泣いた。
泣き喚いた。
見知らぬ風景だったからでわない。
おそらく、自分は失敗したのだと、、そう結論づけたからだ。
人の命を背負って戦ってきた今までが、跡形も無く消え去った。
溢れる涙を袖で拭き、垂れる鼻水
を啜り、歓喜の声をあげる人々の横を抜け、一人、路地裏で泣き叫んだ。
「うっ、、わ、私、ダメだった、、。ダメだったよぉ、、、。ゴメン、、。ごめんなさい。」
ギュッと両膝を抱き、今はもう居ない者へ、ただひたすら謝り続ける。
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かの地での戦いは、別ればかりを生んだ。
友との死別、裏切り。
あのチェインメイルの男は言っていた。 不死のままでいればいいものを、、と。
その通り、、だったのかもしれない。
彼女の心は長年薄れていた、、ヒトとしての感情を取り戻していた。
だからこそ、失うものは大きかった。
ひとしきり泣き喚くと、虚無感だけがその場に残った。
滲んだ視界から見えたのは、目の前に立つ一人の女性だった。
「ねぇ、、。まだ、まだ、諦めちゃダメだよ。きっと、助かる方法はあるよ!」
言うだけ言うと、その女性は立ち去って行った。
ボヤけてはっきりしなかったが、彼女は、、
栗色の綺麗な髪の女性だった。
「諦めちゃダメ、、か。」
手のひらを空にかざし、深呼吸をすると、不思議と吹っ切る事が出来た。
「あの者には礼を言わなければならないな。、、私も弱くなったな。昔は、こんな事、無かったのに。」
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一人の女性が広場から走ってきた。
軽い気持ちで兄から借りたゲームが、こんな事になるなどと、誰が想像出来ただろうか。
死、というのが身近に感じる。
路地裏に隠れ、一人で泣こうとしていた。
しかし、すでに其処には人がいた。
自分が考えていたように、泣いていた。
涙を流し、嗚咽をもらし、目を擦り、鼻を啜り、うずくまりながら、その人は泣いていた。
気付くと、声をかけていた。
励ましていた。
人を助けたという自己満足が、自身を支配していた悲しみを、何処かにやってしまったようだ。
互いに、互いを助けたという事を気づかせぬままに、出会いは終わった。
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そこからのこの世界は酷いものだった。
石碑に刻まれた名前は、時が経つほど消え去り、人々の心には、不安が溜まりに溜まっていった。
「(祈りなど、、通じぬのか?神よ。)、、自らが動かねば、、。見ていてくれ、死に逝った者たちよ。私は必ず、、死に逝く者たちを救って見せる。」
石碑に手を当て、そう言うと鎧を着込み、町を出た。