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No.36050の一覧
[0] CLANNAD 岡崎篇[谷口](2012/12/11 23:51)
[1] 2話 岡崎の思い[谷口](2012/12/06 00:00)
[2] 3話 懐かしき仲間達 前編[谷口](2012/12/10 00:22)
[3] 4話 懐かしき仲間達 中編[谷口](2012/12/09 23:03)
[4] 5話 懐かしき仲間達 後編[谷口](2012/12/11 23:50)
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[36050] CLANNAD 岡崎篇
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82 次を表示する
Date: 2012/12/11 23:51
汐‥。


渚‥。

~汐の葬式~
「熱の出た娘さんを外に連れ出したんですって!」
「父親なのに、どうしてだろうな?」


 様々な場所で岡崎の行動に対する苦言を連呼する中、椅子に腰かけて汐の棺桶を茫然と眺める岡崎 朋也の姿があった。何もできなかった自分の無力さと何もかも失ってしまった絶望感に打たれてしまった岡崎は、こうして棺桶を眺めるということしかできなかったのだ。
 そこで、ボーっと見ていると1人の男が岡崎の元にやってきた。
「お前が悪いわけじゃない」
と言ってくる男を見ようと岡崎はゆっくりと顔をあげる。情けない顔をし、顔の周りにはひげを剃らずにいたため、草むらみたいに伸びていた。
「‥‥おっさん」
 顔をあげると、古河 渚の父 古河 秋生の姿があった。情けない顔をして、周りの声が聞こえないようになっていた岡崎におっさんの声は届いた。葬式というのに、火のついてないタバコを咥えて岡崎を慰めに来たのだ。
「慰めならいいぜ。俺が‥‥汐を殺したんだ」
後悔しても‥後悔しても…しきれないぐらいの思いに岡崎は涙を流した。拳を膝の上で強く握りしめうなだれている姿を見た秋生は、岡崎の肩に手を置いた。
「周りは、お前の苦しみ、悲しみ、そして、汐にやった行動を知らない。気にするこったねぇよ。でもな!お前がそんな顔していたら、汐だって‥‥渚だって‥‥」
秋生は、渚を口にした途端、下をうつむいてしまった。
 秋生だって、自分の無力さを感じているのだろうか?渚が死んでしまった事を自分のせいだと思っているのか?俺の気持ちを分かろうと、暗い過去をひっぱりだして、一緒に悲しんでくれるのだろうか?
そんなことを思っている岡崎は、すっと立ち上がり秋生の肩を掴んだ。

「おっさんは、渚を立派に育てたじゃねぇか!俺は…渚が残してくれた最後の子供さえも死なせるバカだ。おっさんのように、小学校や中学校‥俺が渚に会った高校でさえも行かせることができなかった。俺は、汐の願いを叶えようと外に出た。でも、その願いは大きな代償を払ったんだ。それは…汐の死だ‥。渚は、俺の恨んでいるに違いない。きっと、俺のことを嫌いになったかもしれない。俺は、おっさんや早苗さん、渚や汐を大事に思ってくれるたくさんの人の願いを殺してしまった。だから、俺は…おれ‥は」
岡崎の思いは、強く秋生の胸に突き刺さった。

「バカ野郎!!」
大きな声が秋生と岡崎の後ろの方で聞こえた。
 そこには、汐と同じ幼稚園の園児だった。一気に注目が集まる。
「なんで、汐ちゃんを殺したんだ」
まだ、小さい子供の言葉でさえ、岡崎の胸には強く突き刺した。何も言えず、ただうつむくことしかできない岡崎に近くに居た園児と同じように周りの人も同じことを言ってるようにみえた‥‥おっさんでさえも‥‥。



 汐の葬式は、終わりを迎えた。出火される時、そこには岡崎の姿はなかった。


~葬式場の外~
岡崎が葬式場の外で2~3段しかない階段の上に座りながら、寒い風に当たりながら、園児の『殺した!』という言葉が頭を周っていた。
 「朋也‥ここに居たの?」
聞き覚えのある声が耳元でした。涙でぐしゃぐしゃになった顔を向けると、

「杏」
‥‥藤林 杏 の姿がそこにあった。
 藤林 杏は、汐の先生で岡崎の同級生だった。心配な顔をして、そっと近づいてきた。

「汐ちゃん‥が亡くなったことをご冥福お祈りします」
「わざわざ、そんなこと言いに来たのか?どうも‥今は1人にしてくれ」
少し強い言い方になってしまったが、本当に1人にしてほしかったのだ。
 それでも、近くにいようとする杏は、話しかけてきた。
「あんたらしくないわね。自分のせいにしないようにね!汐ちゃん!朋也といる時が、一番輝いて見えた。やっぱり、親子なんだって思えた。渚さんが亡くなったときも、朋也が申し訳なさそうにしていた。そして、汐ちゃんを渚さんの両親に押し付けて、ここでうなだれていた。あの時と何も変わってない。そんな顔していたら、汐ちゃんも渚さんも悲しむと思う。だから‥」
「喜べってか?」
「え?」
慰めの言葉は、逆に岡崎を怒らせた。
「喜べばいいのか?杏!」
恐い顔をしながら、杏に話しかけた。
「違う‥違うの!でも、そんな顔をして‥」
「俺が殺したんだ!汐も…渚も……」
バッ
杏は、岡崎が肩を落とすと、その背中を抱きしめた。何も言わない岡崎は、ただ‥ただ‥下を向きながら肩を落としていた。杏は、抱きしめたまま動かない。

「朋也‥‥あなたのせいじゃない。だから、自分を責めないで」
温かい吐息が岡崎の耳に触れた。その吐息は、『自分を責めるな』と言わんばかりの温かい想いと願いがこもっていた。杏は、すっと背中から手を離して去って行った。
「俺が、汐や渚を殺した。でも、おっさんや杏は俺が殺したとは思っていない。
『殺した!』あの園児もきっと、汐の友達だったんだよな‥‥あと、10年‥‥20年生かせてあげていれば、素敵な人とも会えて、俺と渚のように‥俺も満足できたかもしれない。なんで、まだ!5年だぞ!なんで死なないといけないんだ!ちくしょう!!」
大きな声で空に叫んだ。何も知らない空に、月明かりが町を照らしている。澄んだ空に星が輝いている。その1つ1つは、渚か‥汐かもしれない。何1つ叶えてやることができなかった岡崎は、空を見上げることしかできなかった。
 あの桜道で渚と出会わなければ、渚も汐も悲しむことができなかったのに…悔やんでも、悔やんでも仕方がない。岡崎は、自分の無力さを改めて知った。



 岡崎は、夢を見た。渚や汐が生きていて、渚がエプロン姿で3人分の朝ごはんを作っているところ‥汐がランドセルを背負って「パパ!見て?」とランドセルを見せる姿‥‥。すべて夢なのに、違う温かさを感じた。


~古河店~
 汐の葬式が終わって20日が経った。
岡崎は、寒い冬景色を眺めながら、歩いていると早苗さんが泣きながら走ってきた。
「俺は、大好きだ!!!!早苗~」

遠くでおっさんの声が聞こえた。
「またか‥」
なぜか、懐かしく感じだ。あの時、渚の家に初めて行ったとき、早苗さんのせんべいパンやおっさんに怒鳴られたり、渚の笑顔‥すべてが夢のような日々に感じた。
「岡崎さん‥。こんにちは」
早苗さんが岡崎に気づき挨拶してきた。
「こんにちは」
岡崎は、申し訳なさそうな顔をした。それを見た、早苗は笑顔で岡崎の手を握ってきた。いきなりのことで慌てる岡崎を笑ってくる。
「早苗さん‥こんなとかおっさんに見られたら‥」
「貴様!何をしてやがる」
と言ってると岡崎の後ろで聞き覚えのある‥早苗さんの‥番犬‥違う。もっと、恐ろしい何かが後ろにいることに気が付いた。
 ゆっくり後ろを見ると…おっさんがいた。
「貴様!渚の代わりに早苗を取るつもりか!!」
「違う!誤解だ。早苗さん、手を離してください」
「離しちゃうんですか?う~」涙目をする早苗。
「貴様!早苗を泣かせるな!殺すぞ!」
「どうすればいいんだー」
なんとか、その場を収めた岡崎は、久しぶりに笑った。今まで、笑う事ができなかった日々をこの人たちは岡崎の日々を変えてくれた。
「久しぶりに笑った気分はどうだ?」
「笑ったというより焦ったわ!」
「アハハハ」おっさんは、呑気に笑い、早苗さんもクスクス笑っていた。岡崎をつられながら笑った。
本当にいいのだろうか?岡崎は、頭の中でそう思った。

3人は店の中に戻ろうとすると、店の中に1人の女の子がいた。


〈作者の感想〉
ありがとうございます。
CLANNADの汐の死後の世界を書かせていただいています。岡崎 朋也の前に現れた謎の女の子の正体を2話で書かせていただきます。みなさんの感想やアドバイスを楽しみに待っています。
1話 汐との別れ
読んでくださりありがとうございます。


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