セフィロスコピーって、元々はニンゲンなんでしょう?
モンスターの一部は、元々ニンゲンなんでしょう?
でもごめんなさいね、私に攻撃するものはぜんぶ。 敵だから。
【それって死ねってことッスよね】
Song dedicated to you
FF7:名無しのNANA- 「成れの果て」 ナレノハテ
「見つかっちゃった☆」
【おま、「奪っちゃった☆」みたいに可愛くいっても相手は手加減してくんねーぞ!?】
「わかってるわよぅ」
「なにを、ばなじているのガ…な?」
あらすじ
セフィロスコピーおっかけてたらアヤシイ行動してたので、眺めてたらジェノバが\(^o^)/タスケテーって言ってるのにビックリして声出したら
見つかっちゃったんだZE
専門の医者が、目の前のセフィロスを見たら一言で「思考能力欠如」と口走りそうな、揺れるまなざし。熔けた体、なまじ全てが良かった美丈夫の
成れの果ては何よりも壮絶な不快感をかき立てる。
ジェノバ細胞とライフストリームのなせる技か、身につけた装備品も「コピー」だったらしく、刃こぼれし始めた正宗を、セフィロスコピーがゆっくりと持ち上げた。
【ナナ!逃げろ!】
「ムリ!」
振り上げられた正宗が、振り下ろされる。
端から見ていれば、どうしてあんなゆっくりな動きなのだろうか、とも思えるその速度。だが決してそれは遅いワケではない。遅く、見えているだけの、
恐ろしい斬戟。
タダの子供、タダの人ならば、脳漿を垂らして縦に二つ別れにされそうなその一撃。しかしナナはタダの子供ではない。
すい、と体を捻り、バレエの決めのように回転して見せた。
「逃げれはしないけど、避けるわよ」
「ほう…」
「…私の知ってる名言に『当たらなければどうということはない』っていう言葉があるの。戦闘って、そういうこと、よね?」
セフィロス、さん?
呼びかけと同時に、ナナがその小さな足で、屋上のコンクリにクラックをいれて沈み込んだ正宗コピーを片足で踏み付けた。その行動に眉をぴくりと(そして
その動きのおかげで、また顔から肉が熔け落ちた)跳ね上げたセフィロスは、再び片手で正宗を持ち上げる。
その勢いを利用し、ナナは足のバネを思いっきり使い、路地の隙間へと体を踊らせた。ぱっと見ても落下すれば即死レベルの高さを持ったビル、その行動に
セフィロスコピーは感心したような声を上げる。
「クエッ!!」
ナナの後を追い、ハニーも路地へと飛び降りる。むしろ、壁に取り付けてあるサッシをしっかりと蹄で掴み、地面へと向かって壁を走り降りていく。
柔らかい音を立て、その背中にナナを受け止めると、ハニーはそっとナナを下ろした。
「ありがと、ハニー」
【…ヤんだろ?】
「もち☆ だって…」
二人を追い、ふわりと地表へと降り立つセフィロスコピーの成れの果て。すでに顔の大部分はそげ落ち、瞳だけがらんらんと輝いている。
ナナは首の後ろに右手を差し込み、さらりと髪を書き上げ、L字型にした親指と人差し指で、こめかみから後頭部へと乱れた髪をなでつけた。
左手でスカートの後ろをはたき、探った。
「私、あれに勝てそうだもの」
限りなく不敵な笑顔が、ナナの表情を彩った。
「グォア オラウラ グブ デォデォ オディオギ が グ ひヅおおあ デ」(おや、 おやおや 少々 お仕置きが 必要だね)
「なんて言ってるのか分かんないわよ。ミジンコからやり直してちょうだい?私人外の言葉は基本会得してませんの。ごめんあそばせ」
言うが早いか、軽やかなステップでナナはセフィロスコピーの成れの果て…いや、すでにセフィロスの面影をほとんど無くした「ナレノハテ」への
懐へと潜り込む。
「ッは!」
ステップと、回転による遠心力。いつの間にかナナの左手に握られていたブラックジャックが、ナレノハテの横っ面をしたたかに打ち付けた。
「グガッ!?」
「ちぇいっ!」
本来の利き手、右手へとブラックジャックを持ち替え、ナウシカの虫笛の如く前回転させ、ぶれる顎へと再びブラックジャックをたたき込む。
瞳が揺れ、ナレノハテはぴたりと攻撃された姿勢のまま動きを止めた。ぐるりと目玉がナナをとらえる。ガクガクとその体は震え、醜い声が熔け落ち始めた
喉を揺らした。
「ガァッ! …グ、ガ… が ァア あああああああああああああっ!」
「ハイティーンにも満たない子供の攻撃に逆上するなんて、コピーであっても、英雄のなさることじゃなくてよ!」
細い路地の中、器用に下段から正宗を振り上げるナレノハテ。
ジャンプしても、避けきれない。避けたとしても、すぐに返されて打ち据えられるだろう。
その攻撃にも、ナナは微笑みを浮かべて見せた。
「ジャンプがダメなら、壁を登ればいいじゃない」
ふわり。とスカートを翻すナナ。その太ももには、可愛らしくクリームピンクに塗られた、ミニリボルバーが二丁収まっていた。それを即座に両手に納め、
スカートの中にブラックジャックをしまい込む。そして、まるでおもちゃのような音を立てて二発リボルバーを打ち込む。
ナレノハテの右横に着弾した二発の弾丸。その弾道にナレノハテは筋肉で笑って見せた。
「ドゴぼ ぶっででぃるど がな゛?」(どこを撃っているのかな?)
「貴方じゃないことは確か」
振り上げられた初戟を避け、その振り下ろしに入る直前、ナナはナレノハテの右横へと移動し、ナレノハテが振り上げた腕よりも奥へと“壁を登っていった”。
「がっ!?」(なっ!?)
ナレノハテが正宗を振り上げきったその手元よりも奥。降り下げへと向かう力によって手首は返せず、彼女へと向けることが出来ない。
彼女が踏みしめたモノはもちろん壁ではない。壁から生えた、2カ所の「氷の柱」だった。
まず一段目へと飛び乗り、二段目へと飛び乗る。壁に取り付けられた「単なる氷の階段」がそこにはあった。
「さようなら、ナレノハテ」
瞼すら熔け落とした目玉が見上げたのは、二つの銃口から放たれる水の弾。ファンシーに見えるその愛らしい弾は、驚異的な衝撃力で
ナレノハテを撃ち据える。
「クエエエエッ!!」
今まで空気と化していたハニーが猛然と突進し、ナレノハテの背中を蹴り上げ、その臓物を宙へと跳ね上げた。
「はらわたを、ブチ撒けろッ!」
少女の声が、愉快そうに路地に響く。
すでにぶちまけられているよ。
ナレノハテは懐かしい声を聞いた気がした。
ああ、このこえは。
「俺の声じゃないか」
かすむ視界、少女を通り越して、路地の隙間から見える夕焼け色の空を見る。
「かえりたいな」
ミッドガルにいる両親は健康に過ごしてるだろうか?無理を言って神羅のソルジャーになったけれど、心配していなければいい。
そうだ、ミッションが終わったら、彼女にプロポーズするんだった、まっていてくれているかな それと あれも そして 。
宙へとぶちまけられた臓物のうち、目立って「ニンゲンの色」ではない心臓を、ナナは抵抗もなく受け止めた。しっかりと他の内臓は避けている。
「…小母様の記憶が聞こえる…。これ、小母様のかけらだ…。じゃあ、さっき「移っていった」ものって…」
すでに、どこぞへと消えてしまった黒マントを視線で探すが、二人の視界にはすでに居ない。たぶんコスタへと移動しはじめているのだろう。
新しい「セフィロスコピー」として。
【十中八九、セフィロスコピーであるためのコアの部分。そしてジェノバさん、だろうな…】
「そうだね…でも、心臓なんてどうやって持ち歩けば…おおっ?」
掌でもてあました心臓を転がすと、心臓はどんどん細く捻れていき、細い茎と儚い花弁をいくつも湛え、フンワリと膨らんだ、薄紫色の「一本の花」
へと変わっていった。
「綺麗…でも、原作でもジェノバのかけらはそのまま「腕」だかだったのに…何で花?」
【…アレだろ、お前にもらったのが随分嬉しかったんだろうよ】
「…………」
欠けたシリンダーに生けたコスモスの花。それを思い出し、ナナは優しく花を握る。
ふと、視線を下ろすと、人であったとは思えないほどに崩れた「なにか」が路地の地面をぬらしている。余りにもヒトとはかけ離れた対象だった故か、
ナナには「かつてヒトであったもの」を殺した罪悪感が芽生えなかった。
「きもちわる…小母様?」
手の中の花が、一枚だけ「ナレノハテ」へとこぼれ落ちた。花弁が触れた瞬間、薄桃紫色の波紋が広がり、ナレノハテの体はゼリーが熔けるように
とろとろとその体を地面へと溶かしていった。
「…ごめん」
全てが消え去って初めて、ナナは静かに「かつてひとであったもの」へと言葉をこぼした。
2時間後、事後報告をしたらザックスとヴィンセント。あとこっちに向かってる小父様と小母様にゲッチョゲチョに叱られた。
「「「「なんで後先考えずに行動するの!!!!」」」」
サーセン。
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あとがき:
感想見てたらモチベあがったw
というかガンガン書き進めちゃったので、日本語おかしいところはカンベンな!