以前にチラ裏で掲載していましたが、改稿してこっそり投稿してみようかと。
まぁ、映画版2ndが発売されて、作りたくなったのが最大の理由です。
こっちはパクス・バニーよりもけっこう気楽に書けるのでー。
内容はぶっちゃけ『ぼくのかんがえたリリカルなのは物語』デス。
魔改造モノらしいです。
管理局の設定とかその他諸々を眺めていると、普通ならこういうストーリーになるんじゃないかなと妄想してみました。
基本シリアス路線ですが、セリフや場面などはパロディ多めです(主にガンネタ)
あとどう見てもフェイトちゃん主役、なのはさんマジ魔王(ラスボス)。
なお、時空管理局が悪の組織っぽく書かれますが、別にアンチ管理局な設定というわけではありません。
現実の警察組織と同じで、基本的には一般市民への奉仕者なのですが、裏も汚い面も犯罪だってすることもあるよということです。
なお一般市民というのはミッドチルダと関連周辺国のことであり、それ以外には……。おおむね19~20世紀初頭の欧州なイメージです。
原作の設定は尊重しますが、基本的に面白そうもとい、言葉や状況からイメージされるものへと改変したりします。(従って矛盾が生じることもあるかも。無くすように努力はしますが)
たとえば、ユーノのスクライア一族については、「遺跡の発掘を生業とする一族」(ウィキペディアより)ですが、これを古代遺跡発掘一族としてます。
これは、つまり危険な遺跡の発掘が主な生業で、また発掘した遺物を管理局や好事家などに売買して金銭を得ていると考えられます。従って危険には慣れており、発掘で死者が出ることもあるでしょうから、冷静に対処できるでしょう。また管理局ともつながりがあるはずです。
これらの設定によってユーノの性格がだいぶ原作とは異なりますが、でもこの設定のほうがシナリオ的に納得がいくのでそうしています。
このような意図的な設定変更と推測をしている場合が多数在ります。
あとはデバイスは日本語しゃべります。多国語しゃべらすのは手間が多すぎるので……
以上の諸注意を読んだ上で楽しんでください。
あと感想もらえるとうれしいです。やる気ゲージがけっこう伸びます。
批判については、お手柔らかに。フェイトちゃん並の重装甲ですので……。
2012/09/16 誤字修正&予告編追加
2012/10/07 章編集、誤字修正&追記
2013/03/24 改稿して、とらは板に再投稿開始
----------------------------------------------------------------------------------------
それは、彼女と運命の出会い。
「大丈夫っ! 友達になるのなんて、カンタンだよっ! 名前を呼んで、それだけでいいんだっ!」
時空管理局最強の砲撃魔導師――高町なのは
「それを持って行ったら、母さんはきっと喜んでくれると思う」
最高の超高機動空戦魔導師――フェイト・テスタロッサ
「――この、人形がっ!」
孤高の魔導工学技術者にして大魔導師プレシア・テスタロッサ
「くくくくっ! あははっははっ! 最高じゃないか、あの、人形にすぎなかった、アレがっ! よくぞよくぞよくぞよくぞここまでっ!」
狂気の天才魔導工学者――ドクターJ
「フェイトのためなら、なんだってやってやるっ!」
フェイトの頼れる使い魔――アルフ
≪あなたは、最高のマスターでした≫
フェイトの最高の相棒――超高速演算魔導デバイス・バルディッシュ
≪問題ありません≫
空前絶後の超魔導工学の申し子――戦略砲撃魔導デバイス・レイジングハート
「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンが魔導師プレシア・テスタロッサに告げる。以下の罪状の下に当局への出頭を命じる」
管理局の若きエース――クロノ・ハラオウン
「市民の安全と秩序を守るのが管理局の掲げる正義だけど、強大な悪と対峙したとき、それだけでは足りないときがある。
強大な悪をそれを上回る悪で倒す、それがこの『ワイルドカード』計画よ」
時空管理局 次元航行艦隊提督――リンディ・ハラオウン
「きゅ?」
謎のフェレット魔導師――ユーノ・スクライア
「まーっかせんさいっ! にょろんと解決してやんよっ!」
次元航行巡洋艦アースラ特務通信士――エイミィ・リミエッタ
魔法少女リリカルなのはFortress
~黒い魔法少女~
予告編
これは、二人の魔法少女の出会いの物語。
ふと目にした赤い風船。男の子が手放してしまったらしいそれを、フェイトはつかまえて返してあげる。
「はい、もう放しちゃダメだよ」
「うん、ありがとう、お姉ちゃんっ!」
ぱちぱちぱちと拍手をしながら、白い少女がフェイトに話しかける。
「名前を教えてほしいなっ!」
出会った二人は、互いの名前を呼んで、〝友達〟になる。
(これが、友達と一緒だとうれしいっていう感じなのかな……?)
〝初めて〟できた友達にいろいろと振り回されて戸惑いながらも、フェイトは思う。
望んで得た〝おともだち〟に、高町なのはの心は狂喜乱舞する。
(この子は、けっして離さないの。この広い世界でわたしとこの子だけが、同じなんだからっ!)
「フェイトちゃんのお肌ってすべすべなんだねっ!」
「え? そ、そうかな。なのはちゃんもきれいだと思う」
いろんなところを撫でまわしてくるなのはに、フェイトはちょっと顔を赤らめて答えた。
「にゃー、あ、ここ、ほくろはっけん~♪」
「あっ、ちょっと……」
遠慮なくぺたぺた触れてくるなのはにフェイトは戸惑ってしまう。
突如豹変する白い少女の雰囲気。
「ああ、やっぱり違法な魔導師なんだね」
笑顔は変わっていないのに、それはもはや別人だった。
フェイトは我知らずに全力で後ろに跳び退き、同時にバリアジャケットを瞬間起動する。
着ていた服が、亜空間格納されずに細切れにはじけ飛ぶ。
コレはなに? なのはに、なにが起きたの?
フェイトの思考は混乱しながらも直感が告げる。
コレは、危険だ――。
逃げろ逃げろ逃げろ。問答無用全力全開で――
「な、なのは? いったい、どうしたの?」
だが、彼女は選択を間違えた。
直感を無視して、はじめての友達となった彼女に話しかけたのだ。
そんなことをしなければ、まだ何とかなったかもしれないのに。
「だめだよ、フェイトちゃん。違法な魔導師は逮捕しなくちゃいけないんだ。だって時空管理局法に違反しているんだから。罪は、償わなくちゃいけないんだよ」
「な、なのは?」
「だいじょうぶ、わたしが面倒をみてあげるから、刑期はちょっとだけだよ、きっと!」
多重転移陣がきらめきながら消滅する。
「むぅ、逃がしちゃった」
「大丈夫だよ、なのは。彼女にはトレーサーをつけといたから、『アースラ』に連絡して、位置情報とサーチャーを転移してもらってるよ。すぐにわかるさ」
「さっすがユーノくんっ! 頼れるのっ!」
金髪の少女が跳ね飛び、転移室の壁にどごんっと轟音をたてて叩きつけられる。
衝撃吸収素材の壁に亀裂が入る。
「この、人形が! 誰がそんなことをしろと言ったっ!」
プレシアは床にずり落ちてきたフェイトをさらに打擲する。殴る。拳を叩きつける。
執拗に。執拗に。
握りこんだ拳の皮膚が切れて、血まみれになっても。
「ご、めん、なさい、ご、めんなさい、母さ、ん」
頭を抱えて身体を丸めて、プレシアの打擲に耐えながら、フェイトは謝り続ける。
「――っ! 母と呼ぶなと、言っただろう、この人形がっ!」
しかし、それがプレシアの更なる激昂を招く。腕を大きく振りかぶった。
「や、やめろ、それ以上やったら、フェイトが死んじゃうよっ!」
アルフが怯えを振り切ってとびかかるが、プレシアは振り向きもせずに左手で魔力衝撃波を放った。
アルフはぎりぎりで避けたが、衝撃波は壁をぶち抜いて全壊させる。
耐魔法防御技術を施された壁をだ。
アルフはぞっとする。プレシアは間違いなく本気で殺せる威力の魔法を放ったのだ。
艦橋のメインスクリーンに投影されていた金髪の少女の虐待映像が途切れた。
「映像・音声共に受信できません。サーチャーが完全に破壊された模様です」
薄暗い管制室の中でオペレータが報告する。
様々なインフォメーションが投影モニタで展開されている。
「座標データは確認済み、無人探査追跡艦を急行させています」
黒衣の少年がうなずき、各所に指示する。
「アースラはこのまま公称『時の庭園』の追跡に入る。突入部隊の編成を急がせろ」
「フェイト……」
治癒魔法で、とりあえず傷口の表面だけふさぎ、あとは軟膏などを塗りたくって包帯でぐるぐる巻きにしていた。
金髪の少女は、薬で眠らさせている。
疲労回復もだが、いまのフェイトは、それ以上に精神的ショックが大きすぎて、意識があると内省癖が暴走しかねない。
アルフはそう思って、睡眠薬でむりやり寝かせたのだ。
これは体調管理もしているバルディッシュも同意している。
「なぁ、バルディッシュ。あいつは、本当に母親なのか、どう考えてもおかしいだろう、娘をこんな酷い目に合わせてっ!」
一人激昂するアルフ。バルディッシュは優れたAIだが、それでもデバイスだ。
感情的になることはない。ゆえにアルフには同調しない。
だから一人でアルフは激昂しつづけ、どんどんヒートアップする。
「ああ、もうっ! 許せない、どーしてもゆるせない! 一発殴ってくるっ!」
アルフはそういって、部屋を飛び出していく。
バルディッシュは決して感情的にはならない。行為をみてその裏を読むべく思考を続ける。冷徹に淡々と。
「うーん、うーん、これがこーなってあーなって、うー。にょろーんでうにゃー」
「いけそうか、エイミィ」
「まーかせてっ! このエイミィさんにかかれば、魔導妨害壁の一つや二つ、すぐに解除してみせるにょっ! ……舌かんだ~」
涙目になる女性。
(大丈夫か、こいつ……)
ごぼりと血が手のひらからあふれて床までしたたり落ちる。
「プレシア……あんた、ひっ!」
「みたな?」
プレシアの視線だけで、アルフは全身の毛が粟立った。殺気を超えた殺意。まさに視線だけで殺せるレベルだ。
「あんた、身体が、いや、死にかけている?」
アルフの野生のカンが、目の前の女の死の匂いを嗅ぎ取ってしまう。
なぜ気が付かなかったのか?
気が付けば、この女からは死の匂いが、尽きようとしている命の弱まりしか感じられない。
プレシアは、アルフに壮絶な重圧をかけてなにも言わせまいとしている。
それでも、大事な主人のためだ、これは聞いておかなければならない。
「あんた、それで、フェイトを離れさせようと……」
「くくっ、駄犬にまで気が付かれるなんて、わたしの演技なんてそんなものか」
口から血の糸を引きながら、プレシアは自嘲する。
(ぐぅうっ!)
フェイトは歯を食いしばって超高速機動をする。
実に30Gにも達する加速と制動を繰り返し、重力制御術式を複数同時展開してあり得ない空中機動軌跡で直撃する砲撃を避けて、彼女はなのはに肉薄していく。
脳内の魔導術式回路や魔導演算器は莫大な過負荷に悲鳴を上げ、食いしばった口から、鼻から血を吹き出し、痛めた肋骨がみしりみぎりと鳴りながらフェイトは空中を翔る。
体内にまで重力制御術式が間に合っていないのだ。
鋭角にもなろうかという急旋回、三回転捻りこみながらの直下降、地面すれすれからの斜め後方への機動。
破れた毛細血管から血飛沫をあげ。
限界を超えた限界、重力制御機動の極みを超えて。
ただ勝利を求めて。
(あと、いっぽ。あといっぽでとどく!!!!!)
「バルっ! オーバー・ブースト!」
『-&$”!』
すでに発声機能まで演算に回した最高の相棒が推進力をオーバーブースト、更に加速する。
バルディッシュは限界を超えて高速術式演算をする。演算回路が焼きつこうが全損になろうが、己が主の勝利のため。
ただそれだけのために。
「さぁ、わたしの名前を呼んで。云ってみてよ!」
白い悪魔は、最高の笑顔。
「さぁ、はやく。下僕(オトモダチ)になろう? さぁ、はやくはやくはやく! ハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリー! ハリーアップ! はやくはやくはやくっ!」
バルディッシュを支えに座り込んだフェイトを、白い悪魔は嗤いながら圧倒的なプレッシャーで見下ろす。
その頭上では全天を塗りつぶすかのような極大の魔法陣が幾重にも展開されていく。
「そこっ! 『ディバイン・バスター』!」
ようやく位置を特定した白い悪魔が、魔導デバイス・レイジングハートを向けて、術式を構築。
莫大な魔力を注ぎ込んで強引に魔力ジャミングを突破する。
転移する瞬間。フェイトが見たものは、最高の相棒のコアに砲撃が着弾する光景だった。
「バルーーーーーーーーっ!」
少女は絶叫する。
「バカな子なの。逃げ場なんて、もうどこにもないのに」
地面に転がったそれを拾い上げて、白い少女はつぶやく。
「悪事に手を染めたわたしたちはね、もうその道をいくしかないんだよ?」
いまにも崩れそうなほど、ぼろぼろの魔導演算コアを白いハンカチで優しく包んで、それを胸のポケットにしまう。
「キミもよくがんばったよね。絶対にかなわないとわかってたんでしょう? でも、キミのマスターの勝利のため、なにもかも全部を捧げたんだね。……そういうの、キライじゃないよ」
そういって、雲ひとつない空を見上げる。激闘があったとはとても思えない、快晴だ。
莫大な魔力放出によって、空気中の不純物や水分がすべて吹き飛んだためだ。
手を太陽にかざしてみる少女。
「クロノくんの方は、そろそろ終わってるかなぁ」
ああ、わたしのてはまっくろだ。
はやく大人になりたかった。
はやく一人前の魔導師になって、母さんの力になりたかった。
ここ数年はだんだんと笑わなくなってきていたけれど、でも魔導師としての実力が上がってくれば、頭を撫でてくれた。
リニスも授業の時は厳しかったけど、普段は優しくて、アレフは無邪気な妹のようで、こんな生活がずっと続くんだと思っていた。
でも。
リニスが急に居なくなって、母さんもなぜかいつもいらいらしていて、だんだんと冷たくなって、わたしのこと人形と呼ぶようになって。
表情をだすのが苦手だから、そう呼ぶようになったのかな……。
一生懸命に母さんの役に立とうとするけど、最近は顔も見てくれなくなって、声もほとんどかけてくれなくなった。
わたしのこと嫌いになったのかな、もういらないのかな。
フェイトは無力な少女のようにしゃくりあげながら、ともめどなくつぶやきつづける。
「はっ、人形を人質にとったところで、わたしにはなんともないわ」
「そうですか、では、役に立たない道具は壊してしまいましょう」
「え――」
クロノは光刃をなんの躊躇もなくフェイトの腹部に突き刺し、さらにぐりっと捻る。
フェイトの中から熱いものが駈け上がり、のどからごぼりっとあふれ出る。
「――管理局っ!!!!!」
「おや、どうしましたか、プレシア師。そんなに焦った様子で」
「抵抗の出来ない人間を攻撃するなんて、何を考えているのっ!」
「何をいっているんですか。これは人間じゃない、違法な人造生命体だ。そんなものが壊れたってなにも法的に問題ない」
「命をなんだと思っているのっ! 本当にやり方が昔から変わらないっ! 」
「守るべきは善良な一般市民であって、犯罪者に情けをかける必要なんてない。犯罪者の人権を守るなんて害しかないですよ」
ましてや、これは替えがきく道具なんでしょう? 黒衣の少年が嗤う。
死を覚悟したフェイトがおそるおそる目を開いて見たのは、覆い被さる母の姿。
全身に魔導弾の着弾と爆発の痕があり、大量の血を流している。
「か、あさ、ん……?」
「ああ、フェイト……ごめんね、こんな事に巻き込んじゃって」
プレシアは失敗したという困ったような笑みを浮かべる。
それと同時に、フェイトの拘束魔法をバキンと排除し、さらに高速治癒魔法をかける。
「や、やめてよ、母さんっ! かけるなら、母さんの方でしょう! 血が、血が……」
「ああ、無駄よ、致命傷だから。魔法をかけても再生が追いつかないわ」
どうせ長くはない身体だしね。
手をフェイトの頬にやさしくあてて、なでる。
「生きなさい、フェイト。なにがあっても、生きてさえ……いれば」
きっといいことがあるわ。
そう言いながら、崩れ落ちていくプレシア。
「母さん……?」
「やめろよ、魔法も使えないモノが僕にかなうわけがないだろう?」
「管理局――っ!」
顔を踏みつけられながら、殺気を込めて睨み返す。
「ああ、人形なのに感情があるんだ。なかなか興味深いね」
「わたしは人間だっ!」
「何を言っているんだ? 人間というのは親から生まれてくるものだ」
クロノの言葉がフェイトをうちのめす。
そうだ、わたしは母さんから生まれた訳じゃない、作られたんだ……。
「まぁ、いい。駒はいくらあっても困らない。たっぷりと働いてもらうとしよう。高町くんもキミにご執心のようだしね」
動けないフェイトの頭を踏みつけながら黒衣の少年はつぶやくが、彼女の耳には届いていない。
あまりにも悲劇が起こりすぎていた。十歳にも満たない少女には過酷すぎる悲劇が。
(母さん……、バル……アルフ……ごめんね。わたし、もうダメだ……)
黒い魔法少女の意識は、闇に閉ざされた。
-----------------------------------------------------------------------------------------------
あくまで予告であり、本編は改変される可能性があります。