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No.37488の一覧
[0] 魔導兵  【ファンタジー】[時計塔](2013/05/08 21:57)
[1] [時計塔](2013/05/04 15:43)
[2] [時計塔](2013/05/04 15:47)
[3] 家族[時計塔](2013/05/04 15:57)
[4] 霧島家[時計塔](2013/05/04 17:24)
[5] 女装[時計塔](2013/05/04 19:08)
[6] 学園[時計塔](2013/05/05 00:10)
[7] 帰り[時計塔](2013/05/05 00:12)
[8] 飾人形[時計塔](2013/05/05 17:40)
[9] 修行[時計塔](2013/05/05 17:42)
[10] [時計塔](2013/05/07 20:08)
[11] 魔女[時計塔](2013/05/07 20:10)
[12] ヤバイ女[時計塔](2013/05/07 20:11)
[14] 生徒会[時計塔](2013/05/08 21:18)
[15] 織姫という女[時計塔](2013/05/08 23:45)
[16] 偶然と必然[時計塔](2013/05/08 23:46)
[17] 戦争の傷跡[時計塔](2013/05/14 00:09)
[18] 魔術疾患[時計塔](2013/05/14 00:10)
[19] 世のため人のため[時計塔](2013/05/14 00:11)
[20] 油断[時計塔](2013/05/14 00:11)
[21] 闇に潜むもの[時計塔](2013/05/14 00:12)
[22] 屑なやつ[時計塔](2013/05/14 00:13)
[23] 本性[時計塔](2013/05/14 00:13)
[24] メトセラ[時計塔](2013/05/14 14:27)
[25] 解答[時計塔](2013/05/14 14:28)
[26] 不審[時計塔](2013/05/14 14:28)
[27] 天王寺[時計塔](2013/05/14 14:29)
[28] 謁見[時計塔](2013/05/14 14:30)
[29] 試験[時計塔](2013/05/14 14:30)
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[37488] 世のため人のため
Name: 時計塔◆05d234a8 ID:e5d1d3f0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/05/14 00:11
「ちっす生徒会長! 今日からよろしくお願いします!」
「切無、挨拶はきちんとなさい。淑女としての嗜みよ」
「だから俺は♂だと…まぁいいや。おはよーござます」
「織姫おはよう。今日も早いわねぇ~。いつも何時に来てるの?」
「大体七時ぐらいにはいつも着いてるわ。家にいても…あまりやることがないから」
 俺と紫子は登校してすぐに生徒会室へ直行した。新しく入る新人としてはまずは上司に挨拶しなければ。紫子も何だかんだと俺に付き合ってくれた。
「…揃ったわね。といっても現在、ほとんどの生徒会メンバーが家のことや海外への交換留学などで出払っています」
「あと誰がいるんだ?」
 席としては副生徒会長だろ。庶務だろ。あと…会計か。
「庶務の氷河さん。会計の砂上さん。副生徒会長のクズ」
 すげぇ……ほとんど日本の代表的な魔術師たちばっかりだ。……っておい。
「なんか一人だけすごい勢いでディスってない?」
 クズって何だよ。流石にかわいそうだろ!
「あはは…仲悪いんだよ。副生徒会長といつも言い合いして会議が長引くの……」
 紫子が耳打ちでそっと伝えてくれた。なるほど、こいつも人の好き嫌いとかあったりするのか。そりゃそうか、人間だもの。
「聞こえてますよ紫子。別に仲が悪いわけではありません。私の意見にいつも正反対のことを言ってくれるだけです。あの子は人を馬鹿にする傾向があるので小一時間ほど説教をしてあげた結果泣き喚きながら出て行ったことがあるくらいです」
「ご……ごめんなさい」
 ……。いやめちゃめちゃ嫌いじゃん。水と油じゃん。お前の説教は洒落にならないくらう怖いの! 自分のこと、もっと知ろうよ。
「コホン。さしあたって切無。放課後までにこの書類に一通り目を通しておくこと。あなたには私たちの補佐をしてもらいます。相談を聞いて、何かアドバイスがあれば私たちに教えてください」
 薄い紙を手渡されてざっと目を通した。
「なになに……簡単で凄い魔術が欲しい。猫を探して欲しい。…彼氏が欲しぃ? ってなんだよこれ!」
 どれもこれもくだらない相談ばっかりだった。特に一番最後のやつ。俺も彼女欲しいよ! あ、違った。ただの願望だよこれ!
「くだらないことでも、生徒の要望です。こういったことを積み重ねていくことによって信頼というものは得ていくものなのよ」
「そうだよ切無。生徒って結構ナイーブだから。本番でそういう事いって生徒たちを傷つけないでね!」
 ……紫子からナイーブとか言う言葉が出てきたこと自体にまず驚愕なのだが。
 だが、どう考えても彼氏が欲しいという案件を捌く自身がない。ってかこいつ遊びでやってるだろ、絶対。
「まぁ最後のやつはとりあえず置いとくとして……簡単で凄い魔術が欲しい……か」
 そんなのがあったら俺が苦労している意味がないだろう。
「無理だな」
「結論はや! もっと考えようよ! あんた本当にやる気あるの!?」
 やる気どうこうでどうにかなるのなら簡単なんだが。いかんせん、この案件からも適当に書きました的な雰囲気が否めない。
「具体性に欠けるから聞いた方が早いな。ってことで後回し。で、最優先事項は、これ」
「同感ね」
 俺たちが優先したのは猫を探して欲しいという案件だった。
 天王寺が頷く。どうやら俺と同意見のようだ。
「まぁ…探偵みたいな仕事だけれど。新人教育にはちょうどいいわね。早速放課後聞きにいきましょう」
「いや、俺が直接聞いてくるよ。放課後はその情報を下に探しに行こうぜ。無駄な時間は、極力避けたい」
 情報は早ければ早いほど、その有用性が高くなるからな。飼い主も多分話を聞いて欲しいと思っているはずだ。
「そう……では任せてもいいかしら?」
「おう任せとけ! 俺の巧みトークで骨抜きにしてやるぜ!」
「いや、意味わかんないし。心配だからついてくね」
「任せろよぅ! 信用しろよぅ!」
 どうやら日頃の態度が悪い影響か、紫子の信用を得るのは難しいらしい。
「いいの? あんた多分話しかけられると同時に逃げられると思うよ? 『きゃー! 変態ロリコン女装男!』って」
「勝手に変な設定つけるのやめてくれない? だけど確かにその可能性は高い…なにせ、イケメンだからな…」
 恥ずかしがって逃げられる可能性がある。
「……大丈夫かしらこの男。今更ながら心配になってきたわ」
「大丈夫だよ。あたしがしっかり手綱引いてるから。こいつの扱いは慣れてるから」
「…そう。紫子にしては随分心配するのね。彼に」
「べ…別にそういうわけじゃ……。こいつは誰がいないとすぐ暴走するから! それだけよ!」
「よっしゃー!! さっさと畜生をとっ捕まえて人気者になってやるぜ!」
「畜生っていうな……ホント調子いいやつ…」
 俺たちはその後も様々な打ち合わせをしたあとに天王寺と別れ、自分たちの教室へ向かった。


「きゃ~!! 変態ロリコン女装男よ!!」
「紫子貴様ァァァァァァ!!!」
「あ、あたしじゃないわよ! 勝手に人のせいにしないで頂戴!」
 俺たちは授業の小休憩中に飼い主の子に会って話を聞き入った。だが、俺が話しかけた途端血相を変えて逃げてしまった。
「お前、万が一にもありえない事態が起こったぞおい」
「いや、想定内、圏内よ。あんたいいから引っ込んでなさい」
 紫子は再び、怯えている彼女の方へ歩み寄り詳しい話を説明した。
「そ……そうですか。すいません取り乱してしまって。切無さんも申し訳ありません。あまりにも気色悪…じゃなくて驚いてしまって」
 あのね? ホントに謝ってんの? ねぇ? 引っぱたいていい?
「切無…落ち着きなさい。ゴメンね。こいつなりに心配してるんだ。だから出来るだけ詳しく事情を話してほしいの」
 そう紫子が促すと。その生徒は一息着いたあと詳しいことを話してくれた。
「あの……魔女様に相談した時は猫って言ったんですけど……実は使い魔なんです、その子。気が動転していてついペットって言っちゃったんです」
「使い魔? だったらすぐに魔術の感覚を辿れば見つかるんじゃない?」
「紫子よ、それが出来なくて困っているから相談したんじゃないのか?」
 そう俺がつけ入るように話に加わると、その子はコクりと必死な顔で頷いた。
「そうなんです。昨日、夜遅くに買い物に出かけた時までは一緒にいたんですけど、気がついた時にはもうぷっつりと線が途切れたみたいに…あのわかりません? 使い魔と繋がっている感覚…あれが、なくなってたんです。私もう、心配でっ…」
 その子は少し泣きそうな顔になりながら話を進める。
 これは…結構深刻そうな話になるかもしれない…。
 使い魔の習性、特性なども含めて考えると……ダメだな、嫌な方に話が進んでしまう。
「だ、大丈夫だよ…あたしたちにドーンと任せなさい! 今までそういった案件は何回かあったけど、全部無事に戻ってきたんだから!」
 紫子はそう言って彼女を慰めていた。それでも幾ばくかは楽になるだろうか?
「ね? 切無もそう思うよね?」
「あ、ああ……」
 俺はその言葉にただ頷くことしか出来なかった。何せ、最初に思いついたものが最悪のビジョンだからな。
「あの、私ももしもの時のことは覚悟しています。ですから、どうか、ミーシャを見つけてください。お願いします!」
「…………」
 そう言ってペコリとおじきををする飼い主の背中が何だか小さくなっていくような感覚に襲われて俺たちは任せろと思わず返事をしてしまった。


 放課後、三人で生徒会室に戻ったあと、天王寺に詳しい話を軽くして搜索に出かけた。
 感覚が途切れたのは買い物に出かけて時にということは、そのルートを辿っていけば見つかるはずだ。
「飼い主が探した場所も一応もう一度探してみましょう。見落としがあるかもしれないから」
「わかった。念のため、固まって探そうぜ。なんか嫌な予感がする」
「そんなの時間の無駄でしょ! 手分けして探そうよ! わかったら端末か、魔術(テレ)通信(パス)で教えてくれればいいから」
「! おい!」
 紫子はそのままダッシュで目的地まで行ってしまった。
 チームワークの欠片も感じられない。ホントに生徒会メンバーなの? はぐれ○○○?
「心配しなくても大丈夫でしょう。あの子、あれでも魔術はそれなりに使えるから」
「……杞憂だといいんだがな」
「? 何か言った?」
「いや、なんでもない。それよりも俺たちも急ごうぜ」
 ……ホント、杞憂だといいんだがな。嫌な予感がピンピンする。
 …もしもの時はどうする? もしも――なら。
 そんなわけない。あれはもういないのだ。なくなったのだ。終わったことなのだ。
 わけのわからない焦燥感を胸に俺たちは紫子の跡を追っていった。外はいつの間に雲が暗澹(あんたん)と立ち込めていて、より一層不安を感じさせていた。

 結局捜索範囲が広いことを理由に俺たちはバラバラに捜索を行った。まぁ何か危険があったとしても一番危ないのは俺なので、その天王寺の意見に反対することが出来なかった。
「ここもなしか……」
 思った以上に捜索は難航していた。さっき端末に呼びかけてみたが、両方共成果は無し。俺の方もめぼしいものは見当たらなかった。
「多分、生きてるだけでも奇跡だと言いたいが……」
 正直、俺は生きている可能性はゼロに等しいと思っている。使い魔は普通、黙って主人と魔術回線を切ることなんてしない。
 使い魔は主人の魔力に生命力を繋いでいる。その回線を切るということは死を意味することに他ならない。
 そして、自らの主人に危険が発生するとその目的を排除するために彼らは命をと尽くす。それが、彼らにとっての生きる意味であるから――。
 それが切れたということは、おそらく……。
 俺は河川敷あたりにたどり着き、辺りを見渡してみた。冬のやせ細った木々や草以外に目新しいものはない。だが、何かが、違うような気がした。
 嫌な焦燥感が再び襲ってくる。くそ、薬を持ってくるべきだったか。
 そんなことを言っている場合ではない。走って河川敷の下へ下る。
 ――そこは、獣が何かと争ったような、辺り一面の草がポッカリとなくなっていた。
 ふと、橋の方へ、点々と血の跡が続いていた。
 橋の下を見る。
 そこには、
 黒い塊が、
 小さく丸まりながら、
 眠るように、
「早く、見つけてやれなくて、ゴメンな」
 俺はそれをなるべく優しく手で抱えるように抱きしめた。
 外はいつの間にか雨が降っていた。
 冬の雨は恐ろしく冷たい。
 だけど、そんなことは関係なく。
 俺の体はひどい熱にうなされてしまっていた。



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