<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.36066の一覧
[0] キノコ服用勇者(夢幻の心臓2)【完結】[凍幻](2014/06/23 18:52)
[1] その1[凍幻](2014/06/24 18:10)
[2] その2[凍幻](2014/06/24 18:10)
[3] その3[凍幻](2012/12/24 09:21)
[4] その4[凍幻](2012/12/24 09:21)
[5] その5[凍幻](2013/01/11 23:34)
[6] その6[凍幻](2013/01/21 22:37)
[7] その7[凍幻](2013/01/27 17:30)
[8] その8[凍幻](2013/02/19 02:01)
[9] その9[凍幻](2013/03/31 22:52)
[10] その10[凍幻](2013/06/13 20:03)
[11] その11[凍幻](2013/05/07 20:39)
[12] その12[凍幻](2013/08/20 19:31)
[13] その13[凍幻](2013/08/20 19:32)
[14] その14[凍幻](2013/05/28 06:06)
[15] その15[凍幻](2013/06/14 12:51)
[16] その16[凍幻](2013/06/30 21:50)
[17] その17[凍幻](2013/07/11 04:28)
[18] その18[凍幻](2013/07/25 21:47)
[19] その19[凍幻](2013/08/14 20:00)
[20] その20[凍幻](2013/08/24 06:47)
[21] その21[凍幻](2013/09/14 19:16)
[22] その22[凍幻](2013/10/10 06:44)
[23] その23[凍幻](2013/11/11 22:48)
[24] その24[凍幻](2013/10/30 19:38)
[25] その25[凍幻](2013/11/11 22:47)
[26] その26[凍幻](2013/11/23 18:31)
[27] その27[凍幻](2013/12/05 19:05)
[28] その28[凍幻](2013/12/15 20:32)
[29] その29[凍幻](2013/12/28 20:54)
[30] その30[凍幻](2014/01/14 21:47)
[31] その31[凍幻](2014/02/02 21:25)
[32] その32[凍幻](2014/02/23 19:14)
[33] その33[凍幻](2014/03/14 15:38)
[34] その34[凍幻](2014/04/22 20:43)
[35] その35[凍幻](2014/05/22 19:24)
[36] その36[凍幻](2014/06/01 21:36)
[37] その37[凍幻](2014/06/21 14:32)
[38] その38(最終回)[凍幻](2014/06/25 12:42)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[36066] その19
Name: 凍幻◆786b687b ID:86a11131 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/08/14 20:00
 よくよく考えたら、日本へ帰るための状況が何一つ変わっていなかったことに気付いた。
 いや、悪化していたことを今更ながらに気付いたと言うべきか。
 俺がこの世界に来てしまった時から、もう数週間が経過している。
 姫様を助け、武具を手に入れ、仲間と共にラスボスであるはずの暗黒皇子への道のりを歩いていることに変わりは無い。
 それは良いんだけど、数週間経ってしまったこと自体に愕然となってしまう。
 この世界での時間経過が地球と同じかは知らないけど、感覚的には同じだと思っているので、たぶん地球でも数週間が経ったことになる。
 すると、俺は日本へ帰っても勤めていた会社を首になっていることを知るだけだろうと、それを同時に気付いたのだ。
 復職するのは絶望的だ。だって、通勤途中で失踪した人と判断されちゃうんだぜ?
 上司や人事から何を言われるか分からんし、そもそも社会人としての責任問題だろ、これは。
 失踪理由を精神的に何かあったからと誤魔化しても、普通なら首以外に待遇が思い付かないよ。世の中そんなに甘くない。
 だからと言って、大人しく別会社への就職活動を行っても、日本に居なかった時期のことを聞かれたら返答に窮してしまうしなぁ。
 嘘をついたら怪しまれるし、逆に正直に答えても変人扱いされてしまうに違いない。
 もしもだけど、それらがすんなり通ったとしてもだ。
 扶養家族について何で奥さんが二人居るんだと尋ねられたら、俺には返す言葉が無い。
 日本の法律に従って片方だけ配偶者にしとけば良いんだろうけど、もう既に俺の中でさえあまり優劣が付けられなくなってきちゃってるんだよね。非常にマズい状況です。
 いや、一番は何と言ってもシルヴィアなんだけどっ!
 だけど二番手のテランナも可愛いと思えるようになってしまったので、こいつも嫁へ加えることにやぶさかでないと言うか、逃げられないと言うか……もう二人とも嫁で構わないんじゃねーのって感じです。
 そんなこんなで、どんな会社だって俺を雇うことを躊躇するはずである。まともな会社なら、だけど。
 まともでない会社については、逆に怖いから俺は勤めたくないです。
 これらを結論付けると、俺にはもうサラリーマンへ戻る道が残ってないと言うことになる。うーむ。
 そうなると別な働き方をと言われるだろうが、自営業を始めるには大金が必要だし、農業は農地を手に入れるのが難しいしで、いざ日本へ帰ってもどうやって暮らしたらよいのか途方に暮れてしまうだろう。残るのは日雇い労働者くらいか?
 親の援助を期待しても、いきなり扶養家族が俺含め三人も増えたら困ることになるだろう。
 もしかするとそれ以上になってるかもしれないんだから、アテにすることは絶対に出来ない。
 いや、すぐに増えるとは限らないんですけど。
 おっと、誤解しないように言っとくけど、ハーレム増員じゃなくて子供の話だからっ!
 つうか子供が出来るまでヤると確信してる俺自身を殴りたいよっ!!
 でもなぁ、今後も絶対に続けてしまうしなぁ……
 あぁ、ハマるとはああいった行動なんだと今なら分かる。
 オタクでありつつも一応は一般社会人として最後の一線を引いてたはずなんだが、越えてならない壁はもう崩壊してしまった。
 だって二人とも可愛いんだものっ!
 どこからか「計画通り」とか声が聞こえてきそうだけど、もう聞こえない。聞いても戻れませんですっ!!
 そんな感じで日本へ帰れず逆にこの世界へ残ったら、俺はどうなるだろうかと想像してみる。
 勇者には一夫一婦制が適用されないらしいので三人でいちゃいちゃしてても問題ないし、能力的に出来るのかはともかくとして王様と言う就職先も斡旋されてるし、子供の養育費用も問題無いと思われるしで――あれれ、全然困らないじゃんか。
 となると、これまで散々帰ると俺は言い続けていたんだが、それは現実を見ようとしない愚か者の発言だったと言うことか。何てこった。
 でもさ、日本での快適さを考えると、帰還する案にも捨てがたいところはあるよね?
 米や醤油を懐かしく思うし、新規ゲームも買えないし、何よりインターネットに接続できないことはオタクにとって致命的だ。
 このゲームをプレイしてた当時ならともかく、現代ではネットでの瞬時検索が出来ないと何かと不便に感じるんだよ。
 日常生活についても、検索出来ればずいぶんと提案出来ることが増えるはずなんだけどなぁ……はぁ。
 まあ、出来ないことはしょうがないし、こうやって悲観してても全く意味が無いので、今後も地道に活動するかと俺は気を取り直した。
 決闘から始まった一連のシー村イベントは、ようやく終わった。
 シー村含めエルフ界での俺の評価は、このおかげでかなり向上したらしい。
 シーの次期村長様を叩きのめしたので普通は逆になるだろうと思うんだが、『役職から逃げだす騒ぎを防いだ』ことで上昇したんだとか。
 村長になることをあいつが嫌がってたのは周囲にバレバレだったと後で聞いた。座学でなく剣の稽古してたら、普通は気付くよね。
 それでも別な人を候補にしなかったのは、理由があるそうだ。俺には意味不明だったけど。
 コンパスの適正がと言われたんだが、ドワーフ製のさまよえる塔をコンパスで探せることとシー村長と言う役職に何の関係があるのかが分かりません。
 ゲームではシーにも役割が振られているんだな程度にしか思わなかったけど、塔作成にドワーフ以外の種族が関わるはずないし、あと考えつくのは……信仰の関係か?
 神剣を模した神聖剣があるとなれば、創造神を信仰するシーに取って聖地みたいな扱いになるのかも。
 そう言えば、地球のとある宗教には聖地を指し示すコンパスがあるとか聞いたような気がする。
 でも、絶えず動いているさまよえる塔を示し続けるのは、塔を動かさざるを得ない理由と反しているとも思うんだよね。
 まさかとは思うけど、シーによる襲撃事件が考えられたため塔が動くようになり、なのに探すためシーのコンパスが開発されたとか……
 うあ、考えない方が良かった。どう考えても種族間抗争に足を突っ込みます。コンパス返して正解だったかもしれん。
 その理論からすると、コンパス所持者が村長限定だったのは、せめてものシー独自の枷だったんだろうとも思われる。
 探検希望者が村長に縛り付けられたら自由に動けないよね。
 グリックは「いつか探しに行きたかった」と言っていたけど、それを口にしたのに品自体をテランナへ渡し、それでいて折檻で済んだんだから運が良かったんだろうな。
 村長の役職から逃げられなくなったのは、まあ自業自得ってことで納得しよう。
 ただ、彼の前に村長候補となっていたテランナについては、コンパスを持ち去ったにも関わらず何のおとがめも無かった。
 これは不思議だけど、彼女が凄く勇者へ傾倒していたから勇者と共に塔へたどり着く可能性を考慮してたとか……?
 何年も掛かる壮大な計画だな。背景が複雑すぎて面倒くさいし、コンパス返したんだからもういいや。こっちは考えないようにしよう。
 そうそう、ゲームだと最終作で塔は爆発しちゃうんだっけか?
 中身の神聖剣をこれから持ち去るんだから、その後は塔の存在意義が無くなると言えばそうなんだけど、コンパスも爆発しちゃったりするのかなー。
 爆弾扱い出来ないかと一瞬だけ思った俺を許して欲しい。この世界では銃器が規制されているんで物珍しいだけなんです。
 剣が最強武器なんだから、どうせ使えても攻撃力は劣るだろうと思うしね。
 続編の『3』では銃や爆弾も出てきたけど、そちらも最強武器は剣になったしなー。
 ちょっとだけ寂しいだけで、べ、別に悔しくなんかないんだからねっ!
 このように引きずるものは色々あるんだが、少しだけ話を引き戻させてもらいたい。さっきのエルフ界における地位向上話にはまだ続きがあったんですよ、これが。
 話が長ぇーよっと言われかねないので端的に言えば、地位向上のもう一つの要因が『あの』テランナを嫁に引き取ったことなんだそうです……
 そんなに厄介な娘なのかと考えたものの、もう俺の口から他人へは彼女についての否定的な言葉が二度と出て来ないです。これは確定事項となりました。
 だって、ご褒美もらっちゃったんだもの! 実に美味しかったよ、こんちきしょう!!
 しかもシルヴィアと一緒にだったから、片方だけを否定することは絶対に出来ません。
 その状態から逃げおおせる強者も居るとは聞いてるけど、基本的に彼女は自分に素直なだけで俺を嫌っているんじゃない。
 むしろ俺に懐いているからこそ、口から吐く毒も突っ込み満載なだけで嫌みにはならなくなっている、と感じるようにもなってるんです。
 これは調教ですか!? 愛ですか!? いや、単純に俺が彼女に慣れただけだと思いたい。思わせてください。
 それに、シルヴィアとテランナ二人して「私たちが最初で良かったです」なんて言われたらもう何も言えないじゃんか。
 今後二人の態度が変わる可能性はあるけどさ、それは俺にだってあるんだし、今の時点で彼女たちを遠ざける要因にはならないよ。
 むしろ、これまで以上に二人が可愛く感じるようになった俺が変態的な行動へ走る方こそよっぽど可能性高い訳で……
 一応注意するし、今後の道中も隊長とユーギンが一緒に居るから機会はそうそう無いだろうけど、また二人の世話になりたいです。
 こんな感じで日本へ帰る気分が徐々に薄れてくるんですが、本来の目的をしっかり頭の片隅に留めておきたい今日この頃。
 以上、この村を離れるにあたっての俺の内心でした。
「しかし勇者よ。コンパスが無くとも塔にたどり着けるのは本当じゃろうな? ちょっとだけ不安じゃぞい」
 シー村人の見送りを受けた後、我々だけになったところでユーギンが心配そうに俺へ確認してくる。
 以前サルア城で俺がコンパスも必要だと言ったのを律儀にも覚えてるんだろう。
「たぶん大丈夫だ。視界拡大呪文は便利だし、塔だって確認出来るんじゃないかな。まあ、駄目なら別な手段を探すだけなんだけど」
「探したあげくに迷って遭難だけは勘弁じゃからな」
 ユーギンは塔を作ったドワーフ種族の一員なだけあって、ドワーフにおいて塔がこれまでどういう扱いだったかを知っていた。
 何でも、ドワーフ自身にも見つからなくなってるので存在否定派まで居ると言うのだ。
 一時期、存在肯定派が懸賞金掛けて探索させたらしいけど、三ヶ月経過しても見つからなかったので、それ以後は存在否定派が幅を効かせ何となくタブー扱いになっているんだとか。
 いくらドワーフが僧侶呪文使えないから視界拡大呪文で探せないとしても、同様の効果があるマジックアイテム『エルフの眼帯』や『水晶玉』があるんだからそれを素直に使えよと思う。
 それに本命であるシーのコンパスだってあるんだから、見付けられないのは逆に変だとユーギンへ言ったところ、何故か苦笑いされてしまった。
「それほどドワーフは呪文に疎いと言うことじゃよ。あとコンパスは借りなかったそうじゃな。理由は分からん」
 マジックアイテムなんかにうつつを抜かさない質実剛健の種族と言えば格好良いのかもしれないが、実態は頑固なだけなのかもしれない。
 そう言えば、これから探すことになるドワーフ製の神聖剣だって、神聖十五世界を貫く神剣を単純に模したものだしな。
 想像力が発揮された結果とは言い難いかもしれ……待て、もしかして神聖剣に実用性が無いことも考えられるのか?
 昔日本で作られた剣には、刃から突起が出ている妙な形のやつがあったりもする。
 儀式用に作成されたんだろうと推測されてるけど、神聖剣が同様の代物で無いと誰が言えようか。
 しかも、現在のドワーフはほとんど斧を使ってるんだから、当時のドワーフもやっぱり斧を使っていた可能性の方が高い。
 その環境にて作成された剣が今もって最強というのは、本当なんだろうか?
 ゲームではあまりの凄さに封印したとなっていたけど、しょぼくて失敗作だから封印しちゃったとか……うわー、何か心配になってきた。
 だいたい、さまよえる塔の設定だっておかしい。
 ドワーフだって創造神を信仰してるんだから、中に封印したのが神剣の模造品となれば、さっき考えたとおり塔が聖地になっている可能性も十分にある。
 なのに、わざわざ位置を知られないようにするため塔を移動機能付きにするって何でだよ。
 さっきシー襲撃とか変な風に考えたけど、ドワーフ自身も過去のものとして葬り去りたかったんじゃねーのかと更に悪い方へ考えてしまうじゃないか。
 せっかく手に入れた神聖剣が使い物にならなかったら、泣くぞ俺は。
 更にだ。そんな代物なら、ドワーフ長老へ鍵を預けて欲しいと伝えても駄目出しくらう可能性が高くなってしまう。
 斧の件を解決すれば鍵入手は大丈夫だろうと思ってたんだが、まだまだ考えが甘いのか……何てこった。
 ただ、今使っている魔法の剣ではゲーム時確認してないから暗黒皇子に通用するのか不安があるし、せめて剣の現物だけでも確認しなきゃならないよなぁ。
 俺は、伝承に詳しいと思われるシルヴィアへ尋ねた。
「サルア王家に、神剣の形についての伝承があったら教えてほしい」
 その彼女は、少しだけ歩きづらそうにしていたけど、俺に頼られたのが嬉しいのか笑顔で答えてきた。
「そうですね、神聖十五世界を貫く神剣の形については、一応伝わっているものがあります。でも、実物をどうやって確認したのか分からないので、良く考えたら真偽は不明ですね」
 俺も記憶を探ったところ、このゲームのパッケージに描いてあった気がするんだけど、ちょっと定かじゃない。
 神聖十五世界を貫く一本の剣、それが神剣なんだけど、全世界が通常空間で惑星状に直列で繋がっているのかと言われると違うと思われる。
 そんな状態なら、続編で科学が発達し宇宙空間に出ていた種族が居たんだけど、そいつらに征服されていると思うからね。
 だから、科学の発達した現代日本であっても剣の存在を観測することは出来ないだろう。ファンタジーなこの世界なら尚更だ。
 しかも神剣は創造神から産まれた光の神と闇の神との攻防でバラバラにされたんで、その破片から神聖剣を作る段階では既に原型を留めていなかったはずなんだよ。
 いくら鍛冶得意なドワーフでも破片から復元出来る訳ないし、それを知る手段となると、啓示とか電波とかでになるんだろうか。
 姿だけは世界のどこからでも見えたんなら分かるけど、それはさすがにファンタジー過ぎるかな。サルア王家にも現物確認方法が残ってないとなれば、あと分かるところはドワーフの伝承くらいしか頼るところ無いものなぁ。
 ああもう訳が分からない。実物見るまで保留にしたいですが、神聖剣が手に入らない場合も考えないといけないのか……気が重いなぁ。
 俺はそんなこんなで不安を抱えたまま、上機嫌なシルヴィアとテランナ、いつになく静かなユーギンに、ニヤニヤしている隊長とバラエティに富んだメンバーを引き連れてシーの村を後にしたのだった。




 次の目的地ドワーフ村はシー村を出て東に数日、更に川を越えた先にある。
 ゲーム時は、川を越える手段が分からなくて一時期苦労したんだよね。
 何故かこの川はエルフ界の一部を囲むように流れており、俺たちがこれまで居たエルフ城やシー村、更にはトロール城など多くの建物はこの地域内にあるんだが、ドワーフ村は外側にあるんですわ。
 いくつかある川越え手段のうち、今回使ったのは船で渡る方法。
 船を操作出来る隊長が居るから使えたんだけど、その他の手段は前にも言った呪文『翼よ、はばたけ』を唱えるか『ペガサスの羽』を使うしかないんでちょっとだけ面倒です。
 あっと、何故かトロール城に地下通路があったっけな。でもあそこ、トロール軍団をなぎ倒してかないとたどり着けないから俺としては使いたくないんだよね。
 トロール城には『緑の石』があるから、いつかは行かなければならない場所とは言え、出来れば後回ししたいなぁ。
 まあ、神聖剣があればトロール退治は楽勝になるんでそんなに遅くはならないはず。たぶん石の入手順番では一番最初になると思う。
 そうそう、くだんのトロール城地下通路は、船と翼が使えないプレイヤーへの救済措置らしいと聞いたことがある。
 川向こうのダンジョンでいくつか羽を拾えるはずだから行き来に問題は無いはずだと今の俺なら思うんだが、当時は雑誌しか外部情報無かったし、間違えて捨てたりした人も居たんだろうか。
 ただ……そこまでやっていながら、何で魔神城には救済措置が無かったんだよと叫びたい気持ちには今もなったりする。
 以前言った羽が必須な場面なんだけど、最終ダンジョンである魔神城へ一回目に侵入する際がそれなんだ。
 二回目になると普通に歩いて入れるものの、仕掛けをクリアしないと城の周囲が溶岩に囲まれた状態なので最初は羽か呪文が必須なんだよね。
 それならば、仕掛けクリア後に入れば良いと思うだろ?
 驚くべき事に、仕掛けクリアに必須な『赤の石』が初期状態の魔神城の中にあるんだわ。
 しかも中にはそれ以外の宝物が無く、翼を唱えられる魔法使いが居るか羽を余分に持ってないと帰れなくなるんです。
 ゲーム時、うっかり持ち物確認しないで入ったら、帰りの分の羽が無くて最初からやり直した苦い思い出が……い、今はみんな各自で気を付けてくれるから大丈夫だよね?
 会話の無いゲーム時と違い、今の俺たちはきちんと意思疎通を図りながら旅をしている。
 ちょっとだけヤり過ぎたと思わないでもないけど、今言った間抜けなことには今後ならないだろうと思うし、現にドワーフ村へ近付くにつれ、口数の少なくなったユーギンを励ましたりしてます。
「ほら、ユーギンが生き残ったのは卑怯者だからじゃないっつーの。剣が強かっただけだろ? 長老だって分かってくれるから心配するなよ」
「そうですよー。ユーギンが強いのは分かってますから無問題です。口なら任せてくださいね」
「いや、気持ちはありがたいんじゃが……」
 だけど彼の表情は冴えないままだ。アーケディア砦での惨状については、ユーギンの他にもう一人生き残ったドワーフが居ると聞いていたし、俺と出会った際の表情は明るかったんだから大丈夫だと思ってたんだが、いざ近付いてみると意に反して足取りが重くなってしまうようだ。
 ドワーフ村への招待を自分から言い出したんだから不安持ってなかったんだけどなぁ。
 ただ、足取り重い気分は少し考えれば納得出来る。
 砦の件はもう一人のドワーフから村へ伝えてもらってるはずなんだけど、その結果が分かってないし、さまよえる塔の鍵となる『金の指輪』については長老が持っていてユーギンの権限じゃ預けてもらえるか分からない。
 おまけに剣と斧の関係についてもまだ決着ついてないしで、自分の失敗が即この旅の失敗になるかもと不安に思ってるんだろう。
 魔法斧の作成については俺も良い考えを思い付いてないんで何とも言われないが、俺の勇者評判が上昇してるから庇うことくらいは出来ると思うんだよね。
 テランナの話によれば、先のシー村決闘騒ぎはエルフ界全体に広まっているはずとのこと。
 その中身なんだけど、俺は勇者に相応しい武力の持ち主であり、シー村次期村長を説得できる頭の良さをも持ち、かつ二人を相手して動じないキノコの使い手なんだそうだ……って、最後のはどう言う内容だよっ!
 キノコ使わないと夜も昼も戦闘出来ない俺なのに、それが良い評判になるって何でですかっ!!
 俺は片手で頭を押さえながら、テランナへ質問した。
「テランナさんや。俺がキノコ使いとして噂されているのは、果たして良い内容なんでしょうか? 逆に笑われてるんじゃねーの?」
 それへ彼女は、何が問題なのかと首をかしげて答えてきた。もうこの頃になると一時的な体調不良は治ったので普通に歩きながらだ。
「リュージさんが素晴らしいキノコ服用勇者だと言うことは間違いないんですが、どこに卑下する内容が含まれているんでしょーか? もしかして下のヒゲでしたらば、私と姫様しか知りませんから大丈夫ですー。あっと、姫様じゃなくてシルヴィアの呼び名は第一婦人でしたよね。これは失礼」
「下のヒゲ言うなっ! もうちょっと慎みを持てっ!! 後、シルヴィアの呼び名は姫様で良いからな」
「えぇ? 今のどこに怒鳴られる要素があるのか分かりませんですー。それと、姫様の呼び名を続けさせるってことは、私はリュージさんにとって姫じゃないってことなんですかっ!? 第二婦人の地位向上はどうなったんでしょうかー? 棄却を要求しますですー」
「今の発言じゃ、お前なんか駄メイドのままで十分だっつーの! せっかく可愛いのに、言葉使いで台無しだよ……あ」
 ポロリと出た言葉へ、テランナは敏感に反応した。即座に顔をニヤニヤさせ、シルヴィアへ語りかける。
「聞きましたか奥様。とうとう旦那様が私へも『可愛い』発言ですよ。お世話した甲斐があったですよねー」
「リュージ様。第一婦人へも囁いてくれますよね? ああ、あの日は何回でも言ってくれましたのに……今からお世話した方がよろしいんでしょうか」
 悔しそうな顔でヨヨヨと目尻へ手をやるシルヴィアへ、俺は即座に謝った。
「すいません。こんなところでは恥ずかしいです。シルヴィアも十二分に可愛いので勘弁してください」
「そうですか。じゃあ、今から始めますね」
「何でそうなるんですかっ! 隊長たちも居るのに、訳が分かりませんですよっ!?」
「えっ? 食事の世話なのに、どこが問題なんでしょうか、リュージ様っ」
「……」
 何てこった。シルヴィアが俺をもてあそんでいる……くっ、釣られた魚に餌はいらないと言うのは本当だったのか……
 目眩を覚えた俺へ、不意に隊長が言葉を掛けてきた。
「仲が良いのは結構なんだがな、少しは周囲にも警戒しろよ」
「はい」
 素直に頭を下げた俺を見て、シルヴィアも頭を下げた。
「すいませんクモン。少しはしゃぎすぎでしたね」
 だが隊長は、何とシルヴィアにだけ問題ありませんと返答した。
「いいえ、姫様はこのままリュージの手綱を握り続けてくだされば結構ですよ。この歳で職を失いたくはないですから」
「それは、日本におけるサラリーマンの地位を失った俺への当てつけですかっ? 俺がおっさんだからですかっ!?」
 俺が嘆いても、隊長の口調は変わらなかった。
「いや、リュージは王様稼業があるんだから当てはまらないだろう? 何を言ってるのか分からんぞ」
 突き放されてしまった……こうなると、ユーギンだけが俺の味方か?
 そのユーギンへ顔を向けると、さっきとは違い、顔には少し明るさが戻っていた。
「いやはや、楽しいもんじゃのう。さて、儂も参加するか」
「ええっ? ユーギンまでいじめてくるって何かしたか俺?」
 最後の味方まで失った俺に、ユーギンも不思議そうな顔をしてくる。
「シー村での不甲斐ない戦闘を忘れたとは言わさんぞい。まだまだ旅は続くんじゃから、覚悟するんじゃな」
 ああ、確かにまだまだ修行は必要だよねー。ダークナイトやドラゴンとかが待ち構えているんだから頑張らないと。
 これまでの流れとは微妙にズレた内容だったが、それでも俺を楽しんでいる内容に間違いはなかった。これでちょっとでも嫌な思いが薄れると良いな。
 結局、示し合わせて食事の準備に入ったシルヴィアとテランナを置いて、俺は隊長とユーギン双方から戦闘訓練を受けたのだった。
 それにしても最近、まともなレベル上げしてないなぁ……




 そんなこんなでたどり着いたドワーフ村は、絶対回らなければならない場所のうち人類の住む場所としては最後の場所になる。
 ここでさまよえる塔の入り口鍵となる『金の指輪』をもらえれば、後はダンジョン巡りだけになるので一気に攻略が進むと思う。
 ダンジョンでそろえるべき物は、さまよえる塔で神聖剣五振り、魔法の封じられた洞窟で角笛、トロール城で緑の石、魔神城一回目で赤の石、そして幽霊船で青の石だ。
 魔神界へ渡るのに必要な黒の石はサルア王が準備してくれるので、それがあるエルダーアイン界の赤の塔は攻略しなくて済むのがありがたいな。
 実はあそこも一箇所酷いところがあって、部屋に入った途端、ドラゴンが襲ってくるところがあるんだ。
 塔の二階へ上がる直前にデュラハンと言う強いモンスターが門番をしていて重要ポイントだってことはすぐ分かるんだけど、最初の世界にあるもんだから完全攻略してエルフ界へ行きたいなんて欲を掻くと逃げられなくなり困ったことになるんだよね。
 そんな場所なのに、サルア王はどうやってあそこを攻略するんだろう?
 ちょっとだけ疑問には思うけど、まあ駄目だったら後で俺たちが行けば問題無いから大丈夫だろう。
 強敵ドラゴンも、魔神界へ行けばそこいら中をうろついていて何回も戦う羽目になるし、いつかは倒せないと暗黒皇子までたどり着けないからなぁ。
 それもこれも、神聖剣を手に入れてからの話だけどさ。
 物思いをしながら見たドワーフ村も、シー村同様に柵で覆われていた。
 いくらドワーフが強い戦士たちであるとしても、拠点防衛に柵は欠かせないからなぁ。有刺鉄線とか教えたら大活躍してくれるだろうか?
 モンスターだとあんまり意味ないかもしれないが、少なくとも時間稼ぎくらいにはなるかもしれないと思いつつ、門番さんへ声を掛ける。
「勇者に任命されたリュージと申します。村へ入れてくれませんか」
 そのドワーフは名乗りを聞いて一瞬だけ考え込み、それからあぁと声を出した。
「名前は噂で聞いてたぞ。何でもトロールさえ押し倒す剛の者だとか。こんなおっさんだとは聞いてなかったが」
 目前のドワーフは、日本人のイメージ例に漏れず髭をびっしり生やしている普通のおっさん顔だ。
 だから俺は、つい怒鳴り返してしまった。
「何でトロール押し倒す必要があるんだよっ! あと、おっさんにおっさん言われたくないわっ!!」
 トロールはゲーム時王様が居たからたぶん男女の別があるんだろうけど全く見分けつかないし、そもそもモンスターに手を出すって意味が分かりません。
 更に言えば、俺には嫁が二人も居るんだから完全に間に合ってますっ!
 俺が反論したら、そのドワーフはちょっとだけ困惑したようだった。
「いや、『キノコ無双』って聞いたから若者だと思ってたんだ。それに付いてはすまない」
 つまり、トロールの部分はありうるとまだ思うわけですか。倒すならともかく押し倒すなんてそんな趣味ねーよっ!!
 それにしても、門番がこんな変な対応してくるなんて聞いてないぞ。ドワーフの常識はどうなってるんだ。
 思わず話が違うとユーギンの顔を見たら、これまでにないくらい驚いた顔をしていた。
「お主……ガルバロかっ! 生きていたんじゃな。良かった……」
 その反応に、照れくさそうな顔で笑いながら門番ドワーフがユーギンの肩へ手を掛ける。
「お前こそ、よくぞシルヴィア姫を救出出来たものよ。助けを出せず、すまなかったな」
「いや、それは儂だけじゃ出来んかった。仲間のおかげじゃな。それにしても、お主こそ生きていたのは僥倖。一人で村まで行けなんて無茶をさせたのにな」
 感極まっている二人の話からすると、どうやらこの門番さんはアーケディア砦で生き残ったドワーフ傭兵のもう一人らしい。
 確かシルヴィアの牢屋を開けるのに、錠前使いを連れてこようとしたんだっけか?
 生きていたんなら連絡してくれればありがたいのにと一瞬思ったけど、この世界では通信施設がないので連絡に時間が掛かる。
 俺たちへすぐ連絡を届けられないのは当然だし、この人だって砦の攻防で怪我してただろうからその回復期間も必要だったはずなので、ここで無事に再会出来ただけマシとすべきだよな。
 俺がうんうん頷いていると、不意にユーギンが不安そうな目付きでこうガルバロさんへ言った。
「その、なぁ、勇者の話を聞いてるとすれば、儂が勇者に付き添っていることも聞いてるかと思うんじゃが……長老は会ってくれるじゃろうか」
 その質問はこの村で一番重要なことだ。
 長老が会ってくれないとすれば、さまよえる塔へ入る手段が無いことになるからね。
 ユーギンの不安はもっともなことだったが、ガルバロさんは普通に返答をよこした。
「会うぞ。と言うか、不甲斐ないから直々に拳骨食らわせると言ってたな。覚悟しとけよ。ちなみに俺も食らったよ」
「それくらいで済むならな……ただ、あれは痛みはないのにしばらく動けなくなるんじゃよなぁ」
「俺の拳でも動けなくなるお前が何を言う。長老のは俺のより痛くないぞ?」
「いや、お主のも痛みが無いのにしばし動けなくなるのが変なんじゃが……まあそれで会ってくれるなら良しとすべきか」
 ユーギンが妙なことを言って溜め息吐いたのを見てから、ガルバロさんはくるりと俺へ顔を向けた。そして、ちょっと苦い感じで笑う。
「勇者についてはな、剣を使ってるのが不満なんだそうだよ。曰く『その剣を作ったのは誰じゃあー!』だそうだ」
 その頭悪い発言は止めて欲しい。権威だけしか持ってないようなイメージが湧いてくるじゃないか。
 いや、長老だから権威は持ってるんだけど、それに対抗するのがユーギンってことに凄く不安を感じてしまう。
 せめてこのガルバロさんも味方になってくれないかと思いつつ、俺は言葉を選んで口を開いた。
「誰って言われても、たぶんエルフ作だろうとしか言えないですよ。ドワーフが『魔法の剣』を作ってくれるなら使ってみますけど……」
 ちょっとだけ語尾を濁したら、ガルバロさんは、まぁなと頷いた。
「それに関しても少しは聞いてる。でも、精製出来ないものなぁ」
 このガルバロさんは、砦の生き残りで分かるとおり傭兵稼業をしているが、斧を振り回すだけでなく一般鍛冶も出来るんだそうだ。
 と言うか、戦闘能力自体はドワーフの中では高いと言えないんで、戦いの合間に武器の手入れをおこなうのが主な任務とのこと。
 だから砦陥落の際も生き残れたんだとさ。反対にユーギンは、獅子奮迅の働きで生き残ったとも聞いた。
「儂は鍛冶方面は優秀とは言えんでな。昔からガルバロにずいぶんと助けられたものよ」
 この旅の間中、武具の手入れはユーギンに任せてたから分からなかったが、あれでもドワーフ基準では一流ではないらしい。
 俺はユーギンの手並みに感心していたので、それじゃ超一流とはどれくらいとついユーギンに尋ねたら、即座にガルバロさんと答えられてしまった。
 驚くべき事に、彼は携帯用の鍛冶道具を持ち歩き、材料があればどこででも武具を作れるんだそうな。えっ、それおかしいだろ!?
 俺が持つ鍛冶のイメージと違うので少し詳しく聞いてみたところ、その結果は良く分からないとしか言いようがないものだった。
 普通、鍛冶は道具のみならず専用の場所をしつらえなければならないはずなんだが、彼はそれらを含んで一式持ち歩けるらしい。
 俺にはどんなものか想像がつかんが、これまでの実績からユーギンが嘘を言ってないのは何となく分かるので本当なのだろう。一種のマジックアイテムなのかな?
 幸いなのは、力持ちのガルバロさんしかセット一式を持ち歩けるドワーフが居ないことだな。
 いや、幸いと言うのは変なんだけど、それほど俺の頭では不可解としか思えなかったんだよね。
 力持ちの件については、ゲームだと確かガルバロさんは村一番の力持ちと豪語してたはずなんで、それでなのかと密かに納得は出来る。
 納得出来るのは、あくまで力持ちの件だけなんですけどっ!
 それはさておき、さっきの話で重要なことは、この人がエルフとドワーフの金属論争を知っていたことだ。
 なので長老にエルフとの共同作業を頼めないかと恐る恐る尋ねてみたら、明らかに目をそらされてしまった。
「俺が雷の再現無理ですって言ったら、それじゃ断ろうって話になったんだよね。あはは」
 お前が決裂の原因かよっ!
 思わずカッとなってしまったけど、俺は静かに息を吐いて心を静めた。
 さっきまでの話を聞く限り、仕方ないのかもしれないと思い直したからだ。
 鍛冶が村だけで行われるものならエルフが常駐して一緒に仕事出来るかもしれないが、この人は常に戦場で鍛冶をしている。
 武器の手入れが出来なければ困ったことになるのは間違いないから、魔法の剣について全工程をドワーフで再現出来ない現状では共同作業も否定的にならざるを得ないんだろう。
 だとすると、エルフだけで魔法斧を作っても絶対使ってくれないよな。手入れできなければ捨てることになるんだし。
 それ以外で考えていたカタナの製造方法については、それが分かってもあの複雑な工程が携帯鍛冶場で再現出来るとは思えないし、どうすりゃ良いんだこれは。後はドワーフでも雷を扱えるようになる無茶な話しか思い付かないぞ?
 俺が肩を落としてハァと溜め息を吐いたら、シルヴィアが不意に口を挟んだ。
「立ち話も良いんですけれど、どうかリュージ様を長老へ会せていただけませんか? ガルバロさんも仕事の途中ですし、ユーギンさんとの続きはその後でどうでしょうか」
 その言葉を聞き、確かにここで長話は予定外だったとガルバロさんは素直に認めてすぐさま俺たちを長老の家へ案内してくれた。
 それは良かったけれど、長老からさまよえる塔の鍵となる『金の指輪』を譲り受けられるかについては、困難になったと思わざるを得ない。
 俺が何かを言ったとしても、ドワーフが魔法金属精製のため雷を扱えるようには……ならないよな、やっぱり。
 地球人だって、雷イコール電気を解明するのにかなり時間を使っている。このファンタジー世界で仕組みを教えたとしても、一朝一夕に発電装置を作成出来るはずが無い。
 しかも、この世界では雷の再現が魔法で出来るんだぜ? 精霊に頼む方式とは言え、精霊無しで可能と知ったら魔法使いから反発されること必至だ。
 現在魔法物質制作現場の中心に居るエルフのウルル王はかなり疲労してたし、魔法使い代表として反論を押さえ込んでくれるかもしれないけど、それもこれも電気が再現出来るならの話だ。あぁ、詰んだかこれは。
 シルヴィアが大丈夫ですよと手を握ってくれてるものの、握り返すほどの握力がなかなか出ないくらい俺は凹んでしまっている。
 取りあえず長老から拳骨もらうのは確定らしいけど、全く交渉案を思い付けないまま俺たちは長老宅へ足を踏み入れたのだった。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.10777616500854