憂鬱★学校
この話は『イジメ』を題材にしています。
不快に思われる方もいらっしゃると思いますので、自己責任でお願いします。
「リリリリリリリ」
四時間目の終了を知らすチャイムがなる。さて、給食を食べる班を作るかな…
次の瞬間、少年は青ざめた。
「あいつさー小学生の時から臭くてノロマでバカで嫌われてたんよー。だからお前も近づかない方がええで!」
様々な雑音を押し退け、少年の鼓膜、心を貫いた。
誰に対して言ったのだろう。僕じゃないよね。僕じゃないよね。
ゆっくり、声が聞こえた先を見ると、嫌味な笑みを浮かべながら、
こちらを指差していた。
もう…やめてくれ、やめろおおおおお!!!!!!
「出席をとりまーす」
産まれ順で振り分けられた出席番号順に、名前が読み上げられていく。
「佐藤良太さん」
少年は、自分の名前がくるまで、呼吸が苦しくて仕方がなかった。
「犬槇弘毅さん」
やめて
「紙島美香さん」
やめてやめてやめて、あ。
「田中太郎さん」
しんと静まりかえっていた教室は、笑いで包まれた。
「はは、ダセー」
確かに、はっきり、聞こえてくた。
少年、田中太郎。
2001年産まれ。幼少期に親から虐待を受け続け、精神疾患を伴う。
小学校に入学。この時養子になっていた。だが、彼の表情は暗く、今にも死にそうだった。
そんな彼を逆手にとって虐めてくる『ゴミクズ』がいた。
名前は笹島陸。強靭な肉体を持っていた。
初めは笹島一人だけだった。
「気持ち悪いんだよテメーはああ!!」
かつて受けていた虐待の思い出が蘇る…
この時既に田中は悟っていた。
ああ、免れられない運命なのか、と。
それからというもの、1人、また1人、笹島につくものが現れ始め、遂にはクラス全員に虐められるようになった。
「お前の餌、これなー」
口の中に強引にゴミを入れられ、窒息して病院に運ばれたこともあった。
信じられないことに、その時担任であった教師は、見て見ぬふりをしていたのだ。
『ゴミクズ』教師、中嶋純。
事を公にして問題にしたくないのか、虐めを目撃しても、いつも何も言わなかった。
こうして、卒業するまで六年間、田中は虐められ続け、最悪な学校生活を送った。
遠い中学に行けばやり直せると思っていた。
だが、現実はそう甘くなかった。
「アイツ」、いや、『ゴミクズ』がいたんだ。それも笹島、教師揃って。
田中太郎の中学校生活が、静かに幕を開けた。