昔、最初の火が生まれた頃の事である。
自らを王と名乗った一人の男が居た。
大王グウィンである。
彼は彼以外の火の持ち主と共闘し、古竜を撃退してきた。
そんな彼の功績の裏にはある四騎士が居た。
『竜狩り』オーンスタイン
『深淵歩き』アルトリウス
『鷹の目』ゴー
そして、『王の刃』キアランである。
今から百年ほど前、四騎士の一人がこの世を去った。
いや、去らざるを得なかった。
『鷹の目』は老い、『王の刃』が去り、『深淵歩き』が亡くなった後に残されたのはただ一人、『竜狩り』だけであった。
しかし、その『竜狩り』も不死の男に殺され、古くから続く四騎士の伝説はここで幕を閉じる。
願わくば今一度、、、と願いを込めながら、、。
ここは、ハルケギニアと呼ばれる地。
緑が多く、月が二つある世界。
そして、貧富の差が激しく、虐げる者が横行する世界。
そんな世界とある場所で物語は動く。
「我々はトリステイン王国のものだ。通行の邪魔になっている。ゴーレムの練習なら他所でやってくれ。」
「、、、。」
ゴーレムと呼ばれた巨人は悲しそうに肩を落とすと道を譲った。
「フッ。ゴーレム、、か。まぁ、見ようによってはそう見えなくもないな。ハッハッハ」
青い髪を垂らした男が呟き、巨人と同じように道を譲る。
「どうして私まで、、。」
最初から道の上に立っていなかった筈の女性は従者に使役者と勘違いされ、怒られていた。フードを被った女性が溜め息をこぼす。
「失礼した。失礼ついでに聞きたい事がある。良いだろうか?」
金の鎧を着た男は従者と思わしき女性に近づく。
「なんだ?我々も急いでいるのだ。早くしてもらおうか。」
「すぐ済む質問だ。簡潔に聞こう。ここから一番近い街は何処だ?」
「?迷ったのか?、、ここからは、、この道をまっすぐ行くのが近いな。ではな。、、」
「行きましょう、姫様。」
姫様と呼ばれた紫色の髪の毛をした女性は静かに頷いた。
過ぎ去って行く馬車の後ろみながら今の不可思議な事態の確認をしていた。