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No.36467の一覧
[0] 星の光を朱に染めて【短編】[サースデイ](2013/01/10 15:40)
[1] 金色の雷光は星の問い掛けに悩む[サースデイ](2013/01/24 14:20)
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[36467] 星の光を朱に染めて【短編】
Name: サースデイ◆1a6257ba ID:019e47d9 次を表示する
Date: 2013/01/10 15:40
はじめまして。SSを初投稿させていただく者です。
至らない点もあると思いますが、よろしくお願いします。

※なのは×ティアナの捏造百合です。

※時系列が飛んでて分かり辛い可能性大。

※キャラ崩壊気味です。

それでも構わないと言う方はどうぞ。







「ティアナ・ランスターです。よろしくお願いします」

 一目惚れって本当にあったんだ、とあの時は思った。
 夢をまっすぐに見据えた、凛とした瞳にわたしは気がついたら心を奪われていた……。

 でも、抱いた想いを伝えるには、わたしとティアナの間にある壁は高すぎた。
 だったらせめて、今の関係の中でわたしにできる事をしてあげたい。

「センターガードは広い視野が大事なんだよ」

 わたしを信じてがんばってくれる。
 日に日に腕を上げていくのを見てとれるのが、とても嬉しかった。
 なのに……。

「おかしいな……。どうしちゃったのかな……」

 だからこそ、わかってくれない事がこんなにも辛い。
 わたしが教えた事って、その程度だったの?

「少し、頭冷やそうか?」

 お願いだからわかって。
 本当の強さって自分や友達の命を危険にさらす事じゃないんだって。

「なのはちゃん。今日はもうええよ、スクランブルがかからない限り待機。
 それから、ここんとこ定期検診に来とらんってシャマルがぼやいとったで?
 と言うわけで、今から高町一等空尉に医務室での再検査を命じます。
 待機していろとは言ったけど、それをどこでなんてわたしはしらん」

 後から作成した模擬戦の報告書は、自分でもわかるぐらい記述のミスが多すぎた。
 撃ち落としたあの時、わたしの心は理解してもらえなかったことばかりが渦巻いていた。
 これじゃまるで駄々っ子の理屈だ。
 心ここにあらずな理由まで看破されてしまって、わたしはぐうの音も出なかった。

 検査が終わって、日が暮れてもティアナは目を覚まさない。
 兄さん、兄さんって時折うわごとのようにつぶやいている。
 その声があまりにか細く弱々しい。
 わたしはティアナが浮かべている涙を指ですくいとって、ベッドからはみ出した手をにぎってあげる。
 そうすると寝息は落ち付いて、冷たい手を握り返してくれた。

「……ん? なのは、さん?」

 もう、夜も更け始めたころ、ティアナはやっと目を覚ました。

「どうしたんですか? 確か私、模擬戦で……」
「ティアナっ!」
「えっ? ちょっ! なのはさん!?」

 周りの事なんて忘れて、わたしはティアナに抱きついていた。

「よかった……。目を覚まさなかったら、どうしようって思ったよ」
「なのはさん、痛いです……」

 わたしは慌てて手を離して、椅子に座り直した。
 ティアナが目を覚ましたのに、かける言葉が見つからなくて、ひたすら病室は静かだ。

「夢を見ていました……。兄さんが、まだ生きていたころの……」

 それを聞いて、今になってわかってしまった。
 ティアナにとって体の傷よりも、心の傷の方が大きいんだって事を。
 わたしには、大きな傷を負ってもそばにいてくれる人がいた。
 でも、ティアナにはいない……。弱さを受け入れてくれる人が……。

 フォワードの子たちの中でも利発で、みんなをまとめるのは誰よりも適任。
 でも、その適性は最初から持っていたわけじゃない。
 ずっと独りきりだったから、そうならざるを得なかっただけなんだ。

 付き合いの長いスバルでさえ、きっとそれには気づいてないんだと思う。
 わたしは、気づかなければいけなかったんだ……。

「一つ、わかった事があります。私には執務官の適性がなかったんですね?」

 わたしの顔を見るや、ティアナはとんでもない事を口に出した。

「失敗して仲間を巻き込んで、どんなに鍛えてもなのはさんに届かなくて……。
 わたしの夢は夢のままで終わるんだってことを、伝えてくれたんですよね?」

 ティアナ、泣いてる……。
 違う。わたしはそんな事を言いたいんじゃない。
 お願いだから、そんなこと言わないで、自分を否定しないで……

「私は結局、もういない兄さんの影に、ただすがっていただけなんです。
 それに、なのはさん達のいるような高みには一生届かない事を、身をもって理解できました」

 どうして、こうなってしまうの?
 気付いたところで遅すぎたって言うの?

「私……機動六課を辞めます。もう、ここにいる理由は……」
「行かないでっ!」

 わたしは思わず叫んでいた。

「わたし、ティアナに夢を叶えて欲しかったのに、ティアナのこと全然考えてなかった。
 今の今まで、ずっと何も分かってなかった。わたしこそ教導官失格だよ……。
 だから、一緒にやり直したいの。ティアナのこと、好きだから……」

 みっともなくてもいい、幻滅されてもいい、もう伝えずにはいられない。
 違いすぎる立場も、同じ女の子だってことも、わたしにとって二の次だ。

「なのはさん……」
「ごめんね。こんな時に話しても、困らせるだけだってわかってるのに」

 わたしってズルい女だ。
 ティアナにここにいて欲しい。そんな簡単なこともこんな風にしか言えない。

「もう、待機に戻るから。ティアナはゆっくり休んで……」

 席を立とうとしたわたしの袖を、ティアナは指先でつまんだ。

「行かないで……」

 小さくティアナはつぶやいた。よく見たら手も体も震えている。

「独りに……しないで……」
「わたしで、いいの?」

 恐る恐る聞き返すと、ティアナは小さくうなずいた。
 わたしは、冷たくなったティアナをまた抱きしめた。

 腕の中におさまった細い肩は、ガラス細工のように儚い。
 わたしだけを見つめる瞳に理性を奪われてしまいそう。

「なのはさん。私を好きって言うのは、やっぱり……」
「うん……。考えてる意味で間違いないと思う」

 ティアナは複雑な表情を浮かべる。やっぱり、普通に考えれば気持ち悪いよね。
 受け入れてもらえなくても、ティアナの笑顔が見られれば、それでいいと思ってる。

「どうして私なんですか?」
「えっ?」

 少し意外な質問に、わたしはポカンとした。

「どう考えても、私がなのはさんと釣り合うとは思えません。
 雲の上を優雅に飛ぶあなたが、地べたを這いずってる私なんかの所へ降りてくるはずない」

 そんな風に感じていたの? ティアナにだって、きっと翼はあるはずなのに。

「初めて会った時にね。瞳がすごく綺麗だと思ったんだ。
 声を聞くたびにドキドキして、ティアナのことを考えるだけで体中が熱くなって。
 ティアナって頭の回転早いし理屈っぽく考えるから、納得できないかもしれない。
 でも、こうとしか言えないの。気がついたら好きになってたんだって」

 だから、わたしは並んで一緒に空を見渡したい。
 その為の翼はもう持っていることを教えてあげたい。
 もしもまだ、ティアナがわたしに幻滅していなければ……。

「ティアナの教導官でいさせて欲しいの」

 やっと言えた。本当に信頼してもらうために、最初に伝えなければいけなかったこと。

「私も……おあいこです。なのはさんの教導以前に自分さえも信じられなかった。
 こんな私に幻滅していなければ、あなたの教え子でいさせて欲しいです」

 やっと微笑んでくれたティアナはとても可愛くて、わたしは吸い寄せられるように……

 ……ちゅっ。

 唇にふれるだけのキスをしていた。
 この一瞬だけ、ただの高町なのはとして、言葉にできないティアナへの想いを伝えたくて。

「……えっ?」

 ティアナは目を白黒とさせている。
 それから頭が追いついたのか、顔が真っ赤になってわたわたとし始めた。

「もちろんだよ。好きな子のお願いを断るわけないじゃない?」

 たとえフラれたって、ティアナへの想いと決意だけは変わらない。

「それじゃあ、責任をとって下さいね?」

 気がついたら、ティアナの顔が目の前まで近づいて来ていた。

「んっ……」

 声を出す間もなく、わたしの口はティアナの唇で塞がれていた。
 一瞬の驚きが過ぎた後に感じたのは、唇から伝わる小さな震え。
 静まり返っていたのはどれくらいだろう?
 1分ぐらいだろうか? 10分以上? それとも10秒も経ってないのかな?
 だけど、そんなのどうでもよくなるくらいに、この瞬間が幸せすぎた。

「私もなのはさんのことを、好きになってもいいですよね?」

 頬を赤く染めるティアナを抱き寄せて、わたしはもちろんと囁いた。
 三度目のキスを交わそうとした時、スクランブルのサイレンが邪魔をした。

「それじゃあ、行くね。ティアナは休んでなきゃダメだよ?」

(帰ってきたら、わたしの寝室に来て)

「はっ、早く行って下さいっ!」

 それを聞いたティアナは真っ赤になって布団に入り込んでしまった。
 さすがにいきなりすぎたかな?
 出撃のためにヘリポートに向かう途中、わたしは考えていた。
 わたしも無茶なことはできない。だって、帰りを待ってくれる子の教導官なんだから。

fin....



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