手のひらに転がされた
色とりどりの
星の力のかたまり
三色の輝きは光を照り返す
「パパ?」
「これをお前にあげよう。家に帰ったら“それ用”のブレスレットをあげるから、いつも身に着けていなさい」
眠気まなこで目をごしごしとこすっても、手のひらに乗せられた小さなビー球の存在は変わらない。
これって。
マテリア?
あの後、ティーセットを抱えて入ってきたひょろ長いお兄さんをスカーレットは蹴り飛ばし。
「またね、ナナちゃん」と投げキッスを送りつつ去っていった。あんなポーズが似合うなんて、羨まs…。スカーレット、恐ろしい子…!
あとなんか、けられたお兄さんがすごいうれしそうだったのが気がかりです。
アレか、Mか。Mですか。Mなんですね。(性癖にマッチした)いい職場でよかったね! おもわずやたらいい笑顔浮かんじゃうよ?
Song dedicated to you
FF7:名無しのNANA- マテリア四粒こんにちは
「パクッ…あむあむ」
「ナナァああああああああ!?」
ごめんねパパ。ナナ素で寝ぼけてたの。飴じゃないのわかってたのに口にいれちゃった。ごめんねパパ。あと驚いた顔面白いねパパ。
ぐぅ。
さて!早朝の4時に目が覚めたナナちゃんです!あとそういえば中の人の年齢公表してなかったような気がするので言っとくよ!
ねんれい:23さい
しょくぎょう:もうすぐみんえいかになるこうきょうじぎょうのこうむいん。定形外は120円から!
さてさてさて、そして朝っぱらから部屋の中をうろちょろしてる私なのでありますが、手に握り締めたハンカチ巾着の中にはマテリアが。
うん、やっぱり四粒。「かいふく」「いかずち」の魔法マテリアと「HPアップ」の独立マテリアに「なげる」のコマンド。
緑二つに赤と黄色一つ。…初期の信号機かyp!
そして新発見、マテリアって触ってると中身がなんだかわかるのね。回復はなんだか触ってて気持ちがいいし、いかずちはなんだか雰囲気が
ぴりぴりする。HPアップは「うぶるるるぁぁあー!みなぎるぅぁぁあああ!」って感じだ。ちょっとだけね。
なげるは…なんか、tossって内部に薄っすら浮かんでるんだけど。なげるでいいのかn…表記が日本語に変化したァァァ!!!?
すごいよマテリア、マテリアすごいよ。もう突っ込みどころがわからないくらいすごいよ。
二度寝していいですか。現実逃避したい。夢が壊れました。(あのね、実はこうね?心に使い方が浮かび上がってくるとかそういうファンタジーを
とっても夢見てたわけで)
そんなこんなで、ナナちゃんの日常はまた始まるわけでございます。
「用意はいいか?ナナ」
「おっけーなの!パパ!」
びしっと陸軍系敬礼をしたら目じりが下がるパパ。威厳ないよ。
「ゴホン…さて、昨日渡したマテリアだが…持っているね?」
そう言われ、ポケットからゴソゴソとハンカチ巾着を取り出し、掲げてみせる。
「ちゃんと持ってるよ」
「よろしい」
鷹揚に頷いたパパは、まず茎が折れ、萎れきった花の鉢植えを指差した。わざわざ売り物にならないものをもらってきたそうだ。
「この花にケアルをかけて元気にしてあげるのが、今日午前中のクリアすべき事項だ」
「はい!パパ!」
部屋の中では、家政婦さんが「しょうがないわねぇ」といった苦笑いを浮かべてお掃除をしている。
今居る場所はマンションにしては大きなベランダの一角、人工芝が植えられた一部。
つか、マテリア訓練ってどれだけブルジョアなんだよ。ナメてたね、大佐クラス。
そんなことを考えていると、冷たい金属のリングを手のひらに載せられた。きょとんと見つめると、私の腕を覆うようなリストバンドのような太さの
腕輪、いくつか半円に近い深さの穴が開いていて、マテリアをここにぶち込む仕様らしい。
「まずマテリアを装備、…あー、その穴にマテリアを入れなさい」
言われたとおりにマテリアをぐいぐいと穴に押し付けると、意外とすんなり穴に収まる。ぶんぶん腕輪を振っても取れない。やるな腕輪。
振り回したその腕輪を半分に分割するように割ると、丸いダブリュー(W)のようになった。ふむふむ、腕に通すんじゃなくて、腕にハメる形なのね。
腕に当て、パチンと音をさせ、嵌めてから腕を振ってみる。うん、外れない外れない。そしてパパを見上げると、再び頷いて私の後ろに回った。
「いいかナナ。まず意識。まあ簡単に言うと心だ。心をこの「かいふく」のマテリアに向けるんだ」
「うん…じゃない。はい」
人にモノを教えてもらうときは出来るだけ真面目にしてよう。しかしやっぱりパパの説明は三歳児には難しすぎるヨ。
ほら、家政婦さんがわざわざメモとってくれてるよ。ありがたいね…でも家政婦さん、手から掃除機が離れて掃除機があばれて あああああ!
「ナナ、ちゃんと話を聞きなさい」
無理、無理だよパパ。掃除機が花瓶に!見た目からしてバカラの花瓶的高級感あふれる花瓶に!ああああああああ!!あ、家政婦さん気づいた。
花瓶に生けられたお花さんの運命はまだ天が味方していたようです。大急ぎで掃除を仕上げてくれた家政婦さんも一緒になって、私の訓練に参加
してくれるようです。書記として
「マテリアに心を近づける、意識をそばに置くんだ」
「いしきをしゅーちゅう。こころをマテリアにちかづけて…」
「そうだ、筋がいいぞ。そして対象をターゲットするんだ、ターゲットを揺らがすな。暴発の原因になる」
「あいてをたーげっと。さだめる」
「そして放つ」
「けある!」
ポシン。という軽い空気の破裂音が鉢植えの一部から聞こえた。
近づいて見ると、一枚の葉っぱだけがやけにツヤツヤしている。…これは…。
「成功だ!ナナ!」
よくやったぞーぅ!と脇から抱き上げられグルグル回される。ちょ、恥ずかしい!でも純粋にうれしいよ!?魔法使えちゃった、使えちゃったー!!!
「やったー!パパ!ナナいいこ?ナナいいこ?」
「いい子だぞーぅ!」
「パパ下ろして~、ナナもっとがんばる!」
アレだね、数学とかも最初つまずくとそこから動かないっていうけど、最初つまずかないでいくととっても面白いってよく言うよね?
同じだ、すごいうれしい。もっとやりたい。うまくなりたい。うう、単純だなぁ自分。でも嬉しい~!
「…精神にいいお昼ご飯ってなにかしら…、ウータイ地方のショウジンリョウリとかいうやつかしら…?」
家政婦さん、今気づいたけど。あなたちょっぴりズレてるのね、いつものご飯でいいですよ。
・
・
・
「ケアル!」
「ウム、いいぞ」
小さな破裂音もすることも、幾度も詠唱を繰り返す内になくなり、しゃらしゃらと空気が涼やかに震える音のみになっていく。
幾度か無性に心がへこみ、ぐったりしてしまったけど、きっとあれが俗に言う「MP切れ」なんだとおもう。謎の飲み物もらったら元気になったし。
…FF7エーテルってすげぇ高かったような気がするけど…やっぱり神羅勤務割引とか箱買い割引とかあるのかな…。
そして数時間が経過した。
「ケアルぅ」
きらきらと光の粒が植木鉢を覆い、ピンシャンと背筋を伸ばした鉢植えが現れる。随分上達したみたい。
ふいに空を見上げると、もうお日様は頭の天辺。朝の青白い日差しはもう無くなって、真っ白な明るい光が私たちを照らしていた。
「さすが我が義娘。筋がいいな、しかし…」
「お花さんに効いてるくらいだから…擦り傷くらいしか治せないね」
顎に手を当てて考え込むパパの横で、お日様のまぶしさに目を細めながら見上げた。
「そうだなぁ…さすがにこれ以上の上達はまだお前には早いだろう」
精神力の器が足りないだろう、まだ三歳だしな。と大きな手が私の頭をワシワシとなでてくる。
「三歳で魔法が使える時点で、とってもすごいと思うんですけどねぇ。しかも連続で」
「ふぇ?」
そうなの!?
「そうなのか?」
「そうですよ」
「うちの新年仕官兵並みなんだがなぁ」
「大人と子供比べてる時点で違いますよ」
「ナナよくわかんない」
…中の人がトシとってるからかなぁ。
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後書き: こんにちはMですyp。
イソガシス