 信頼の二次移行[友](2013/11/30 21:02)
[15] 第十五話 今日は自宅でゆっくり…………のはずが![友](2013/12/23 01:47)
[16] 第十六話 プールでデート。 あれ? プールで原作イベントってあったっけ?[友](2014/02/20 22:15)
[17] 第十七話 夏祭り………相変わらず一夏は唐変木だ[友](2014/03/30 18:01)
[18] 第十八話 彼女の家に行くのは初めてだ………不安です[友](2014/04/13 20:07)
[19] 第十九話 沖縄旅行 1~2日目[友](2014/05/26 00:03)
[20] 第二十話 沖縄旅行4日目~6日目[友](2014/07/26 22:24)
[21] 第二十一話 努力の成果[友](2014/08/16 17:32)
[22] 第二十二話 特訓風景と一夏ラヴァーズ急襲………まあ、予想通りだが[友](2014/11/02 13:22)
[23] 第二十三話 一夏の特訓風景と学園祭[友](2014/12/09 01:06)
[24] 第二十四話 妹達の邂逅とシンデレラ[友](2015/02/22 18:04)
[25] 第二十五話 白式を寄越せ? 人違いです![友](2015/03/29 19:26)
[26] 第二十六話 偶には自分から原作ブレイクしてみよう[友](2015/05/17 11:13)
[27] 第二十七話 男には やらねばならぬ 時がある    今がその時だ!![友](2015/08/12 07:36)
[28] 第二十八話 ワールド・パージ。 俺は別任務だけど[友](2015/12/06 21:11)
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[37503] 第二十七話 男には やらねばならぬ 時がある    今がその時だ!!
Name: 友◆ed8417f2 ID:7a8c92be 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/08/12 07:36

第二十七話



刀奈と簪の仲直りから暫く経ち、

「かんせ~い!! パチパチパチ~~~!!」

本音が大げさな表現で拍手をする。

実際には手が袖で隠れているので大した音は鳴っていないが。

刀奈や虚さんの協力もあり、本日、無事に簪の打鉄弐式が完成を迎えた。

タッグマッチに間に合って一安心だ。

「皆…………ありがとう………」

簪が感極まったのか、目を潤ませながら礼を言った。

「いいのよ。 可愛い簪ちゃんの為だもの。 いくらでも手伝うわ」

刀奈が笑みを浮かべながらそう言うと、

「それじゃあ盾。 最後の仕上げ、よろしくね♪」

「ああ」

刀奈の言葉に俺は頷く。

「えっ?」

しかし、簪は意味がわからないのか声を漏らした。

俺は左手で打鉄弐式の装甲に触れ、

「簪」

右手を簪に差し出す。

「え、えっと…………?」

突然手を差し出されたからか、簪は戸惑っている。

「手を握れ」

俺がそう言うと、簪はおずおずと手を差し出し、俺の手を握った。

と、その時、

「あ、やっぱり私も!」

刀奈が飛びつくように簪の手の上から俺の手を握る。

その瞬間、打鉄・不殺の待機状態である腕輪が一瞬輝き、

「えっ…………?」

簪は声を漏らした。

何故なら、いつの間にか周りの景色はあたり一面の草原になっていたからだ。

「………一体……何が………?」

簪は不思議そうに辺りを見渡す。

すると、

「盾く~~~~~~~ん!!!」

何処からともなく水色のナニカが飛び込んできて、

「させないわ!!」

刀奈によって蹴り落とされていた。

「はうっ!?」

その水色の何かは草原の上を転がる。

しかし、ムクリと何でもないように起き上がると、

「いったいわね~~~刀奈。 別にちょっと抱きつくぐらいいいじゃない?」

そんな事を言った。

「あなたも毎度毎度しつこいわよ! 霧子! 盾は私のよ!」

そう堂々と言う刀奈。

ちと恥ずいが、嬉しく思ってしまう俺は既に手遅れである。

「ケチ~~。 ちょっとぐらい貸してくれたっていいじゃない!」

「ダメよ!」

刀奈と霧子が言い合いをしている中、状況について行けない簪が呆然としている。

「大丈夫か?」

「え、えっと………あの人誰?」

何とかそう言う簪。

「あいつは霧子。 ミステリアス・レイディのコア人格だ」

「ええっ!?」

その事実に、簪は声を上げて驚く。

「因みにここは、俺と空……俺の打鉄のコア人格の精神世界のようなものだ」

「た、確かにコアには意思のようなものがあるって聞いてるけど、人格があんなにハッキリ現れるなんて………」

「ついでに言えば、俺と刀奈は、常時、意思疎通が可能だ」

「ええっ!?」

「で、簪にもコア人格と対話できるようになってもらおうと思ってる」

「そ、そんな事できるの!?」

「ああ………そろそろだと思うんだけど………」

そう言った所で、

「お兄ちゃん! お待たせ~!」

空が手を振って現れた。

「おう、空」

それに応える俺。

「盾君……この子は………」

「こいつが空。 俺の打鉄・不殺のコア人格だ」

「この子が………」

簪に空を紹介する。

「それで空、連れてきてくれたか?」

「あ、うん………連れてきたには連れてきたんだけど………」

何やら空の言葉は歯切れが悪い。

ふと見ると、空の後ろに隠れるように、水色のショートカットの女の子がいることに気付いた。

その子の背丈は空と同じぐらいであり、空の後ろからこちらを覗き込むように見ていた。

すると、その子と俺の視線が交わり、

「ッ………!?」

一瞬にして空の背中に隠れてしまった。

「「………………」」

俺と簪がじーっと見ていると、再び空の背中から顔を出そうとして、俺達が見ていることに気付き、また顔を引っ込めた。

何だ!?

この可愛い小動物は!?

「あ~、空? その子が………」

「うん。 打鉄弐式のコア人格だよ」

「何というか………恥ずかしがり屋なのか引っ込み思案なのか…………」

「あはは………ものすごい人見知りでもあるよ」

「ご主人サマに似たのかね?」

そう言いながら、チラリと簪を見る。

「あう…………」

簪は顔を赤くして俯く。

すると、

「ほら、何恥ずかしがってるの?」

霧子が空の後ろから打鉄弐式のコア人格を引っ張り出し、俺達の前に押し出す。

「うぅっ……………」

打鉄弐式のコア人格は俯いて顔を赤くしている。

やっぱり恥ずかしがり屋か?

「ほら、簪ちゃん。 何か話しかけてあげなさい」

こちらも刀奈がそう言いながら簪を押し出す。

「え? お、お姉ちゃん!?」

突然押し出された簪は困惑している。

打鉄弐式のコア人格の少女がふと顔を上げ、簪と目が合った。

「「……………………」」

無言で見つめ合う2人。

「「……………………」」

どれだけそうしていただろうか?

「あ~も~! 話が進まない!!」

耐えられなくなった霧子が叫んだ。

その声に驚いた2人がビクつく。

「まあまあ、抑えろ霧子」

俺は霧子を宥める。

それから打鉄弐式のコア人格に向き直り、

「あ~………君? 君は簪の事どう思ってる?」

俺は出来るだけ優しい声で尋ねる。

すると、

「あ……う………えと…………わ、私の事を……た、大切に扱ってくれる…………や、優しいお姉ちゃん…………」

辿たどしい言葉だが、ハッキリとそう言ってくれた。

俺は自然と笑みを浮かべる。

俺は今度は簪に向き直り、

「簪…………簪はこの子とどういう関係を築いていきたい?」

そう問いかけた。

「関……係………?」

簪は呟き、打鉄弐式のコア人格に歩み寄る。

そして、彼女の目を見つめ、

「わ、私と………友達になってください…………!」

頭を下げながらそう言った。

その言葉は予想外だったのか、打鉄弐式のコア人格はキョトンとしている。

「…………ダメ………かな?」

上目遣いで様子を伺いながら、自信なさげに呟く簪。

すると、打鉄弐式のコア人格は、ブンブンと勢い良く首を横に振った。

「え、えと…………よろしく、お姉ちゃん」

彼女は、ぎこちないながらも簪に向かって笑みを浮かべた。

「うん、よろしく」

微笑み返す簪。

「それじゃあ、簪。 その子に名前をつけてあげるんだ」

「名前?」

「ああ。 この子達には名前が無いんだ。 機体の名前じゃない、この子だけの名前をつけてやってくれ」

「この子の…………名前………」

簪は、打鉄弐式のコア人格をジッと見つめ、

「……………結(ゆい)」

ポツリと呟いた。

「この子の名前は、結」

もう一度ハッキリと言う。

「結………私の名前………」

打鉄弐式のコア人格改め、結が自分の名を呟く。

「結………なるほど、簪ちゃんの名前にちなんだ名ね」

「うん。私の友達だから、私に少しでも関係した名前にしようと思って」

刀奈の推測に肯定の意を示す簪。

すると、簪は結に向き直り、

「改めてよろしくね、結」

「うん、よろしく、簪お姉ちゃん!」

差し出された手を結はしっかりと握った。





【Side 簪】




気付けば、そこは元の整備室だった。

「………はっ! 今のは………?」

突然の景色の変化に困惑してしまう。

すると、

「簪、ISに触れて、プライベートチャネルで話すような感覚で結に呼びかけてみろ」

盾君がそう私に言ってきた。

「う、うん………」

私は頷いて、盾君の言う通りISに触れ、

(………結?)

そう呼びかけた。

(うん、聞こえるよ。 簪お姉ちゃん!)

「ッ! 聞こえた!」

私は思わず声を上げてしまった。

「これでISの待機状態を持ち歩いていれば、いつでも意思疎通が可能だ。 才能の無い俺が割と成長出来たのも、空と自由に意思疎通が出来ていることが大きい」

盾君は自分を卑下してるけど、こうやってコア人格と自由に意思疎通が出来るなんて聞いたことがない。

それをこうも簡単に成してしまった盾君は、純粋にすごいと思った。

「さて、タッグマッチまでの残りの時間は、連携と戦術の確認だな。 俺も負けるつもりは無いし」

遠慮がちにも勝つ意気込みを見せる彼に、私は思わず苦笑し、

「うん!」

彼の言葉に頷いた。






【Side Out】







そして、数日が経ち、タッグマッチ当日。

俺は悩んでいた。

このタッグマッチには新型ゴーレムが複数襲撃してくる。

別にそれは覚悟していたからいい。

問題なのは、つい先日思い出したことで、今日の襲撃で、刀奈が重傷を負うことだ。

こんな大事なことをギリギリになるまで忘れていた自分に腹が立つ。

当然ながら、刀奈が重傷を負うような事態は避けたい。

確か、ゴーレムの装甲が固くて、ミストルテインの槍で特攻したのが原因だったはず。

となれば、ミストルテインの槍以外でゴーレムの装甲を貫ければ、あるいは………

その可能性を持つ武器は、打鉄・不殺には装備されていた。

それは、バスターのフルチャージショット。

単一仕様能力を発動させずに打ち込むことが出来れば、おそらく一撃でゴーレムを破壊できるだろう。

そんな考えを巡らせつつ、俺は簪と一緒にピットで待機していた。

因みに一回戦の相手は一夏と箒のペアだ。

一夏のペアは、当然の事ながら一夏ラヴァーズの間で争奪戦が勃発したが、刀奈の提案した公平なくじ引きにより、箒に決定した。

因みにそのクジを作ったのは俺であり、箒に決定したとき、箒以外の4人から睨まれた。

俺の所為じゃないだろうに。

試合開始の時間が近付いてきたとき、

――ズガァァァァァァン!!

「うおっ!?」

「きゃっ!?」

突如爆発音と共にアリーナを揺れが襲い、俺達はよろめく。

俺は壁に手を付き、何とか転倒を防いだ。

「くっ! 大丈夫か!? 簪!」

俺は簪の方を振り返りながら言った。

「う、うん……! だ、大丈夫!」

簪は、床に座り込んだ状態だが、怪我は無いようだ。

俺がホッとしたのも束の間、通常の電灯が落ち、非常用の赤色の電灯が点灯する。

「………来たか……」

俺は小さく呟く。

「簪! 緊急事態だ! ISを展開しろ!」

俺は簪に呼びかけつつ、ISを装着する。

「わ、わかった……!」

簪も状況に困惑しながらもISを展開する。

次の瞬間、

ドゴォンと天井を突き破り、赤黒い装甲をした無人IS『ゴーレムⅢ』が俺達の前に現れた。

目の前のゴーレムを見て、頬にタラリと冷や汗が流れるのが分かった。

これから始まるのは、本当の実戦。

命が懸かったた正真正銘の『命』懸け。

俺のまともな実戦回数は、オータムと戦った一度だけ。

その他は、唯の盾役しかこなしておらず、俺が手を出さなくても周りがやってくれた。

けどコイツは………、コイツを倒さないと刀奈に危険が及ぶ。

俺は恐怖を押し込め、ゴーレムを見据える。

「行けるか? 簪」

俺はゴーレムから目を離さずに簪に語りかける。

「ッ…………うん!」

簪は一瞬躊躇したようだが、ハッキリと頷く。

本来なら、この閉鎖空間では打鉄弐式のポテンシャルがフルに発揮できないため、広い場所へ移動するのがベターなんだろうが、俺は別の事を考えていた。

「簪、こんな狭いところじゃやり辛いだろうが、何とか頑張ってくれ。 隙を見て、俺がフルチャージショットを叩き込む!」

そう、閉鎖空間ということは、回避し辛いという事。

たった2発しか打てないフルチャージショットを当てられる可能性も、閉鎖空間の方が高いのだ。

既に先程からチャージは始まっている。

あと20秒。

「や、やってみる!」

簪は詰まりながらも返事を返すと、荷電粒子砲を構え、撃つ。

ゴーレムは、人並み外れた機動でその攻撃を避けていくが、閉鎖空間内では思うように動きが取れず、荷電粒子砲に当たりそうになるために所々可変シールドユニットで防いでいる。

あと15秒。

ゴーレムは射撃の切れ目を狙い、簪を狙って突っ込む。

「ッ!?」

簪は思った以上のスピードに驚愕したのか、動きが鈍い。

ゴーレムは右腕のブレードを振り上げ、

「させるか!!」

俺は瞬時加速で簪の前に割り込み、左腕のシールドで受け止める。

「ぎっ!? く、くっそ重い………!」

思った以上の剣の重みに膝を着きそうになるが、

「簪!」

俺は簪の名を叫ぶ。

「ッ! うん!」

俺の呼びかけの意味を理解してくれたのか、ブレードを受け止め、動きが止まっているゴーレムの頭部目掛けて簪は荷電粒子砲を発射する。

見事直撃し、ゴーレムは頭部を爆煙に包まれて後退する。

「やった!」

簪は嬉しそうな声を上げるが、爆煙が晴れると、殆どダメージの無いゴーレムの頭部があった。

「そ、そんな! あの至近距離からの荷電粒子砲でほとんどダメージが無い!」

簪が驚愕する。

あと10秒。

しかし、それは俺には予想済み。

慌てることなくゴーレムを見据える。

一旦様子を伺うことにしたのか、こちらをジッと見つめてくるゴーレム。

あと5秒。

そのまま何もしてくるなよ。

俺はそう祈っていたが、そうはうまくいかず、ゴーレムは左腕をこちらに向けた。

「ッ!」

その意味を瞬時に思い出した俺は再びシールドを構え、簪の前に立つ。

「耐えきれるか!?」

俺は思わず声に出してしまう。

次の瞬間放たれるゴーレムの超高密度圧縮熱線。

それがシールドに当たり、ジワジワと熱を帯びていく。

「ぐ………あああああああっ!!」

「盾君!?」

左腕が焼けるように熱い。

いや、実際に焼かれているのだろう。

実体シールドも徐々に溶け出している。

やがて、熱線が収束していき、そして途切れた。

「ぐわちちちちちち!!! マジで焼けるかと思った!!」

俺は思わず左腕の装甲を消し、腕を振る。

だが、咄嗟に気を取り直し、ゴーレムを見据えると、右腕のバスターを構える。

既にチャージは完了した。

「お返しだ! くたばりやがれデク人形!!」

俺は容赦なくフルチャージショットを放った。





【Side 一夏】




突然襲撃してきた無人機に俺と箒は驚いたが、迎撃を開始する。

狭いピット内では思うように動けないため、零落白夜でアリーナのシールドを切り裂き、アリーナ内で戦うことにした。

戦っていて気付いたことだが、この無人ISは、絶対防御を無効化する、対IS用ISだということだ。

「くそっ! 何という動きだ!」

箒がそう言葉を吐く。

以前の無人機の発展型とも言うべきそのISは、以前のモノより格段に動きも反応速度も上だった。

しかも、装甲も並大抵ではなく、ちょっとやそっとの攻撃じゃ、全くダメージを与えられない。

しかも、離れれば熱線、近づけば絶対防御が無効化され、右腕のブレードが非常に驚異だ。

箒との2人がかりでも防戦一方。

何とかしなければと思うがいい案が無い。

その時、

――ドゴォォォォォン

俺達が居たピットとは反対側のピットから爆発が起こった。

「何だ!?」

「アリーナのシールドを突き破った!? 敵の増援か!?」

俺と箒は敵の増援なら非常に拙いと思い、冷や汗が流れる。

その爆煙が途切れ、その中から戦っているISと同じ姿をしたISの頭部が見えた。

「くっ! やはり増援か!」

箒は険しい表情をしながら構え直す。

俺も同じように構え直した。

そして爆煙が消え始め、増援のISの姿が顕に…………

「「え…………?」」

俺と箒は同時に声を漏らした。

何故なら、その新たに現れたISは、左腕とその背後にある可変シールドユニットが丸ごと無くなっていたからだ。

すると、

「だぁあああああっ! 畜生!! あんだけ大口叩いて左腕一本かよ! やっぱ俺って情けねーーー!!」

よく知る声が聞こえた。

「そ、そんなことないよ! 左腕を破壊しただけでも、随分楽になるし!」

こちらは聞き覚えの無い声だ。

見れば、ピットの中から盾と水色の髪の女の子が飛び出してきた。

水色の髪の女の子を見たとき、一瞬楯無さんかと思ったけど、纏っているISが違うし、メガネをかけていて、髪型も違ったので別人だと分かった。

あの2人、この無人ISを相手に左腕を破壊したのか。

そう思っていると、

「盾! 簪ちゃん!」

客席の方から声がした。

この声は楯無さん。

客席から、楯無さんが心配そうな表情で盾達を見ている。

「待ってて、直ぐに行くから!!」

楯無さんはそう言いながらISを展開しようとする。

「よし、楯無さんが加われば、随分楽に………」

俺と箒はそう思っていた。

だが、

「来るな!!!」

いつもの盾らしからぬ強い口調の大声が響いた。

その声に驚き、動きを止める楯無さん。

「ここは俺達でやる!!」

盾はそう宣言した。

「何言ってるの!? 盾! 無茶よ!!」

楯無さんがそう叫ぶ。

「楯無さんの言う通りだ! この敵は手強い! 我々だけでは手に負えないかもしれんのだ!」

我慢できなかったのか、箒がそう叫ぶ。

すると、

「お前を………コイツと戦わせるわけにはいかない。 お前をコイツと戦わせたら、必ず後悔する。 そんな気がするんだ」

盾は静かに、それでいて明確な意思を持ってそう言った。

「盾………」

楯無さんは心配そうに呟く。

「それにな、何時までも危なくなったら彼女に助けられるような情けない彼氏で居たくないからな」

盾はそう言って笑う。

「だからよ、少しは自分の彼氏と妹を信じてくれよ」

盾はそう言うと前を向いた。

楯無さんは、悩んでいたようだったが、

「わかった……信じる! でも、危なくなったら何が何でも助けに行くからね!」

楯無さんがそう言うと、盾は前を向いたまま右手を横に伸ばし、サムズアップで答えた。




【Side Out】




刀奈を何とか説得した俺は、ゴーレムを見据え、

「一夏! 箒! お前たちは何とか1機抑えててくれ! 簪! コンビネーション、やるぞ!!」

「コ、コンビネーションって、昨日話してたあれ?」

「ああ!」

「で、でも、練習もしてないのに………」

「大丈夫だ! 俺達には、頼もしい相棒が付いてるだろ?」

『その通り! 安心して、私達が補助するから!』

『が、頑張る!』

空と結がそう言った。

「わかった、やってみる!」

簪も腹を括ったようで、荷電粒子砲を構える。

「行くぞ!」

俺の合図と共に、簪が荷電粒子砲を発射。

しかし、その狙いはゴーレムではなくその周りの地面。

巻き起こる爆煙で、ゴーレムの視界を封じる。

ハイパーセンサーにどれだけ効果があるか分からないが一瞬気は逸れるはず。

その一瞬の隙に俺は左腕をアンカーユニットに換装。

アンカーを射出した。

爆煙を切り裂き、アンカーは見事ゴーレムを捉える。

「よし! 行くぜ!!」

俺はアンカーに繋がれているワイヤーを利用し、ゴーレムの周りを円を描くように飛びながら、バスターを連射する。

アンカーで捕らえられているゴーレムは、残ったシールドユニットで防いでいるが、その足は完全に止まっている。

「ターゲットを中央に固定」

その間に、簪が準備を完了させていた。

48発のミサイルの同時発射、『山嵐』。

「そのまま速やかに火力を集中………」

簪が呟くとともに、ミサイルが発射され、ミサイルの嵐がゴーレムを襲う。

ミサイルの着弾寸前にアンカーを引き戻し、俺は簪の横に並ぶ。

そして、俺はバスターをソードモードに、簪は薙刀の『夢現』を呼び出す。

48発のミサイルが直撃したゴーレムは、ボロボロになっているが、まだ動いている。

だが、俺達の攻撃はまだ終わってはいない。

俺と簪は同時に瞬時加速を発動。

ゴーレムに向かって突撃する。

「「最後は中央を突破!!」」

俺と簪は叫びながらゴーレムをX字に切り裂いた。

その一瞬後、ゴーレムは爆発。

俺は思わず、

「マジで有効な戦術だったな」

そう呟いた。

俺は横に立つ簪に向かって左腕に拳を作って掲げる。

「え………あ………」

簪は一瞬その意味がわからなかったようだが、直ぐに意味に気付くと恥ずかしそうに右腕に拳を作って同じように掲げ、拳同士をぶつけ合った。

俺が簪に笑みを向けていると、

「ず~~~~~る~~~~~~~い~~~~~~~~~~!!!」

突然大声が響き渡った。

俺達が驚いてそちらを見ると、刀奈が叫んでいた。

「簪ちゃんずるい!」

ズビシッと効果音が鳴りそうな勢いで簪を指差す。

「ええっ!?」

突然の物言いに困惑する簪。

「どーして簪ちゃんの方が私より先に盾とラブラブアタックしてるの!? そーいうのは恋人の私と最初にやるものでしょう!?」

刀奈の言葉に俺は脱力した。

「ラ……ラブラブアタック………………」

簪は顔を赤くして俯いてるし。

「いや、単なる連携攻撃だろ? それに、お前とはもっぱら模擬戦でしょっちゅう戦ってるけど、一緒に戦う事は無かったし………」

「うるさ~~~~い!! 盾の浮気者~~~~~~!!!」

「何でそうなる!?」

「浮気者浮気者浮気者~~~~~!!!」

「だぁ~~~~!! わかったわかった! 今度お前と出来る連携を考えておくから!!」

俺が咄嗟にそう言うと、刀奈はコロッと態度を変え、

「絶対だからね♪」

満面の笑みでそう言った。

…………刀奈の奴、演技してやがった。

まあ、刀奈との連携攻撃を考えるのは吝かではないが。

ぶっちゃけ今の簪との連携も、前世のスパロボのネタなんだよなぁ…………

刀奈との連携もスパロボから引っ張ってくるか?

そんな事を思っていると、

ドンッと爆発音がして、一夏が投げ捨てられた。

白式もダメージが酷く、所々に罅が入っている。

「ッ! ま、まだ終わってない!」

簪が狼狽えながら気を取り直す。

俺も残りのゴーレムに向き直り、

「一夏、生きてるか?」

一夏にそう呼びかける。

「………勝手に殺すな」

そう言いながら、一夏はヨロヨロと起き上がった。

「一夏、零落白夜はあと何回使える?」

俺がそう聞くと、

「もうシールドエネルギーが無い。 1回使えるかどうかだ」

そんな答えが返ってきた。

「なら仕方ないな。 俺達で何とか奴の動きを止める。 お前は隙を見て零落白夜を叩き込め!」

「わかった!」

とは言え、俺の打鉄もフルチャージショットを使った上に結構バスター撃ったから既に通常のエネルギーも半分以下。

シールドエネルギーには割と余裕があるけど、実体シールドは半壊してるし、油断は出来ない。

「簪! 援護頼む!」

「うん!」

俺はバスターソードをソードモードにし、簪の援護と同時に突っ込んだ。

だが、簪の援護射撃はシールドユニットで防がれ、俺の斬撃は右腕のブレードで受け止められる。

「チィッ!」

そのまま、ゴーレムは左腕を俺に向けて、

「やべっ!?」

俺は咄嗟に瞬時加速を真横に発動。

その瞬間ゴーレムの左腕から熱線が放射された。

マジで紙一重というタイミングで何とか躱したが、シールドバリアにはカスっていたらしく、シールドエネルギーがかなり減っていた。

「ひぃ~~………くわばらくわばら………」

情けない声を上げながらも、躱せた事に安堵する。

直撃したら、下手すりゃ死ぬな。

と、安心してる場合じゃねえ。

やっぱこのゴーレム強え。

とりあえず、ブレードか熱線のどっちかを使えなくすればまだ何とかなるんだが………

って、こっち来た!

「もうちょっと考えさせてくれよ!」

俺はお得意の瞬時回転で背中に回り込んで斬りつけた。

うまい具合に決まり、シールドユニットが爆発を起こす。

「お、ラッキー!」

シールドが使えなくなったのなら、射撃武器でも有効打になる。

「簪!」

「わかってる!」

簪が荷電粒子砲を発射すると、ゴーレムはシールドを使えないために回避行動を取る。

更に簪が予め別方向に撃っておいたミサイルが方向を変え、ゴーレムの死角から襲いかかる。

それに直撃し、ゴーレムは吹き飛ばされるが、シールドが無くともゴーレムの防御は並ではないため、ダメージは低い。

だから俺は、

「おりゃぁああああああああああっ!!」

瞬時加速で突っ込み、ゴーレムの右腕に組み付いた。

ブレードのある右腕を封じれば、一夏が切り込み易くなる。

俺は必死に体全体で右腕にしがみつく。

俺は一夏を呼ぼうと声を上げようとして…………

目の前に突き出された熱線の発射口を見て、声を失った。

そこに光が集中し始め、発射体制に入っている。

やべえ………俺死ぬ。

背中に冷たいものが走り、やがてくる現実に目を背けようとした時、

「左腕! 貰ったぞ!!」

真紅のエネルギービームが俺の右腕を掠め、ゴーレムの左腕を消し飛ばした。

更に俺はビビる。

「うぉおおおおおおっ!!?? 掠った!? 今掠ったぞ!!」

今の攻撃の原因であろう箒に声を上げる。

「ええい! 射撃は苦手なのだ! 仕方なかろう! 貴様も男ならガタガタ抜かすな!!」

箒から逆ギレされたよ。

「だ~~~! もうどうでもいい!! 一夏! 今の内にぶった斬れ!!」

「待ってたぜ!!」

一夏の白式が残ったエネルギーを使って飛翔する。

「うぉおおおおおおおおっ!!」

一夏が叫びながら大きく振りかぶる。

おいおい、このクソ素早い奴にそんな大ぶりで突っ込んだって…………

いくら俺が右腕にしがみついているからといって、完全に動きが止められるわけじゃない。

ゴーレムは俺を右腕にしがみつかせたまま回避行動を取った。

「なっ!?」

驚愕する一夏。

っていうか、そのぐらい予想しておけ!

一夏も咄嗟に攻撃のラインを変えようとしているが、修正が追いつかず、ゴーレムの表面装甲のみを切り裂いた。

しかし、ゴーレムは止まらず、一夏を蹴り飛ばす。

「うわぁ!?」

サッカーボールよろしく飛んでいく一夏。

「くそっ!」

俺は何とか右腕にしがみついたまま何か手がないかと考えていたが、ふと一夏が切り裂いた装甲が目に入った。

その切れ目からは、ゴーレムのコアが顔を覗かせていた。

しかも、一夏の一撃が掠っていたのか、コアの表面には傷もある。

これならと思い、俺はソードモードでコアを突き刺そうとした。

だが、エネルギーソードが発生しない。

「何っ!?」

『大変! バスターソードに異常発生! さっきの箒お姉ちゃんの影響みたい!!』

こんな時にと一瞬思ったが、

「それがどうした!?」

俺は右腕をバスターからマニュピレーターに変え、力強く拳を握り、

「男の最後の武器は拳だって、相場がきまってんだよぉっ!!」

部分瞬時加速を用いてゴーレムのコアに思い切り叩き込んだ。

普通にコアを殴っても壊れはしないが、切り傷が付いていた事と、瞬時加速を用いた弾丸のような拳で、コアは物の見事に粉々になった。

コアを破壊され、動きを止めるゴーレム。

腕を引き抜き、後ろに下がると、ゴーレムは力なく倒れた。

しばらくそのゴーレムを観察し、動かないことを確認したあと、俺はそのまま大の字にぶっ倒れた。

「「「「盾(君)!?」」」」

皆が心配した声を上げたようだが、

「あ~~~疲れた!!」

ただ単に緊張が途切れて安心しただけだ。

そのままISを解除し生身で地面に横たわっていると、

「盾」

視界の上から刀奈がひょっこりと顔を覗かせた。

「………悪かったな、心配かけて」

無茶したことは自覚しているため、開口一番に謝る。

「心配したのよ………ホントに……………」

「すまん…………」

本当に心配そうな表情をする刀奈に俺は謝る事しか出来ない。

刀奈は一度溜め息を吐き、

「でも……それでも今は…………」

そう言いながら俺の横に座り込むと、俺の頭を持ち上げ、自分の膝の上に乗せた。

「お疲れ様………」

そう笑みを浮かべる刀奈の顔を見て、本当に守れて良かったと心から思う。

そのまま眠気が襲ってきて、俺はそれに逆らわずに意識を手放した。

尚、その光景は当然ながらその場にいた一夏、箒、簪にも見られており、特に箒が羨ましそうに見ていたことは言うまでもない。







あとがき


第二十七話の完成。

やーーーーっと出来た!

しばらく放ったらかしで申し訳ない。

週末に予定が入りまくって小説書く暇なかったです。

盆休みも予定が無い日が3日しかないので大して書けません。

ま、それはともかく専用機タッグマッチ編でした。

盾君が男を…………見せれたかなぁ?

あと、スパロボネタから、第二次スパロボZの主人公クロウのACPファイズをやってしまいました。

クロウは1人でやってましたが、盾は簪と2人掛りで。

まあ、ACPファイズは、本来は5機連携みたいなので問題ないでしょう。

その内楯無とも連携やらせるつもりですが、何にしようかな?

今のところ、α版のツインバードストライクか、OG外伝版のランページ・ゴーストにしようと思ってますが、いい物あったら教えてください。

それから皆様にご相談。

簪なんですけど、本来は妹キャラで固定させるつもりだったのですが、なんか書いてるうちにヒロイン化してもいいかな、何て思いが湧き上がってきまして………

1、この小説は楯無(刀奈)一筋で行くべきだ! 簪は妹だ!!

2、この際姉妹ルートで行っちゃいましょう。 GoGo!!

の、どっちかを決めてもらいたいと思います。

よければご意見くださいませ。

では、次も頑張ります。




PS.IS10巻買いました。

で、ちょっと気になったことが、3年専用機持ちのダリル・ケイシーって7巻の216Pで褐色肌っぽい描写がされてるんですけど、10巻のカラーページだと思いっきり白人として描かれてるんですよね。

これって単純な設定ミスですかね?

あと、イズル先生って百合好きなんでしょうか?

物語の都合上仕方ないのかもしれませんが、ハッキリと恋人描写がされてるカップルが女×女の方が多い………


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