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No.36036の一覧
[0] ヘロヘロさんがINしたようです(オーバーロード二次創作)[えいぼん](2012/12/03 23:34)
[1] 第01話[えいぼん](2012/12/23 01:17)
[2] 第02話[えいぼん](2013/01/03 13:09)
[3] 第03話[えいぼん](2012/12/20 20:56)
[4] 閑話1[えいぼん](2012/12/07 23:40)
[5] 第04話[えいぼん](2012/12/23 01:15)
[6] 第05話[えいぼん](2012/12/09 07:35)
[7] 第06話[えいぼん](2012/12/10 23:36)
[8] 第07話[えいぼん](2012/12/23 01:41)
[9] 閑話2[えいぼん](2012/12/14 22:20)
[10] 第08話[えいぼん](2012/12/23 02:00)
[11] 第09話[えいぼん](2012/12/23 02:08)
[12] 第10話[えいぼん](2012/12/24 17:38)
[13] 閑話3[えいぼん](2012/12/24 19:00)
[14] 第11話[えいぼん](2012/12/26 21:35)
[15] 第12話[えいぼん](2012/12/28 21:34)
[16] 閑話4[えいぼん](2012/12/28 21:42)
[17] 第13話[えいぼん](2012/12/31 19:58)
[18] 第14話[えいぼん](2013/01/03 21:01)
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[36036] 第07話
Name: えいぼん◆d3fec379 ID:b1fb4ca7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/23 01:41
モモンガさんの言葉に、20人の王国戦士達が一斉に抜刀した。

王国内であるのにあれだけ堂々と領土宣言したのだから、この反応は当たり前だ。
絶望のオーラ(弱)に晒されて顔を青くしながらも恐慌状態に陥ることなく戦士長の指示を待つあたり、彼等はよく訓練されているように思う。
それを受けて、アルベドもモモンガさんの前に出て臨戦態勢に入った。

「ヒ、ヒイィ!」
「待て、アルベド!」

だが村人達の中で唯一効果範囲に入ってしまった村長は、当然彼等のように日々の戦闘訓練を積み重ねていない。
パニックを起こして、その場にしゃがみこんでしまった。

「すまぬな村長、大丈夫か?」
「は、はい……」

うっかりしちゃったぜ、みたいな感じでモモンガさんは絶望のオーラを止めて村長を助け起こす。
そのまま村人達が寄り集まっている方へと避難させると、モモンガさんは抜刀状態のまま構えている王国の戦士達に向き合った。

「まずは待っていてくれたことに感謝しよう。村民を巻き込まずに済んだ」
「こちらも無辜の民を傷つけるような真似は本意ではない」
「無為な殺戮は私の好むところではない。その行為に免じて、今なら抜刀はなかったことにしても構わないが?」
「……総員納刀」

戦士長の言葉で、隊員達が一斉に攻撃態勢を解いた。
まさかここでモモンガさんに譲るような対応をするとは、武官なのに随分と理知的な行動を取る人だ。

「王国への侵略行為は断じて認められん。しかし我々は墓荒らしではない。そこが墓地だと言うのであれば、対話で解決する余地があるように思うが如何?」
「ふむ、お前達が死に敬意を表すのであれば、こちらも無理を通そうとは思わないが……うん?」

モモンガさんが何かに気づいたようだ。
鏡を注視していると、広場に駆け込んできた騎兵が大声で告げた。

「戦士長! 周囲に複数の人影を確認、村を包囲するように接近してきます!」
「規模は?」
「マジック・キャスターを中心におおよそ50名、数十体の天使も姿をみせています!」
「……天使を召喚するマジック・キャスターをこれだけ揃えたとなると、スレイン法国の可能性が高いな」

その言葉を聞いた俺は、先ほどの騎士――工作員の自白内容の中で今伝えるべきことだけを頭の中に抽出しながら、
即座にスクロールを使ってモモンガさんにメッセージを飛ばした。

『先ほどの捕虜は、バハルス帝国騎士に変装したスレイン法国工作員で、狙いは王国戦士長ガゼフ。村を襲ったのは囮行為だそうですよ』
「憎まれているな、王国戦士長よ。狙いはお前だそうだ」
「……自らだけでなく、優秀な部下まで持っているようだな」
「部下ではない。アインズ・ウール・ゴウンの同胞にして私の右腕、支援攻撃と暗殺のエキスパート、殺し屋、バヨネット、首切判事、エンジェルダスト……、
さあヒューマン共よ、遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ、我が召喚に応え今こそ出でよ、ヘロヘロオオォォォッ!」

パチリと指を鳴らすモモンガさん。
色んな意味で長寿な番組、徹子(205歳)の部屋での芸人よりも厳しい前フリをされて戦慄する俺。
というか昔に俺が教えたアニメの敵役とも交じっちゃってグダグダだし、本当に行かなきゃ駄目なのか……駄目だろうな。
スクロールで開いたゲートに入ってモモンガさんの前に跪き、俺はしぶしぶ口を開いた。

「……おーだーをよこせ、まいますたー」
「あれ、随分とやる気がないですね。どうしたんですか?」

俺の棒読みなセリフに、モモンガさんが小声で問い掛ける。
言いたいことは色々あるが、悪い意味で胸熱な今の俺にそれをこっそり伝えるのは不可能だ。
首を傾げるモモンガさんだが今は外野の方が気になるようで、胸を反らせて俺に告げた。

「オーダーはオンリーワン、サーチ・アンド・デストロイだ!」
「……にんしきした、まいますたー」

口調や声の抑揚までが昔に教えた通りであり、かなり上手くて余計に腹立たしい。
3文芝居を繰り広げつつ、俺は内心で盛大に舌打ちした。
うっかり「オーダーを寄越せ」なんて登場をしたせいで、あんまり関係ないのに俺が外敵を倒す流れになってしまった。
しかしあんな前フリをされて「あ、どうも、ヘロヘロです」みたいに入っていくのは不可能に近い。
内心でモモンガさんを呪っている俺をよそに、戦士長がこちらへ話し掛けてくる。

「待ってくれ、奴等の狙いは私のはずだろう。なぜ1度は剣を抜いた我々を助けようとするのだ」
「お前達を守ってやるのではない。無力な村人を虐殺するような輩に不愉快さを感じているだけのこと」
「……いずれ対峙するやも知れぬが、今は共通の敵を持つ戦友として対応させて頂こう。行動を共にして貰いたい」
「不要だ。私と同胞だけで十分だからな」

にべもないモモンガさんの言葉に、なおも食い下がる戦士長。
ここは僅かでも彼の心象をよくしておきたい。

「我が主よ、ここはアインズ・ウール・ゴウンの偉大さを理解させるのも良かろう」
「ふむ、ならば存分に見せつけてやるとしようか。生を軽々しく扱う者の末路を」
「我等で敵を郊外まで釣り出すつもりだ。貴殿達にも騎兵部隊に参加して頂く。異存は?」
「……お前達は1つ勘違いをしているようだから言っておこう。あんな雑魚共はヘロヘロさんだけで十分だ。私は村の防衛に専念しよう」

騎兵部隊と聞いた瞬間に手のひらを返す骸骨。
馬に乗れるか自信がないんですね、わかります。
というか俺にもリアル騎乗スキルなんてないよ、どうすんだよ!

「しかし、それでは!」
「そちらの様子も伺っておく。必要ないとは思うが、万一の時には助力もするから安心して戦うがいい。お前達の出番があるかは知らぬがな」
「貴殿にも最初から参戦して欲しいが……仕方あるまい。では騎馬を1頭そちらに――」
「それもまた不要な気遣いと知れ。何も問題はない。さぁ、作戦を開始しようではないか」

よかった、流石はモモンガさん。
自分だけ騎馬回避を行うような人じゃないと信じていた。

いかぶしげな表情の戦士長だったが、なにせ時間がない。
モモンガさんの言葉を信じて、騎乗の号令を掛けた。

「総員、出撃!」

戦列を並べた騎兵が一斉に動き出したので、その先頭を駆ける戦士長に併走する俺。
彼は横目で俺を確認し、スッと視線を前に戻すと、凄い勢いで首ごとこちらに振り向いた。

「なっ!」
「前を見ろ、敵は間近だ」

思わず拍手したいくらいのお手本のような二度見だったが、今はロール中なので褒め称えるわけにもいかない。
だがこれからは親しみを込めて、心の中でガゼフと呼ぶことにしよう。

……いけない、どうも先ほどから情緒が不安定である。
余計なことばかり考えてしまう自分に、その原因がわからず心はモヤモヤする一方だ。
なぜだろうと考慮する間もなく状況は進展していった。

ガゼフが騎乗したまま弓を放つ。
だがあっさりと防がれ、逆に馬へ魔法をかけられたようで慌てて飛び降りた。
後に続く彼の部下が手を差し伸べようとするが、空中から迫り来る天使の方が早い。

俺はその天使に向けて白金の銃を放った。
一瞬で霧散した天使に、敵も味方も動揺している。
しかし流石は戦士長だけあり、いち早く立ち直ったガゼフが部下の手を拒絶して命令を下す。

「いらん! 反転して突撃攻撃を行え!」
『あ、出来るだけ生け捕りでお願いしますね』

デストロイじゃないんかい、と思いながら周辺の天使たちに銃弾を浴びせる。
魔法カウンター仕様なだけに、魔力の塊である天使には相性がよい。
ミスリル製の銃弾は、あっさりと付近の天使達を霧散させてしまった。

「見たことのない武器だが、素晴らしい威力だな。貴殿等があれだけの自信を持っていたことにも納得がいく」
「それよりも周囲を見ろ。予定通り村を包囲した敵はこちらに引き付けられたようだ」

いつの間にか俺とガゼフは、50人近い敵兵と天使達に囲まれている。
傍から見れば絶体絶命といえるこの状況だったが、俺はもちろんガゼフも余裕の表情だ。

「では天使共への牽制をお願いしよう。その隙にスレイン法国のマジック・キャスター達を片付ける」
『そんなの駄目ですよ、ヘロヘロさん! 中途半端に力をみせただけじゃ、抑止力として不十分です』

村長との話では俺の方が嘴を突っ込んでいたのだが、逆にやり返されると激しくうざい。
ガゼフが隣にいるので返事もままならないし、非常に迷惑である。

『手出し無用、とか言ってヘロヘロさんの力を見せつけるチャンスですよ! あ、そうだ、いっそ拘束制御術式を開放しましょうよ!』
「んなバカな」
「む、どうかされたか?」
『つい墓に住んでるなんて言っちゃいましたし、人外バレも時間の問題。ならばここは圧倒的な恐怖を思い知らせるべきです、ヘロヘロさん!』

思ったことをうっかり口に出してしまったせいで、ガゼフからは不審な目を向けられている。
モモンガさんも力をアピールしろと煩いし、もう何もかもがうっとうしい。

「巻き込まれたくなければ、下がっていろ」
「何を言っている?」
「いいから黙って言う通りにしろ。生きて帰りたいのであればな」

俺の口調から苛立ちの雰囲気を察したのだろう、ガゼフは逆らわずに素早く距離をとった。
それとは逆にようやく俺がロールに入ったと判断したのか、モモンガさんからの追加指令が入る。
イライラが頂点に達した俺は、もうどうなっても知らないと覚悟を決めた。

『今です! 例のセリフと共に変身ですよ!』
「――眼前敵の完全沈黙までの間、能力使用限定解除開始。では教育してやろう。……ブタのような悲鳴を上げろ」

思わず別場面のセリフと入れ替えてしまったが、その言葉に合わせてアバターを切り替える。
人型がドロドロと崩れ落ち、粘液の中から2頭の巨大な犬の首が生えてきた。
このアバターはわざと固定化しないよう作ったので、本体と同じようにドロドロなまま刻一刻とその姿を変えていく。

「て、天使達を突撃させよ! 近寄らせるな!」

指揮官らしき男の叫びに、動揺していた随員達が我先にと逃げ出した。
そんな状態でも指示だけは出したようで、その場にいた全ての天使達が俺へと向かって来る。
だがこの状態なら銃を使うまでもない。
気持ち悪いくらいの速度でドロドロとマジック・キャスター達へ駆け寄る。
俺の行く手を塞いだ天使達は、勝手に溶かされていくだけだ。

「ぎゃああぁ!」
「足が、俺の足がああッ!」
「来るな、化け物がぁひいいぃ!」

モモンガさんが生け捕りと言っていたので、犬達には足を噛み千切らせる。
といってもその振りだけであり、実際には溶け千切れているのだが大差はあるまい。

「ゲ、ゲートが使えないぞ……」
「いやだ、俺は死にたくない! 神様ぁぁぁ!」

悲壮感の漂う敵の姿に、ネガティブな気持ちが半端なく湧きおこる。
どうしようかと立ち止まる俺に、モモンガさんからメッセージが入った。

『うわー、すごい格好いいですよ、ヘロヘロさん。懐かしいあの頃を思い出してしまいます』
「うーん、そう言って頂けるのはこちらも嬉しいですが……。全員動けなくした方がいいですか?」
『アウラとマーレの後詰を周囲に再展開させましたので、適当に切り上げてOKですよ。あと転移阻害と対情報魔法用の攻撃防壁は張っておきましたんで』
「ありがとうございます。でもなんであの場面でわざわざ俺まで呼んだんですか?」
『片方は待機して支援がベストだとは思っていたのですが、ヘロヘロさんを優秀だと言われたのでつい舞い上がってしまいまして』
「……すみませんが、後のフォローはお願いします。俺は指揮官っぽいの捕まえて走って帰りますから」

そう言ってアバターを元に戻し、先ほど指示を出していた男を見やる。
するとパニックにでもなったのか、男は震える手で懐からクリスタルを取り出しながら叫んだ。

「貴様、さては魔神だな! ならばこちらも手段を選ばん! 生き残りたいものは時間を稼げ、最高位天使を召喚する!」
『あれはまさか魔法封じの水晶……、しかも輝きからすると超位魔法以外を封じるものですよ、ヘロヘロさん!』

モモンガさんが言葉を終えた時、既に俺の右手には水晶の輝きがあった。
ちなみに左手は、気絶させた指揮官っぽい男の首根っこを掴んでいる。

「じゃあ帰りますんで、後はお願いします」
『え、ええ、わかりました。それにしても身も蓋もないですね……』

気を失ったままの男を掴んでナザリックへと帰還した俺は、出迎えたセバスに男と水晶を渡すと、後味の悪さから逃避するべく自室へ戻って速攻で寝たのだった。






数日が経ち、捕虜からの情報収集が一段落ついた頃、モモンガさんはナザリックの主要幹部から部隊長クラスまでを玉座の間に集めて宣言した。

「アインズ・ウール・ゴウンのギルド名を不変の伝説とせよ!」

先日の初戦闘で手ごたえを感じたのか、モモンガさんは今このときも覇気に満ち溢れていた。
もともと控えめだった人柄が災いし、その反動で厨二ウィルスが一気に全身を侵食したのだろう。
一方の俺はといえばモモンガさんとは逆で、最近ずっと気分が良くない。

自分自身の行動を振り返ってみると、どうもアニメの真似をして敵を襲ったのが嫌だったらしい。
例えどんな相手であっても、必要のないアニメのセリフを言ったりしてふざけながら人を傷つけるのは間違っている。
DQNの自分とは思えないような潔癖さに俺自身も驚いているが、少なくとも俺の中にある人間の残滓はそう答えを出したようだ。

――これが、厨二病を卒業した痛みってやつか。

などと自分酔いな感じの思考に没頭していたため、気が付くと演説を終えたモモンガさんはとっくにいなくなっていた。
まだ熱気を失っていない玉座の間は居心地が悪く、俺も部屋へ帰ろうとしたのだがアルベドに引き止められる。

「デミウルゴス、モモンガ様とお話をした際の言葉をヘロヘロ様と皆に」
「畏まりました」

アルベドの言葉に従い、デミウルゴスが全員にモモンガさんとの会話を伝える。
その内容は、とても信じられないようなものだった。

「――最後にこう伺いました。世界征服なんか面白いかもしれないな、と」
「必ずや御身の下にこの世界を!」
「「「「この世界を!」」」」

こいつらが何を言っているのか、本当に分からない。
世界征服とか、モモンガさんは正気なのだろうか。
友人が遅めの厨二病に掛かったと思ったら周りもすべて厨二病患者だったとか、悪夢としか思えない。

痛々しい発言を続けている周囲の中、俺は絶望のあまり膝をついてうな垂れたのであった。






――人、それを高二病と呼ぶ。


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