「う゛う゛う゛~~~~~~!!!」
「にゃ、にゃはは…」
『翔太、どうするのさ。これ』
「どうするったって…… 見ちゃったもんはどうしようもないだろ」
ジュエルシードの封印は終わったが、万事解決とはならなかった。主にアリサの乙女心とかその辺りが。見られたことも十分ショックだが、翔太のリアクションの薄さも乙女のプライド的に納得がいかないのも大きいようだ。
女子トイレを覆っていた人払いも既に解き、今はすずか達が休んでいる競泳プールの方へ向かう道すがらである。アリサの水着もジュエルシードの封印と同時に戻ってきたので、既に歩く教会(安全ピン付き)は消えている。安全ピン付きの方は何の保護能力も持たないが、緊急退避としては一応役には立ったようだ。同じような場面に遭遇することは早々ないだろうが。
直前の出来事の所為か、アリサはなのはの背に隠れるように歩き、翔太と必要以上に距離をとっている。少し離れたところを歩く翔太は、肩に乗るユーノに対してぼやきながら時々後ろを振り返ってアリサの様子を気にしている。対するアリサは目が会うたびに顔を赤らめ、涙目で睨んだりなのはの背に隠れたりと忙しない。壁役にされているなのはも苦笑いするしかない。
アリサの態度が目立つのか、すれ違うお兄さんお姉さん方に余計な話題を提供してしまっている。翔太達の通過後に、微笑ましげに指差しながらひそひそ話をしている人が増産されていく。
『もう一度ちゃんと謝った方がいいんじゃない?』
「ん。そうする」
少なくともこのままではまともなやり取りはできない。すずかになら事情は説明できるが、ジュエルシードの事を知らない美由希やノエルに事の詳しい経緯を話すことはできないので、「何故アリサは翔太に対してこんな反応なのか?」と問われたら回答に困る。直接の原因は「裸を見たから」になるが、経緯を話せない以上、そこだけ答えると変態さんができあがるだけである。
さっきはちょっとおざなりだった気もするので、今度はちゃんと誠意をもって謝ろうと向き直る翔太。
「あの、アリサ、さっきはごめ――」
「っ! 近寄らないで!」
拒絶の言葉と共に、バシンッ!と大きな音が響く。
「っった!?」
「あ…… っ、えと、ごめ、……うぅ~~!」
翔太の頬、自分の手を交互に見て、何かを言いかけるもののまたすぐになのはの背に隠れるアリサ。
その所為でギャラリーはさらに増える。そこいらで繰り広げられるひそひそ話には修羅場、痴情のもつれといった単語が漏れ聞こえてくる。
「だ、大丈夫?翔太くん」
『また綺麗な紅葉だねぇ』
「うっさいわ!っあぃつつつ…」
アリサの頬は羞恥で、翔太の頬はビンタで赤く染まる。ある意味お揃いである。しかも翔太の方は喋り途中で叩かれたせいか、歯が口内を傷つけ口の端から血がにじんでいた。
「アリサちゃん」
「う……」
反射的とはいえ怪我をさせるのはダメだ、となのはが言外に含ませてアリサを見る。アリサ自身もさすがにやり過ぎたと思ったので謝ろうと口を――
「きゃああああああ!!」
「うわあああああ!?」
「な、なにこれぇ!?」
――開く前に悲鳴がいくつも聞こえてきた。
「なんかトラブル発生? というよりもこれは……」
「魔力の気配だよね?」
『こりゃクロウカードやな。出番やでアリサ』
「う゛~~っ!とにかく行くわよ!!」
悪いとは思っていてもやっぱりまだ恥ずかしさが消えないアリサは、翔太と顔を合わせないようにうつ向き気味に、騒ぎの発信源の方へヤケクソ気味に駆け出していった。なのはと翔太もそれに続いた。
ジュエルシードと違ってクロウカードはアリサかすずかしか封印が出来ない。だから、例え翔太と変な空気になっていても、行かないわけにはいかないのだ。逃げたとも言う。
「うぉおおお!?」
「これに掴まってください!」
「皆さん!慌てず避難してくださーい!」
魔力の発生源をたどって着いた先は、大騒動になっていた。半分パニックになってて近づきにくいので、アリサたちは近くの物陰に身を潜めた。騒ぎの場に集まった子供など、見つかったそばから安全な場所まで連行されてしまうので、人の目には注意を払う。
騒ぎの中心は波の出るプールがあった場所だ。波と言っても内海レベルの波しか起きないはずだが、今は台風時のビックウェーブもかくやというような大波が周囲を襲っている。それも段々範囲が広がっている。
その波に捕われた人を助けるために、紐付きの浮き輪を投げ入れて必死に救助をしている監視員の人達の姿が見える。その中には恭也の姿も見える。。
「なに……これ……」
「ちょっとシャレになってないぞ」
「これもクロウカードの仕業なの!?」
『間違いありませんね。これは波のカードです』
「あ、すずかちゃん、スピネル」
「ごめん、おまたせ」
目の前の光景に圧倒されているアリサのもとに、息を切らせて合流するすずか。騒ぎに乗じてノエルや美由希の目を盗んでここまで来たらしい。
「体力は大丈夫なのか?」
「うん、十分休んだから。それよりもクロウカードをなんとかしないと」
月の鍵を握りしめながら神妙な顔のすずか。少し顔色が悪い気がする。
ジュエルシード、クロウカードに関わる中で、人の命にかかわる災害レベルの騒動はこれが初めてだ。緊張するのも仕方がない。
「そうね、被害が大きくなる前に早く封印しないと」
「でもあれじゃ近づけないよ……」
単純に波の勢いが強いというのと、恭也を含む一般人の前で魔法が使えないという二重の意味で近づけない。
『でも近づかんと波は封印できんで?』
「翔太くん、人払いのルーンは使えないの?」
なのはの問いに翔太は即座に首を振る。
「あれは"なんとなく近寄らない"ように出来るだけで、確固たる意志を持って救助活動をしている恭也さん達を遠ざけることはできん」
「じゃあどうすれば……」
「……僕ならなんとかできるかも」
「ユーノ?」
翔太の肩から腕を伝って降り、若草色の魔法陣を展開させる。
「クロウカードを結界の中に閉じ込める」
「魔力は大丈夫なのか?」
ユーノはこの世界の魔力素と相性が悪く、未だ魔力が回復しきっていない。
「大丈夫。今まで皆に任せきりだったんだ。これくらいのことはできないと。……術式構築、広域結界展開!」
若草色の光が翔太たちもろとも周囲を包み込み、世界を僅かに色褪せたものに変えていく。
「僕ら以外に取り残されている人はいないみたい。成功だ」
若干辛そうな表情を浮かべつつもしっかりとした声で話す姿に、翔太たちは互いに目配せをしてユーノに負荷をかけないよう素早く封印すると頷き合った。……アリサは翔太とは目を合わせなかったけど。
「それで、この波の属性は?」
『属性は月。カードの力としては中位ですね。現状ではなかなかに難易度が高いです』
『封印するにはあの波を越えて、最奥の発生源にたどりつかんとあかん』
「え゛?あれを越えて?」
『そや、あれを越えて』
視界の先には、サーファーも裸足で逃げ出すほどに荒れ狂う波。一度足を踏み入れたら、プールどころか三途の川に一直線のような気がする。
「空を飛ぶ魔法で……ってまだ教えてなかったよね」
「空っ!?飛べるの?」
ユーノの言葉になのはが目を輝かす。勢い良すぎてユーノがひいてる。
「えっと、うん。なのはのセンスならすぐに飛べるようになるとは思うけど、今すぐはさすがに」
「そっか……」
しゅんとするなのはを横目に、なにもバカ正直に波に突っ込むことはないと気付いたアリサがぽんと手を叩く。
「その口ぶりならユーノは飛べるのよね?それならすずかをかかえて行けばいいんじゃないの?」
「自分が飛ぶ魔法と人を浮かせる魔法はまた違うんだけど、出来ないことはないかな」
じゃあその作戦で行こう、と頷き合う翔太たちに待ったが入る。
『いえ、それはお勧めできません。彼のカードは正面から波を越えてきた者しか主とは認めません。仮にそうやって辿りつけたとしても姿を消して逃げるだけです』
スピネルの解説に、思わず翔太が「うわ、めんどくせ」と呟いた。数秒考えた後、それならば、と翔太はビニールケースの中から101頁から115頁と274頁を取り出した。
「じゃあ魔女狩りの王で水を蒸発させながら近づくのは?」
『う~ん、一応正面から向きあっとることになる……か?試してみる価値はあるな』
『確かに水の魔力と相反する炎の魔力をぶつければ、弱い方がかき消されてしまうかもしれません』
ケルベロス達も一応賛成意見だったので、翔太は他のみんなの意見を聞くために視線を向ける。
「危険だよ。途中で効果が切れたら波にのまれるんじゃないかな」
「でも、あの波を泳ぐのは私でも無理だから他に方法はないと思うよ?」
「それはそうなんだけど……」
心配げな表情をを浮かべるユーノに、すずかが問いかける。
波を封印できるの月の杖だけである以上、波を払う壁役の翔太と、封印担当のすずかは一緒に行動しないといけない。すずかの身の安全は翔太に託されたともいえる。日ごろから姉達に「女の子を守れるナイトになりなさい」と言われ続けていたこともあってか、内心張り切る翔太だった。
結局他にいい案はでなかったので、翔太の案で行くことになった。すずかはすばやく月の杖を起動し、バリアジャケットを見に纏う。
「よし、行くか」
「待ちなさい。あんたは最低でもこれつけときなさい」
そう言ってどこかから拾ってきたのか腕浮き輪を差し出すアリサ。うつ向き気味で顔が赤く、そのうえ上目遣いでチラチラみながらのその行動に、翔太は内心ちょっと萌えた。
「おう、サンキュ」
「か、勘違いしないでよね!すずかにはバリアジャケットあるけど、あんたにはないんだから!精々おぼれないように気をつけなさい!」
『ツンデレ乙!』
「だからあんたはうっさいのよ!」
早々にダメな方の日本文化に染まっているケルベロスだった。
「でも本当に気をつけてね?翔太くん」
「わかってる。さて、それじゃ本格的にいきますか!『能力召喚"ステイル・マグヌス" 術式:魔女狩りの王!』」
頁を胸におしつけて、その身に炎の魔力を宿す。よどみのない声で呪文を紡ぐ。
直接魔女狩りの王のみ顕現させることも可能だが、正しく文章の中で表現された通りに順序だって召喚した方が威力はより高まる。
翔太の幻想交差の源泉は、読んだ人のイメージによるところが大きい。 "魔女狩りの王だけ出てくる"よりも、"召喚の呪文を唱えて魔女狩りの王が出てくる"方が納得できる度合いが高くなる。元々がこの世界の法則に会わない異世界の力なのだから、僅かな事でも影響は大きいのだ。
――世界を構成する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ。
それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり。
それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり。
その名は炎、その役は剣。
顕現せよ、我が身を喰らいて力と成せ――ッ!
現れ出でたるは、燃える真紅の巨人魔女狩りの王
術者である翔太、バリアジャケットに身を包んだすずかでなければ、瞬時に喉を焼かれていたであろう高温が周囲を覆う。
「いくぞ!」
「うん!」
魔女狩りの王翔太とすずかの周囲をぐるりと囲むようにを操って炎の壁と成し、目の前の波に向かって駆け出す。
――オォォォォォォ………――
声とも音ともつかない咆哮を上げる魔女狩りの王に水が触れたその瞬間から、ジュッっと瞬時に消滅していく。普通、超高温の炎に水をぶっかけたら、たちまち水蒸気が巻き上がるが、あちらの波もこちらの炎も魔力でできた存在故に、通常の物理現象とは違う結果になっている。
「波はちゃんとかき消せてるみたいだね」
「でも長くはもちそうにない。走るぞ!」
波の魔力に圧されているのか、思った以上に消耗が早い。魔女狩りの王は本来なら自動追尾の殲滅魔術なのに違った使い方をしている点で威力や維持時間の面で影響が出てくる可能性がある。
消しきれない水の圧力に押されながらも、翔太達はなんとか突き進み、早くも中ほどまで到達する。しかし、熱に耐性がある状態と言って、高温に体力をがりがりと削られていく二人。
「はっはっはっは、まだ、半分……」
「く、苦し……」
それに周囲を覆っているせいで酸素もすぐになくなる。あまり長くは持たない。
「あぶない!!」
「「えっ?」」
そんな時に、ひときわ大きいアリサの叫びが二人に届いた。だがそれと同時に、魔女狩りの王を飛び越えるほどの大波が翔太たちに降りそそいだ。魔女狩りの王自体は水をかぶってもかき消せるが、それを越えて真上から水の圧力に潰されてしまえば、術者である翔太の方が先にやられてしまう。
「うわぁああ!?」「きゃあああっ!」
どぷん、と水に飲まれる二人。
その瞬間魔女狩りの王も消滅。翔太たちは成すすべなく水の中に沈んでいく。腕浮き輪も勢いで流されてしまった。
水の中でなのはやアリサの悲鳴が聞こえても、返事をすることもできない翔太。体力の消耗、酸素不足で身体に力が入らない。このまま死んでしまうのか、そんなことが頭によぎる。
だが、その中でもすずかは諦めなかった。
渦巻く水流に流され薄まっていく意識の中で、すずかが跳のカードを取り出したのを翔太は見た。
『跳!!』
両足に跳躍力を高めるための羽が生まれると同時、翔太の手がグッと掴まれる。
(あぁ、とにかく跳んで水面から逃げるのか)
翔太は回らない頭でそう思った。だが、すずかの選択は翔太の予想を上回る。
すずかは水平方向に水中を思いっきり蹴った。
(ごががばっ!?)
『ごめん、ちょっとだけ我慢して!』
いきなりの水圧に逆に意識を覚醒されられた翔太に、すずかが念話で我慢を強いる。バリアジャケットを構成できない翔太は水圧のダメージをまともにくらっていた。
翻弄されるがまま抗議もできず(オデノカラダハ ボドボドダ!)と内心で叫び、余裕あるんだかないんだかよくわからない状態の翔太を引き連れて、すずかはそのまま水中を蹴り進む。
跳の跳躍力は波が生み出す波に負けることなく、最奥まで迫る。結果的に見れば、水中は水面よりも波の影響を受けにくかった。
すずかは最後のひと蹴りの前に翔太の手を離して一気に跳んだ。
「ぷはっ、汝のあるべき姿に戻れ!クロウカード!」
水面から勢いよく飛び出して、発生源にいた波打つ水球に月の杖を突きつけ叫ぶすずか。それは形をなくし、やがてカードへと形を変えていった。
翔太はその光景を少し離れた場所の水面から、顔を出して見つめる。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……し、死ぬかと思った」
水中で痛みに耐えるため歯を食いしばっていたせいで、アリサに叩かれた時にできた口内の傷口がまた開いて口の中は血の味でいっぱいだった。
「ごめんね、しょう…たく…」
「あ、おいすずか!?」
『マスター……?』
翔太が顔を向けると同時に、すぅっと意識を失ったのか、バリアジャケットも月の杖も消え、水の中に沈むすずかがの姿が見えた。
高温に包まれて体力を消耗して、その上酸素不足。水の中では息継ぎもできずに無呼吸で全力の魔法&肉体行使。そもそもからして美由希との勝負で疲れていたすずかの体力が、限界を迎えてしまったのだ。
「すずか! すずかぁ!」
翔太もそれなりの消耗をしていたが、その光景に疲れなんて一気に吹き飛んだ。
必死にすずかの元へ泳ぐも、跳一回分の跳躍距離が存外遠い。その上ここは波の出るプール。波が消えても、普通の波が襲いかかってくる。普通なら問題ないレベルだが、体力を消耗した翔太ではなかなか進まない!
「すずか! しっかりしろ! すずか!!」
『こちらです。急いでください』
「翔太! これに掴まって!」
正確な時間はわからない。一分、いや十数秒程度だと思いたい。それだけの時間をかけて、翔太はなんとかすずかを水面まで抱え上げた。
意識はない。
ユーノが出した魔法の鎖を掴んで、それを引っ張るなのはとアリサの元へたどり着くまで、すずかに声をかけ続けるが、まったく反応がなかった。
「すずか!起きてすずか!」
「どうしよう!すずかちゃん息してない!」
「息っ!?」
『お、おちつくんやみんな!?』
プールから引き上げたものの、全く改善されないすずかの状況。翔太も含め、子供たちはみんな、それにケルベロスまでパニックになってる。
ただひとりを除いて。
『誰か人工呼吸をお願いします』
スピネルの冷静な声に、みんな我に帰る。
「人工呼吸! そう人工呼吸よ!」
「わかった!」
アリサの言葉をきっかけに、翔太は無我夢中で人命救助の記憶を探ってすずかに触れる。
仰向けに寝かせて、顎を上に突き出す形に首を固定して気道を確保。
空気が漏れないように鼻をしっかりとはさみ、すずかの口を翔太の口が覆う。
「えっ、ちょ!?」
誰かの慌てる声を聞き流しながら、翔太はゆっくりと息を吹き込む。
少し胸が膨らむのが確認できたので口を離す。そしてもう一度繰り返す。
すると―
「っ!げほっけほっ!」
「すずかちゃん!」
『ひとまず大丈夫なようですね』
水を吐き出しやすいように体を横に倒して背中をさする。
そのまま何度か咳と共に水を吐き出したすずか。
「けほっ、けほっ、みんな心配かけてごめんね……」
翔太が背中を支えて、上半身だけ起き上がったすずか。
顔色は悪いながらも、微笑んで謝る。
「お前が謝るなよ……」
側にいたのにすぐに助けられなかった翔太が沈痛な表情を浮かべる。
「とにかく結界から出よう!お姉ちゃん達と合流してすずかちゃんを病院に!」
「そうね! 急ぎましょう!」
「だ、大丈夫だから」
「そんなふらふらの身体で言っても説得力皆無だ。いくぞ」
「あっ……」
背中においていた右手はそのままに、左手をすずかのひざ下を通して横抱きにして抱きあげる。通称お姫様だっこ。もちろん今の状況でそれを茶化すような者はいない。
「とりあえず一旦物陰へ。そこで結界を解除するよ」
「その後はすぐノエルさんたちと合流して病院。文句ないわねすずか?」
「……うん。わかりました」
アリサの強い言葉に観念したのか、翔太の腕の中で力を抜くすずか。
華奢な体を抱きながら、自らの不甲斐なさに憤りを隠せない翔太。内心の焦りをぶつけるように、駆け足を速めた。
その後、病院で特に異常なしと診断されたすずかと共に、保護者の目を盗んで勝手な行動をとったことを叱られそうになった翔太たちだが、そろって体力や心労の限界で眠りに落ち、お叱りを回避することが出来たのだった。
翌日に持ち越されただけだけど。