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No.36096の一覧
[0] 遊園地デート[ベルカント](2012/12/09 22:45)
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[36096] 遊園地デート
Name: ベルカント◆d507ddc5 ID:2194fe10
Date: 2012/12/09 22:45
俺の名は高坂京介。
特筆する所も無い、ただの高校生だ。
一つを除いては。
そう、何を隠そうこの俺には--
あやせ「ごめんなさい、お兄さん。待ちましたか?」
長く美しい黒髪でスタイル抜群で読者モデルをやっていて性格も良い(表は)美少女、新垣あやせと付き合っているのだ!
あやせ「あの、お兄さん?」
ハーッハハハハ!
どうだ、羨ましいだろう!
あやせは俺の自慢の彼女だ。
あやせにだったら、ホント何をされても良いっつーか--
あやせ「もう、お兄さん!」
京介「ハッ!」
振り返るとそこには今まさに、想像してた通りの俺の彼女が立っていた。
何やらご立腹の様子。
京介「おう、あやせ。」
あやせ「おう、じゃないですよ。さっきから呼んでるのに返事してくれなくて。」
どうやら、あやせ(想像)に夢中になってあやせ(実物)に気がつかなかったらしい。
悪い事をした。
京介「すまん、すまん。ちょっと考え事をしてて。」
あやせ「考え事って、何ですか?」
京介「俺の自慢の彼女の事だよ。」
あやせ「も、もう、突然、何を言うんですか…。」
俺がそう言うと途端に顔が真っ赤になるあやせ。(←可愛い)
あやせ「そ、それより!他に言う事は無いんですか?」
京介「気づかなくてごめんな、あやせ。」
あやせ「分かれば良いんですよ。
あまり時間が無いんです。行きますよ。」
京介「ああ、あやせ、荷物持つよ。」
大きな荷物を持っていると辛いだろうから、声をかけたのだが。
あやせ「大丈夫です。自分で持ちますから。」
京介「そうか…?」
彼氏としては彼女に荷物を持たせるのは気が引けるのだが。
まあ、本人が大丈夫と言うのだから、大丈夫なのだろう。
あやせ「ほら、お兄さん!さっさと行きましょう!」
京介「おう!」
俺たちは二人で電車に乗り込んだ。
しばらく電車に揺られてから、ようやく目的の駅に辿り着いた。
さらに、歩くこと数十分。
目的地が見えて来る。
京介「うおお…。」
今日のデートスポット。
それは、遊園地だった。
どっかの世界一有名なネズミさんが居る遊園地ではない。
それでもとても大きく、1日で遊びきる事は出来ないだろう。
京介「良いとこ知ってるな、あやせ。」
あやせ「そうでしょう?桐乃達と来た事があるんですよ。」
楽しそうに語るあやせを見ているとこっちまで、楽しくなってくる。
あやせ「さて、中に入りましょう、お兄さん。」
京介「おう。」
ゲートをくぐると、外から見たとおり、かなりデカイ遊園地だと実感する。
京介「まずは、どれから行くよ?」
あやせ「お兄さんは絶叫系って、大丈夫ですか?」
京介「まあ、平気かな。」
あやせ「じゃあ、アレに乗りましょう!」
あやせの指差した先には、定番中の定番、ジェットコースターがある。
京介「うっし!じゃあ、アレから行くか!」
あやせ「はい!」
京介「うう…ふらふらする…。」
あやせ「情けないですね〜、お兄さん。」
ジェットコースターから降りて俺は言葉のとおり、ふらふらになっていた。
あやせ「全然平気じゃ無いじゃないですか。」
うう…情けない…。
あやせ「じゃあ、次はちょっと軽めに…。」
くるりと視線を巡らせ、一つのアトラクションを指差した。
あやせ「アレなんかどうです?」
あやせが指差したのは車に乗り走るだけのアトラクションだ。
小さい子向けなのでは、と思ったが意外と大人も並んでいる。
あれくらいならば、今の俺でも大丈夫だろう。
京介「よし、行こう。」
あやせ「あ、良かったら勝負しませんか?」
京介「勝負?」
あやせ「はい!」
京介「負けたら?」
あやせ「ん〜、負けたら相手の言う事を何でも一つ聞く、と言うのはどうでしょう。」
京介「ほほう。そこまで言うからには相当の自信があるんだな?
よし、勝負しようじゃないか!」
あやせ「それでこそ、お兄さんですよ!」
俺たちは勇んで勝負の場に進んでいった。
そして、結果は--
あやせ「お兄さん、意外と遅いですね。」
京介「うぐぐぐ…。」
俺の惨敗だった。
いやね、聞いて。
あやせがさ、こんな可愛い顔してめっちゃ速えのよ。
周りの人も唖然としてたし。
遊園地の人が言うには、過去最速らしいぜ?
そんなのに、勝てるわけねぇだろ、なぁ?
そんな誰にとも分からぬ言い訳をしているとあやせに呼ばれた。
あやせ「お兄さん、そろそろお腹空きませんか?」
京介「確かに、言われてみりゃもう、昼か。」
今まで気づかなかったが、腹の虫も声をしきりにあげている。
京介「うん、腹減ったな。」
辺りを見回すとフードエリアがある。
こういうところの料理は割高だが、仕方が無いだろう。
フードエリアに向かって歩き出そうとした俺の手をあやせが掴んだ。
京介「ん?どうした、あやせ?」
あやせ「あ、あの、む、向こうに行きませんか?」
京介「向こう?何か店でもあるのか?」
あやせ「い、良いから行きましょう!ほら、速く!」
京介「わ、分かった!分かったから、そんなに押すなあやせ!」
10分ほどあるくと、緑豊かな場所に出た。
景色は良いが、周りに店は見当たらない。
京介「あやせ、飯はどうするんだ?」
俺が聞くと、あやせは得意げに胸を反らしながら言った。
あやせ「実は私、お弁当を作って来たんですよ!」
じゃじゃ〜ん、と持っていた荷物の中から、バスケットを取り出すあやせ。
随分と大きい荷物だと思っていたがこんな物が入っていたのか。
京介「開けてみても良いか?」
あやせ「はい、もちろんですよ。」
蓋を開けると美味しそうなおにぎりとおかずが、顔を覗かせた。
あまりのクオリティに息をのむ。
京介「凄いな…。これ、全部一人で作ったのか?」
あやせ「はい。まあ、どんな味付けにすれば良いのかとかは、お母さんに聞きましたけど。」
それでも、凄いと思う。
素直にそう言うとあやせは頬を赤らめた。
あやせ「もう。褒めるのは食べてからにしてください。はい、お箸です。」
あやせから箸を受け取り、目についた唐揚げを食べる。
京介「むぐむぐ…。」
あやせ「どう、ですか…?」
不安気に問うてくるあやせ。
これは--。
京介「んっ!すげえ美味いよ、あやせ!」
あやせ「ほ、本当ですか⁉」
京介「ああ、今まで食ってきた中で一番美味い‼」
あやせ「そ、それはいくらなんでも大げさですよ…。」
照れたように頬を染めるあやせ。
しかし、冗談抜きで美味い。
唐揚げを食べた勢いそのままに、今度はおにぎりを手に取った。
京介「じゃ、こっちも。はむっ!むぐむぐ…。」
あやせ「………ど、どうです、か…?」
俺はおにぎりを飲み込んでから、あやせに言ってやった。
京介「こっちも美味い!比べたらあやせに失礼かもしれないけど、ウチのお袋が作るやつなんかより何倍も美味いよ。」
あやせ「良かった…。」
俺が何度も褒めたからか、あやせも自分の料理に自信が持てたようだ。
あやせ「あ、こっちの卵焼きも自信作なんですよ!食べてみてください!」
差し出された卵焼きを頬張る。
ほんのりと甘みが広がって、大変美味しい。
だが、そこでふと気づいた。
あれ?
これ、いわゆる、『はい、あ〜ん』ってやつみたいじゃね?
同じ事を考えたのか、あやせがゆでだこみたいになってしまう。
あやせ「え、えっと…。」
頬を真っ赤に染めたまま、辺りを忙しなく見回す。
そんなあやせを尻目に俺はウインナー(タコさん)を箸でつまみ、あやせの口許に差し出した。
あやせ「お、お兄さん?」
京介「ほれ、あ〜ん。」
あやせ「え、ええ⁉」
京介「ほら、早くしろ。あ〜ん。」
急かすように言うと、あやせはおずおずと口を開いた。
あやせ「あ、あ〜ん…。」
歯に当てたりしないように、そっと口の中に入れる。
数回咀嚼してから、こくんと飲み込んだ。
京介「どうだ?」
あやせ「は、恥ずかしいだけです…。」
その後も何回か『あ〜ん』をしながら、二人で昼飯をたいらげた。
京介「さて、次は何処行く?」
食休みも終えて、これからまた、遊び直しである。
あやせは可愛く考え込んだ。
あやせ「う〜ん。これも乗った、これも乗った…。」
手もとのパンフレットを見ながらうんうん唸っている。
あやせが見つめているパンフレットを横から覗き込む。
京介「おっ。」
あやせ「どうしました、お兄さん?」
京介「あやせ、次は俺に着いて来てくれないか?」
あやせ「それは構わないですけど、何処に行くんですか?」
京介「まあまあ、着いて来れば分かるよ。」
あやせの手を引きながら辿り着いたのは--。
あやせ「こ、これ…ですか…?」
見上げる先にあるのお化け屋敷だ。
全長1km弱の大きなお化け屋敷。
乗り物に乗るとか、そういったものではない、歩いて回るタイプのお化け屋敷だ。
ちなみにパンフレットには、『失神者続出!』と、書いてある。
実際それは冗談にしろ、怖い事に違いは無いだろう。
京介「そう、これだ。」
あやせ「で、でも、ちょっと、これは…。」
京介「あれ?もしかして怖いのか?」
俺の挑発めいた言い方が気に食わなかったのか、少し怒ったような口調であやせは言った。
あやせ「そ、そんなわけないじゃないですか!逆に、実は、お兄さんが怖いんじゃないんですか⁉」
京介「ほう。そこまで言うからには、このくらい余裕なんだろうな。」
あやせ「あ、当たり前です!」
そう言うとあやせは俺の手を引きながら、お化け屋敷に乗り込んで行った。
で、どうなったかと言うと。
京介「こ、怖かったな…。」
あやせ「はい…。」
めちゃくちゃ怖かった。
マジ、冗談抜きでやばかった。
結構、ホラーとか得意な俺でもこんなに怖かったのだから、あやせは相当、怖かっただろう。
京介「悪かったな、あやせ。こんなのに乗せちまって。」
あやせ「いえ、意地はったのは私ですから…。」
京介「少し、休むか?」
あやせ「はい…すいません…。」
フラフラとおぼつかない足取りのあやせを支えながら、俺は休める場所を目指して歩き出した。
そして、なんとか休憩出来たものの、大分時間が経ってしまった。
閉園時間まではもう、あまり残ってない。
京介「どうする、あやせ。もう、あまり時間が無いぞ。」
あやせ「本当ですね。乗れるとして、後、一つか二つくらいでしょうか。」
京介「それくらい、だろうな。」
あやせ「なら、最後はあそこですね。」
京介「あそこ?」
あやせ「はい。遊園地デートの定番です。」
そう言われれば、俺にもなんとなく何処だか予想はつく。
最後に行くのはおそらく--。
京介「やっぱり、ここか。」
遊園地デートの最後と言えば、やはり観覧車だ。
全長100mくらいの大型観覧車。
俺らと同じように並んでいるのはカップルばっかだ。
すぐに俺らの番が回ってきて、観覧車に乗り込んだ。
あやせ「うわぁ〜。綺麗…。」
こんな景色より、あやせの方が綺麗だよ。
心の中でだけ呟く。
普段から恥ずかしい台詞を口にしているが、これはちょっと別物だ。
京介「そうだな。」
あやせから視線を外し、景色を眺める。
夕陽に染まった世界は寂しさを兼ね備えた、不思議な美しさを持っていた。
夕陽を見ていると不思議な気分になってくる。
1日の程よい疲れと楽しかったという想いと1日が終わってしまう寂しさと。
色々な感情がごちゃまぜになる。
あやせ「今日は、楽しかったです。」
京介「まだ1日は終わってないぞ。これから、電車に乗って帰らなきゃ。」
あやせ「それはそうですけど。そういう事じゃないですよ。」
まあ、あやせの言いたい事は分かる。
これ以上、変に口を挟まないでおとなしくしていよう。
あやせ「お兄さん。約束、覚えてますか?」
京介「ああ。あの、車のアトラクションのだろ?」
あやせ「はい。あの約束を今、使わせてもらいます。」
すぅ、と息を吸って、あやせはまっすぐに俺を見た。
あやせ「私に、キス、してください。」
京介「あやせ…。良いのか?」
俺の事を好きと言ってくれるあやせだが、まだ、スキンシップはほとんどしていない。
前にほんの少し、手を握った程度だ。
もちろん、俺としてはもっと色んな事をしたいと思うが、あやせが嫌がるなら、と我慢してきたのだ。
あやせ「はい。お兄さん、ずっと、私の為に我慢してくれてたじゃないですか。だから、今日くらい、私のほうから…。」
京介「あやせ…。」
大げさだが、あやせは俺の為に覚悟してくれたのだ。
ここで、彼女の覚悟を無駄にさせるわけにはいかない。
京介「じゃあ、あやせ。キス、するぞ…?」
あやせ「はい…。」
そっと眼を閉じる。
俺は彼女の肩に手を乗せた。
少し震えている。
ゆっくりと顔を近づけて--。
あやせ「ん…。」
二つの唇が重なった。
気恥ずかしくなって、すぐに顔を離す。
ちら、と様子を伺うとあやせは放心したように固まっている。
京介「あやせ?」
あやせ「お兄さん…。」
京介「どうした?大丈夫か?」
あやせ「キスって凄く、嬉しいんですね…。」
京介「そ、そうか?」
真っ赤な顔で照れ臭い事をいってくるあやせ。
まっすぐにその顔を見れず、視線をそらす。
あやせ「お兄さん、もう一度、キスしてください。」
京介「分かった。」
その後、何度も俺たちは唇を重ねあった。
あやせ「お兄さん。」
京介「何だ?」
あやせ「これからも、よろしくお願いしますね。」
今日、あやせと進んだのは小さな一歩。
でも、今はそれでいい。
これからも、ずっと俺らは一緒なんだから。


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