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No.36269の一覧
[0] とある転生の幻想交差[僧侶](2013/12/22 19:37)
[1] 怪物×魔法少女=もうなにも怖くない(良い意味で)[僧侶](2013/12/22 20:41)
[2] 初戦×連戦=もう二人の魔法少女[僧侶](2013/12/22 19:43)
[3] 太陽×月×星=翔太とユーノは蚊帳の外[僧侶](2013/12/22 19:43)
[4] プール×変態=水着の乙女は御用心[僧侶](2013/12/22 19:45)
[5] 大波×小波=波乱のプール[僧侶](2013/12/22 19:47)
[6] 姉弟×お風呂=雀宮の一端[僧侶](2013/12/22 19:49)
[7] 飛翔×透明=魔法の才[僧侶](2013/12/22 19:54)
[8] 大地×大樹=対抗する五人一組[僧侶](2013/12/22 19:55)
[9] 飛べない×飛びたい=飛べるかも?[僧侶](2013/12/22 19:55)
[10] 甘味×感知=組み合わせ[僧侶](2013/12/22 19:57)
[11] 激昂×独断専行=それが招く結末は――[僧侶](2013/12/22 19:59)
[12] 心配×困惑=意外な関係[僧侶](2013/12/22 19:59)
[13] 重傷×交渉=身代金!?[僧侶](2013/12/22 20:01)
[14] 帰還×かけた心配=前線禁止命令[僧侶](2013/12/22 20:03)
[15] 吸血殺し×すずか= ―――[僧侶](2013/12/22 20:04)
[16] 風が吹く×桶屋=バタフライエフェクト[僧侶](2013/12/22 20:05)
[17] 罪×夜の一族=守護の誓い[僧侶](2013/12/22 20:06)
[18] 罰×吸血=相互の守護[僧侶](2013/12/22 20:07)
[19] 妨害×望外=イレギュラー[僧侶](2013/12/22 20:09)
[20] 怒り×気付かぬふり=本当は嫉妬[僧侶](2013/12/22 20:44)
[21] アリサの気持ち×すずかの気持ち=未確定で進行形[僧侶](2014/02/11 14:35)
[22] 温泉×トラベル=当然トラブル[僧侶](2014/04/20 22:25)
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[36269] 怪物×魔法少女=もうなにも怖くない(良い意味で)
Name: 僧侶◆108ecc9e ID:49af8067 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/12/22 20:41
「はっ、はっ、はっ……」
 木漏れ日に照らされた獣道を走りぬける四つの影。
 先頭を走る少女―月村すずか―は長い藍色の髪を振り乱しながら前方に視線を走らせ、人が通るように出来ていない森の中でも少しでも通りやすい道を選びながら先導している。
 それと同時に、髪や服に引っかかりそうな小枝を素早く折って後からついてくる者への配慮をするという離れ業を、速度を落とさずにやってのけている。
 ただ、そのことに後ろに続く少女―高町なのは―は気付く余裕はなく、両サイドで結ばれた栗色の髪をぴょこぴょこ跳ねさせながら必死に足を動かしている。元々運動がそれほど得意ではなく、走ることに必死だと言うこともあるが、その少女の意識の大半は胸に抱かれた傷だらけのフェレットに向けられているからだ。
 そのフェレットは呼吸が弱いながらも意識は失っていないようで、自らを抱える少女や首に下がる赤・金・銀の三つのペンダント、そしてその後ろから迫る黒い影へと視線を忙しなく動かしている。その瞳には知性が宿っている事が伺える。
 なのはのすぐ後ろを走りながら前と後ろの双方に気を配り、胸元に気をとられがちななのはのフォローをしている金髪の少女―アリサ・バニングス―。彼女の明晰な頭脳を持ってしても、何故この事態に陥ったのか、背後から追って来ているあの黒いモノは一体何なのか、どうやってこの場を切り抜ければいいのか、まったくもって分からないことに内心かなり動揺している。
 アリサに並走しているのは黒髪の少年―雀宮すずめのみや翔太―。視線を前や後ろに忙しなく動かしている。その表情は焦っていると言うより何か躊躇っているように見える。

 彼らがいるのは海鳴市にある森の中。普通に考えれば下校途中の小学生にとって用事があるような場所ではない。
 元々彼らは公園の林の中で傷ついたフェレットを見つけた。きっかけは頭の中に響く”助けて”の声だ。耳からではなく頭に響く声に戸惑う中、なのはだけが正確に方向を示し、そしてその先で見つけたのだった。そこまでであれば今頃近所の動物病院にかけ込んでいただろうが、そこから事態は奇妙な方向へ転がっていった。
 まずフェレットが喋り出した。弱々しい声ではあるものの、「ありがとう」と喋ったのだ。なのはとアリサは大いに慌て、すずかと翔太も二人ほどではないにしても驚きの表情を浮かべていた。気のせいか本当か困惑している間に――

 ――黒い塊が目の前に落ちてきた。

 硬直

「逃げろ!」「逃げて!」
「……っ、こっち!」
『ヴァアアアアアア!!!!』

 翔太とフェレットの声に最も早く反応したすずかは、アリサとなのはの手をとって駆け出した。フェレットを抱いていたせいでバランスを崩したなのはの背をこけないように支えながら、翔太もすぐに後を追いかけた。黒い塊が奇怪な唸り声を上げて動き出す数秒前のことだった。
 それから数分。いつしか公園に隣接していた山林に足を踏み入れ、今に至るというわけだ。



 気がつけば随分と森の深いところまで入り込んでしまっていた。まだ日は高いはずなのに周囲は随分と薄暗い。後ろから迫る黒いモノも一向に諦める気配を見せない。

『ヴァァァァァァァァァァァァァ』
「ひっ、アレは一体何なのよ!?」
「知るかっ」
「あんなもの知ってたら逆に怖いわよっ」
「なら聞くんじゃねー!?」
「叫ばないとやってられないのよ!」

 捨て鉢気味に吐き捨てるアリサ。その目尻には僅かに涙が浮かんでいる。怖いのだろう、怖くないわけがない。
 いつも強気なアリサでさえもこの状況にパニックになりかけている。

「……あーもうっ! やるしかねーか」

 頭をがしがしとかきながらさっきまでの躊躇いも逡巡も捨て去って、背負っていた鞄を胸の前に持ってくる。

「ちょっ、何?」
「現状打破の一手。でも使うの初めてだから信頼性なし。お前ら先逃げてろ」

 そう言って鞄の中から紙束のようなものを取り出し、ターンしてその遠心力のまま鞄を投げつけて足を止める。一応の効果はあったのか、若干ヤツのスピードが落ちる。

「何やってんの!?」

 その声に前を行く二人も足を止める。翔太の行動を暴挙と見たアリサが引き戻そうと手を伸ばしてきたが、その手から逃れるようにさっきまでと逆の方に走り出した。

「翔太ぁ!」「翔太くんっ!」「翔太くんっ!?」

 三者三様……などではなく、焦燥、困惑、恐怖のこもった叫び声を上げる。彼女たちが想像したのは、友達があの目の前に迫る黒いモノに弾き飛ばされる光景。
 だが、その光景が訪れることはなかった。
 抱えた紙束の中から数頁引きちぎり、それを顔の前で握りしめて大きく叫んだ。



『召喚”インデックス”、使用霊装:”歩く教会”』



『ゥヴァッ!?』

 突如として俺とヤツの間に現れたのは、銀の髪を揺らした少女。その少女が見に纏う白い修道服が、ヤツの突進を受け止めていた。

「「「えぇっ!!?」」」

 想像した光景と違う事以上に、何が起こったのか理解できない驚きで固まる三人。何処から出てきたのか、何時の間に現れたのか、何故受け止められるのか、そんな言葉にならない疑問が頭の中を渦巻いている。
 ヤツを受け止めているのは”とある魔術の禁書目録”の登場人物であるインデックスだということに気付く。数日前に翔太から是非読んでほしいと渡され、三人ともが寝不足になるほどハマった小説の登場人物だ。なんで架空の存在がこんな場所にいるのか、彼女たちにはわけがわからなかった。
 そこからさらに、

「そ、れが、このせか、いの魔法……ですか?」
「ふぇぇぇえええっ!?」

 突如割り込んだ声に混乱はさらに大きくなる。聞き覚えのない声、というよりもなのはの驚きの声でその場の目がその胸元にいるフェレットに集まった。先ほどの声はやはり聞き間違いではなかったのだ。
 その光景に「フェレットは喋るし翔太はなんか召喚するし、一体何がどうなってるのよ!?」「お、落ち着いてアリサちゃん」「これで落ち着いていられるかぁっ!」とかいうやり取りが聞こえてくるがこの際それは無視する。
 そこには声からわかる通り弱った体を、ふるふると身体を震わせながら首を立ててなんとか起き上がろうとしてるフェレットの姿があった。

「あ、えっと、その、無理はしないで?」
「だい、じょうぶです」

 少しびくびくしながらではあるものの、怪我を気遣って起き上がりやすいように抱き方を変えるなのは。傷が響いて途切れ途切れではあるものの、少し楽になったのか先ほどと比べてしっかりとした声でしゃべり始めた。

「あなたは、この世界の魔導師、なんですか?」

 その問いを向けられた翔太は、少し思案する。どこまで言っていいものだろうか、と。

 雀宮翔太は転生者である。この世界に生まれくるときに、神からとある能力を賜っていた。魂の格と世界のつり合いを持たせるためにどうしても必要な措置だと翔太は聞いている。本人はよくわかってないが。
 ともあれ、その能力は、翔太の前世に置いて存在したライトノベル”とある魔術の禁書目録”の登場人物を召喚したり、その能力を自身や他者に宿らせることが出来ると言うものだ。発動には単純ではあるものの面倒な前提条件が課せられている。
 大きな条件は翔太自身が”手書き”で書かなければならない、それを翔太以外の他者が読んで”小説の世界感の中であれば、この現象・能力はあり得る”と思ってもらう事というものがある。
 使えるようになるためには誰かに読んでもらわなければならないが、翔太が転生したこの世界には”とある魔術の禁書目録”は存在しない。そんな状況だと、じゃあこの小説は誰が書いたのかという問いに対して”俺”と答える以外なかった。だがしかし、読んでくれたすずか達は単純に「こんな面白い小説がかけるなんてすごい!」と讃えてくれたが、実際は他人の著作であることに心苦しい思いを抱えていた。
 そんな罪悪感を思い出し、翔太はこの際だからと話せる事は話すことに決めた。フェレットの質問に答える形で口を開く。

「分類付けするなら”召喚士”が近い、かな。俺が夢で見た”異界の出来事”を小説として手書きで書きだし、それを媒体にして、その世界の人物・能力を召喚できるって能力だ」

 もちろん転生とかその他もろもろ話すわけにはいかないので、事実とは違う感じに歪めて、ではあるが。

(遠い別次元を鏡や夢をゲートとして覗き見る力を持つ人がいるというのは文献で読んだ事があるけど、その世界の人や力を呼び寄せる事が出来るなんて…… ううん、今はそんなことよりもこの場を乗り越える方を優先すべきだ)

 彼の知る魔法体系から大きく逸脱した現象に、探求心に火がつきそうになるが、現在の危機的状況を思い出して頭を振って今この場に置いて不要な思考を追い払う。
 
「では、その世界に、封印が、行える人物は、いますか?」
「封印ね……」

 “とある魔術の禁書目録”の一巻に登場した人たちの能力を思い浮かべる。

「ちょっと、いないな。破壊できそうなのはいるけど」

 超電磁砲レールガンとか魔女狩りの王イノケンティウスとか、攻撃力が高そうなのはいる。最悪、地上から打って衛星軌道までぶちかませる竜王の殺息ドラゴン・ブレスなんて言う超危険物だってあるのだから攻撃力には事欠かない。

「いえ、破壊は、まずいです。それは強力、な力をひめているので、込められたエネル、ギーが暴走して、しまう可能性があります。っ、ぐ、はぁはぁ」
「無理しないで?」

 なのはが心配そうにフェレットの背を撫でる様子を尻目に、翔太は頭を悩ませる。
 破壊がダメとなると、状況は厳しい。現状は”歩く教会”で足止めをしているだけであり、それもそれほど長くは持たない。"歩く教会"は原作上で、挿絵を含んだとしてもベランダに干されていたところから上条当麻に破壊されるまでの23頁しか存在していない。1頁は既に消費され、2頁目も奴の勢いに押されてそろそろ消えてしまいそうだ。1頁当たり1分も具現化できていない。この小説を読んだのがアリサ、すずか、なのはの三人しかいないため、頁に込められた力も随分少ないのだ。

「待って。それなら上条当麻を、幻想殺しイマジンブレイカーを出せばいいじゃない。暴走するエネルギーごと消したら問題ないでしょ?」

 横でギャーギャーわめいていながらも話はちゃんと聞いていたのか、アリサが提案してくる。
 その言葉を聞いて、翔太はアリサの事を「やっぱりこいつはすごい奴」だと改めて実感する。それがどんな荒唐無稽なことでも、真実として吟味し、記憶している情報の中から有効な手段を瞬時に見つけ出すことが出来ている。ただテストの点が良いだけの馬鹿は世の中いくらでもいるが、アリサは本当の意味で頭が良い奴なのだろう。
 確かに幻想殺しイマジンブレイカーならば異能の力によって生まれた物は、どんなものでも消すことができるはずだ。だが――

「ああ、それ無理」
「はぁっ!?」

 “歩く教会”が存在する頁の4頁目が消滅するのを見届けながら、翔太はアリサの意見をあっさりと否定する。

「だって、召喚された存在ってのが異能そのものなんだから、召喚んだ瞬間ピチューンつって消えるのが目に見えてる」
「何よそれ使えないじゃない!?よりにもよって一番登場頻度が高いやつが使えないって意味ないじゃない!」

 いやホントなんでだろうね、と翔太はごちる。
 一応、この能力の使用条件が”小説の世界感の中であれば、この現象・能力はあり得る”と思う事である以上、読んだ人物が多く、その”あり得る”という思いが幻想殺しイマジンブレイカーを超えるほどに高まっていれば少しは持つ可能性もあるが、現状ではアリサ達を含め数人程度しか読んでおらず、現界できるだけの力はそなえられていない。

「じゃあどうするの?封印もだめ、破壊もだめ、消すのもだめじゃ、このままだといずれ押し切られるよ」

 すずかの言葉に現状が全く好転していないことを改めて再認識させられる。

「あー!もうどうしたらいいのよ!っていうかそこの小動物!私達を呼んだ"声"はアンタよね?」
「あ、はい。僕です」
「そもそもどういうつもりで呼んだのよ!?呼ぶだけ呼んで対処はこっちに丸投げするつもりだったの!?たまたま翔太が変な力で防いでるけど、それがなかったら今頃私達やられてるわよ!?」

 アリサの怒りはわからないでもない。今を持って危険な状況に変わりないのだ。
 好奇心で跳び込んだ彼女たちにも非がないともいえないが、こんな状況になることなど想像できるはずもない。
 怒りを含んだ視線に一瞬ひるんだフェレットだが、落ち着いて言葉を紡ぐ。

「……巻き込んでしまって本当に、すいません。僕の"声"が聞こえる、つまりそれはリンカーコアが、あるということで、これを起動、させることが出来る可能性が、あると思ったんです。っぐ」

 「リンカーコア?」と首をかしげる俺たちをよそに、身体を動かすのも辛いだろうに、首にぶら下っていた紐から赤い宝石をはずして差し出してきた。

「何よ、それ」
「祈祷型の、ミッドチルダ、式インテリジェントデバイス、レイジングハート。これを起動させる、ことが出来たなら、なんとかなるはずです」

 耳慣れない単語が出てきたのはさておいて、最後にぼそっと呟いた「出自は不明ですが……」という言葉が非常に気になるが、あえてスルーするしかないアリサ達だった。

「この世界、の魔力素適合不良の所為で、僕は今ほとんど魔、法が使えません。時間が経てば回復する、と思いますが、今だけはどうか、力を貸してください!」

 怪我で喋れば喋るほど体力を消耗していっているはずなのに、力のこもった言葉を少女たちに向けてくるフェレット。
 翔太はあの黒いモノを抑えるために動けないし、アリサとすずかは本当にそれでどうにかできるのか判断に迷っていた。でもその中で一人だけ、強い意志の力をもって赤い宝石を受け取る少女がいた。

「私がやるよ」
「ちょ、なのは!?」
「すずかちゃん、この子をお願い」
「あ、うん」

 なのはの決意のこもった視線にうなずくしかできなかったのか、すずかがフェレットをそっと受け取る。

「起動の仕方を教えて?」
「待ちなさい!そんなよくわからないものをいきなり使うなんて危ないかもしれないじゃない!」

 焦るアリサの言葉に、ゆっくりとそちらへ向き直ったなのはが力のこもった言葉を返していく。

「でもこのままじゃ、あっちのよくわからないものに襲われるかもしれないよ?」
「そ、それは、そう、だけど」
「それにね?」

 すうっと息を吸い込んで、今まで見たこともないような綺麗な、そして決意のこもった笑顔でこう言った。



「私に誰かを助けられる力があるのなら、迷わずそれを手に取りたい」



 時々「自分は何のとりえもない」と口にしていたなのは。そんな時はそろって「そんなことない」と周囲の友達は言うけれど、なのは自身は納得してはいなかった。
 以前になのはの母親である桃子から、なのはが小さい頃に家族に大変な時期があって、その時かまってあげられないことがあったと聞いている。自分自身を何のとりえもない、役に立たないと思いこんでいるのは、その時に家族の役に立たなかったことを気にしてるせいなんじゃないか、というのがアリサの見解だ。
 そんなトラウマを抱えているなのはの目の前に、危機が訪れた。今必死で翔太が抑え込んでいるが、ここまでのやり取りの間に10頁目までを消費して、現在11頁目だ。もうすぐ半分を切る。
 いつまでももつわけじゃないと誰もが状況を理解している。
 ならここでなのはが立ち止まるわけがない。意外に頑固なところがあるのは彼女の友人の共通見解だった。これ以上何を言っても無駄なのだとアリサも悟ったらしく、ため息をついてこう言った。

「はぁ、わかったわ。やってみなさい!」
「うん!」

 満面の笑みで答えて、すずかに抱えられたフェレットに視線を送る。その視線に応えるように小さくうなずく。

「僕に続いて詠唱してください」
「うん」

「我、使命を受けし者なり」
「我、使命を受けし者なり」

 その瞬間、なのはの周囲から桜色の光が漏れ始める。

「契約のもと、その力を解き放て」
「契約のもと、その力を解き放て」

 それはやがて、円形の魔法陣を描き出す。

「「星は天に、そして不屈の心はこの胸に」」

 きらりと輝く赤い宝石。

「この手に魔法を。レイジングハート、セぇーーットアーーーーップ!!!」

「なっ!?」「うぉ!?」「わっ!?」「えぇっ!?」

 なのはの詠唱とともに、桜色の円柱が雲を突き抜けて立ち上った。その勢いになのは以外の人はそろって驚愕の表情を浮かべざるを得なかった。

「な、なんていう魔力…」

 魔力がなんなのかわからなくても、とにかくすごいことはフェレットでなくてもわかった。肌で感じられるほどの強いチカラをこの場にいる誰も感じていた。
 翔太の前の黒いナニカも硬直している。

「できた!」

 桜色の光が霧散して、その真ん中に聖祥の制服に似た白と青で構成された服に身を包んだなのはの姿があった。
 手には、ピンク色の杖―先端部分は金色で装飾され、中央には赤い宝石がはめ込まれている―をもっている。



 どこからどう見ても、見紛うことなき"魔法少女"がそこにいた。


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