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No.36856の一覧
[0] 霧雨魔理沙の手記~過ぎた力は及ばざるが如く[クラララ](2013/03/02 14:33)
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[36856] 霧雨魔理沙の手記~過ぎた力は及ばざるが如く
Name: クラララ◆94f6194f ID:409a627f
Date: 2013/03/02 14:33
ハーメルンにも投降するかもしれません。一応キリスト教関連が出てきますが、ホラー系の惨殺物です。



私の名前は、霧雨魔理沙。魔法という力に憧れ、求め、そしてその力によって滅びようとしている哀れな女だ。人は本来持たざるべき力を求めようとするべきではなかったのかもしれない、数々の幻想郷を襲う異変に関わってきたが人のみには触れてはならない過ぎた力の領域というものがあるのだろう。
これは、私の死の物語だ。誰でもいいからこれを読んだものは、全ての元凶たるあの本を処分してもらいたい。
燃やすのでも、地面に埋めるのでも、どんな手段でも構わない。あの本だけはなくなるべきなのだ、私のような犠牲者を出さないためにも。
そして博麗霊夢にできるなら伝えてほしい。あなたと過ごせて楽しかったと。

私があの本を手に入れたのは、私のもはや隔絶した中となっている親に経営を学びに来た関係で幼馴染となった男の雑貨屋であった。そこには、幻想郷に外の世界から流れ着いたものも売られており、冷やかしに行ってみたところ私は外の世界から流れてきたと思しきある本に目を引き付けられてしまった。
それは、いかにも重厚なたたずまいをした革表紙の本であった。見た目は古ぼけた感じであり、その本が普通の本ならば私は素通りしていたであろう。
しかし、どうしても目を背けられなかった。というのもその本から実際にはないはずの、異様で不気味でありながらそれでいて神秘的な色とりどりの光によって装飾されているように私には見えたからだ。

幼馴染が心配して声をかけてくるまでに、私は光に誘われる蛾のように引き付けられ呆然自失としていたらしい。我に戻った私は、訝しむ幼馴染になんでもないと言い訳をしながら早速その本を購入してみることにした。
私のライフワークたる魔法と関連があるように思えたからだ。やはり思った通り、あの魔性の光は私にしか見えなかったらしく幼馴染は安値でその本を売ってくれた。
ああ、この本を買わなければと後で死ぬほど後悔するとも知らずに私はその本を手に入れてこの時嬉々としていたのだ。
家に帰った私は、その本を読んでみることにした。思った通り、それは魔法のテキストでありそれそのものが一種の兵器といっても過言ではない魔導書であった。

独学とはいえ、私は魔法を学んでおり幻想郷に住む大半のものが読めないだろうその本の内容を理解することができた。タイトルと作者名こそ分からなかったが、それを記すのに使われていたラテン語を読んでみる限り、この本を作り出したのは一流の魔法使いと一目でわかるほど素晴らしい内容だった。
そしてその人物はこれまた邪悪であったに違いない。そこに書かれているのは、人身御供をささげることを初め生きた人間のはらわたを何日にもわたって徐々に殺さないよう注意しながら抉り取り47日目に殺すといったおぞましい儀式行為や術式が丹念に図入りで記されていた。
おぞましさに目を背け、幻想郷に住んでいる分にはまず見ることのない人の狂気といったものを思い知らされたような気がしたが、私は目を離せなかった。

残忍ではあったが、独創的かつ強力な術式に目を見張ったのだ。これを作ったのは、一流の魔法使いで私の自慢である攻撃術式など鼻にもかけないような壮絶な力を持つ天才であるに相違なかった。
邪悪とはいえ、天才は天才だ。天才の作りし術式を目にし、この本を作った人物に比べれば凡庸な人間でしかない存在である私は、この人物の術式の少しでも再現してみたいと思い、然る後に実行してみた。
所詮、私も力におぼれた愚かな人間だったのだろう。力はすべてではないと今は分かる。いや後悔しても始まりはしない、何処まで行ってもこの運命を作り出したのは私で呪うべきなのは私なのだから。

流石に残忍な人身御供をささげるといった儀式行為は行えないので、私はその中でも少しでも人に迷惑をかけないような儀式を行ってみることにしてみた。
それは、所謂悪魔召還の儀式だった。その結果は、私に最悪をもたらした。
おそらくこの本を書いた人物は、それを使役できるだけの力を備えた人物だったのだろう。あるいは、あえて名前を書かないことによって後世この本に引き付けられた力なき魔法使いが、自分の儀式を追い求め生半可な力の持ち主では失敗するだろう術式を簡単そうに組み込むことで、嘲笑おうとしたのだろうか。
いずれにせよいい趣味の持ち主でないのは確かだ。そうそれは、私にも再現できる簡単な術式として書かれていたと誤認したのが間違いだった。

召還自体は、容易だった。しかし、召還した相手を使役するのに並々ならぬ力を要するのだ。召還した相手への造反を許してしまうほどに。
召還陣たるペンタクルの中にあらわれたのは、一人の男だった。女性ならば誰もが目を奪われこの男になら人生をささげても構わないと思う美貌の持ち主でありながら、危険や退廃、そういったあらゆる悪徳といったものの匂いをはこびらせその身に凝縮したような男だった。
どこからどう見ても普通の男であり、悪魔と思わせるところはなかった。唯一の違いと言えば、裸で現れたことだろう。
しかし、その男を見た瞬間私は殺されてしまうと直感した。それも思う限りの残忍な様によって。
本来はスペルカードなりなんなりを使って反撃すべきなのだろうが、そのような考えの一切も抱くことなく体は硬直し、ただまるでギリシャ神話のメドゥサに見られ石になったかのようにその場に立ち尽くすしかなかった。
元より、反撃したところで傷一つつけることもできなかっただろう。

信仰によって力の決まる神、中でも現在神の力が衰えていく外の世界で厳然たる力を備える世界三大宗教の一角キリスト教に記されし化け物。
かつて神に最も愛されその右隣に鎮座し大天使長にまで登りつめた圧倒的な力の持ち主。
それでありながら反逆を引き起こしたがために全てを奪われ、堕天使と呼ばれ悪魔に身をやつした男。
七つの大罪のうち『傲慢』をつかさどりし悪魔。
神の子イエスの予言によって神と悪魔の大決戦たる黙示録を引き起こすとされし悪魔の王。
私が召喚したのは、悪魔を束ねし存在魔王サタン。すなわち堕天使ルシファーなのだ。

この本を作った著者ならば制御できたのかもしれない。あるいは、そうでなくとももっと強力な魔法使いであるならばだ。しかし、未熟な私ではルシファーを制御することなどできようはずもない。
最もルシファーといっても召喚されたため、最低限度の行動は抑制され幻想郷に迷惑をかけることはないはずだ。私という召還主を殺す以外には。

ルシファーという名の化け物は、私を殺す間に弄ぼうとしたのだろう。別にお前などいつでも殺せるといった風情で、男女の交わりを強要してきた。
普通であるならば、言っておくが私はそういった方面は未経験者であり人里では男たちの間で流布しているという春画本のように強姦されてうれしい女など本来はいまい。
その交合は違った。屈辱こそ感じど、不思議と私は高揚を交わりの間に感じていた。悪魔という超常の力の持ち主だからなせるわざなのだろう。
配下に色欲の悪魔を従え、リリス―アダムとイヴのうつイヴよりも最初に作られし正真正銘の人類初の女でありながら女性優位の騎乗位を拒んだアダムを捨てた女
を妻にしているだけはあるだろう。

最後にルシファーは微笑みながらこう告げた。それは、私の死期を確定することになる言葉だった。
「そうだなお前を殺してやろう、分不相応にもその程度の力でこの俺を召喚した罪は重いぞ。7日だ、7日後に殺してやろう。その時は、どのような手段をとろうとこの幻想郷という狭き箱庭のどこに逃げ込もうと、そこに逃げ込んでこそこそと力を発揮するしか能のない低級な化け物どもや神の力を頼ろうと無駄なことだ。
精々、恐怖に狂う顔を楽しまもせてもらおうとしようか。」

そういうと彼は、消え去った。絶頂時の恐怖を味会いながらも余韻に浸り満足に働かない頭でも消え去ったわけでないことは分かっている。
ただ姿を見えなくなっただけだ。姿を隠しもう地獄に帰ったのだと思わせておき、生の希望にすがりつく私の無様な姿を干渉しようというのだろう。
その時から、私は視線を背後に感じている。振り返っても誰もいるわけではないが、見られているのだ。
何処とも知れない視線。その主は、当然知れているルシファーだ。
そして今、この手紙を書き終えようとしている今はっきりと最後にあの傲岸不遜な視線を―― 


その手記は、のちに発見された際におびただしい血に覆われていたという。しかし、それほどの出血量を誇っていながら肉片の一片たりとも残っていなかったという奇妙な様相を殺害現場は呈していたという。
霧雨魔理沙。彼女がどうなったのかは誰も知らない。



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